講義状況と帯域に適応する 映像伝送方式 * 森村吉貴 * *八木啓介 * * 美濃導彦 *京都大学 情報学研究科 * *京都大学 学術情報メディアセンター 映像伝送 インターネットによる映像伝送が普及 映像伝送方式 従来は映像の内容(伝送の目的)を問わない 目的に応じた映像伝送方式を提案 講義、スポーツ、報道など多様な目的 目的によって重要な情報が異なる 限られた帯域の中で重要な情報を優先する 例)講義であれば、板書が読めることが重要 講義映像伝送 ここで、「講義」という目的を考える 同じ目的でもその状況は変化する 板書、口述、解説など →状況によって重要な情報は変化する 例)単に口述だけをしている状況では、 板書は必ずしも読めなくてよい 講義状況 本研究では以下の四つに講義状況を分類 講義状況 説明 重要な情報 1.板書 講師が白板に文字などを書いている 文字・図情報 2.口述 講師が喋っている 動き情報 3.解説 講師が板書などを指示しながら解説 文字・図・動き 全ての情報 4.その他 講師が間合いなどを取っている 重要な情報なし 状況認識 講義室内にセンサを設置、その情報から状況認識 センサ 電子白板 超音波位置センサ マイクロフォンアレイ :白板への入力の有無 :講師の3D位置、白板との距離 :講師の発話の有無 白板入力 白板距離 発話有無 1.板書 2.口述 3.解説 4.その他 有 無 ー ー 遠 近 (上記以外) 無 有 有 映像の時空間解像度 状況に応じて情報の優先度を変更したい そのために、映像の時空間解像度を考える 映像は静止画(フレーム)の系列である 時間解像度:毎秒当たりのフレーム数 空間解像度:フレーム当たりのデータ量 映像の時間解像度 単位時間(1sec)あたりのフレーム数(fps) 大きくすることで動き情報を優先する 小さくすることで動き情報を抑制する (ただし、下限は存在する) 時間解像度:小 時間解像度:大 映像の空間解像度 フレームあたりのデータ量(KB) 画素数・圧縮率など多くの要因を統合 大きくすることで文字・図情報を優先する 小さくすることで文字・図情報を抑制する (ただし、下限は存在する) 空間解像度:小 空間解像度:大 状況と時空間解像度 講義映像として許容範囲かどうかそれぞれの状況を主観評価 時間解像度 1.板書 2.口述 3.解説 4.その他 空間解像度 1.板書 2.口述 3.解説 4.その他 1 5 10 15 20 30(fps) × × × ○ ○ × × ○ ○ × × ○ ○ × × ○ ○ × × ○ ○ ○ ○ ○ (1 1.5 2 4 5 )(Mbps:30fps時) 4 6 8 16 20(KB) × × × ○ × × × ○ × ○ × ○ × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ 時空間解像度と帯域 空間解像度 ○ × 現在の 帯域 × ○ 時間解像度 伝送するデータ量は空間解像度と時間解像度の大きさに比例 許容される時空間解像度の組み合わせを伝送モードと呼ぶ 「板書」における伝送モード 帯域2Mbpsの場合 空間解像度 映像データ量の表 (単位:Mbps) (KB) ○ 20 ×0.2 ○0.8 ○1.6 ○ 2.4 ○ 3.2 ○ 5 × 16 ×0.1 ×0.6 ×1.3 ×2 ×2.6 ×4 8 ×0.06 ×0.3 ×0.6 ×1.2 ×1.3 ×2 6 ×0.04 ×0.2 ×0.5 ×0.7 ×1 ×1.5 4 ×0.03 ×0.2 ×0.3 ×0.5 ×0.6 ×1 1 5 10 15 20 2Mbps 30(fps) 時間解像度 ×○ 10fps, 20KBの伝送モードで、1.6Mbpsのデータを伝送 「口述」における伝送モード 帯域2Mbpsの場合 空間解像度 映像データ量の表 (単位:Mbps) (KB) 20 ×0.2 × 0.8 × 1.6 × 2.4×3.2 16 ×0.1 ×0.6 ×1.3 ×2 ×2.6 8 ×0.06 ×0.3 ×0.6 ×1.2 ×1.3 ○ 6 ×0.04 ×0.2 ×0.5 ×0.7 ×1 × 4 ×0.03 ×0.2 ×0.3 ×0.5 ×0.6 1 5 10 15 20 ○5 ○4 ○2 2Mbps ○1.5 ×1 30(fps) × ○時間解像度 30fps, 8KBの伝送モードで、2Mbpsのデータを伝送 「解説」における伝送モード (KB) ○ 20 ×0.2 ×0.8 ×1.6 ×2.4 ×3.2 × 16 ×0.1 ×0.6 ×1.3 ×2 ×2.6 8 ×0.06 ×0.3 ×0.6 ×1.2 ×1.3 6 ×0.04 ×0.2 ×0.5 ×0.7 ×1 4 ×0.03 ×0.2 ×0.3 ×0.5 ×0.6 1 5 10 15 20 ○5 ×4 ×2 2Mbps ×1.5 ×1 30(fps) ×○ 30fps, 20KBは帯域2Mbpsに収まらない バファリングして伝送 バファリング伝送 許容される下限の解像度でも帯域に収まらない 送信側でバファリングして伝送 受信側で蓄積してデコード エンコード・デコードはリアルタイム 伝送時に遅延が発生するが、それを許容 データ量 データ量 送信側 ネットワーク 帯域 遅延 受信側 「その他」の状況の利用 (KB) 20 ○0.2 ○ 0.8 ○ 1.6 ○2.4 ○3.2 16 ○0.1 ○ 0.6 ○1.3 ○2 ○2.6 8 ○0.06 ○0.3 ○ 0.6 ○1.2 ○1.3 6 ○0.04 ○0.2 ○0.5 ○0.7 ○1 4 ○0.03 ○0.2 ○0.3 ○0.5 ○0.6 1 5 10 15 20 ○5 ○4 ○2 2Mbps ○1.5 ○1 30(fps) 伝送しなくても許容される データを廃棄することでバファリング伝送の遅延を補償 システム構成図 受信側講義室 送信側講義室 カメラ マイク センサ類(カメラ・マイク・ビーコン) モニタ スピーカ センサ情報 から 状況認識 動 画 音 声 MPEG2 エンコーダ 空間解像度 制御 制御部 時間解像度制御 バファリング制御 映像 データ 送信バッファ部 動 画 帯域 情報 音 声 MPEG2 デコーダ 映像 データ 受信バッファ部 ネットワーク 動作実験 MPEG2 ハードウエア・コーデックを使用 帯域情報 一定値(2Mbps)が得られているものとする 実際の帯域はこれよりも十分に広い 状況の変化に従った伝送モードの変化を確認 状況:発話 状況:板書 「指示」から「その他」への移行 まとめ 目的に応じた映像伝送方式を提案 講義を目的とする 状況によって重要な情報は変化する 状況に応じて伝送モードを変更 各状況で時空間解像度を変更して重要情報を優先 優先すべき情報が帯域内に収まらない場合 →バファリングすることで帯域内に収める →必ずしも重要でない映像を廃棄することで、遅延を補償 画像:空間解像度の保証結果 通常のMPEG2による伝送 提案手法 講義状況に応じた伝送方式を実現
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