Experimenting in distance education: the African Virtual University (AVU) and the paradox of the World Bank in Kenya International Journal of Educational Development, Jan 2003 M.N. Amutabi, M.O. Oketch 輪講 by コタロ&鮒 Abstract AVUは有効なの? AVUが失敗した訳 これからどうしたら良いのか提案 African Virtual Universityとは 世界銀行が1995年に始めた 遠隔教育プログラム http://www.avu.org アメリカ・ヨーロッパからアフリカ15カ国 24箇所の参加機関に衛星通信を利用し て配布 AVUの目的 アフリカ大学教育の質向上 化学工学分野・ビジネス分野の能力向上 アフリカ高等教育機関(管理・技術)の能力 向上 世界の教育機関とアフリカ高等教育機関 とのデジタル・デバイドへの貢献 システム構成 Lecturer Site Student Site African Countries The Internet The U.S. and European Countries コンテンツ 大学スタッフに対するICT経営管理、技 術管理、学生管理、マルチメディアコンテ ンツ制作 科学・数学、工学、コンピュータ科学コー ス提供(単位認定) ICT研修、ビジネス経営開発セミナー、英 語・仏語教育、教授法プログラム この論文では 1998年にケニアに導入されたAVUのイ ンパクトについて語っています 1. Introduction 世界銀行はアメリカに主に出資されているが、冷戦が終 わって、アメリカ(西欧)の自由主義が全ての真理として押 し付けられるようになった アフリカも“アジアの虎”のように変化することが求められ ているが、SAP (Structural Adjustment Programs) のよう に、AVUの前にも世界銀行のアフリカへの投資計画は失 敗した アフリカへ廃れた製品を売りつけたり技術移転をせず西欧 に頼らなければならない悪循環を続け、借金が出続けて いるのに、世界銀行のレポートは肯定的である 全ては、アフリカの未来ではなく西欧の市場に有利な方向 に働くようになっている ヨーロッパやアメリカの大学院で学位を得た一部の知識人 はこの風潮に賛成の姿勢を示しているが、アフリカの現状 を考えている訳ではない 2. Distance Education 遠隔教育はケニアにとって高品質の高等教育を伝えるものであ る University of South Africa において遠隔教育プログラムに登録 している人は多く、著名人も輩出していることから、遠隔教育は 効果的であるということは証明されている また、コスト的にも有効であると証明されている ケニアでは、遠隔教育に関していくつか問題があった イギリスのOpen Universityでは普通の国立大学が使う5%のコ ストで、イギリス全国の学生のうち9%の学生を輩出している 成人教育に関して政府がコミットしない(教育ではなく趣味として 捉えられている) 遠隔教育よりは普通の大学の卒業生を採用する企業が多い(変 わりつつある) ケニアでは1990年代から、各大学ごとにいくつかの遠隔教育の 試みがなされてきた。ナイロビ大学が一番有名。 時間・場所にとらわれない遠隔教育の試みは多くの労働者が教 育を受け続けるのに効果的であるが、コストがまだ高いのがケニ アでは問題になっている 3. SAPS and public universities in Kenya 1963年以降(独立の年)国立大学は、役人や少数の知識人の育 成が目的であった。 1970年代後半から不況になり、大学への予算は削られたが、よ り多くの学生を抱えることになったため、大学の質が落ちた 1980年代、IMFと世界銀行はSAPを導入し、教育予算を減らし たため、大学へ直接影響を与えた しかし教育への要望は高く、1985年には大学入学者は8000人 だったが、1986年には大統領の命令で、各大学ともに入学数を 倍増させ、45,000人の新入生を受け入れた 1986年には大学は1つだったが、現在は6つの国立大学と10以 上の私立大学が存在している(質は問わない) その結果、大学の各施設、特に情報技術に関する基本的な施設 がない場所が多い。コンピュータ・本・研究機器・教授のすべて の大学に必要な設備が整備されていない状況である 世界銀行のプロジェクトだが、政府への認知度は非常に低い 4. The AVU concept in Kenya 最初に説明した部分が書いてあります 5.Understanding the parameters of the AVU in Kenya 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 合理性 妥当性 教育へのアクセス コストパフォーマンス 教育と学習 持続性 波及効果 1) 合理性 AVUは他の遠隔教育プロジェクトよりも勝って いるのか 大学教育だけではなく、手当てしなければなら ない部分があるのではないか 識字率は65% 小学校と中学校では中退する学生が多数 AVUはエリートにのみ適応される Kenyatta大学の学生は、毎学期支払うべき US$7の電子メールの利用料に関して暴動を 起こした。 AVUプログラムはキャンパスを利用して受講す るため、現行の大学と同じコストと施設不備の 問題がある 2) 妥当性 AVUを通して配信される授業は各地域の要望に適してい るのか インターネットアクセスのない地域に住む学生にインター ネットの授業を配信することに意味はあるの? これに関して、AVUは適切な授業を配信しているとはいえ ない。