EBW施設構築について私見 20090608 峠 暢一 (KEK・加6) EBW私見 20090608 NT 1 一般論的賛成論 • KEKの研究基礎体力、技術力を高めるうえで、 – RF機材のアセンブリ作業、 – RF機材試験、あるいは、 – 材料表面試験にかんする 技術水準を高める努力を年々歳々怠らず、継続していくことはきわめて 重要。 • 将来に実施する加速器建設事業がなんであれ、それとはべつに、インフ ラ構築+人材育成をおこなっていく(。。。長期育成を行う、という哲学を実 践する)のは、KEKで現状、あまりよくできていない重要任務の一つ。 • EBW施設は、ILC向け云々を越えて、その一例としての意義ももつ。 EBW私見 20090608 NT 2 賛成論への但し書き • 前ページの意味で、EBW を取り上げて検討してみるのは悪 くない。ただし、その場合、 – より幅広い、長期的大局的視点からの判断を経て、 はじめて、こうし た事業は立ち上げられるべき。 – たとえば、「2012年ころをめどとして、空洞製造について KEK が intelligent に現場技術的に相当突っ込んだ発言を工業界にたいして 始められるような足場をつくるために」、EBW を今か ら立ち上げよう、 というのなら、(私にとっては)かなり了解可能な理屈。 – そのあたりからコンセンサスを形成しよう、というのなら、現場の多く の人たちも附いてこれるだろう。ILC部外の人たちにも一応検討にあ たいする提案として、理解可能になりそうか。 EBW私見 20090608 NT 3 とくに注意したいこと • いっぽう、曰く、2012年あたりまでにILC をなんとか、曰く、そのとき日本 が企業が手を挙げられるように、云々といった言説で本設備の主要な動 機付けを行おうとするケースを散見する。これにたいしては、私は、強い 違和感を覚える。 – 第一に、2012 年あたりの時間スケールで、SC-base の ILCが建設可能と いってよい開発段階に到達する見込みは、もともと、ない。 – 第二に、SuperKEKBが本格化した場合に発生する、KEK全体での人的、予 算的方面における質的・量的制約をきちんと認識すべきである。 – 第三に、2012年の時間スケールで、現時点の計画設定におけるILCが、近 未来経済環境あるいはHEPのもつ政治力?のもとで予算的に許容される状 況になるとも、ほとんど全く考えられない。 • 誤った前提条件のもとに、誤った時間計画をもって、誤ったスコープの事 業推進を行い、現実的な困難に直面して、何をやっているのか分からなく なり、結局途中で腰砕けになる、またはずるずるの泥沼膠着戦になる。と いったことは避けなければならない。また、その泥沼の途上、「インフラ構 築+人材育成」の一般的価値自体まで否定される、疑問視される、という 本末転倒の状況に陥ることも避けなければならない。 EBW私見 20090608 NT 4 ではどうするか • ILC関係部内 – 2012 TDP2終了、というman-made時間スケールを越えた、長期開発(たぶん、2015 以降まで続く)のなかで、EBW施設の具体的milestoneを段階的・定量的に策定すべ き。 – 基礎技術能力育成も、コスト低減策も、大規模(中規模)生産能力も。。。と、盛りだくさ んを一緒くたにして2012年までにてとりあえず、のような計画の仕方では駄目。 – 並行してEBWして作った空洞の性能をいかに検証するのか、の計画も具体的に策定 すべき。現状AR東、STF VTの規模では全く不十分である(よって、このままでは「意味 をなさない」可能性あり)。 • KEK執行部、加速器施設執行部 – EBW施設立ち上げにかんする最終意思決定は、ILC に止まらず、常伝導技術ほかを 含めた大局点観点からの議論と検討を経てからのものとなるべき。たとえば、ロー付け、 拡散接合、レーザ接合なども、このさい検討してはどうか?ほかの基幹技術は?という ことになっても少しもおかしくない。そのような議論を、機構執行部で行う意志意図はあ るのか?あって欲しい。 – 補正予算が出ましたので、とるものもとりあえず。。。というのではない、判断が必要。 • 地に足を付けた、しっかりとした長期的技術力育成推進の哲学と展望のもとで、 このEBW施設の展開がKEK各階層で、個別的 + 総合的に論じられることを(き ちんと出来ているとは、まだ、到底思えないので)強く望みたい。 EBW私見 20090608 NT 5
© Copyright 2024 ExpyDoc