x 1

循環構造
民間部門の経済循環の流れ
circular flow
p
需要
支出
0
賃
金
w
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
消費財市場
供給
収入
x
(
価
格市
がメ場
働カ
くニ機
ズ構
ム
)
家 計
所得
供給
生産用役市場
企 業
費用
需要
労働供給H
財・サービスの流れ
貨幣の流れ
1
第5章 企業と費用
企業の
生産活動
労働,土地,機械
動力,原材料
製品・部品
利潤を最大化するよ
うに行動をしている。
生産物 product
産出物 output
生産要素 factor of production
投入物 input
産出物の量 × 産出物の市場価格 = 総生産額
総生産額
労働
土地
原材料の費用
地代
賃金
ミクロ経済学(Ⅰ)
付加価値
利 潤
2
第5章 企業と費用
生産要素を投入して,財を生産するとき,生産要素
や財の価格を一定として,生産計画を立てる企業は,
プライス・テイカーprice-taker(価格受容者)と呼ばれ
る。
このような企業は,生産量が小さく,生産要素や財の
市場価格に影響を与えることができないのである。
以下,まずプライス・テイカーとしての企業のみを対
象とする。
ミクロ経済学(Ⅰ)
3
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 生産関数の定式化
企業の生産要素の投入組合せと生産物の最大可能な生産量との関
係を表したものは,生産関数production functionと呼ぶ。
生産関数: y=f(x1, x2)
生産量yが,2つの投入物の量の組み
合わせ(x1,x2)に依存する。
y
数値例: 投入物1は資本とする。
投入物2は労働とする。
x2
労働 x2
3
3
3
7
7
7
資本 x1
生産量 y
2
1
5
2
7
2.5
2
2
5
3
7
4
x1
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
4
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 生産関数の定式化
企業の生産要素の投入組合せと生産物の最大可能な生産量との関
係を表したものは,生産関数production functionと呼ぶ。
生産関数: y=f(x1, x2)
生産量yが,2つの投入物の量の組み
合わせ(x1,x2)に依存する。
y
数値例: 投入物1は資本とする。
投入物2は労働とする。
x2
労働 x1
3
3
3
7
7
7
資本 x2
生産量 y
2
1
5
2
7
2.5
2
2
5
3
7
4
x1
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
生産曲面
5
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
生産曲面
等量曲線
x2
y4
y
y4
y3
y2
y1
x2
x1
y3
y2
0
y1
x1
0
生産曲面を水平方向で切ると,曲面上に等高線の切口となる曲線が現れる。
この曲線上のすべての点は生産量yが等しくなる2種類の投入物の様々な組合
せを表している。これらの曲線を真上から観察すると,右図のような曲線になる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
これらの曲線は等生産量曲線(等量曲線equal product curve)である。
6
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 限界生産と平均生産
Dy
生産関数 y = f(x1, x2) について,
x2を一定として,x1だけが変化す
る場合を考えよう。
生産者がx1の1単位を追加投
入することによる追加的産出量
を第1要素の限界生産物おしくは y
限界生産(限界生産力marginal
productivity 略MP)と呼ぶ。
同様に, x1が一定で, x2の1単
位の追加による産出量の増分を
第2要素の限界生産である。
Dy
Dy
MP1 
MP2 
Dx1
Dx2
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
y
Dx1
x2
x1
0
y=f(x1)
Dy
Dy/Dx1
Dx1
x1
x 1 +D x 1
x
7
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 限界生産と平均生産
生産関数 y = f(x1, x2) について,
x2を一定として,x1だけが変化す
る場合を考えよう。
生産者がx1の1単位を追加投
入することによる追加的産出量
を第1要素の限界生産物おしくは y
