薬理学実習発表会 テーマ2 摘出モルモット回腸 に対する薬物の作用 理論編 3015 3024 3042 3051 3070 3100 大野 海田 左近 瀬川 中山 山本 メンバー 澄美玲 3016 美幸 3038 郁絵 3048 朋未 3068 知倫 3087 真 3103 大家 小谷 杉本 永井 松尾 米倉 理伸 有希子 倫子 涼子 悠紀 伸彦 解剖·おさらい 腸神経系 Enteric Nervous System 外来神経系 壁内神経系 ・交感神経系 ・アウエルバッハ神経叢(筋層間神経叢) ・副交感神経系 …腸管の運動を制御 平滑筋の直接的神経支配と壁内 ・マイスナー神経叢(粘膜下神経叢) 神経叢のニューロンへのシナプスを …分泌や吸収などの粘膜機能 介した支配とがある アセチルコリンについて ~生理機序~ Achの生合成 *コリンの取り込み コリン輸送体 へミコリニウムで抑制 コリン Na+ Cell 外 Cell 内 Ach生合成の律速段階 共輸送 CH3 CH3 N+ CH2CH2OH Achの生合成 CH3 CH3 N+ CH2CH2OH CH3 CH3 Choline Choline アセチルコリン エステラーゼ コリンアセチル トランスフェラーゼ CH3 CH3 N+ CH2CH2OCCH3 CH3 O Acetylcholine CH3COOH CH3 C S CoA O HS CoA Acetic acid Achの貯蔵 ATP, プロテオグリカン含む 逆輸送 H+ 成熟した小胞体 AChの遊離 ・ACh遊離は数千分子のAChが一つの量子として遊離の 最小単位となり、非連続的な遊離が行われるという量子 的遊離の性質を持っている。 量子的遊離のvesicle説 AChが量子 的遊離を起こ すという事実 + 神経終末にシナプス 小胞が存在し、その 内に数千~数万分 子のAChを含むとい う事実 遊離されるAChは シナプス小胞内の ものである つまり、神経興奮により終末内に流入したCa2+が、シナプス小胞 と細胞膜を融合させ、小胞内のAChを細胞外へ遊離する (exocytosis)と考えられる。 AChの遊離(静止状態) Ach Na+ AChR 神経が静止状態にある 時も1~数個のシナプス 小胞から自発的にACh が遊離される。 このAChがAChR内の Na+チャネルを開口し て終板に微小な脱分極 を起こさせている。 こうして起こる脱分極を 微小終板電位(MEPP) と呼ぶ。 AChの遊離(神経興奮時) Ca2+ Ach 電位依存性Ca2+ チャネル Na+ Na+ 電位依存性Na+ チャネル AChR 神経終末に活動電位が 到達すると膜のCa2+ チャネルが開口し、Ca2+ が流入する。 神経終末でのCa2+増加 が引き金となり数百の量 子が同時に遊離され、 AChR内のNa+チャネル が開き、 Na+が流入し、 MEPPの相加によって終 板電位(EPP)を発生させ る。終板電位により、電 位依存性Na+チャネル 付近の電位が閾値に達 するとNa+チャネルの ゲートが開き、自己再生 的に活動電位となる。 AChの生成・貯蔵・遊離・分解・フィードバック阻害 酢酸 Mit Ca2+ アセチル-CoA フィード バック 阻害 + コリン ACh 電位依存性Ca2+ チャネル AChE 分解 N M AChE N N:ニコチン受容体 M:ムスカリン受容体 アセチルコリン受容体 ①ニコチン受容体 サブタイ プ 局在 反応 筋肉型 (NM) 受容体 神経筋 接合部 アンタゴニス チャネル遮断 ト 薬 αブンガロト デカメトニウム キシン ガラミン 神経型 (NN) 受容体 自律神 経節 中枢神 経 神経ブンガ ヘキサメトニ ロトキシン ウム ネオスルガト メカミラミン キシン ②ムスカリン受容体 サブタ 局在 イプ M1 中枢神経 神経節 M2 心臓ペース メーカー 反応 アゴニスト 特異的アンタ ゴニスト ピロカル ピン ピレンゼピン テレンゼピン ベタネ コール メトクラミン ビンバシン ガラミン ベタネ コール ヘキサヒドロ シラジフェニ ドール 心筋 M3 心臓以外の 副交感神経 効果器官 アセチルコリンについて ~平滑筋への作用~ 自律神経系 交感神経系 副交感神経系 節前神経 ACh 神経伝達物質 ニコチン 受容体 ACh ニコチン 受容体 節後神経 NE ① アドレナリン 受容体 ACh ② ムスカリン 受容体 NE アドレナリン受容体 細胞膜 β2 Gs AC 促進 ATP cAMP↑ ①PKAの活性化 ②ミオシン軽鎖の リン酸化を抑制 筋弛緩 ACh M2 ムスカリン受容体 細胞膜 Gi M3 cAMP ↓ PKA ↓ Gq PLC 促進 DG ① IP3 PLC 促進 PIP2 筋小胞体 Ca2+↑+CAM Complex カルモジュリン依存ミオシン軽鎖 キナーゼ 活性 ② ミオシン軽鎖 リン酸化 ATPase 活性化 筋収縮 ヒスタミンについて 抗原 Lyn Syk PIP2 PLC IP4 DG IP3 PKC ER [Ca2+] CaMK 細胞骨格 蛋白 リン酸化 ヒスタミン Ca2+ ヒスタミン受容体のサブタイプ 受容体 サブタイプ H1 H2 H3 分布 細胞内情報伝達系 平滑筋 内皮細胞 脳 胃粘膜 心筋 肥満細胞 脳 前シナプス性 脳 壁内神経叢 他神経 ↑IP 3, DAG 選択的活性薬 選択的拮抗薬 2-(3-fluorophenyl)histamine mepyramine triprolidine ↑cAMP dimaprit impromidine amthamine ranitidine tiotidine G蛋白と連動 R-α-methylhistamine imetit immepip tioperamide clobenpropit