原子力プラントの保守 ー関西電力における保全活動ー 関西電力株式会社 平成27年12月9日 関西電力の概要 ■ ■ ■ ■ ■ 設立年月日 : 1951年5月1日 資本金 : 4,893億2,068万8,897円 従業員数 : 22,566人 最大電力 : 3,306万kW(2001年8月2日) 主な設備 (発電所): ・原子力 3カ所 977万kW ・水力 151カ所 821万kW ・火力 12カ所 1,798万kW ・新エネルギー 2カ所 1万kW ・合 計 168カ所 3,597万kW 2 関西電力の原子力発電所 ■原子力事業本部 ■高浜発電所 ・全社員約22,000人の うち、約1800人が 福井県の原子力発電に 従事している。 ・そのうち約40%は福井 県の出身である。 ■美浜発電所 ■大飯発電所 ユニット グロス出力 (万kW) 営業運転 開始 ユニット グロス出力 (万kW) 営業運転 開始 ユニット グロス出力 (万kW) 営業運転 開始 1 2 3 4 82.6 82.6 87.0 87.0 1974.11 1975.11 1985. 1 1985. 6 1 2 3 4 117.5 117.5 118.0 118.0 1979. 3 1979.12 1991.12 1993. 2 1 2 3 34.0 50.0 82.6 1970.11 1972. 7 1976.12 合計 166.6 - 合計 339.2 - 合計 472.0 - ● 日本海 ● ● 2015年3月に 廃止措置申請 美浜1号機は、1970年 11月に日本初のPWRと 原子力事業本部 して運転を開始した。 関西電力における保全活動(信頼性重視保全(RCM)) 系統機能分析、安全重要度、技術知見などに基づき、保全 の対象、方法、実施頻度などを決定する科学的分析手法 「適切な手法を適切な機器に対し適切な時期に行う」保全を 実現して、プラント安全性と設備信頼性を確保するとともに、 顕在化しつつある諸課題に対応 *RCM(Reliability-Centered Maintenance) RCMのねらい 故障による影響の大きな部分にメンテナンスのリソースを投 入することで、安全性、コンプライアンス、運転信頼性、経済 性を向上させる。 4 米国におけるプラント保全方法の進展と関西電力の取り組み AP-913 保全高度化活動 の充実 保全最適化 技術の統合 (PM, CM, PdM, On-line Monitoring) 保全高度化活動 CMMS 予知保全/能動的保全 航空機産業 RCM M35システム 振動監視 電力RCM RCMに関する基礎研究 予防保全 事後保全 1930’s 1940’s 1950’s 1960’s 1970’s 1980’s 1990’s 2000’s 保全高度化活動:保全の最適化を目指した保全内容・周期の見直し活動(RCM) M35システム:発電所設備の保全計画・仕様管理・予算管理等の総合プログラム 5 RCMの歴史 (1) 航空業界での適用事例 6 航空業界におけるRCM適用の歴史 ○1950年代後半: 故障データの統計分析による調査により、従来の時間計画保全(TBM)の考え方 は故障率をコントロールする上で必ずしも有効でない 11%は運行 年次の制限 により利益 を得る 89%は運行年 次の制限によ り利益を得ら れない 部品構 成比率 4% A.バスタブ曲線。初期故障率領域に続いて 故障確率は一定または徐々に増加し、 次に顕著な「摩耗領域」に入る。年次限 界が望ましい 2% B.故障率が一定または徐々に増加した後、 顕著な「摩耗領域」に入る。この場合も年 次限界が望ましい 5% C.故障確率は徐々に増加するが、摩耗領域 年次は識別できない。この場合一般に年 次限界を設けることは望ましくない。 7% D.アイテムが新しい場合または工場を出た ばかりの場合は故障率が低く、その後急 に増加して一定レベルになる。 14% E.全ての年次で故障確率が一定である。 (指数関数的残存分布を示す) ユナイテッド航空では、複雑なア イテムと単純なアイテムとの故 障パターンの違いは保全にとっ て重要であると考え、航空機コ ンポーネントについて多数の条 件付き故障確率曲線を作成 → 6つの基本パターンに分類 F.