限界生産(限界生産力marginal
productivity 略MP)と呼ぶ。
同様に, x1が一定で, x2の1単
位の追加による産出量の増分を
第2要素の限界生産である。
Dy
Dy
MP1 
MP2 
Dx1
Dx2
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
y=f(x1)
Dy
Dy/Dx11 = MP1
dy/dx
Dx1
x1
x1+Dx1
限界生産の
大きさを表す
x
8
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 限界生産と平均生産
その他の生産要素の投入量が一定
生産関数 y = f(x1, x2) について, で,ある生産要素の投入量のみが増
x2を一定として,x1だけが変化す 加すると,生産量yが増加するが,こ
の生産要素の限界生産は逓減する。
る場合を考えよう。
生産者がx1の1単位を追加投 これは限界生産逓減の法則と呼ぶ。
入することによる追加的産出量
を第1要素の限界生産物おしくは y
y=f(x1)
限界生産(限界生産力marginal
productivity 略MP)と呼ぶ。
同様に, x1が一定で, x2の1単
位の追加による産出量の増分を
dy/dx1 = MP1
限界生産の
第2要素の限界生産である。
大きさを表す
Dy
Dy
MP1 
MP2 
Dx1
Dx2
x
x
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
1
9
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 限界生産と平均生産
生産関数 y = f(x1, x2) について,
生産量yの第1要素の投入量x1に
x2を一定として,x1だけが変化す
対する比を第1要素の平均生産(平
る場合を考えよう。
均生産力average productivity 略
AP)と呼ぶ。
生産者がx1の1単位を追加投
AP1=y/x1
AP2=y/x2
入することによる追加的産出量
を第1要素の限界生産物おしくは y
y=f(x1)
限界生産(限界生産力marginal
productivity 略MP)と呼ぶ。
同様に, x1が一定で, x2の1単
位の追加による産出量の増分を
dy/dx1 = MP1
限界生産の
第2要素の限界生産である。
y/x1 = AP1
大きさを表す
Dy
Dy
平均生産の
MP1 
MP2 
大きさを表す
Dx1
Dx2
x
x
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
1
10
第5章 企業と費用
5.2 生産関数
■ 限界生産と平均生産
生産関数 y = f(x1, x2) について,
x2を一定として,x1だけが変化す
る場合を考えよう。
生産者がx1の1単位を追加投
入することによる追加的産出量
を第1要素の限界生産物おしくは
限界生産(限界生産力marginal
productivity 略MP)と呼ぶ。
同様に, x1が一定で, x2の1単
位の追加による産出量の増分を
第2要素の限界生産である。
Dy
Dy
MP1 
MP2 
Dx1
Dx2
ミクロ経済学(Ⅰ)
生産量yの第1要素の投入量x1に
対する比を第1要素の平均生産(平
均生産力average productivity 略
AP)と呼ぶ。
AP1=y/x1
AP2=y/x2
コブ=ダグラス型の生産関数
y=x10.5x20.5
x1の限界生産MP1=0.5x1- 0.5x20.5
x2の限界生産MP2=0.5x10.5x2- 0.5
x1の平均生産AP1=x1- 0.5x20.5
x2の平均生産AP2=x10.5x2- 0.5
11
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
生産曲面
等量曲線
x2
y4
y
y4
y3
y2
y1
x2
x1
y3
y2
0
y1
x1
0
生産曲面を水平方向で切ると,曲面上に等高線の切口となる曲線が現れる。
この曲線上のすべての点は生産量yが等しくなる2種類の投入物の様々な組合
せを表している。これらの曲線を真上から観察すると,右図のような曲線になる。
ミクロ経済学(Ⅰ)
これらの曲線は等生産量曲線(等量曲線equal product curve)である。
12
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
■ 等量曲線の性質
① 等量曲線は東北方高次である。
生産要素の投入量の増加に
つれて,生産量も増加する
x2
y"
y
② 等量曲線は交わらない。
y'
y"
③ 等量曲線は右下がりである。
y'
y
④ 等量曲線は原点に凸である。
0
x1
限界生産逓減の法則
ミクロ経済学(Ⅰ)
13