H1 R O C Gq 細胞膜 PLC 促進 DG IP3 PIP2 筋小胞体 Ca2+↑+CAM Complex MLCK活性 ミオシン軽鎖 リン酸化 ATPase 活性 筋収縮 DMPPについて DMPP *ジメチルフェニルピペラジニウム *ニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニスト *自律神経節興奮薬 *初期脱分極を起こす *一部はムスカリン様作用を示す 化学式 CH3 N + N N N CH3 CH3 ニコチン DMPP まとめ M2 M3、H1 Gi cAMP ↓ 細胞膜 Ca2+ R O C Gq ポ ン プ PLC 促進 DG PKA ↓ IP3 PLC 促進 R PIP2 筋小胞体 R 筋小胞体 Ca²+供給源: ・細胞外から ROC (receptor operated Ca²+ channel) ・細胞内Ca²+ストアから IICR(IP3誘起性Ca²+放出) IP3R CICR(Ca²+誘起性Ca²+放出)RyR Ca2+↑+CAM Complex MLCK活性 ミオシン軽鎖 リン酸化 ATPase 活性 筋収縮 2+ Ca4-CaM + 2+ 4Ca +CaM MLCK(不活化) 2+ Ca4–CaM・MLCK(活性化) 結果 略語 ACh(Acetylcholine) His(Histamine) DMPP (Dimethylphenylpiperazinium) C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) 方法 ①アゴニストを投与し収縮高を測定する ②3回洗浄、5分後1回洗浄、さらに5分待つ ③アンタゴニストを投与 ④1分後アゴニストを投与し収縮高を測定する ⑤ 3回洗浄、5分後1回洗浄、さらに5分待つ アゴニスト ACh 2×10-4M、0.2ml Histamine 2×10-4M、0.2ml Dimethylphenylpiperazinium 2×10-3M、0.2ml →Tyrode液40mlの入った腸管懸垂槽に投与 アゴニスト ACh Histamine Dimethylphenylpiperazinium 最終濃度(M) 1×10-6 1×10 -6 1×10-5 アンタゴニスト Hexamethonium 2×10-3M、0.6ml Atropine 2×10-4M、0.2ml Diphenhydramine 2×10-4M、0.2ml →Tyrode液40mlの入った腸管懸垂槽に投与 アンタゴニスト 最終濃度(M) Hexamethonium 3×10-5 Atropine Diphenhydramine 1×10 -6 1×10-6 シンプルな腸管収縮モデル ヒスタミン受容体 ACh ニコチン性受容体 ACh ムスカリン性受容体 His(Histamine) シンプルな腸管収縮阻害モデル ACh ACh C6 Atr His(Histamine) C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) 解析 収縮率:平均値±標準偏差 t検定(両側)によるcontrolに対する有意差検定 *P < 0.05, **P < 0.01, ***P < 0.001. AChによる腸管収縮と阻害 DPH ACh ACh C6 Atr C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) AChの収縮率(%) Group ACh C6 Atr DPH 1 100 114 0 99 2 100 97 0 59 3 100 104 0 84 4 100 101 0 92 5 100 114 4.7 54.7 6 100 123 0 139 7 100 110.2 0 70.3 8 100 108.1 0 112.1 9 100 95.2 0 61.9 10 100 69.5 0 57.9 11 100 104 0 62 12 100 114.8 0 33.3 13 100 61.1 0 31.6 14 100 98 0 74.5 15 100 101.2 0 82.1 16 100 104.1 0 94.6 平均 100 101.2 0.29375 75.5 標準偏差 15.95285 1.175 28.04149 T検定 0.767631 1.464×10-30 0.003258 AChによる腸管収縮と阻害 120 収縮率(%) 100 ** 80 60 40 20 *** 0 ACh +C6 +Atr +DPH C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) Histamineによる腸管収縮と阻害 His DPH His(Histamine) DPH (Diphenhydramine) Histamineの収縮率(%) Group His C6 Atr DPH 1 100 111 109 37 2 100 100 138 0 3 100 120 135 70 4 100 108 100 0 5 100 87.3 107.8 55.9 6 100 115.3 116.7 52.78 7 100 100 100 15.4 8 100 108.2 109.7 56 9 100 136 140 14.7 10 100 168 134 22 11 100 101 104 30.3 12 100 118.2 118.2 39 13 100 16 8 0 14 100 116.2 121 0 15 100 174 196 40 16 100 95.8 94.8 21.9 平均 100 110.9375 114.5125 28.43625 標準偏差 