ステップ1

修士論文プレ発表資料
『日本における不動産取引頻度の決定要因についての研
究』
~ミクロ要因・マクロ要因と統合分析~
2006年1月10日
IM04F018
西山裕一
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
研究の目的
研究テーマ 『日本における不動産取引頻度の決定要因』
先行研究 米国投資不動産市場の分析(Fisher et al/2004)
係数+(上昇⇒売られやすい)
係数-(上昇⇒売られにくい)
マクロ要因
・不動産リターン
・不動産需要
・株式リターン
・金利水準
ミクロ要因
・築年数 ・個別不動産超過リターン
・投資期間 ・空室率
・延床面積
・レンダーなし
・上場ファンドが保有
NCREIFデータベース
1985 - - ● - ● - - - - ● 1986 - - - ● - ● - ● - - 1987 - - - - - - - ● - - 1988 - ● ● - - - ● - - - 1989 - - - - - ● - - - ● 1990 - - - ● ● ● - ● - ● 1991 ● - - - - ● - ● - - 1992 - ● - - - - - - - - ●
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- ● - - - - - - ● - - - - - - - - - - - ● - - - - - ● - - ● -
●取引あり
-取引なし
-
-
 i Z it
-
・資金調達コスト
Z 1 ミクロ要因①:築年数
Z 2 ミクロ要因②:物件規模
・・・
・
マクロ要因①:不動産リターン
・ マクロ要因②:金利水準
Z I ・・・
多重プロビットモデル
問題意識 : 日本でも同様の傾向が見られる?
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
1
データと制約
日本:公開情報(登記簿情報)に基づくデータ
名称
①ターゲットビルDB
②建物登記件数
出所
住友信託銀行/住信基礎研究所
法務省
概要
・東京都心6区約2500棟のビルDB
(千代田・中央・港・新宿・渋谷・品川)
・2002~2004年度の1/3ずつ更新
・所管法務局別・目的別に公表
・「東京法務局の売買・信託目的」
を採用
マクロ分析
×
○
ミクロ分析
○
×
登記件数データ
ターゲットビルDBデータ
NCREIFデータベース
1985 - - ● - ● - - - - ● 1986 - - - ● - ● - ● - - 1987 - - - - - - - ● - - 1988 - ● ● - - - ● - - - 1989 - - - - - ● - - - ● 1990 - - - ● ● ● - ● - ● 1991 ● - - - - ● - ● - - 1992 - ● - - - - - - - - ●
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- - - - ● - - - - - - - - - - - - - - ● - - - - ● - - - - - ● - - - - - - - - - - - - - - ● - ● - - - - - - - ● - - - ●
- ● - - - - - - ● - - - - - - - - - - - ● - - - - - ● - - ● -
●取引あり
-取引なし
●取引あり
-取引なし
-
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2002
2003
2004
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IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
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2
分析手法
ステップ1: ミクロ要因・マクロ要因を分割した分析
ミクロ分析(2002~2004)
ターゲットビルDBデータ
被説明変数:『取引確率』
(竣工以来/直近調査時点)
手法:平均の差の検定
●取引あり
多重プロビットモデル
-取引なし
2002
2003
2004
- ●
- - -
- ●
- - ●
- - - ● - - ●
- ●
- - -
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-
マクロ分析(1982~2004)
登記件数データ
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
