コンクリートのスケーリング劣化

Ⅱ-26
151014
151090
井澤 広康
佐藤 真人
1991年スパイクタイヤの全面使用禁止の法制化
冬期間における融雪剤(主にNaCl)の散布量増加
融雪剤と気象作用による凍結融解の繰返し
コンクリートのスケーリング劣化
この種のスケーリング劣化は、コンクリート
の表層状態の影響を強く受けると思われる
この点に着目した劣化機構の解明は不十分
本研究
供試体の部位の違いにおける表層部の
性状がスケーリング劣化に及ぼす影響に
ついて検討した
実験概要
打設面
試験面
200(mm)

上面

600㎜
600mm
側面


試験面


型枠底面
試験面
底面
普通セメントを用いたW/C=
60%のAEコンクリートを使用
200×200×600㎜の矩形ブ
ロックを作製
鋼製型枠(底面部はコンパネ)
コンクリートを2層に分け打ち
込み各層の四隅をバイブレー
タで締固めた。
上面、側面、底面でコア抜きし
てφ143×100㎜の供試体とし
た。
試験面は供試体表面とした。
・供試体養生方法
:RILEM-CDF(1998)に準じた養生
・凍結融解試験
:RILEM-CDF(1998)に準じた毛管浸透法
・試験温度範囲
:+20℃~-20℃
・凍結融解サイクル
:1日2サイクルで120サイクルまで
・試験溶液
:3%NaCl水溶液
供試体
φ143 ×100mm
スケーリング量
6サイクル毎に剥落したコ
ンクリート片の質量を供試
体断面積で除した値
ステンレス容器
不凍液

Specimen
5mm
5mm
3% NaCl Solution
気泡性状の測定
(リニアトラバース法)
画像解析ソフトにより、
粗骨材の面積を測定
実験結果
4.5
上面
スケーリング量(kg/㎡)
4
底面
3.5
側面
3
2.5
上面、側面の
スケーリング2
量は同程度
1.5
1
スケーリング量は
0.5
側面>上面>底面
0
0
30
60
90
凍結融解サイクル
120
4.5
上面
スケーリング量(kg/㎡)
4
約3%
底面
3.5
側面
3
2.5
約16%
2
1.5
約23%
1
0.5
0
0
5
10
15
20
25
粗骨材露出面積率(%)
30
35
気泡数 平均気泡径
(個)
(μm)
上面
側面
底面
483
209
134
225
208
325
Air
(%)
L
(μm)
2.68 234
1.08 323
1.08 504
気泡数 平均気泡径
(個)
(μm)
コンクリート中の気泡分布状態
多
少
上面
側面
底面
483
209
134
225
208
325
Air
(%)
L
(μm)
2.68 234
1.08 323
1.08 504

気泡数
上面>側面>底面

平均気泡径
底面>上面=側面

空気量
上面>側面=底面

気泡間隔係数 底面>側面>上面
型枠中のコンクリートの状態
型枠

バイブレータに
よる締固め
1.
モルタルの脆弱性
2.
粗骨材の分布状態
3.
気泡の分布状態
粗骨材
気泡
モルタル
粗骨材
ブリーディング
脆弱
脆弱
水
の
上
昇
緻密
緻密
気泡
モルタル分が
多い状態 粗骨材
モルタル
脆弱
緻密
気泡
少
振動締固め
により骨材
が沈降
多
モルタル
脆弱
気泡が
粗骨材 蓄積
少
気泡
多
振動により
気泡が上昇
緻密
多
少
モルタル
硬化後のコンクリートの状態
粗骨材
気泡
脆弱
少
多
緻密
多
少
硬化後のコンクリートの状態
試験面
上面
側面
試験面
底面
試験面
部位によるスケーリング劣化の違い
4.5
上面
初期

極表層部の脆弱性が影響
上面,側面は脆弱(ブリーディングの影響)
スケーリング量(kg/㎡)
4
底面
3.5
側面
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
30
60
90
凍結融解サイクル
上面
側面
底面
120
部位によるスケーリング劣化の違い
4.5
上面
初期
極表層部の脆弱性が影響

上面,側面は脆弱(ブリーディングの影響)

底面は緻密(組織の緻密化の影響)
スケーリング量(kg/㎡)
4
底面
3.5
側面
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
30
60
90
凍結融解サイクル
上面
側面
底面
120
上面
12サイクル以降
側面
底面
気泡組織の構成も影響
4.5
上面

上面は脆弱だが空気量が多い
スケーリング量(kg/㎡)
4
底面
3.5
側面
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
30
60
90
凍結融解サイクル
120
上面
12サイクル以降
側面
底面
気泡組織の構成も影響
4.5
上面



上面は脆弱だが空気量が多い
底面は空気量は少ないが組織が緻密
側面は空気量が少なく、脆弱
スケーリング量(kg/㎡)
4
底面
3.5
側面
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
0
30
60
90
凍結融解サイクル
120

バイブレータによる締固めは、各部位のスケー
リングの進行過程に大きく影響する。

本研究の範囲内では、側面が上面や底面より
もペーストの脆弱化と、空気量の低下の影響
を受け易い。

スケーリング抵抗性の評価には、表層部の気
泡組織、粗骨材分布及びペーストの脆弱性を
総合的に評価する必要があると思われる。