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
■ 技術的限界代替率
(x1,x2)が等生産量曲線に沿って変化することは,ある生産要素の減
少による生産力の低下を他の生産要素の増加によって補って,元と同
じ生産量を維持することができる。この生産要素x1の1単位の減少分と
必 要 な 要 素 x2 の 増 加 分 の 比 は 生 産 要 素 x1 の 技 術 的 限 界 代 替 率
(marginal rate of technical substitution 略RTS)と呼ぶ。
x2
y
y'
-Dx2/Dx1
A'
Dx2
A
-Dx1
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
y
y'
Dy
x1
14
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
■ 技術的限界代替率
(x1,x2)が等生産量曲線に沿って変化することは,ある生産要素の減
等生産量曲線が原点に凸ということは,生産要素をどちらかに偏って
少による生産力の低下を他の生産要素の増加によって補って,元と同
使用することより,共に使用する方が生産量が高くなることを意味する。
じ生産量を維持することができる。この生産要素x1の1単位の減少分と
また,等生産量曲線に沿って右に移動すると,技術的限界代替率が減少
必 要 な 要 素 x2 の 増 加 分 の 比 は 生 産 要 素 x1 の 技 術 的 限 界 代 替 率
する。これは,技術的限界代替率逓減の法則と呼ばれる性質である。
(marginal rate of technical substitution 略RTS)と呼ぶ。
x2
y
Dx2/2D
x11
RTS1,2  --dx
/dx
技術的限界代替率
の大きさを表す
A'
A
y
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
x1
15
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
■ 技術的限界代替率RTSと限界生産力MPの関係
RTSは,第1要素の量を1単位削減するときに,生産量を変えずに追
加できる第2要素の量である。(RTS=-Dx2/Dx1)
MPは生産要素の量を1単位追加的に増加(削減)するときに,生産量
の増加(減少)量である。(MP1=Dy/Dx1, MP2=Dy/Dx2 )
x2
y
y'
-Dx2/Dx1
A'
Dx2
A
-Dx1
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
y ( x1 , x2 )  y
Dx1の削減による生産量の減少量:
y
yDy=-MP1Dx1
dx1 
dx2  dy  0
Dxx12の増加による生産量の増加量:
x2
D
dxy=MP
y 2Dx1x2 MP1
2


dx1 y 1xD
MP2 2Dx2
Dy=-MP
2 x1=MP
-D第
x21/D
x1=MP1/MP2
y
要素の限界生産
y'
Dy RTS 
第2要素の限界生産
x1
16
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
すべての生産要素の投入量を比例
的に増加するときに,もし産出量の増
加は,その比例より大きいならば,こ
の現象を規模に関して収穫逓増
increasing returns to scaleという。
規模に関して収穫逓増
x2
3y
2y以上
3y以上
2y
3x2 y
2x2
x2
0
x1
2x1
3x1
x1
ny < F(nx1, nx2)
例: y=x1x2
ミクロ経済学(Ⅰ)
17
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
すべての生産要素の投入量を比例
的に増加するときに,もし産出量の増
加は,その比例より大きいならば,こ
の現象を規模に関して収穫逓増
increasing returns to scaleという。
規模に関して収穫一定
x2
3y
2y
3x2 y
もし産出量は,同比例で増加するな 2x2
らば,この現象を規模に関して収穫一 x
2
定constant returns to scaleという。
0
x1
2x1
3x1
x1
ny=F(nx1, nx2)
例: y=x11/2x21/2
ミクロ経済学(Ⅰ)
18
第5章 企業と費用
5.3 等生産量曲線
すべての生産要素の投入量を比例
的に増加するときに,もし産出量の増
加は,その比例より大きいならば,こ
の現象を規模に関して収穫逓増
increasing returns to scaleという。
規模に関して収穫逓減
x2
3y
3y以下
2y
2y以下
3x2 y