ミクロ要因:『築年数・延床面積・単独所有』
⇒ 個別物件の取引確率
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被説明変数:『登記件数』
(前年比変化率)
手法:多重線形回帰モデル
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マクロ要因『不動産市況・経済市況』等
⇒ 各年度の取引件数(変化率)
ステップ2: マクロ分析の精緻化
・日本市場の特殊性を表現した変数を追加
(1)ゴルフ場価格指数(日本経済新聞社)
(2)J-REITダミー(~2000年:0、2001年~:1)
ステップ3: ミクロ・マクロ要因の統合分析
・ミクロ要因の説明変数に、ステップ2の推定値を追加
『築年数・延床面積・単独所有・取引変化率推定値』
⇒取引確率へのマクロ要因・ミクロ要因の影響力の比較
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
3
ステップ1:ミクロ要因の分析 データ
データ:ターゲットビルDB(住友信託銀行/住信基礎研究所)
・長期/短期2つの基準で分類(①竣工以来1度でも取引あり/②直近調査時点で取引あり)
千代田区
港区
中央区
新宿区
渋谷区
品川区
ビル合計 ①竣工以来 ②調査時点で ①の割合 ②の割合
取引あり
取引あり
528
207
56
39.20%
10.61%
701
290
139
41.37%
19.83%
694
245
66
35.30%
9.51%
189
116
56
61.38%
29.63%
212
117
45
55.19%
21.23%
145
60
21
41.38%
14.48%
全体
2,469
1,035
383
41.92% 15.51%
① 平均の差の検定(傾向の分析)
・等分散性の検定を実施 ⇒ Studentの t 検定 or Welchの検定
先行研究
短期
長期
築年数
+
-
+
長期では取引されているグループの築年が
大きいが、短期では逆転
物件規模
-
+
+
長期/短期とも一貫して取引された物件の
方が大規模
単独所有ダミー
+
-
-
長期/短期とも一貫して取引された物件の
方が共同保有率が高い
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
4
ステップ1:ミクロ要因の分析 モデルの説明①
② 多重プロビットモデル : モデルの説明
・ Pr( SALE jt )  f ( PROPERTY jt )
・ただし、我々が観察できるのは取引があったかどうかの結果 S it のみ
⇒ 取引有無を判定する仮想的な因子 S * itを考え、正:取引される/負:取引されない と考える。
S it  0
S it  1 (if S * it >0)
(if S * it <0)
・取引される確率へ影響する要因(築年数・物件規模・保有形態)について、t時点におけるi番目
の要因をベクトル:Z、Zの係数ベクトル:γ、誤差項eとすると、取引確率は以下のように表せる。
Pr( S it  1)  Pr( S * it  0)  Pr( i Z it  eit  0)
・プロビットモデルは誤差項を標準正規分布と仮定
*
0)  Pr(eit   i Z it )  Pr(eit   i Z it )  ( i Z it )
1 Pr( S it  Pr( S it  0 | Z it )
 ( i Z it )
0
 i Z it
 i Z it
Z 1 築年数(AGE)
Z 2 物件規模(LAND)
Z 3 単独所有ダミー(MONO)
推定式: Pr( S it  1 | Z it )  (γ0 γ1 * AGE γ2 * LAND γ3 * MONO )
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
5
ステップ1:ミクロ要因の分析 モデルの説明②
多重プロビットモデルによる推定式①(長期基準)
Pr( S it  1 | Z it )  (0.362461  0.009444 * AGE  0.00000068 * LAND  0.082514 * MONO )
z値(有意水準)
-5.085671(1%)
4.217734(1%)
0.743389(有意でない)
-1.472488(有意でない)
・築年の影響(他は平均と想定) : 築10年(37.64%)⇒築30年(44.98%) 売却確率 +7.34%(+)
・物件規模の影響(同上)
: 5,000㎡(41.56%)⇒30,000㎡(42.23%) 売却確率 +0.67%(-)
・単独所有の影響(同上)
: 単独(40.90%)は共同(44.13%)に比べ 売却確率 -3.23%(+)
