僕らの原子力 ~近代科学の光と影~ 1、原子力とは・・・ 原子核を構成する陽子や中性子 を結び付けているエネルギー(核エ ネルギーを)、原子核反応(核分裂ま たは核融合)によって取り出したもの。 あるいは取り出すことのできるエネ ルギー。 1)原子力のイメージ ①神が人間に与えたもうた神聖な力である。 ②人間に夢と希望を与える科学の偉大な成果である。 ③国家の力を示し、国を守るための重要な力である。 ④最小から最大を生む新しいエネルギー資源である。 ⑤新しい技術に応用し、経済的利益を生む資本であ る。 ⑥産業を発展させ、社会を進歩させることができる。 ⑦人類の生活を快適で幸福なものにすることができる。 ⑧人間の創造を絶する恐ろしい力である。 ⑨人間の生活や生命を脅かす危険な存在である。 ⑩地球生態系と調和しない、反自然的な存在である。 2)原子力の誕生 純粋に学術的で国際的な研究の中で生まれる ↓ 強大な破壊力を利用した爆弾という戦争技 術の拡張の可能性としての原子力 ↓ 「平和利用」としての原子力発電 核分裂連鎖反応 (この反応は数ある反応の一つです) 原子力発電の構造としくみ 参考:STS教育読本 かもがわ出版 川村康文 産業廃棄物の行方は・・・ • ×捨てる → ○管理する • 産業廃棄物を最終的にどう処理する? • 原子炉をどう解体する? 3.原子力と安全性 1)原子力発電所の安全対策 2)放射線の管理と線量限度 3)巨大技術の問題点 1)原子力発電所の安全対策 今、社会はとても便利になっている。しかし、 この便利さの裏には危険が潜んでいる。 たとえば便利さに必要不可欠な電気には放 射線の出る原子力が使われている。 工業では失敗は成功の元として必 ずつきまとうものとされている、 しかし放射線の放出を伴う原子力 発電では万が一でもあってはなら ないことである。 (1)多重障害 原子炉の安全を守る五つの構造 ①核燃料を焼き固めペレットにす る。 ②ペレットから出る熱だ けを取り出すための被覆 管に煮詰めて燃料棒にす る。 ③高熱高圧に耐えれる容器 の中で反応させる。 ④また③の容器を格納容 器で覆う。 ⑤さらに厚いコンクリートの建 物にすること。 実際には少量の放射線漏れがあるが、 ④⑤のおかげでほとんど外部には影響 がない。 (2)フェイルセーフ。 人為的な操作ミスが起こったとき、重大な事実 につながらないような仕組み。 操作の手順を間違えると動作しない仕掛けや、 異常な事実が起こったときに自動制御によっ て原子炉を緊急停止させるシステムがある。 (3) 原子炉の自己制御性 原子炉に使われる水は自然に反応を穏やか にする効果がある。 ウランにも自然に制御する効果がある。 (4)非常用炉心冷却装置 万が一の場合に、炉に注水 して過熱を抑える。 参考:STS教育読本 かもがわ出版 川村康文 以上を見ると、事故は起こらないように思える。し かし、実際には予想を超えた事故が起こっている。 このためにも自己を防ぐシステムの研究も十分にお こなわれる必要がある。 2)放射線の管理と線量限度 放射線は、人体に悪影響を及ぼすが人間の五 感では放射線を感じることはできない。だか ら、放射線を扱っている周りの地域では漏れ や放出のないように常に厳しく監視しなけれ ばならない。 かつては放射線をどのくらい浴びなければ安全と いう「許容線量」があった。しかし、病気になる事 例が出ていた。現在は「やむをえない場合の上限 値」をあらわす「線量限度」が職業人と一般人と に分けて定められている。 3) 巨大技術の問題点 実際に電力を供給している原子炉はとても 大きいものである。このシステム全体をす べて管理することは無理である。また、全 体の予算や方針を決定する人が必ずしも科 学者であるとは限らない。このようなとき にシステム全体の運用に対する判断は非常 に難しくなる。 原子力が有用である理由 ①、少量の燃料から大量のエネルギーを取り 出せる。→経済性が高い! ②、いずれは枯渇する石油などの代替として 不可欠。 ③、二酸化炭素の排出を伴わない。 →地球温暖化に寄与しない! ①についての問題点 「少量の燃料から大量のエネルギーを取り出せる」について 1、安全対策 2、後処理のためのコストが増大 (放射性廃棄物の処理、核燃料の再処理、使用後の発電所の撤去など) もはや原子力は安くない!! ②についての問題点 「いずれは枯渇する石油などの代替として不可欠」について 1、石油などの枯渇は問題ない!! 2、新たなエネルギー資源の確保!! ・メタンハイドレートの利用など 原子力に頼る必要はない!? ③についての問題点 「二酸化炭素の排出を伴わない」について 二酸化炭素排出量抑制策として原発の増設 放射性物質は大気中に放出できない 原子力発電の廃止を打ち出す 多くの問題点が山積み 原子力事故と安全性 ・1979年3月27日 アメリカのスリーマイル島原子力発電所2号炉で冷 却水喪失による炉心溶融事故。 ・1986年4月26日 旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所4号炉での事 故により、 大量の放射性物質が大気中に放出。 ・1995年12月8日 福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」での火災。 ・1999年9月30日 茨城県東海村にあるJCOの核燃料工場での事故。 このほか、多くの事故が発生!! 国民の不安がつのる 今後の課題 1、経済成長維持に伴うエネルギー確保!! 2、安全性や、地球生態系との調和!! 国民投票や住民投票 脱原子力 原子力に限らず科学技術システムの民主化!! 自分の安全は自分自身で決めよう! お わ り 粟野 智久 池田 幸代 中川 貢希 熊 義史 佐藤 真也
© Copyright 2024 ExpyDoc