もし産出量は,同比例で増加するな 2x2
らば,この現象を規模に関して収穫一 x
2
定constant returns to scaleという。
もし産出量の増加は,その比例より
小さいならば,この現象を規模に関し
て 収 穫 逓 減 decreasing returns to
scaleという。
ミクロ経済学(Ⅰ)
0
x1
2x1
3x1
x1
ny > F(nx1, nx2)
例: y=x11/4x21/4
19
第5章 企業と費用
生産者行動理論と消費者行動理論における概念の対応
生産者理論
消費者理論
生産関数 y=y(x1, x2)
効用関数 U=U(x1, x2)
等生産量曲線 y(x1, x2)=一定
無差別曲線 U(x1, x2)=一定
技術的限界代替率 RTS
限界代替率 MRS
限界生産 MP
限界効用 MU
RTS=MP1/MP2
MRS=MU1/MU2
RTS 逓減の法則
MRS 逓減の法則
平均生産 AP
ミクロ経済学(Ⅰ)
20
第5章 企業と費用
5.4 費用関数
■ 等費用曲線
等費用曲線: 生産に要する総費用が一定となる生産要素投入量の
組合せを意味する。
生産要素1の価格: w1
生産要素2の価格: w2
総生産費用: c
x2
等費用線: w1x1+w2x2 = c
原点に近い等費用線ほど,総費用c c1/w2
c0/w2
は小さい。
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
等費用線: w1x1+w2x2=c1
等費用線: w1x1+w2x2=c0
c0 < c1
w1/w2
c0/w1 c1/wx11
21
第5章 企業と費用
5.4 費用関数
■ 企業の費用最小化問題
生産要素1の価格: w1
生産要素2の価格: w2
総生産費用: c
等費用線: w1x1+w2x2 = c
一定の生産量yを実現するのであ
れば,最小費用で生産したほうが利
潤が高くなる。これは所謂企業の費
用最小化問題である。
一定の生産量yを生産するときに,費
用最小化の条件:
技術的限界代替率RTS= w1/w2
ミクロ経済学(Ⅰ)
等費用線: w1x1+w2x2=c1
x2
c1/w2
c0/w2
x2*
0
技術的限界代替率 RTS
等費用線: w1x1+w2x2=c0
y
c0 < c1
B
w1/w2
x1*
y
c0/w1 c1/wx11
22
第5章 企業と費用
5.4 費用関数
■ 双対問題(家計の効用最大化行動との類似点)
一定の予算Mの下で,消費者の
効用最大化の条件:
限界代替率MRS= p1/p2
x2
予算線: p1x1+p2x2=M
u
一定の生産量yを生産するときに,
企業の費用最小化の条件:
技術的限界代替率RTS= w1/w2
x2
技術的限界代替率
RTS
限界代替率
MRS
B
B
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
p1/p2
等費用線: w1x1+w2x2=c
y
u
x1
0
w1/w2
y
x1
23
第5章 企業と費用
5.4 費用関数
■ 双対問題(家計の効用最大化行動との類似点)
一定の予算Mの下で,消費者の
効用最大化の条件:
限界代替率MRS= p1/p2
x2
予算線: p1x1+p2x2=M
u
限界代替率
MRS
B
一定の効用水準uを確保するの
に,消費者の支出最小化の条件:
限界代替率MRS= p1/p2
x2
支出線: p1x1+p2x2=m
u
限界代替率
MRS
B
u
u
p1/p2
0
0
x1
x1
効用最大化でアプローチしても,費用(支出)最小化でアプローチしても,
p1/p2
ミクロ経済学(Ⅰ)
問題設定の解が同じになる。このようなことを双対問題と呼んでいる。
24
第5章 企業と費用
5.4 費用関数
■ 費用関数の概念
費用関数:ある生産量とその生産量をもっとも効率よく生産する場
合に要する費用との関係を示す関数である。
5.5 費用曲線
■ 生産量拡大の効果
生産量yの拡大につれて,
総費用cは増加する。
x2
c3
c2
c1
E3
E2
E1
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
y3
y2
y1
x1
25
第5章 企業と費用
5.6 短期と長期の費用曲線
■ 短期と長期
長期の生産期間:すべての生産要素の投入量を自由に変えられ
る期間,すべての投入物が可変である生産期間である。
短期の生産期間:少なくとも1つの投入物の量が固定的で,変える
ことができなり生産期間である。この期間に,投入量が変えられな
い生産要素を固定的生産要素あるいは固定的投入物と呼ぶ。
固定的 x2
生産要素
■ 固定費用と可変費用
固定的生産要素の投入に必要とする
費用は固定費用である。
生産量に応じて投入量が適切に調整
可能な生産要素の投入に必要な費用
は可変費用である。
