安全への取り組み

安全作業への大原則
1. 自覚した行動=自分の身は自分で護る
2. 安全作業の約束=決めたことは必ず守る
3. 5Sの徹底=整理・整頓・清掃・清潔・躾
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ヒューマンエラーの12の原因
1:無知、未経験、不慣れ
・作業に不慣れな作業員は、作業の危険がどこに潜んでいるかわからない
・熟練作業員でも、初めて行う作業や赴任まもない現場では、適切な危険予測ができない
2:慣れによる危険軽視
・危険とわかっているのに不安全な行動をとり、エラーを起こす
3:不注意
・作業に集中していたために、その他のことに不注意になる
・作業内容が日々変わるため、作業に集中できず注意が散漫になる
4:指示のあいまいさなどの連絡不足
・安全指示が正しく伝わらず、エラーが発生する
・「必要な安全指示を出さない」「指示の内容があいまい」「的を射た指示でない」「作業員が指示
を聞かない」「作業員が指示の内容を理解できない」など
5:工程に余裕がないなどの集団欠陥
・工期が厳しい場合などに、現場全体が「工期第一、安全第二」という雰囲気になり、エラーが発
生する
6:効率を進めすぎた省略行動本能
・面倒な手順を省略して効率的に行動することを優先した結果、不安全な行動をとってしまう
<災害事例>資材置場へ移動するとき、安全通路より近道となる切梁上を渡り、誤って墜落
7:周囲の状況が見えない場面行動本能
・瞬間的に注意が一点に集中し、まわりを見ずに行動してしまう本能
8:パニック
・非常に驚いたときや慌てたとき、脳は正常な働きをせず、冷静に適切な安全行動をとれなくな
る
9:見間違い聞き間違いなどの錯覚
・合図や指示の見間違い・聞き間違い、思い込み
10:中高年の機能低下
・身体能力の低下を自覚せずに作業し、エラーを起こす
11:疲労による注意力低下
・人間は疲れるとエラーを起こしやすくなる
・長時間労働、夏の炎天下での作業など、過酷な条件下での作業では、作業員が疲労しやすい
12:単調作業による意識の低下
・人間は単調な反復作業を続けると意識が低下し、エラーを起こしやすくなる
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ヒューマンエラーへの対応(例)
個人を責めるだけでは
対策が見えてこない
・「ヒューマンエラー」は事象の原因ではなく結果である
・「ヒューマンエラー」にはいろいろなタイプがあり、一律に論ずること
はできない
・重大な「ヒューマンエラー」は偶然ではなく、必然的に起る
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ヒヤリ・ハット事例
蛍光管の取扱い作業
机の位置などのためちょうどよい位置に脚立
がセットできなかったので、ずらしてセットし蛍
光管を持って登りかけたときにぐらつき、とっ
さに2段目の踏み桟から飛び降りた。
アーク溶接作業
作業場内を移動するとき、床に
散乱したアーク溶接機のコード
に足を引っかけ転倒しそうに
なった。
積み卸し
フォークリフトの運転手がバックする旨声を
掛けてからバックしたが、作業者には聞こ
えなかったと思われ、危うく転落しそうに
なった。
道路舗装作業
未施工部分に設置した合
板製仮通路の端につまず
いて、転倒しそうになった。
運搬作業
シャッターの外脇からシャッ
ター前を横切ろうとした作業
者と衝突しそうになった。
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筆記作業
メモを取りながら歩いていたと
ころ、階段を踏み外し、階下
へ転落しそうになった。
クレーンによる資材運搬作業
クレーンを使い地上の資材置き場
に下ろす作業中、つり荷が揺れな
がら旋回したため、玉掛け作業者
に激突しそうになった。
4
ハインリッヒの法則(1:29:300)
これはアメリカの技師ハインリッヒが発表した法則で、労働災
害の事例の統計を分析した結果、導き出されたものです。
数字の意味は、重大災害を1とすると、軽傷の事故が29、そし
て無傷災害は300になるというもので、これをもとに「1件の重大
災害(死亡・重傷)が発生する背景に、29件の軽傷事故と300件
のヒヤリ・ハットがある」という警告として、よく安全活動の中で出
てくる言葉です。
日常、ヒヤリ・ハットの状態にまでいかないが(もしくは自覚しな
い)、実は非常に不安全な状態や行為となると、相当な件数にな
るはずです。
いつもやっていることだから・・・、今までも平気だったので・・・、
という不安全行為が、いつヒヤリ・ハットを飛び越え一気に重大
災害になるかも知れません。
「1:29:300」で言い表されている比率は、よく考えれば非常に
高い確率で重大事故を招くことを示唆しています。
いつやって来るか分からない災害を未然に防ぐには、不安全
な状態や行為を認識し、ヒヤリ・ハットの段階で地道に対策を考
え、実行(よい習慣として身につける)していくことが重要です。
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安全作業への約束事(各社で規定されているもの)
・服装:作業着、ヘルメット、安全靴、手袋、手甲、脚絆
・保護具:安全帯、保護眼鏡、防塵マスク、耳栓、絶縁保護具