多重プロビットモデルによる推定式②(短期基準)
Pr( S it  1 | Z it )  (0.596817  0.016926 * AGE  0.00000017 * LAND  0.146743 * MONO)
z値(有意水準)
-7.260823(1%)
-6.01493(1%)
1.688696(10%)
-2.191994(5%)
・築年の影響(他は平均と想定) : 築10年(20.00%)⇒築30年(11.89%) 売却確率 -8.11%(+)
・物件規模の影響(同上)
: 5,000㎡(14.53%)⇒30,000㎡(15.53%) 売却確率 +1.00%(-)
・単独所有の影響(同上)
: 単独(13.97%)は共同(17.50%)に比べ 売却確率 -3.52%(+)
結果
・築年数は長/短期正反対で影響も大。物件規模・所有形態は長/短期で同程度の影響
・規模・所有形態・直近の築年数は先行研究と反対の結果
【築年/規模】再開発物件等の新築大規模物件を中心に機関投資家へのシフトが進んでいる
【規模/所有形態】一般企業の自社ビル・小規模投資家の保有継続傾向が強い
【所有形態】 区分所有建物等は権利形態が敬遠されると言われるが、実際はそれほどでもない
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
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ステップ1:マクロ要因の分析 データ・説明変数
データ概要:建物登記件数(1981~2004)
・東京法務局管轄の建物登記件数(売買・信託による登記)
・1980年代後半高水準で推移したが、バブル崩壊後低調。
・1999年以降から上昇に転じ、現在まで一貫して上昇。
300,000
10.0%
件数
変化率
250,000
5.0%
200,000
0.0%
150,000
-5.0%
100,000
-10.0%
50,000
2003
2004
2001
2002
1999
2000
1997
1998
1995
1996
1993
1994
1991
1992
1989
1990
1987
1988
1985
1986
説明変数
1983
1984
-15.0%
1981
1982
0
図 0:建物登記件数の推移(件数)
・ADF検定で定常性に問題がある可能性があるものはより高次の階差データを採用
項目
予想符号
採用数値
備考
不動産市場リターン
+
MTB-IKOMA
前年変化率(2階の階差)
0~2期のラグ採用
株式市場リターン
+
TOPIX
変化率
0~2期のラグ採用
企業業績
-
営業利益(全業種)
変化率
0~2期のラグ採用
不動産需要①
+
全就労者数
2階の階差
0~2期のラグ採用
不動産需要②
+
卸・小売・金融・サービス業
金利水準
-
IbottsonDB(7Y+)
水準値の変化率
信用スプレッド
-
IbottsonDB(7Y+)社債-国債
水準値の変化率
0~2期のラグ採用
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
7
ステップ1:マクロ要因の分析 モデルの説明
モデルの推定 : 変化率への多重線形回帰(ステップワイズ法)
・各カテゴリからの採用は1つのみ
・想定符号と異なるデータについては採択せず
hind t   0+1 REreturn t i   2 STKreturnt  j   3 WORK t  k   4 INTt   5 PROFIT t l  
推定結果
hind t  0.03975+0.0002109REreturnt 1  0.286357PROFITt  0.935789JGBt  0.257667STKreturnt 1  
t値(有意水準) 2.66(5%)
2.13(5%)
R 2 (自由度調整済)=0.398881、
-2.14(5%)
-2.84(5%)
2.86(5%)
Durbin-Watson stat=2.28
結果のサマリー
・1期前の不動産リターン・株式リターンが正の影響(株式市場は10%上昇で2.6%の押し上げ効果)
・金利水準・企業収益は負の影響(金利急上昇で大きく不動産取引が細る恐れあり)
・残差の系列相関が少ないものの、自由度調整済決定係数が低位に留まっている
⇒ 米国と異なる日本特有の状況が関与している可能性あり
変数
不動産リターン
予想符号
+
結果
+1期前
企業業績
-
-当期
不動産需要
+
不採択
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
調達コスト
-
-当期
株式リターン
+
+1期前
8
ステップ2:マクロ分析の精緻化
分析期間(1981~2004)の日本不動産市場で想定される特殊要因
