地表検出器

宇宙線望遠鏡実験
Telescope Array Experiment
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明野観測所で発見された 10 電子ボル
トを越える宇宙線は、 1k㎡ の面積に百
年に一個しか降ってきません。明野観測
所の AGASA の規模を約 10倍に拡大し、
測定感度を飛躍的に上げようというのが
この宇宙線望遠鏡 (Telescope Array) 実
験です。
宇宙線望遠鏡は、宇宙線によって引き
起こされる「空気シャワー」現象中の電子
が大気中で発する微かな「蛍光」を、口径
3m の反射望遠鏡群で捕らえます。また、
地表検出器を展開し、空気シャワー粒子
そのものの観測も同時に行います。
12台の反射望遠鏡を備えたステーショ
ンを 30~40 km 間隔で 3ヶ所に設置し、
それぞれのステーションで 50km 遠方ま
での蛍光を検出します。
1ステーションは2段に設置された12台
の口径3mの反射望遠鏡から成り、全望
遠鏡で仰角 34°周囲 108°の範囲を観
測します。焦点面には 256本の光セン
サー(光電子増倍管)が置かれ、反射し
た蛍光を検出します。これらのステーショ
ンは、地表検出器を取り囲むように 3 ヶ
所に配置されます。
3 ステーションの中心には、標準光源と
してのレーザーシステムが設置され、各
ステーションに備えられた LIDAR (LIght
Detection And Ranging) システムと連動
して蛍光の受光感度を較正します。
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デカジュール粒子(>10 eV)による宇宙物理
デカジュール粒子の起源
活動的天体
初期宇宙の痕跡粒子
陽子・原子核
ガンマ線・ニュートリノ
宇宙紐
天体爆発
デカジュール粒子の伝播
銀河間磁場・光子
宇宙背景放射
宇宙背景ニュートリノ
GZK限界?
地球
大気蛍光
大気蛍光望遠鏡
地表粒子検出器
空気シャワー
ハイブリッド検出器による高信頼度観測
点源探索
super‐GZK宇宙線
粒子線天文学の開拓へ
粒子組成測定
宇宙開闢の素粒子物理へ
Super GZK 宇宙線の発見
AGASA (Akeno Giant Air Shower Array) による
13年間 (1990~2003) の観測で得られた
宇宙線エネルギースペクトル
GZK 効果
10 20eV を超えるような宇宙線は 2.7K 宇宙背景輻射の光子と衝突を繰り返すことで
エネルギーを失い、 100 Mpc を走るころには 4 × 102019 eV 程度となり、落ち着く
明野空気シャワーアレイと
AGASA
に
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よって 10 eV ~ 10 eV という
広範囲にわたる宇宙線強度が
観測されている
拡大すると・・・
1 km
• 2.2 ㎡シンチレーション検出器
• 全 111 台
• 約 1 km 間隔
• 総面積 ~100 k㎡
シンチレーション検出器
これらの
超高エネルギー宇宙線は
大局的には
等方に分布しているが
よく見るといくつかの
領域に集中している
Dec.
超銀河面
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銀河面
 E > 4 × 10 eV
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 E > 10 eV
赤道座標系で見た超高エネルギー宇宙線の分布
(水色の領域は AGASA では観測できない領域)
超高エネルギー宇宙線は
どこから来ているのか?
GZK 効果による理論曲線
青い破線は GZK 限界によって
予想されるスペクトル、
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赤い点が 10 eV を超えるイベント
(強調のため、縦軸には
エネルギーの三乗をかけている)
Super GZK 宇宙線が
本当に存在するのかを確かめるための
新たな実験
ピエール・オージェ実験
(アルゼンチン)
そして
TA 実験へ・・・
宇宙線望遠鏡 Telescope Array group
宇宙線望遠鏡計画(TA)では、最高エネルギー宇宙線のエネルギー、
到来方向を高精度で決定する。また、その起源を探る上で重要な情報
である最高エネルギー宇宙線粒子の同定も行う。
エネルギースペクトルの高精度測定
統計精度の向上 さらに広大な検出面積
AGASAのおよそ10倍の検出面積
アメリカ ユタ州
ミラード郡
砂漠地帯、海抜1400m
TA
年間事象数
(>1019eV)
AGASA
100
TA(地表)
700
TA(地表、大気蛍
光同時観測)
80
576台から成る
地表検出器群
TA 観測事象数期待値
AGASA
3地点計18台の
大気蛍光望遠鏡
×10
10 km
詳細な点源探索
宇宙線到来方向決定精度の向上
宇宙線
複数台の大気蛍光望遠鏡による観測
幾何学的に空気シャワーの
到来方向を決定することができる
入射光の到着時間
測定精度や、
大気の状態などに
左右されない
Station1
Station2
超高エネルギー宇宙線の粒子同定
大気蛍光望遠鏡による空気シャワーの縦方向発達の測定
大気上空
同じエネルギーの宇宙線でも
核種が異なると、空気シャワー
縦方向発達の様子が異なる
一次宇宙線の同定
• 重核種ほど大気上部から空気シャワーを生成する
• 重核種の空気シャワーは発達が速やかに発達する
大気蛍光
地表
空気シャワー中の高エネルギー
荷電粒子が空気分子などを励起する。
励起された空気分子は蛍光を発し
基底状態へ遷移する。
エネルギー決定に関する系統誤差を低く抑える
それぞれ異なる利点を持つ検出器を組合わせる
大気蛍光望遠鏡:
空気シャワー縦方向発達
地上検出器群:
空気シャワー横方向分布
• 多パラメータ観測による
精度のよい測定
• 異なる2つの手法による
クロスキャリブレーション
荷電粒子の
直接検出
地表検出器
大気蛍光望遠鏡
広大な範囲(~20km×30km)
に、576台の検出器を設置
自立型の検出器
• メンテナンスフリー
• 太陽光パネルによる自己発電
• 無線LANによるデータ収集
大気蛍光望遠鏡 。
。
1台の視野 約18×18
地表検出器
1サイトの視野
。
水平方向 108
。
。
垂直方向 3 -34
1サイトに6台の望遠鏡
SOLAR PANEL
SCINTILLATOR
BOX
大気蛍光望遠鏡
210cm
170mm
ANTENNA
IN SCINTILLATOR
BOX
ELECTRONICS
BOX
荷電粒子検出用
プラスチックシンチレータ
1台の大気蛍光望遠鏡は2組の球面鏡,
光センサー群から成る
1021mm
光ファイバー
PMT camera
光ファイバーで集光し
PMTで光量を測定する
60 mm Hex.
PMT
256 PMTs
光センサー(PMT)群(左
図)とPMT受光素子(上
図)