・作業場と安全通路:明確な区分と床面の清掃
・工場内行動規範:挨拶、指差呼称、走らない、吊荷の下には
入らない、喫煙・・・・・・・
・各設備・工程ラインの安全作業手順
・安全点検:法定点検・月例点検・日常点検(始業点検)
・安全衛生委員会、安全パトロール
・緊急時の対応手順(連絡先、救急用具・薬品)
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5Sとは
整理 ― いるものといらないものに区別して、いらないものを
処分する
整頓 ― いるものを所定の場所に、その表示をしてきちんと置
く(必要なものがすぐ取出せるように片づける)
清掃 ― きれいに掃除する(清掃を通して職場・仕事・設備の不
具合箇所を顕在化させる)
清潔 ― いつ誰が見ても、誰が使っても、不快感を与えないよ
うにきれいにしておく
躾
― 職場のルールや規律を守る躾を身につける
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5Sの具体例
1) 置き場の整理整頓
不要なものは捨て、必要なものはそれぞれに床に置くゾーンを決めて色や線で
識別し置く物の名前を表示する。
2) 工具類の整理整頓
工具類の整理棚を作り、右図のようなシルエッ
トを描いて置き場所を決めておくと探す必要が
減り、紛失しているものが明確にわかるので管
理がしやすい。
1本のスパナが使用中であることがすぐにわかる
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労働災害の原因
1. 物的・技術的要因
作業設備の不備や作業方法の不適合など
2.人的要因
経験・訓練不足、不注意、過失、怠慢など
労働災害防止への主要な方法
・施設や設備についての定期的な安全点検
・安全確保のための施設・設備の設計・配置
・安全教育訓練の徹底
・作業マニュアルの作成と励行
・肉体的・精神的不適格者の発見
・危険有害物質の除去
・整理、整頓、清掃の励行
・危険作業に能力検定試験合格者を配置する。
・安全作業法の開発
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鉄鋼業における労働災害の発生状況
発
生
件
数
発
生
件
数
発
生
件
数
発
生
件
数
発
生
件
数
出所:中央労働災害防止協会
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コイルセンター労災事故事例
災害形態
負傷内容
その他
巻込まれ
捻挫
切断
骨折
打撲
挟まれ
圧傷
その他
成品転倒
転倒・転落
切創
負傷部位
勤続年数
新入社員や配転者な
ど経験の浅い人に事
故が多い
21~
0
~20
その他
顔・頭
9
足・腿
8
手・肘
1
7
6
5
4
3
2
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災害発生設備の事例
スリッターラインの部位別災害発生率
40%
100%
35%
90%
80%
25%
20%
70%
リコイラー、カッタースタンドで
の事故が多い
60%
50%
40%
15%
発生率累計
部位別発生率
30%
30%
10%
20%
5%
10%
0%
0%
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12
発生率累計
パイラーに絡む事故が圧
倒的に多い
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
イ
ラ
ア
ー
ン
コ
イ
サ
ラ
イ
ー
ド
ス
トリ
ク
マ
ラ
ッ
プ ー
バ
ケ
ッ
コ
ト
ン
ベ
ヤ
ー
レ
ベ
ラ
ー
制
御
盤
ロ
ー
ル
類
50%
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
パ
災害発生率
レベラーシャーライン部位別災害発生率(例)
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安全対策の事例
<例-1>ピンチロール等への巻き込まれ対策・・・重度災害の頻度が高い
(対策1)手が入らぬようケージで囲い、作業用の扉を
つける
(対策2)ロールの手入れはロールを停止又は寸動にし、
出側から「棒ずり」で行う
(対策3)ステッカーを貼って危険を視覚に訴える
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<例-2>回転体・駆動ベルト等
トリム屑ワインダーや木工用丸刃、駆動ベルト等の回転体に巻き込まれると、簡単に指や手を切断されます。
必ず保護カバーで囲って、人体が触れないようにする必要があります。
トリム屑ワインダーの例
木工用丸刃の例
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<例-3>穴横スリットコイル置場
穴横の幅狭スリットコイルは立てておくと将棋倒しになる危険があります。差し込み式のガイドポールを立て
る方式の専用のスキッド(下図右端)を設置する必要があります。
斜めに立てかけて置く置き方はスリットコイルの幅と外径によって傾けるべき最小角度が異なる上に、中間
のコイルを取り出すときに危険です。