① バブルの生成・崩壊
② 不動産投資信託(J-REIT)の上場(2001.9~)
900
30%
指数
変化率
800
・日本経済新聞社(週次)の年末時の指数を採用。 700
・1989年に最高の866を記録し、1999年に一時的 600
500
に上昇しているが、下落傾向。
400
・対数差を取ったところ定常性の問題なし
300
10%
5%
0%
-5%
-10%
200
-15%
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
2004
2000
1998
1996
1994
1992
1990
-25%
1988
-20%
0
1986
100
1984
・初のJ-REIT上場:2001年9月10日
⇒~2000年:0、2001~:1
15%
1982
②J-REITダミー(JREIT)
25%
20%
2002
説明変数の追加
①ゴルフ会員権指数(変化率)(GOLF)
9
ステップ2:マクロ分析の精緻化
モデルの推定 : 変化率への多重線形回帰(ステップワイズ法)
・当初分析における4つの変数が採択された状態に前述の2変数を追加
・p値が0.250以下となる場合は採択せず
推定結果(変数GOLFのみ有意)
hind t  0.06439+0.0002214REreturnt 1  0.343443PROFITt  1.484669JGBt  0.187209STKreturnt 1
t値(有意水準)4.78(1%)
2.87(5%)
-3.22(1%)
-4.75(1%)
2.56 (5%)
 0.2073428GOLFt  
t値(有意水準)
3.79(1%)
R 2 (自由度調整済)=0. 6668、
Durbin-Watson stat=1.896
結果のサマリー
・GOLFは有意となり、自由度調整済決定係数も大きく上昇。
⇒ 日本のこの期間の不動産市場においては、バブルの影響がはっきりと認められる。
・JREITダミーは有意でない
⇒ 近年の不動産取引増加は、株式・不動産市場回復によるものと考えられる。
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
10
ステップ3:ミクロ・マクロ要因の統合分析
説明変数の追加:ミクロ分析(短期基準)へのマクロ説明変数の追加
Pr( S it  1 | Z it )  (γ0 γ1 * AGE γ2 * LAND γ3 * MONO γ4 * MACRO )
・MACRO:2002~2004年の取引頻度変化率の予測値(2002年1.21%、2003年0.24%、2004年3.84%)
多重プロビットモデルによる推定結果
Pr( S it  1 | Z it )  (1.27  0.004614 * AGE  0.000001014 * LAND  0.1333 * MONO  17.918 * MACRO )
z値(有意水準)
-10.36(1%)
-1.3653(有意でない)
0.974965(有意でない)
-1.9547(10%)
7.8926(1%)
・築年の影響(マクロ:2004年度、他は平均と想定)
: 築10年(24.03%)⇒築30年(21.26%) 売却確率 -2.77%
・物件規模の影響(同上)
: 5,000㎡(22.07%)⇒30,000㎡(22.83%) 売却確率 +0.76%
・単独所有の影響(同上)
: 単独(21.23%)は共同(25.30%)に比べ 売却確率 -4.07%
・マクロ要因の影響(同上)
: 2002年:10.92%、2003年:8.00%、2004年:22.40%
【参考:同条件で推定したバブル期(1986年):45.41%、崩壊後(1991年):0.09%】
・不動産取引の頻度に対しては、マクロ要因の与える影響が相対的に非常に大きい。
・マクロ環境が大きく落ち込む場合、良い物件でも取引成立が非常に困難となる可能性がある。
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
11
まとめ
日本の不動産市場では短期的傾向として、築年数・規模・所有形態という
ミクロ的要因と取引確率との関係に米国と逆の傾向が見られる。
⇒ 不動産の一般企業から機関保有化へのシフトの途上と考えられる。
不動産取引頻度に対しては、経済環境・不動産市況等のマクロ的要因が、
ミクロ的要因よりも相対的に大きな影響を及ぼす。
⇒ 不動産投資終了時の出口リスクは、現在考慮されているような相対的に
競争力の劣後する物件だけでなく、競争力のある物件についても、
ある程度の考慮は必要。
⇒ 不動産投資の出口リスクを考えるに際し、経済環境・金利水準・不動産市
況等のマクロ経済予測が非常に重要。
IM04F018 西山裕一『不動産取引頻度の決定要因についての研究』
12