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修士論文発表
多段通信路ネットワークにおける
信頼保証型マルチキャストデータ
配送システムの設計と実装
Mikiyo Nishida/[email protected]
2000/2/4
本研究で実現したこと
• 多数の受信者にデータを配布する仕組み
– 多数の利用者が同一のデータを受信する
– マルチキャストを使用したデータ配送
– 信頼性を保証した通信を行う
• 受信者数に対する規模性を持つ
• ネットワークの帯域の多様性を考慮する
インターネットでのデータ配送
データ配送の使用例
• どこでも音楽が聴きたい
– CD1枚=640MByte
• 何枚もHDDに入れておくには大きい
– 好きなときに聴きたい
• CDを持ち歩くのはスマートでない
– ネットワーク上に置き、聴きたいときに取る
データ配送の典型例
データ
大容量データ
Network
自宅
学校
多様な帯域の
ネットワーク
会社
どこでも同じデータを再生したい
現在のインターネットでの問題点
既存の通信での問題点
• 既存のユニキャスト/TCPでは?
– 利用者が多くなると破綻する
既存の通信での問題点(cont’d)
• IPマルチキャストを使う
– 信頼性を保証する枠組みがない
– 多様なネットワークの帯域を考慮していない
既存の通信での問題点(cont’d)
• IPマルチキャスト上でのデータ配送システムが必要
• 配送システムの用途と効率を考える必要がある
• 現在のインターネットでは、マルチキャストを用いた
データ配送の仕組みがない
▼
データ配送の要求を満たす配布の仕組みが必要
マルチキャストデータ配送
• 実時間性マルチキャスト
– 実装が複数存在し、使用されている
• 信頼保証型マルチキャスト
– Reliable Multicast
– SRM/RMTP/MFTPなど
– 実装と利用例が少ない
Reliable Multicastの問題
• 信頼性の保証と配送性能
– 速い受信者と遅い受信者
• ネットワークの多様性と配送性能
– 送信者と受信者の位置関係
多様な受信者の受信能力を考慮すると
→配送性能の低下
→信頼保証機構の複雑化
今のインターネットでは……
• 「全てを叶えるReliable Multicast」は不可能
– 特定用途に最適化されたRM
– 使用用途によって手法を選ぶ
• 多数受信者に対する同期的データ配送シス
テムがない
SHRM
• Segmented Hierarchical Reliable Multicast
– セグメント化階層構造信頼性マルチキャストデー
タ配送システム
データ配送に特化したReliable Multicast
▼
• 信頼性保証の範囲を限定する手法を導入
本研究での解決手法の提案
SHRM
(Segmented Hierarchical Reliable Multicast)
MLS手法の導入
• MLS: Multicastable Local Segment
– 概ね均質にマルチキャスト・データグラムを配
送可能なネットワーク
• MLS単位で完結した信頼性保証の仕組み
▼
信頼保証の責任を持つ範囲を限定すること
により効率と規模性を両立させる
信頼性保証の範囲
• 均質な伝送品質を持った限定的ネットワーク
– 通信路の多様性を考慮しなくて良い
– 信頼保証の仕組みを簡略化できる
• 「均質」の意味
– 同一帯域で配送可能なセグメントの集合
同一種のデータリンクで構成されたネットワー
ク・セグメント
MLSによる配送システム
• 1つのMLS内での信頼保証型データ配送
• 複数のMLSが相互に協調
信頼保証データ配送
MLS
MLS
MLS
MLS
データの移送
MLS
MLSの階層構造
• 広帯域MLSが上位に、狭帯域MLSは下位に
• 配送対象データは必ず最上位に
– データの流通方向が必ず一方向
– 広帯域から順次重なるのが理想的なトポロジー
SHRMの設計と実装
MLS内データ配送システム
• データの巡回送信・受信
– データ一覧の広報
– データの巡回送信
– 欠落情報の補正
• Negative ACK を使用した信頼性保証
• 帯域の使用レートを設定
– 静的なフロー制御
MLS内データ配送システム
パケット
配送データ
配送データの一覧
データ・チャネル
広報チャネル
送信側
広報データ受信
受信側
データ本体受信
再送要求
複数の受信者
MLS間データ配送
• ホストがMLS間を接続し、データを中継
• 中継ホスト
– 上位MLSに対しては受信ホスト、下位MLSに
対しては、送信ホスト
受信
データ配送
データの
中継
上位MLS
中継ホスト
下位MLS
送信
データ配送
配布データ配送
• MLSの階層構造
– 広帯域MLSが上位に、順次低帯域のものへと
接続
– データの流れは、必ず上位→下位への一方向
• 下位MLS中の配布データは、最上位MLS
へ配送してから配布
SHRMまとめ
SHRM
上位MLS
配布データ
MLS
MLS
MLS
MLS
下位MLS
信頼保証データ配送
データの移送
MLS
実装
• Microsoft Windows上での実装
– アプリケーションとしての実装
• Windows98 / C++言語を使用
• Winsock2.0またはそれ以降
• 1つ以上のネットワーク・アダプタ
– 実装上の拡張
• ユニキャストによるデータ中継に対応
• 中継ホストは1つのインターフェースで動作可
• 再送要求をしない受動受信モード
– 片方向の通信路に対応
アプリケーション構成
アプリケーション動作の実際
上段・メイン画面
下段左・設定
下段右・配布データ追加
SHRMについての考察
SHRMと他のReliable Multicast
Protocol
信頼保証
フロー制御
途中
参加
受信 帯域の多様
者数 性
RMTP
MFTP
RMP
TRAM
SHRM
ACK集約 TREE
Cache
△
大
×
NACK
STAR
Rate
○
大
×
ACK
RING
Window
△
小
×
SACK
TREE
Window
△
大
×
NACK
STAR+
TREE
Rate(静的)
○
大
○
トポロ
ジー
SHRMの特徴
• 欠点
– 到着順序保証を行わない
– パケット損失率が非常に高いと効率が低下
• 利点
– 多様なネットワーク帯域への対応
– 規模性と効率を両立
– システムの簡易さ
まとめ
• Reliable Multicastへの要求とその問題点
• SHRM
– 信頼性を持った、多数の受信者へのデータ配送
に特化した有効なシステム
– MLS手法の提案
– MLSを用いたデータ配送システムの設計と実装
• ネットワークでの有効なデータ配布システム
の実現
今後の課題
• MLS階層構造の動的な構築
– 現実の広域ネットワーク上で、効率的なMLS
階層構造を構成するための枠組み
• フロー制御
– TCP Friendlyなフロー制御
– システムの簡易さ、全体のスループットとのバ
ランス