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スリットコイルの起上がり現象
tanφ=W/D
この式から、φ=tan-1(W/D) でφの角度が求められますが、この計算はパソコン
が簡単にしてくれます。
即ち、Excelを開いて⇒fx⇒数学/三角⇒ATANとクリックすると数値を記入する
欄が現われるので、そこにW/Dの値をいれてOKボタンを押すと、角度がradとい
う単位で示されます。この値に57.3を掛けると角度(°)になります。
幅Wmm
100
200
外径Dmm
1,000
1,500
1,000
1,500
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W/D
0.1
0.0667
0.2
0.1333
tan-1(W/D)
0.0097
0.0666
0.1974
0.1325
角度φ°
5.71
3.81
11.31
7.59
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クレーンの自主検査
検査内容
年次自主検査
月次自主検査
検査項目
1. 構造部分、機械部分、電気部分
2. ワイヤロープ、つりチェーン
3. つり具の異常の有無
4. 基礎の異常の有無
荷重試験
定格荷重に相当する荷重の荷をつり、つり上
げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を定格
速度で行います。
1.過巻防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及び
クラッチの異常の有無
2. ワイヤロープ、つりチェーンの損傷の有無
3. フック、クラブバケット等のつり具の損傷の有無
4. 配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラの異常の有無
* ケーブルクレーンは、メインロープ、レールロープ(架空索)及びガイドロープを緊結
している部分の異常の有無ならびにウインチの据付けの状態
作業開始前点検
1. 巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラの機能
2. ランウエイの上及びトロリが横行するレールの状態
3. ワイヤロープが通っている箇所の状態
記録の保存:3年間保存(ただし、作業開始前点検は法的規制はない)
なお、2年毎に労働基準監督署の性能検査を受けなければならない。
<就業制限>
①つり上げ荷重が5t以上のクレーン の運転業務に就く者は、クレーン運転士免許を受けた者でなければならない。
ただし、床上で運転し、かつ、運転する者が荷の移動と共に移動する方式のクレーンの運転の業務については、床上操作式
クレーン運転技能講習を修了した者であればよい。
②つり上げ荷重が1t以上の玉掛け業務に就く者は、クレーン玉掛技能講習を修了した者でなければならない。
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コイルヤード
「浮きコイル対策」
悪い事例
浮きコイルを避けるには最下段のコイルを一定間隔で空けておく必要があり
ます。
B
A
C
浮きコイ
ル
C
E
D
A
B
D
E
一定のコイル間隔に固定する必
要有り
横スキット
゙
コイル外径に合わせて横スキッドと縦スキ
ッドを固定し、外径別に置場を層別する.
縦スキッド
エンドストッパーの他社例
30cm位
1m位
50cm位
床との間は鉄筋でつなぐ
H形鋼
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1m位
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吊具の危険性
良い事例
Cフックの安全性?
疲労破壊したCフック
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悪い事例
20
危険な作業
悪い事例
考案された安全装置
良い事例
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安全柵
悪い事例
良い事例
ライン全体を金網でカバーしている
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5S(整理・整頓・清掃)
良い事例
安全通路
フォークリフト走行に対す
る歩行停止確認マーク
スクラップ置場
悪い事例
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製品ヤード
悪い事例
良い事例
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危険箇所への警告・安全ポスター
良い事例
他社事例:自社考案の絵による危険標識の貼付
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参考資料-1
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参考資料-2
出所:警察庁交通局
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