スライド タイトルなし - HEP Tsukuba Home Page 筑波大学 素粒子実験

宇宙背景ニュートリノ崩壊光子の
赤外観測の可能性
「背景放射で拓く宇宙創成の物理
-インフレーションからダークエイジまで-」
シンポジウム2011
2011年7月12日
武内勇司,金信弘,武政健一,木内健司,丁亨尚,
園城尊,金井伸也,永田和樹(筑波大),
池田博一,松浦周二(JAXA/ISAS),
佐藤広海(理研),羽澄昌史(KEK),
Soo-Bong Kim (Seoul National University)
1
宇宙背景ニュートリノを用いたニュートリノ崩壊探索実験

ニュートリノと電磁場の相互作用




宇宙背景ニュートリノを利用



ニュートリノ遷移輻射光の検出 (ν3→ν1,2+γ)
標準模型では非常に小さい τ~ O(1043) yr
いくつかの模型では大きくなる τ≳ O(1017) yr
~110個/cm3/generation,T=1.95K
ビッグバン理論で予言されているが実験的には,未発見
ニュートリノ質量の測定

振動実験で測定されている質量二乗差の情報とあわせると質量の
絶対値が得られる
2
2

3
2
E
m3  E  E2  m22 ,
E 
m3  m2
2m3
m(ν3)=50meV, m(ν2)=10meVと仮定
↓
E(γ)=24meV (λ=51μm : 遠赤外光)
2
ビッグバン宇宙と素粒子物理
2.7K宇宙背景輻射
(420/cm3)
1.9K宇宙背景
ニュートリノ
(110/cm3/種類)
3
L-R 対称模型でのニュートリノの寿命
•M. Beg, W. Marciano and M. Rudeman Phys. Rev. D17 (1978) 1395-1401
•R. E. Shrock Nucl. Phys. B206 (1982) 359-379
W 1  W L cos z  W R sin z
W 2  W L sin z  W R cos z
WL and WR はそれぞれ V-A, V+A 結合
z は,混合角
ニュートリノ崩壊幅をSU(2)L x SU(2)R x U(1)模型で計算.
M(WR)無限大で sinζ=0が標準模型と一致.
実験で与えられた制限:M(WR )<715GeV/c2 , z<0.013, およびm3=50meV,
m2=10meVを仮定すると
(ν3→ν2+γ) > 1.5x1017yr
標準模型では 2.1x1043yr
4
崩壊光子のスペクトル
• 2体崩壊 → ν3静止系では単色
• 1.95Kの熱運動
• Red shift E = E0 /(1+z)
Red shift effect
Sharp edge with
1.9K smearing
5
CIBと検出器分解能
直径20cm,視野角0.1°の
望遠鏡で3時間の測定を仮定
dN(Eγ)/dEγ for CIB + νdecay
τν=1.5x1017yrの設定
νdecay
Eγ (eV)
Eγ~24meVを1光子毎に分解能2%程度で測定できる検出器が必要
⇒この条件を満たす検出器を開発する
6
STJ(超伝導トンネル接合)検出器


Superconducting Tunnel Junction
超伝導体 / 絶縁体 / 超伝導体のジョセフソン接合素子
超伝導トンネル接合では、
超伝導体のエネルギーギャップの上に
励起された電子はトンネル効果でトンネ
ル障壁を通過。
放射線によって励起された電子によるト
ンネル電流を測定することによって、
個々の放射線のエネルギーを測定。
励起された電子
放射線
2Δ
S
I
S
7
STJのエネルギー分解能
発生する準粒子の個数のゆらぎがエネルギー分解能の限界を決める
超伝導ギャップエネルギーが小さいものが有利
STJのエネルギー分解能
Δ: バンドギャップエネルギー
F: fano factor
E: 放射線のエネルギー
Hfを用いた場合の発生準粒子数
N=24meV/1.7Δ=706個@24meV
ΔE/E < 1/√N=1/√706=3.8%
Si
Nb
Al
Hf
Tc[K]
9.23
1.20
0.13
Δ[meV] 1100
1.550
0.172
0.020
Hc[G]
1980
105
13
Hf-STJの作製は成功
すれば世界初
Tc :相転移温度
超伝導膜に用いた金属のTc(相転
移温度)の1/10程度で安定動作。
Hc :臨界磁場
8
Hf-STJの構造

50~200μm角×600nm厚


Hf膜厚は200nm以上必要
絶縁膜(HfOx)は数nm程度
HfOx(1-2nm)
Nb
Hf(約250nm)
Si wafer
SiO2
9
KEKの超伝導検出器開発システム
イエロールーム
アライナー
ICP-RIE
10
希釈冷凍機
筑波大低温物性グループ(大塚研)より希釈冷凍機を借用
 2009年7月に49mKを達成
最低温49mK
I-Vカーブ測定の際の発熱
時間
11
Hf薄膜作製条件

スパッタ条件出し:2.0Pa 70W
圧縮応力
12
Hf薄膜:AFM,TEM観察
酸化層
EDXでO原子確認
Hf
Hf
2.0Pa 70W
RMS 3.5nm
13
酸化条件:10Torr 1hour
13
Hf-STJ I-V特性
V: 20μV/DIV
I: 20μA/DIV





I
V
T~120mK
Pixel size: 200μm角
2Δ/e~40μV
Rd=1Ω
Ic=24μA
B~2Gauss)
磁場なし
磁場あり
HfのSISでジョセフソン電流を確認!
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まとめ


ニュートリノ崩壊探索のためのHf-STJを開発中
 遠~中赤外線域のCIBの測定
HfのSIS構造を作製しjunctionができていることを確認
 薄膜作製条件の探索⇒OK
 加工方法の探索⇒OK
 絶縁膜作成⇒リークカレントを減らす必要がある
計画



Hf-STJ実証試料の製作および光応答測定⇒今年度中を予定
Hf-MKIDの開発
AKARIなどCIBデータの解析
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