情報法 第9講 発信者情報開示請求権 (プロバイダ責任制限法4条) テストの正解 正答率11% 1.迷惑メールに関する以下の説明のうち、誤っている ものをすべて挙げなさい。 (1)日本では、名宛人の事前の同意をとらないで広告のメールを 発信することが許されている。 (2)日本では、商業広告メールを送る場合、その表題(subject)欄に 特定の文字列を記載しなければならない。 (3)日本では、オプトアウトの機会を与えるかどうかは電子メー ル送信者の自由に任されている。 (4)日本では、送信ヘッダを偽造して商業広告メールを送信する ことは違法である。 (5)商業広告目的のメール以外でも迷惑メールの規制法が適用に なる。 (6)架空メールアドレスに無差別に大量送信する行為は、罰則付 きで禁止されている。 テストの正解 正答率37% 2.スパムメールの法的責任に関する裁判例について、 以下の説明のうち正しいものをすべて挙げなさい。 (1)携帯電話のiモードサービスで電子メールを受信するユーザー に対して無差別に広告メールを送りつけた業者に対し、ドコモ が差し止め仮処分を求め、認められた。 (2) ドコモの仮処分申請における主張は、i-modeサービスの提供 のため良好な状態に保つ権利に基づく妨害排除請求権を被保全 権利とするものであった。 (3)ランダムな番号を自動生成してメール宛先に用いる行為は、 受信側サーバーの所有権侵害に当たると認められた。 (4)ニフティ社が差し止めを求めた事例では、相手方欠席のため 請求が認容された。 テストの正解 正答率16% 3.以下のうち、現行法に照らして、意思表示が到達し たときにその効力が生じると言える場合をすべて挙げな さい。 (1)横浜在住のA氏が、自己所有のダイヤを売却したいという申 し込みを名古屋在住のB氏に伝えるため、手紙を出した場合。 (2)名古屋のB氏が横浜のA氏のダイヤ売却申し込みを承諾する 手紙を送った場合。 (3)名古屋のB氏が、横浜のA氏のダイヤが偽物であることを知 り、詐欺に基づく取消の意思表示をA氏に手紙で送る場合。 (4)横浜のA氏が、名古屋のC氏の開設するWebPageで販売され ている商品をほしいと思い、購入ボタンを押した場合 テストの正解 正答率27% 4.対抗言論(more Speech)の法理の理解として、次の うち正しいものを選びなさい。 (1)日本の裁判例では、ネットの掲示板に名誉を毀損する発言を書 き込まれた者が、その同じ掲示板に書き込むことができる以上、 法的責任を追及することはできないとされている。 (2)日本の裁判例では、電子会議室の参加者AがBに対して批判を 行い、Bがこれに対して反批判をするという流れの中でなされた 批判は、Bの発言がAの名誉を毀損している場合でも法的責任は 免責される。 (3)対抗言論の法理は表現の自由のコロラリーとして認められる。 (4)日本の裁判例では、対抗言論の法理が認められたことはない。 (5)日本の裁判例では、被害者が十分な反論を加害者に行い、それ が功を奏した場合に名誉毀損が成立しないと判断された例がある。 テストの正解 正答率59% 5.インターネットを通じて誰かからウィルスが送られて きて感染したAは、それを知らないままインターネットに 接続し、B,C,Dなど多数の者に同じウィルスを感染さ せ、そのコンピュータ利用を妨げてしまった。この場合A がB,C.Dに対して責任を負うかどうかに関連する以下 の説明のうち、Aの責任を否定ないし軽減する要素となる ものを挙げなさい。 (1)Aは、通常の水準のウィルス対策を施していた。 (2)Aはウィルス対策ソフトの更新費用を節約するため、購入時の 状態で使用していた。 (3)Bはウィルス対策ソフトを導入していなかった。 (4)CはAと面識がなく、まったく見知らぬAのサイトを訪問して 感染した。 テストの正解 正答率56% 6.インターネットの利用者AとBとの争いで、Aの作成 したウェブページがBの権利を侵害している場合に、Bが AではなくAのウェブページホスティングサービスをして いるプロバイダの法的責任を追及するのはなぜかというこ との説明で、以下のうち明らかに間違いであるものを挙げ なさい。 (1)Aのウェブページを保管公開しているプロバイダは、その送信 を停止することが現実に可能だから。 (2)Aの利用契約上、プロバイダがウェブページの法的責任を負う ものと定められているのが通常だから。 (3)Aの身元はしばしば分からないのに対して、プロバイダは明確 に住所・名称等が判明するから (4)Aは賠償負担可能かどうか明らかでないのに対して、プロバイ ダは賠償能力があるのが通常だから テストの正解 正答率40% 7.以下のうち、プロバイダの手元に発信者の発信した情 報が残り、第三者の要求に応じて送信する形態の情報発信 サービスを挙げなさい。 (1)インターネットアクセス (2)電子メール送信サービス (3) FTPサービス (4) Webサービス テストの正解 正答率43% 8.アメリカ連邦控訴裁判所のいわゆるゼラン事件につい て、以下の説明のうち誤っているものを挙げなさい。 (1)オクラホマの連邦ビルが爆破テロにあった後、これを茶化す商 品などを売るという宣伝がネットに流され、ゼランさんはそのサ イトの運営者であったため責任を問われた。 (2)ゼランさんはAOLに削除を求め、種々やりとりがなされた結 果、一部は削除された。 (3)ラジオ局は偽のゼランさんの書き込みをみて、ゼランさんの仕 業として報道した。 (4)ゼランさんはAOLなどの責任を追及する訴えを提起した。 (5)アメリカの裁判所は、ゼランさんがパブリッシャーに該当する ので、責任を負わないと判示した。 