はじめに 国の医療費抑制策(長期処方、後発品の使用 促進等)により、薬局の医薬品在庫数量・種類も 増加傾向にある。 また、後発医薬品の入手に時間がかかる場合も 少なくなく、在庫不足、過剰在庫、不良在庫の増 加など薬局経営の観点からも在庫管理の重要 性が高まっている。 一方、愛知県薬剤師会の備蓄医薬品検索シス テムが平成18年度より解除されるなど、地区に おける備蓄医薬品検索システムの構築の必要 性が増していると思われる。 こんな時どうしますか? 金曜日午後8時閉店前に下記の処方せんが持 ち込まれました。退院後初めての処方で、今す ぐ服用が必要とのこと。一包化指示で空き袋を 次回診察時に医師に提示することになっている。 イスコチンは在庫があるが、リファジンCapとエ サンブトール錠250mgの在庫がない。 Rp. リファジンCap150mg 1C エサンブトール錠250mg 1T 1日1回夕食後 イスコチン錠100mg 2T 1日2回朝夕食後 ある病院薬剤師からのメール 「かかりつけ薬局って大丈夫?」 先週の金曜、たまたま内科にかかる機会があり、院内 にはない薬が処方されたので、院外処方せんをもらいま した。 あまり深く考えず、門前でない帰り道の薬局に寄ったの ですが、その薬は置いていないと言われ、取り寄せると月 曜の夕方になると言われました。 普段、院外に行く患者さんにどの薬局に行ったら良いか 聞かれると、どこか行きやすいところを1軒決めるようお 話していたのですが、ちょっと自信を失ってしまいました。 やっぱり門前を勧めた方がよいのでしょうか? 経緯 春日井市薬剤師会では、10年以上前から一部の 会員間で備蓄医薬品リストを共有し、広域病院など の面分業に対応するための相互協力体制をとって きた。当時は10数軒の参加であったが、3つの班 に分けて手書きで集計する方法をとっていたため、 地道で作業量も多く大変な苦労をしていた。 そこで、パソコンの普及もあり何とか手作業からの 脱却がはかれないかと考え、試行錯誤の上マイク ロソフトエクセルを利用した地区備蓄医薬品検索シ ステムを構築した。 現在、年2回の更新をしている。 目的 会員へのアンケートを行い、システム の満足度や問題点も調査し、システム のレベルアップに繋げることを目的とし た。 愛知県薬剤師会の備蓄医薬品検索シ ステムが解除された後の、新しい備蓄 検索システムの1つの提案として紹介 すること。 システムの概要 各薬局 ③薬局データの 作成 ⑦備蓄リストの 利用 薬剤師会 ②配布 ④提出 ⑥配布 ①マスターデー タの編集 ⑤データを集計 して備蓄リス トを作成 配布するマスターデータ 提出データの編集 マスターデータに印を付けていらない薬品 を削って提出 レセコンのデータを加工して提出 卸からの納入実績データを利用 いずれにしても厚生労働省コード(個別薬 品コード=YJコード)をキーデータとしてい るので、それが入っていれば原則編集可 能 できあがった備蓄リスト アンケート結果1 参加について 31% 38% 26% いつも参加 時々参加 参加したことがある 未参加 5% アンケートの回収率は、116薬局に対して62薬局で63.4%。そのうちいつ も参加と時々参加をあわせると43%で、実際の参加率30.2%よりも多いの でその分を割り引いて考える必要がある。 アンケート結果2 いつも参加薬局の満足度 全体の満足度 0% 13% 0% 27% 満足 どちらでもない 不満足 73% 87% アンケート結果3 データ提出の負担全体 いつも参加薬局のデータ提出負担 13% 23% 33% 45% いつも参加以外の薬局の データ提出負担 42% 16% 44% 37% 47% 負担でない やや負担 負担 結果 当初10数軒の薬局から始まった備蓄医薬品検 索システムは、最新の2007年9月版では、42 薬局・4378品目の検索が可能となっている。 アンケート調査からは、いつも参加の薬局では8 7%が満足と回答があった。 一方、データ提出に手間がかかるとの声が多く、 全体で67%、いつも参加以外の薬局では84% が負担と回答。更新の頻度は、年2回で良いと いう回答が、89.5%であった。また、未参加の 薬局では、「必要性を感じない」が4件、「会社の 方針」も5件あった。 考察 アンケートの結果から、いつも参加の薬局での満足 度は特に高く、会員の期待に応えることができている システムと考えている。しかしながら、データの提出 がたいへんであり、それが理由で参加できない薬局 も多いことが一番の問題点であることが判明した。 データ提出の手間を軽減する工夫を考えていくこと が今後の課題である。 春日井市薬剤師会では、提出データの編集や検索 の利用方法を定期的に例会で紹介し、ITに対して敷 居の高い薬局さんにも理解を得られるように努力を 続けていく。 このシステムは夜間、休日などに患者さんを困らせ ないための切り札になると考えている。 おわりに その他の利点 災害時の緊急な医薬品の供給に役立つのではな いか? 不良在庫の消化に利用できる(在庫を持っている薬 局に連絡を取り消化のお願いをする) 参加の薬局間でコミュニケーションがとれ、良好な 関係ができる 編集の手順を資料にしてあります。ご希望の方 はお申し出ください。
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