ミクロ経済学(Ⅰ)
e1
E3
e1
E2
E1
0
y3
y2
y1
x1
可変的生産要素
26
5.6 短期と長期の費用曲線
■ 短期の生産関数
y
生産関数:
y = f(x1 , x2一定)
D
S字型の短期生産関数を考えよう。
C
生産関数: y  f ( x1 , x2 )
生産要素2(資本)の投入量が一定
である場合に,生産要素1(労働)の投
入量x1と産出量yとの関係について
0
① x1↑ ⇒ y↑
平均生産
② x1がある投入量x1*より小さい時に,
AP1 = y/x1
AP1
固定要素と組合わせて可変要素が有
MP1
効に活用され, x1を増やすと,yの増加
限界生産
量が増える。
MP1 = Δy/Δx1
③ x1 がある投入量x1* を超える時に,
固定要素が不足で,可変要素が活用し
にくくなり,x1を増やすと,yの増加量が
減少する。
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
B
A
x1
x1*
限界生産MP1
B
x1*
C
平均生産AP1
x1
27
5.6 短期と長期の費用曲線
y
■ 短期の生産関数
生産関数:
y = f(x1 , x2一定)
D
S字型の短期生産関数を考えよう。
生産関数: y  f ( x1 , x2 )
可変要素の量が小さいときに限
界生産が増加したとしても,可変
要素の量が十分大きくなると,可
変要素の増加につれて,限界生
産は必ず逓減する。
このような限界生産の逓減のこ
とを生産要素に関する収穫逓減
の法則 the law of diminishing
returnsと呼ぶ。
他の生産要素に対し,一部の生
産要素のみを不比例的に増加す
ることから生じてくる現象である。
ミクロ経済学(Ⅰ)
C
B
A
0
AP1
MP1
0
x1
x1*
限界生産MP1
B
x1*
C
平均生産AP1
x1
28
第5章 企業と費用
5.6 短期と長期の費用曲線
■ 短期の費用曲線
Short-run cost curve
産出量に応じて適宜調整できる生産要
素を可変要素variable factorと呼ぶ。そ
れらを購入する費用は可変費用variable
costである。
固定費用: FC  w2 x2  b
可変費用: VC  w1 x1
 w1 g ( y )
生産要素のなかに,産出量の大小にか 総費用TC: c( y )
かわりなく,その投入量を一定とみなされ
る生産要素は固定要素fixed factorと呼 費用関数 cost function :
ぶ。それらを購入する費用は固定費用
TC  VC  FC
fixed costである。
ある産出量 y を生産するに必要なすべ
ての費用を総費用total costと呼ぶ。
ミクロ経済学(Ⅰ)
c( y)  w1 g ( y)  b
29
5.6 短期と長期の費用曲線
y
短期の生産関数:
y = f(x1 , x2一定)
D
■ 短期の費用曲線
Short-run cost curve
費用関数:
C
E
TC  VC  FC
B
c( y)  w1 g ( y)  b
A
逆S字型の
短期の費用曲線
0
c
x1
VC
d
a
b
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
b
e
c
可変費用
VC = w1g(y)
固定費用
y
0
x1
w1
30
5.6 短期と長期の費用曲線
総費用曲線
c
■ 短期の費用曲線
Short-run cost curve
費用関数:
d
TC  VC  FC
a
c( y)  w1 g ( y)  b
平均費用: AC=c(y)/y
平均費用average cost:
生産物1単位当たりに
かかる総費用である。
b
e
c
b
0
AC
y
a
AC
b
e
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
c
d
y
31
5.6 短期と長期の費用曲線
総費用曲線
c
■ 短期の費用曲線
Short-run cost curve
費用関数:
d
TC  VC  FC
a
c( y)  w1 g ( y)  b
平均費用: AC=c(y)/y
b
限界費用: MC=dc(y)/dy
0
b
e
c
MC
限界費用marginal cost:
生産物を1単位追加的
に生産するときに,必要と
なる総費用の増分である。
AC
MC
ミクロ経済学(Ⅰ)
AC
d
a
0
y
c
b
e
y
32
5.6 短期と長期の費用曲線
総費用曲線
c
d
■ 短期の費用曲線
Short-run cost curve
費用関数:
c
TC  VC  FC
a
c( y)  w1 g ( y)  b
平均費用: AC=c(y)/y
限界費用: MC=dc(y)/dy
平均可変費用: AVC=VC/y
TC=VC+FC
TC/y=VC/y+FC/y
b
e