初期故障率領域の後、故障確率は一定ま たは極めて緩慢に増加する。 68% ○1960年代後半: 保全計画の設計一般に適用できる方法を考案。 これがRCMの考え方を適用した最初の試み ⇒メンテナンスコストを抑えながら、安全性、信頼性を向上させることに成功 7 RCMの歴史 (2) 原子力発電所への適用 8 米国におけるRCMの原子力への適用 米国のEPRIが主導となって原子力発電所でのパイロットスタディを実施 1985 Turkey Points 原子炉補機冷却水系統 1986 McGuire 主給水系統 1987 San Onofre 補助給水系統 1.検討対象システム の選定 CCW系統の選定 2.システム境界、 機能の明確化 CCW系設備やサブシステムについて FSI (Function Significant Items)の識別 3.機能故障に至る 故障モードの抽出 各FSIに対してFFA (Functional Failure Analysis)の実施 4.故障モードの 重要度分類 FFAで拾い出された各種の機能上の 故障に対してFMEAを各FSIに適用 FMEAにより選択された重要故障や 5.重要度に応じた 故障モードをFTAにより5つの保全内容 適切な保全作業選択 に分類 効果的であるとの評価 EPRIを中心としたRCMプロジェクトの推進 ・22の電力会社でRCM Users Groupを結成 ・San Onofre, Ginnaの12~20系統に適用されている他、導入プラントが増加 9 関西電力における信頼性重視の保全活動 (1) RCMの研究 10 関西電力におけるRCM研究 ○1990年: 美浜3号機余熱除去系統(RHRS)、燃料取替用水系統(RWS) を選定して、RCM解析を実施 1.検討対象システムの選定 対象として、余熱除去系統(RHRS) および燃料取替用水系統(RWS)を 選定。 余熱除去系統の例 機種機能 プラントの機能 基本機能 系統図の境界を系統の境界に設定。 系統内に含まれる機器について、プラ ントの機能(通常プラント運転、安全性 の確保、廃棄物の処理、被ばく低減)毎 に系統が有する基本機能を明確化。 (補助) バウンダリ維持 起動停止時の残留熱の除去 ○ ○ 起動停止時の1次系の圧力制御 ○ ○ 定検時のキャビティ水張り、水抜き ○ ○ 通常プラント 運転 サンプリング 被爆低減 ○被ばく低減 ○ × × × × ○ ○ × × 保守・保修 × × (1)定検時のキャ (1)LO C A 時の低 ビティ 試験水張り、水 圧注入 抜き ○ ○ システム機能 システムの 2.システム境界、機能の明確化 加圧 (送水) 具体的 熱交換 圧力制御 体積制御(補給) 安全性の確保 RCPB の維持(1)再循環時の炉 (1)起動・ 停止時 の残留熱の除去 心冷却 (2)再循環時の 過圧防護 ブースティング Tspecの満足(3)N on LO C A 時 の長期炉心冷却 (1)起動・停止時 運転状態の表示 の1次系の圧力 制御 廃棄物の処理 貯蔵 浄化 (1)停止時の1次 冷却材の浄化 分離 11 3.機能故障に至る故障モードの抽出 加 圧 (送 水) 機種機能 具体的 システム機能 検討対象とすべき機能故障とそれに 至る故障モードを網羅的に抽出。 4.故障モードの重要度分類 機能分析/機能故障分析で抽出し た機器レベル故障モードの重要度を、 安全性、プラント稼働率の観点から 定めるため、フォールトツリー(FT)図 を作成して信頼性評価を実施。 さらに、被ばく量評価を行い機器レ ベルの重要度を決定。 部品レベルの重要度評価を行い、部 品レベル故障モードの重要度を決定。 