PowerPoint - Linux Conference `98

教育研究環境への
Linux大量導入の意味するもの
Linuxは巨大潮流たりえるか
京都産業大学
講師紹介
坪内伸夫
 京都産業大学 計算機センター事務長
 年老いた COBOLエンジニア(事務処理)
 Cプログラマではない
 平成5年からのLinuxファン
 最近はOpen Source全般に興味
 Open Source...一介のユーザ

京都産業大学とは
京都産業大学のご紹介
昭和40年開学
 学生数13、000名
 専任教員 300名、事務職員250名
 6学部

– 経済学部、経営学部、法学部
– 外国語学部、理学部、工学部


5大学院、1研究科
6研究所
情報化の歴史

昭和42年


昭和42年

理事会直属として計算機科学研究
所を設置
大型コンピュータ導入
– 当時で2.4億円(大卒給与1.5~2万円)

昭和44年

日本最初の情報系学科を設置
– 理学部応用数学科(昭和46年に理学
部計算機科学科)

同年

全学生対象コンピュータ講座開講
情報化の歴史

昭和51年
TSSによるターミナル教室
• 日本最初のネットワーク化された情報処理教室

昭和62年 Ethernetによる学内LAN
• 10BASE-5 と光ファイバーで全ての建物を接続 (総延長
3.8Km)
なぜ皆様の前で

教育用コンピュータの大量導入(平成11年4
月)
–
–
–
–

Linux / Windows NTの Dual BOOT 603台
Macintosh 109台
各種のサーバ 22台
Gigabit Ethernet Switchネットワーク
現在システム設計を行っているところ
– クライアントの構成検討、サーバ構成の検討

それに関わるお話をいたします
大学における教育用コンピュータ
社会科学系 アプリケーション利用
– Windows
 人文科学系
アプリケーション利用
– Windows、Macintosh、UNIX
 自然科学系
実験・開発指向
– UNIX、Windows
 そこでLinuxとWindows NTのDUAL BOOT
なら多くの教育的需要を充たせそう

Byte Benchmark

Pentium II 333MHz Linux 対 Ultra 60 Solaris
– 圧倒的なコスト差
– 1 対 0.8の性能比

Linux/NTのデュアル・ブート導入を決定
– 学部学生人数のバランスから、603台が同時に
Linuxで稼動するわけではない
DUAL Bootマシンの構成
IBM LCCM
Pentium II 400MHz
NTFS
Swap 256MB
9.1GB HDD
ext2
ext2 1.9GB
100BASE-TX
FAT
128MB Memory
Wake On LAN
RIVA128
予備
9.1GB HDD
Boot loader
CD-ROM×2
1.5GB
サポートがない懸念

メーカサポートとは
– バグかどうか釈然としない
– メーカからの情報が少ない

修正時期のアナウンス
– それが次期バージョンだったりする

リリースされる次期バージョンが有償

これでもサポートといえるのか
Linuxにメーカはないが

開発者が身近
–
–
–
–

デバッグ協力者も多い
ドキュメントを書く人
利用者からの情報も多い
利用者の声が開発者に届く
バグフィックスの迅速さはメーカ製品の
比ではない
Linuxは確実に安定し進化する

特定の企業の製品ではない
–
–
–
–


多くの人が開発に携わっている
極端な仕様変更がおこらない
不具合など情報の伝達が早い
バグフィックスが速い
確実に安定してゆく
堅実に進化(機能向上)する
さて現代は
パソコンといえば……….Windows
 ワープロといえば……….Word
 表計算は………………..Excel
 プレゼンテーションは…...PowerPoint
 マウスまで………………Microsoft


FEPさえも選択肢はないようです
企業では

投資効果
– 長期にわたり安定して使えること
– 社会的に多くの利用があること
• ディファクト・スタンダード


Appleの業績も最近は...
現実にはMicrosoftが採用される
情報部門

情報システムには組織の財産を預ける
– 長期にわたって使える
– 高性能と多機能の必然性はない
– 安定していることが最重要である!

Microsoftと心中しなければならないのか! ?

つまり「選択肢のない時代」
企業や大学にとってLinuxは

長期にわたって安定して利用できそう

採用可能なOSとしての可能性を持つ

Linuxを採用できるか
サーバとして

安定したサービスが常時提供できるか?