発信者情報開示をめぐる利害対立 表現行為の自由 vs 責任追及 QuickTimeý Dz TIF FÅià• èkǻǵ Åj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ` ÉÉǾ å©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB INTERNET 批判、攻撃 政治的意見表明 プロバイダ責任制限法4条の要件 権利侵害を受けたとする者(請求権者) 特定電気通信役務提供者(義務者) 開示の要件 権利侵害が明らか 損害賠償請求などの開示の正当理由 開示の対象 氏名、住所、IPアドレス、タイムスタンプなど 開示の可否について発信者の意見照会 アクセス(経由)プロバイダは特定電気通信 役務提供者か? ウェブホスティング プロバイダ ウェブデータ 保管 QuickTimeý Dz TIF FÅià• èkǻǵ Åj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ` ÉÉǾ å©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB ウェブデータ送信要求 =URLの入力 ウェブデータ送信 アップロード INTERNET QuickTimeý Dz TIF FÅià• èkǻǵ Åj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ` ÉÉǾ å©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB アクセス(経由) プロバイダ 第1事件の事案 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 羽田タートル 発信者の 発信者 情報要求 サービス アクセスプロバイダ ウェブオンライン 誹謗中傷 削除要求 発信者の 情報要求 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB レンタルサーバ ゼロ 第1事件判決 So-net会員である発信者を特定する情報に ついて開示を求めたが、請求棄却 アクセスプロバイダ(経由プロバイダ)は特定 電気通信役務提供者に当たらない • 経由プロバイダから掲示板までの通信は一対一通信 で、特定電気通信ではないため 侵害情報削除の時点ではプロバイダ責任制限法 施行前であり、本件に法は適用されない 第2事件の事案 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 羽田タートル サービス 発信者 代理人 弁護士 発信者の 情報要求 アクセスプロバイダ PRIN QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 削除要求 DQN 弁護士 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者の =和解 情報要求 2ちゃんねる 第2事件判決 羽田タートルサービスの代理人であっ た弁護士が、掲示板で非難されたため、 自ら当事者となって発信者情報開示請 求 アクセスプロバイダであっても特定電 気通信役務提供者に当たり、発信者情 報開示請求可能 第1判決の理解 特定電気通信 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 経由プロ バイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB サーバ プロバイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 第2判決の理解 特定電気通信 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 経由プロ バイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB サーバ プロバイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 開示の目的 侵害情報の発信者に対して損害賠償や侵害行 為差し止めを求めることが本来の目的 →匿名性が壁となって救済を求められない事態の打 開 発信者と被害者との交渉が行われている段階 で、開示を求める正当な利益はあるか? YAHOO!対眼科医事件は、IPアドレスの開 示を求めたが、疑問が残る 裁判外の開示の可否 開示請求権の行使は訴訟によらないで可能 その障害---電気通信事業法 (秘密の保護) 第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密 は、侵してはならない。 179条 3年以下の懲役または200万円以下の罰金 総務省の解説による事実上の指導 プロバイダによる応訴により、発信者の利益を保 護 要件がないのに裁判外の開示した場合は違法 →救済のためには不十分 仮処分による開示 満足的仮処分 本案判決により実現される結果を実現してしまう ことの問題性 保全の必要性 開示請求は緊急性がない? 発信者情報の抹消の危険は、ログ保存を求める仮 処分で足りる? →多段階のプロバイダへ情報を請求する必要が あり、保全の必要性は認められる 開示請求訴訟における発信者 の手続保障 開示の可否に利害関係があるのは発信者自身 開示請求訴訟に関与して主張立証の機会を与えるべき 特に、侵害情報が名誉毀損の場合はその違法性阻却事 由の主張立証が必要 ☆匿名のままでの参加は困難 匿名のまま訴訟告知、補助参加することはできない か? 訴訟指揮により氏名住所を伏せることも可能
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