AVUの授業は都市部の一部の学生にのみ享受さ れるものである ケニヤは80%が地方に属し、インターネットへの接続性も ない 方法だけを述べてもっと身近な情報を教えていないため、 “ルワンダの大統領は誰?”という質問に、サーチエンジ ンから検索して出てこなかったので、“ルワンダには大統 領はいません”という答えができきたという問題もある このため、本当に重要な授業を検証する必要がある 3) 教育へのアクセス 遠隔教育において、教育を受ける場所 へのアクセスは非常に重要である AVUは場所的に制限されているが、全 国にインターネットインフラが整っている わけではないケニヤにおいて、その場所 に行くのは困難である 4) コストパフォーマンス 学費だけではなく、学用品、制服、FDD,電子メールの利用 料、通学費がある AVUは年にUS$40,000,000、セットアップに US$20,000,000かかり、最初の1年に使う金額でケニアの 国立大学が5年間運用できる 受け入れ人数 Kenyatta大学は80人しか受け入れられず、2001年まで には160人に増えるといわれているが、少ない(コンピュー タの数で学生の人数が決まる) Egerton大学は40人しか受け入れられない Kenyattaは15,000人、Egertonは10,000人の学生を受 け入れている夜間学校でも前者は1000人、後者は500人 の学生を受け入れている 4) コストパフォーマンス(cont.) University AVU Kenyatta Cost US$3200 – US$3500(1学期) AVU Egerton US$3200 – US$3500(1学期) University of Nairobi US$2000(1年) Kenyatta University Regular US$2000(1年) Jomo Kenyatta US$2000(1年) 4) コストパフォーマンス(cont.) AVUにお金をかけるよりは、現行の大学 制度をよりよくするのが先決ではないか また、AVUの機器は世界銀行からの援 助がなくなっても整備されるとはコスト面 から考えると無理 5) 教育と学習 AVUでは、アメリカ・ヨーロッパで事前に録画さ れた授業を衛星を使って配信しているため、サ ブジェクトがケニアで学ぶべきものとはずれて いる ケニアの学生用のカリキュラムが作成されるべ きである アメリカ英語とイギリス英語を同時に教えると 学生が混乱するが、AVUでは行われている 各地域のニーズに合わせた授業を配信するべ き 6) 持続性 世界銀行からの支援が終了した場合、 ケニア国内だけで持続してプロジェクトに 参加し続けられるのか 電子メールの面・学費の面からみて恐ら く無理だろう 7) 波及効果 2000年にKenyatta大学のAVUでは、200人の先生を輩出した が、300,000先生が存在するケニアにおいて、200人はほんの 一握りに過ぎない この中の数名はコンピュータ等存在しない地方出身の先生であ り、AVUでコンピュータに関する知識を取得しても、実際に教える ことはできない 中学や高校の先生に夏期講習を利用して情報技術を教え、彼ら に情報技術をもう一度教えさせるというアプローチもあるが、これ には電源の供給・PCの用意等が必要であり、現実的ではない 民間企業が一番AVUに興味を持っているが、彼らは授業料が払 えるし、継続的な授業の受信も行う予算を持っているため、最も 効果的であるといえるだろう アフリカは人的資源が少なく、インターネットの基盤整理に対す る政治的関心が薄いため、最もインターネットへの接続性がない 大陸である。 6. Advantages of AVU to Kenya AVUの図書館では先生も学生もアーカイ ブ授業や授業マテリアルに接続性を持ち、 オンラインの議論グループに参加するこ とができる。これは非常に良い。 アフリカの学生と西欧の先生が議論を行 うことで、共同研究の機会ができるが、こ れはプロジェクトが継続的に続いた場合 にのみ可能なことであろう アフリカに存在する興味深い文献が蓄積 されると効果的だろう 7. Disadvantages of AVU in Kenya 学者によっては、AVUは西欧の考えを押し付け ているに過ぎないと言っている 頭脳流出を防ぐために学生を国内にとどめよう とする試みは他の遠隔教育と同じ しかし、資金の流れは北側の国々にあり、知識 を持っているのも北側の国々であるため、独立 できない 全ての機器が高い 電源が普通に供給され、電話線の接続が安定 しており、PCが買えるお金を持っていればAVU は非常に効果的だろう 8. Conclusion remarks Kenyatta大学の学生は、毎学期支払うべき US$7の電子メールの利用料に関して暴動を 起こし、36人が停学になって、4人が退学に なった 10,000人に一人しかPCを持っていないケニア において、AVUが成功するのは難しい それよりも60%の識字率(農村では30%)を改善 するプロジェクトが導入されるべきではないか 8. Conclusion remarks (cont.) 1963年の独立以前からケニアには遠隔教育 は存在した。AVUの発想に新規性はなく、各地 域の要望も聞かずに北側の考えを押し付けた プロジェクトの1つに過ぎない 政府側の準備もできていなかった 現行のTwiningプログラムと目的が重なるもの でもある 北側で受け取れる値段よりも高コストの教育は デジタルデバイドを広げるだけだろう おしまい
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