重力レンズ銀河団のまとめと観測提案

重力レンズ銀河団のまとめと今後
太田 直美(宇宙研)
目次
 これまでの観測
(1)High-z 銀河団の探査
(2)ダークマター分布とガス分布の
関係解明
 将来の課題
A370
Kneib et al.
Naomi Ota@ISAS
(1)重力レンズを手がかりとした
High-z銀河団の探査
 目的‥未知のHigh-z銀河団を探査し、X線の性質などを調べる。
 強い鉄ラインが検出された銀河団
– AXJ2019+112 z=1
– 3C220.1 z=0.62
(Hattori et al. 1997)
(Ota et al. 2000)
• kT=8.6±4.2 keV
• Lx=8.4×1044 erg/s
• Z=1.7(1.0-3.0) solar
• kT=5.6 (4.5-7.1) keV
• Lx=1×1045 erg/s
• Z=0.5(0.2-1.6) solar
Naomi Ota@ISAS
Fe abundance v.s. redshift
• Mushotzky et al.(1997), Matsumoto et al. (2000), Schindler et al. (1999),
Ota et al.(2000), Donahue et al.(1998), Hattori et al.(1997)より
Naomi Ota@ISAS
 Type2 QSO + 銀河団と考えられるもの
– 3CR184 z=0.996
(Nogami et al. 1999)
– 3C324 z=1.2
(Ota et al. 2000)
•kT=12 (>2) keV
•Lx, cluster=3×1044 erg/s
•Lx, QSO=3×1045 erg/s
•NH~1024 cm-2
Naomi Ota@ISAS
•kT=7 keV (fixed)
•Lx, cluster=2.6×1044 erg/s
•Lx, QSO=4.2×1044 erg/s
(2)ダークマター分布と高温ガス分布の関係解明
 目的‥重力レンズとX線観測の比較により、ダークマターと高
温ガスの関係に制限をつける。
• 特に、静水圧平衡が成り立っているか。
• ガス圧以外の圧力 e.g. 動圧、磁場の圧力がないか。
 重力レンズ
• 多重像を再現する銀河団ポテンシャルの構築 Mlens
– 高い精度の質量推定が期待できる。
• アインシュタインリングの近似 = 球対称+完全なアライメント
Mlens'   (Dd arc )2 cr
1

 
 ~ 1.3Mlens
Mlens'  Mlens 1
 arc 
 X線観測
(球対称の場合)
だ円率によっても~10%のoverestimate。
• 等温、球対称、βモデル、静水圧平衡の仮定にもとづいて質量
Naomi Ota@ISAS
を推定 Mx
A370における質量比較
 Ota et al. (1998)
Projected Mass(M◎)
– 多重像を用いたレンズモデルを用いても、βモデルを用いる限り
factor 3の食い違いが残る。
– 幾何学的な効果が主な理由と考えられる。
Kneib et al.(1993)による
レンズモデル
Naomi Ota@ISAS
Mlens’
Mx
radius(arcsec)
 重力レンズ銀河団の論文
– 個々の銀河団について
•
•
•
•
•
“RXJ1347” Schindler et al. (1997)
“A370, CL0500, CL2244” Ota et al. (1998)
“A2390” Boehringer et al. (1998)
“CL2236” Hattori et al. (1998)
“CL0024” Soucail et al. (2000)
など
– 多数サンプルについて
• “13サンプル” Allen(1998)
• “27サンプル” 橋本谷D論(1999)
Naomi Ota@ISAS
橋本谷D論の結果
 重力レンズ銀河団27個についてあすか
&ROSATの解析
– アインシュタインリングの近似による
質量推定とX線質量の比較
– Mx/Mlens’=0.43±0.05
 RegularとIrregularの分類を行うと、
– Mx/Mlens’ =0.56±0.04 for Regular
– Mx/Mlens’ =0.30±0.06 for Irregular
– ◎食い違いの大きさに差がある。
 Regularなものについて
– factor 2の食い違いは、多重像を用いた
レンズモデルでは一致する可能性。
– 実際、多重像を用いたレンズモデルで
は、X線と矛盾しない解がある。
– 静水圧平衡が成り立ってると考えてよ
い銀河団が存在する。
Naomi Ota@ISAS
• Regular = X線ピーク位置、
X線輝度分布の重心、最も明
るい銀河の位置の3つが一致。
• Irregular =それ以外。
将来の課題
Irregularについて、残ったfactor~ 1.5の食い違いの原因解明
 X線の温度分布と輝度分布をレンズ
から求められた重力ポテンシャルと
直接比較する。
 統計的なアプローチ
Mx/Mlens’
– Chandraによる詳細観測
– ASCAによる多数サンプルの解析
– 例として、Mx/Mlens’とダークマター
の中心密度ρvirとの間に相関が見ら
れる。
• ρvir →大 Mx/Mlens’→0.5
• ρvir →小 Mx/Mlens’→0.2
– 新しいアークが発見されたことによ
り、最大37サンプルまで増やせる。 X線から推定したダークマターの中心密度ρvir
( 27+5+5 )
Naomi Ota@ISAS
重力レンズ銀河団Summary
 High-z銀河団の探査
– AXJ2019, 3C220.1から強い鉄輝線を検出。
– 3CR184, 3C324からのX線は、type2 QSO+銀河団で説明できる。
 重力レンズとX線観測の比較
– Regular/Irregularで質量推定の食い違いの大きさに差がある。
– Regularは、多重像を用いたレンズモデルを用いるとX線と一致。
– Irregularは、factor~1.5の食い違いが残る。
• この原因解明の方法として、Chandraによる詳細観測やあすかによる
統計的アプローチが考えられる。例えば、 Mx/Mlens’とダークマターの
中心密度ρvirとの相関。
Naomi Ota@ISAS