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子供による問題集作成支援環境
ー数学の文章問題を対象としてー
中野明 平嶋宗 竹内章
7月11日
鈴木研究室3年:浦山裕美
1、はじめに
概念を理解する上で、関連する他の概念との関
係と知ることは不可欠である。
著者らは、「学習者自身による問題間の関係付
けによる問題理解」を促進する学習環境の実現
を目指している。
その一例として、問題集を作るという状況設定下
で、学習者による、問題間の難易度に関する関
係付けを行わせる環境について報告。
2、問題マップとは(1)
本稿では、
・問題マップ:問題間の関係をネットワー
ク表現したもの
・問題マップの外化:学習者に問題間の
関係のネットワーク表現を作成させること
・外化支援:その作成を助けること
とする。
問題マップとは(2)
一般的に、学習者による作成を促進する
ためには、作成したものに対するフィードバッ
クふぁ必要であり、そのためには作成したも
のを評価することが欠かせない。
概念マップの意味的評価:概念マップをそ
の意味を持たせたままで評価。
問題マップとは(3)
概念マップの意味的評価が行えるために
・ノードの意味記述が得られる
・ノード間のリンクの意味を抽出
一般的な概念を対象とした場合、このよう
な要件を満たす事は困難。
本稿では、個々のノードが「問題」である状
況下での意味的評価を実現しようとしてい
る。
問題マップとは(4)
本稿では、小学校の算数の文章題を対象として、
学習者が問題集を作成するという状況設定を行
う。
与えられる問題の順序の決定という形で問題間
の難易度を表す問題マップを作成させる。
システムは作成された問題マップを評価し、学習
者の問題理解を診断し、適切なフィードバックを返す
ことを目指している。
システム概要(特徴)
問題間の関係の外化を行うための3点
・「算数の文章を題を解いた歳の正誤によって、
適応的に次文章題が変化する教材を作る」とい
う簡単なオーサリング状況を設定
・取り扱う文章題の特徴を把握していることによ
る作業診断が行える
・外化作業やフィードバックをグラフィカルに可視
できる
システム概要(構成)
「問題」と「問題間の関係」とをグラフィカルに配
置・変更を行う(Mapping Environment)
作成された問題マップを診断(Problem Map
Diagnosis Module)
フィードバックを決定(Feedback Generator)
外化した問題マップからWeb教材を生成(Web
Contents Generator)
問題の記述(問題文、問題の解き方・答え、問題
の特徴)(Problem Information)
構成概念
問題マップ作成環境(1)
本システムでは、問題マップの1種類とし
て、有向木で表現される問題マップを扱う
問題マップの3種類の構成要素
・問題:木構造のルートノードと分岐接点
・問題間難易度に関係する関係:アークと
なる
・総評:木構造のリーフノード
本システムを用いた問題マップ
作成
問題マップ作成環境(「問題」)
「対象となる概念の数量が、ある動作によって変
化・変更する際の演算関係」のみを取り扱ってい
る。
プロトタイプシステムでは、システム設計者が「問題」を
準備する。
「問題」に関する情報には問題文の他に、以下の
4項目の難易の軸に沿った評価を持つ。
・問題文から立式した際の変数の位置
・動作主体と動作の組み合わせ
・計算時の最大桁
・計算時の繰り上がり(下がり)処理数
(「問題間の難易に関する関
係」)
難易の「上昇・降下」の2種類を取り扱う
・上昇:問題解決に成功した場合
・降下:問題解決に失敗した場合
問題マップ作成環境(「総評」)
問題マップのルートノードからノード探索し
た際のゴールのノードであり、システムが
予め設定・配置。
オーサリング上の状況としては、ルートか
らゴール到達までの「正誤の結果による探
索経路」それぞれに対して5段階の評価を
与える状況を再現。
システムの診断
本システムの診断は2つに分かれている
・構造診断
・意味診断
システムの診断(「構造診断」)
問題マップが2分岐の構造となっているか
調べるために、ルートからの全ての探索経
路において有限回の探索でゴールに到達
しているか、また、探索されないノードが存
在しないか調べる。
(つまり…、どこを通ってもゴールにたどり
着けるか調べる)
システムの診断(「意味診断」)
「問題」の記述から難易度を取り出して、問題
マップの妥当性を2種類の診断で検証。
・問題間の関係:「問題」の4項目の難易の軸そ
れぞれを調べ、4項目のうち1つでもマッピングされ
たアークとの矛盾が生じていた場合には、矛盾点
としてフィードバックを返す。
・総評と問題との関係:「総評」の順序関係と、同
種のアークで「総評」に関係付けられている「問題」
の難易の順序が一致しているかどうか調べる。
支援
現在のシステムでは、構造診断に関して
は文章によるフィードバックを、意味診断に
関しては文章だけでなく、原因となっている
ノードとアークの彩色の変化と強調を行う。
問題マップから生成されるWeb
教材
1問ずつ文章題が出題され、その正誤に
よって次に出題される文章題が変化し、最
後に、問題解決の成績と総評を提供する
ものである。
問題文のみが書かれたProgram Fileと、出
題と総評との制御が埋め込まれたControl
Fileから構成される。
おわりに
問題を作ることは、学習者に概念間に存在する
数量関係に着目させ、知識の使いこなしに有効
と示唆されるものである。
本稿では、さらに、作ることにより意識化された
知識を、メタな観点から扱うことで、より深い理解
が行われると考えている。
今後は小学校での評価実験や、複数の学習が
協調作業を経て一つの問題集を作っていくCSCL
環境への拡張を予定している。
感想
著者らは「問題を作ることによる学習」につ
いての研究を多く行っているみたいだが、
その結果を示す資料を探したが全くなかっ
たので、この報告の評価実験は行ったか
疑問だった。
問題マップで子供達が学習することはおも
しろいと思ったが、「学習者自身による問
題間の関係付けによる問題理解」はできな
いと思った。