バージョンアップもサービス停止を最小限に出
来るか?
– サービスは止めることが出来ないもの

再インストールが必要になったりしないか?
重要
用途

クライアントとして
– 商用アプリケーションの充実
– かなりの高性能が安価で手に入る


将来現れる新しいアプリケーションに
サーバとして(SOHO環境ではない)
– WWWサーバ…….好結果
– Proxyサーバ…….キャンパスLAN環境では…?
– DNS、NIS、DHCP、Netatalk
大量導入の要件

既に導入され稼動しているコンピュータとの
異機種混在環境において問題がないか
– 既に稼動しているネットワーク環境ではLinuxは
新参者...

大規模ネットワークの中では
NFSクライアントの問題

Readは遜色無い

Writeにて性能が得られない

これが最初の我々の課題
NFSサーバの問題

クライアントもLinuxの場合…好結果

異機種クライアントの場合
– Solarisクライアントでは5台まで計測

NFSでLinux大量導入の先例が見当たらない
Netatalkの問題

Netatalk…Apple Shere service
– 現在、DEC Alpha1000/NTサーバを使用

Linuxサーバから20MBのファイル転送
– 4台以上のクライアントで、問題が発生する
– 条件 : FDDIを経路に含み、漢字Talk 7.5.5

FreeBSD…同一ハード、同一ネットワーク経路
– DEC Alpha1000/NTの2.3倍の性能を記録
– クライアント数88台
Linuxの生きるところ

クライアントとして
– アプリケーションが豊富
– 高性能、安定

サーバ用途では
– アプリケーションを選んで使うのが良い
– なんでも、Linuxと考えないでテストを...
– 自らの目で選ぶこと

でも、なぜかLinuxには吸引力がある
Linux対FreeBSD

という議論ではありません

互いに目指しているところが違うのでは…
– FreeBSD…システム運用に関わるパラメータ
• 豊富…チューニングの余地がある
• ねらいどおりのマシンに…適度な知識が必要
– Linux…システム運用に関するパラメータ
• 無い…カーネルヘッダ修正(より高度な知識)
– 情報量少ない
• 誰にでも使えるコンピュータ?
Open Sourceの課題

バージョンアップの再インストールは
– ディストリビュータの課題かもしれない
– DebianやRed Hatは頑張っている

あらゆる環境で鍛えられているとは言い難い
コマーシャルUNIX

開発に充分な予算

テスト環境
– 想定できるあらゆるテストができる

製品として鍛え上げがメーカの責任として
Open Sourceの弱点

デバッグ協力者は多いが、コストのかかるテス
ト環境は与えられにくい

これまで、大規模な採用が少なかったからでは
ないか
試されるOpen Source
Open Sourceは正念場に
採用規模や利用条件が制限されていては、問
題点が見えにくい
 問題点が見えないから、そこそこ満足がえられ
ている…それが現在の評価でもある
 企業や大学など大規模利用によって、ボラン
ティア・ベースでは得難いエネルギーを投入す
べき
 コマーシャル・ベースも…
新しいエネルギーの投入によって強いOSに...

変革が始まる

Open Sourceが多くの人々・企業の選択肢
となるとき

Microsoftもまた、選択肢となる

つまり、再び「選択の時代」が来る
巨大潮流
情報産業界に構造変化

WinTelの時代とも、Microsoft帝国とも
 Microsoftによる排他的な市場形成
 情報産業における全ての富がMicrosoftに
集まるとさえ……富の集中


選択の時代の再来によって
情報産業で働く全ての人たちに、ワールド・
ワイドに「富の分散」が始まる
全てが選択肢に


LinuxもFreeBSDも
Macintoshも BeOSも素晴らしい

Windowsも選択肢としていいでしょう

選択できることが、提供者・利用者共に多くの
利益をもたらす
Open Sourceの成果
しばらくSIの時代
京都産業大学の試みは単に700台のコンピュー
タの導入ではない
 私どもは開発しているわけではない
 システム・インテグレーションだけ

– 学内の多くがLinuxに期待している...後戻りはない
– すべてのリスクを負っても成功させる
– もし失敗すればOpen Sourceに土を付けることにな
る

今後しばらく、SI事業者が重要な役割を担うこと
ありがとうございました

Open Sourceを支える全ての人たちに
感謝します

発表の機会を与えてくださった、主催者
の皆様に感謝します
平成10年12月18日
京都産業大学