C
0
MC
AC
MC
AVC
y
AC
AVC
c
b
AC=AVC+AFC
e
平均費用=平均可変費用
+平均固定費用
∴ AC > AVC
ミクロ経済学(Ⅰ)
0
y
33
5.6 短期と長期の費用曲線
■ 短期の費用曲線
平均費用: AC = c(y)/y = 162/y+ y2-16y+94
固定費用: FC=162
可変費用: VC=y3-16y2+94y
限界費用: MC = dc(y)/dy = 3y2-32y+94
費用関数: TC=162+ y3-16y2+94y 平均可変費用: AVC =VC/y =y2-16y+94
生産量
y
総費用
TC
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
162
241
294
327
346
357
366
379
402
441
502
591
714
877
1086
1347
ミクロ経済学(Ⅰ)
固定費用
b
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
162
可変費用
VC
V
0
79
132
165
184
195
204
217
240
279
340
429
552
715
924
1185
平均費用
AC
-
241.00
147.00
109.00
86.50
71.40
61.00
54.14
50.25
49.00
50.20
53.73
59.50
67.46
77.57
89.80
限界費用
MC
94
65
42
25
14
9
10
17
30
49
74
105
142
185
234
289
平均可変費用
AVC
-
79
66
55
46
39
34
31
30
31
34
39
46
55
66
79
34
C
5.6 短期と長期の費用曲線
800
700
■ 短期の費用曲線
600
固定費用: FC=162
可変費用: VC=y3-16y2+94y
費用関数: TC=162+ y3-16y2+94y
500
400
300
平均費用: AC = c(y)/y = 162/y+ y2-16y+94
限界費用: MC = dc(y)/dy = 3y2-32y+94
平均可変費用: AVC =VC/y =y2-16y+94
生産量
y
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
ミクロ経済学(Ⅰ)
平均費用
AC
86.50
71.40
61.00
54.14
50.25
49.00
50.20
53.73
59.50
67.46
77.57
89.80
限界費用
MC
14
9
10
17
30
49
74
105
142
185
234
289
平均可変費用
AVC
46
39
34
31
30
31
34
39
46
55
66
79
200
100
y
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14
AC,MC
140
120
100
80
60
40
20
y
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14
35
第5章 企業と費用
5.6 短期と長期の費用曲線
長期費用曲線
短期short-runには企業の固定資本
設備の規模が一定であるが,長期long- c
runには企業の資本設備の規模も可変
であり,固定要素が存在せず,すべての
生産要素が可変である。
短期総費用曲線は固定費用の水準b
の大きさによって異なる。固定費用水準
bを連続に変化していくと,それに対応す
る短期費用曲線も連側的に変わっていく。
STC"
STC'
LTC
R
Q
STC
P
0
y
y'
y"
y
長期的に,企業は生産量に応じて,
総費用を最小化するように固定費用水
長 期 費 用 曲 線 Long-run
準bを変えていく。長期の総費用は常に
cost curveは各短期費用曲線
最適な固定費用水準bに対応されている。
の包絡線envelopeである。
ミクロ経済学(Ⅰ)
36
5.6 短期と長期の費用曲線
c
STC"
STC'
LTC
■ 長期平均費用と長期限界費用
STC
各々の固定費用水準bに対応する平
均費用曲線は短期平均費用曲線SAC
である。
A
P
長期平均費用曲線LACは各短期平
均費用曲線SACの包絡線である。
0
y
長期限界費用曲線LMCは各短期限
c
界費用と交差する。
産出量はy'まで増加する場合に,固
定資本設備の拡張につれ長期平均費
用LACは低下する。この現象は「大規模
生産の利益」または「規模の経済」と呼
ぶ。
A点ではSACとLACが共に最小とな
り,y'は生産の最適規模と呼ばれる。
0
ミクロ経済学(Ⅰ)
LMC
SAC"
SMC"
SAC
SMC
LAC
SAC' SMC'
N
A
M
y
y'
y"
y
37