34.8309 37.4747 22.85251755 T検定 0.228303 0.142208 2.39931×10-9 Histamineによる腸管収縮と阻害 140 120 収縮率(%) 100 80 60 40 *** 20 0 His +C6 +Atr +DPH C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) Dimethylphenylpiperazinium による腸管収縮と阻害 DPH DMPP ACh C6 Atr DMPP(Dimethylphenylpiperazinium) C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) Dimethylphenylpiperaziniumの収縮率(%) Group C6 Atr DPH 1 0 60 59 2 36 0 0 3 11 65 65 4 26 53 61 5 62.5 3.8 2.5 6 71.4 15.2 16.2 7 55.1 0 0 8 87 4.4 45 9 32.3 29 9.7 10 22.4 3 16.4 11 2.3 23.3 30.2 12 1.8 14.3 85.7 13 50 66.7 95.2 14 62.5 82.1 103.6 15 43.3 11.1 17.1 16 50 22.7 20 平均 38.35 28.35 39.1625 標準偏差 26.46429 27.64593 34.91844 T検定 1.25484×10-7 3.10436×10-8 4.50699×10-6 Dimethylphenylpiperaziniumによる 腸管収縮と阻害 120 収縮率(%) 100 80 60 40 *** *** *** 20 0 DMPP +C6 +Atr +DPH DMPP( Dimethylphenylpiperazinium ) C6 (Hexamethonium) Atr(Atropine) DPH (Diphenhydramine) Dimethylphenylpiperazinium の個々の結果 120 100 100 80 80 収縮率(%) 収縮率(%) 120 60 40 60 40 20 20 0 0 DMPP C6 Atr DPH DMPP C6 Atr DPH 120 100 100 80 80 収縮率(%) 収縮率(%) 120 60 40 60 40 20 20 0 0 DMPP C6 Atr DPH DMPP C6 Atr DPH 120 収縮率(%) 100 80 60 40 20 0 C6 Atr 120 120 100 100 80 80 収縮率(%) 収縮率(%) DMPP 60 40 20 DPH 60 40 20 0 0 DMPP C6 Atr DPH DMPP C6 Atr DPH 120 100 100 100 80 80 80 60 40 60 40 40 0 0 0 DMPP C6 Atr DMPP DPH C6 Atr DMPP DPH 120 120 100 100 100 80 80 80 60 40 20 収縮率(%) 120 収縮率(%) 60 40 0 DMPP C6 Atr 40 DMPP C6 Atr DMPP DPH 120 100 100 100 80 80 80 収縮率(%) 120 40 20 60 40 20 0 C6 Atr DPH C6 Atr DPH 60 40 20 0 DMPP DPH 60 120 60 Atr 0 0 DPH C6 20 20 収縮率(%) 収縮率(%) 60 20 20 20 収縮率(%) 収縮率(%) 120 収縮率(%) 収縮率(%) 120 0 DMPP C6 Atr DPH DMPP C6 Atr DPH 結果のまとめ AChの実験結果 • AChに対する阻害作用の強さは Atropine>Diphenhydramineで あった。 • HexamethoniumにはAChに対 して阻害作用がみられなかった。 Histamineの実験結果 • Hexamethonium、 Atropineには Histamineに対して阻害作用がみ られなかった。 • DiphenhydramineはHistamine に対して阻害作用がみられた。 Dimethylphenylpiperazinium の実験結果 • Hexamethonium、Atropine、 Diphenhydramineすべてにおいて Dimethylphenylpiperaziniumに対し て阻害作用がみられた。しかし、その 強弱までは今回の結果からは推測で きなかった。 理論では予想しにくい結果がみうけられた 考察 <DMPPについて> DMPPを大量または長時間投与 初期刺激の後、速やかな伝達遮断がおこる 脱分極性遮断を起こし他の遮断薬に対しても不応状態となる (接合部後膜の電気的回復が阻害されるため) 刺激作用 抑制作用 ジメチルフェニルピペラジニウム(DMPP)の作用の違い ★作用部位の違いによると考えられる アセチルコリンやヒスタミンが直接、受容体に作用するのに対して、 DMPPは間接的に作用するためと考えられる ★DMPPを洗浄するまでの時間が班によって異なっていた 学生実習では班によって作用時間が異なってしまったことに より、阻害作用に差異がみられたと考えられる 補足: 腸管の反応自体に差異がみられたのではないか 使用した腸管が最後まで正常に機能していたかを確認して いた班と確認しなかった班があるため 全ての班で腸管の機能が正常かどうかを確認するべきであった
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