重要度評価項目の充実 安全性、プラント停止可能性のみならず、信頼性、 被ばく量等も加味して評価を実施 機器故障モード バウンダリ維持 起動 運転継 圧力 失敗 続失敗 低下 起動停止時の残留熱の除去 ○ ○ × ○ × 起動停止時の1次系の圧力制御 ○ ○ × ○ × 定検時のキャビティ水張り、水抜き ○ ○ × ○ × サンプリング ○ ○ × ○ × RCPBの維持 × × × × × 過圧防護 × × × × × Tspecの満足 ○ × ○ ○ ○ 運転状態の表示 × × × × × 保守・保修 × × × × × 試験 ○ × ○ ○ ○ 腐 食 異常モード 割 れ コエ ス 全 ロロ キ ーー S 面 孔 電 マ C 腐 食 食 ジジ 腐 C 食 食 ョョ ンン 部品名 主軸 疲 労 割 れ 延 性 割 れ 摩 耗 遅 れ 割 れ フ レ ッ テ ィ ン グ 摩 耗 ア ブ レ シ ブ 摩 耗 エ ロ ー ジ ョ ン ○ 変形 塑 性 変 形 ク リ ー プ 性状変化 材 質 変 化 放 絶 射 縁 線 劣 劣 化 化 剥離 その他 剥 離 焼 ゆ か き る じ 付 み り き ○ キー ○ 羽根車 ○ インペラリング ○ ○ 廻り止め座金 ボルト 起動失敗 ケーシング 運転継続失敗 安全性 プラント稼働率 B C プラント信頼性 ○ ○ ○ ○ ○ 座金 C - D A D C D 小漏えい B D C C 冷却不可能 C D D D 冷却能力低下 - D - D 系外大漏えい B D C D C ○ 総合評価 A B C D D ○ C ○ C C ○ - ○ ○ 被曝量 C ケーシングカバー 余熱除去ポンプ 圧力低下 ケーシングリング 大漏えい 余熱除去クーラ 大漏えい 小漏えい ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 定量的評価 C C C D ○ C D C D ○ 国内外PWRにおける故障データ、PSAデータを 閉塞 C D D D ○ 用い、機器故障発生可能性の定量評価を実施 系外小漏えい 系内大漏えい 12 5.重要度に応じた適切な保全作業選択 重要度に応じた保全を検討するためのロ ジックツリーを作成。 ロジックツリーに従って、具体的な保全方 法・内容の検討を実施。 判断基準の明確化 保全作業選択ロジックツリーの判断基準を明確にし、 標準化を図る 機器名: 余熱除去ポンプ 部品名 重要度A 発生経験は あるか 主軸 重要度B No 発生経験は あるか Yes 有効な対策は Yes 実施されているか No 有効な対策は 実施されているか 機能 動力伝達 部品レベル異常モード 疲労割れ 原因 機器レベル故障モード 重要度 形状不良(切欠) 運転継続失敗 - 残留応力 起動失敗 B(S) 残留応力 運転継続失敗 - 組立不良 起動失敗 B(S) 残留応力 運転継続失敗 - 組立不良 起動失敗 B(S) 過大トルク (影響なし) D 大漏えい A 小漏えい B 強度不良 No フレッティング疲労 ワレが起点 初期欠陥 Yes 塑性変形(曲がり) 現状の保全は 妥当か No Yes 塑性変形(肩部) No キー 動力伝達 塑性変形 強度不良 勘合不良 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ケーシング 耐圧 ケーシングカバー エネルギー変換 疲労割れ 初期欠陥 強度不良 残留応力 塑性変形 TBM (現状どおり) TBM (頻度変更提案) CBM (保全の提案) 保全内容検討結果(余熱除去系統) 機器 機器数 部品数 余熱除去ポンプ 余熱除去クーラ 計装関係 電動弁 逃がし弁、手動弁等 計 2 2 12 18 30 64 82 64 85 1142 812 2185 削減 0 0 40 56 107 203 保全内容 現状通り 78 64 45 1044 652 1883 充実 4 0 0 42 9 55 代表例 ケーシングボルト・ナットのトルク管理追加 ポンプ出口圧力計ループ試験廃止 ポンプ入口電動弁弁棒本体PT追加 クーラバイパス弁リンクのゆるみ点検追加 13 RCM研究の成果 現状の保全の妥当性の確認、保全の充実、合理化の提言 ができ、RCM手法が保全計画策定の有効な手段となりうる ことが確認できた。 本手法は、体系的・網羅的に評価、検討を実施しているため、 必然的に検討項目、検討対象は幅広くなるため、検討に要 する時間、労力も相当必要。 実機への適用にあたっては、体系的という本手法の特徴を 十分に活かしながら、手法の合理化を図っていくことが有効 【RCM的考え方を保全に取り込む上で以下の事項を考慮】 ➢ 最新の技術知見、過去の運転保守経験を踏まえた上で、設備の特異性、部位レベルの劣化 故障情報を反映した保全基準を適用。 ➢ 定期的な分解点検に加え、劣化故障状況を検知する技術(状態監視)を適用。 ➢ 設備の部位ごとの劣化故障寿命評価等に応じた点検周期の適用。 14 関西電力における信頼性重視の保全活動 (2) RCMの導入 15 保全指針の開発 RCM研究の成果から得られた、故障の影響の大きい部位を明確にして保全することが 重要との知見を当社の保全に反映。 設計者サイドからの 故障モード抽出 ユーザサイドからの 故障モード抽出 重要機器の保全ポイント最適化 (1)設計要求事項から確認が必 要な部位別故障モードを抽出 (2)機器別潜在故障モードの整理 及び評価用ワークシート作成 ・経年劣化研究600モード ・PLM等 (1)各発電所の過去の不具合 抽出(初回定検~現状まで) (2)現状の点検内容、頻度、 寿命評価状況確認 保全方針決定テンプレート テンプレートの基本的考え方 機械:27種類 (1)フロー図により保全の考え方の落とし込み。 電気: 4種類 (2)フロー図各ゲートの考え方の整理。 計装: 4種類 (3)各ゲートの考え方には次の項目等を盛り込んだ。 ・CBM、TBMの可否。 ・状態変化の発生時期。 ・予備機有無。 ・製作段階で評価済または、設備改善済 ・寿命評価値と現状との比較等 故障モード ① 保全方針決定テンプレート解説 フロー 番号 (3)他社・海外プラントの 不具合情報 保全指針決定テンプレート 項 解 Y 状態監視技術が適用できる。 CBM技術 ・振動診断 安全・出力影響機器 「原子力発電所の品質保証指針(JEAG-4101 系統及び機器が果たすべき機能の重要度に応 適切かつ一貫 ① ② N 目 CBM可能? 保全ポイントの整理 保全指針 余熱除去ポンプ 保全指針の例 機器(部位)毎に保全ポイントを整理 保全ポイントワークシート(余熱除去ポンプの例) 部位 全体 故障 モード - 潜在故障モードに 設計要求事項に よる保全確認内 よる保全確認内 容 容 - - 点検 モード 機能 確認 点検 点検内容 判定基準 保全決定根拠 周期 点検内容 *傾向管理 を行い機能 に著しい低 下がないこと ・流量 307m3/hを 下回らないこ と。 ・揚程 85 .5mを下回 1F a.運転条件 フルフロー運転 b.機能確認項目 ・流 量 ・揚 程 ・振 動 (点検内容の根拠) ・全体確認としてポ ンプの機能が確保 されていることを確 機器 名称 点検 モード 部位 機能 全体 A- 余熱除 確認 去ポン TBM 主軸 プ CBM 玉軸受 故障 モード 点検 内容 点検 周期 分解 - 試運転 1F ○ き裂 UT B ○ 摩耗 振動 診断 X B ○ 6F ○ TBM 主軸/軸 受はめ合 い部 摩耗 寸法 計測 TBM 主軸段付 き部 き裂 VT/PT 6F F:燃料交換サイクル 出入口 メカニカル フランジ パッキン取替 シール取替 12F 2F ○ 16 B:分解時 X:適宜 保全指針の運用 ○プラント停止時に偏重している 保全の見直し ○設備診断技術の積極的な導入 DO&CHECK ○炉型毎の系統及び機器の機能 定義 ○保全重要度分類基準の定義 ○機種毎の故障モード分析に基づ く標準テンプレートの作成 ○保全活動管理指標の定義 事前評価 運転中 停止中 保全対象とな る機器の分類 パフォーマンス 管理/状態監視 予防保全の 実施 劣化 ○保全指針の見直し (発電所間のばらつきの是正、劣化メカ ニズム整理表との照合) ○系統及び機器の機能と保全指針 との紐付け PLAN&ACT 保全 サイクル 是正処置 保全見直し 継続的な機器信頼性向上 系統及び機器の保全重要度、使 用環境などに応じて、保全の内容 を決定する。(状態監視保全、分 解点検等の保全タスクとその頻度 の設定。) 17 保全総合システム(M35) P 工事計画 工事設計 D 工事実施 保全総合システム 連携 設備技術情報管理 (設備管理体系・仕様) ・工事計画 ・工事設計 不具合懸案管理 ドキュメント 管理システム 点検データ ・保全指針 ・標準工数 予算執行管理 各種データ分析 支援ツール A 保全指針 見直し 保全の有効性評価 データ分析 C 設備評価 (点検・補修等の結果 の確認・評価) 18 関西電力における信頼性重視の保全活動 (3) RCMの改良 19 運用結果からの課題と対応方策(1/2) 系統機能の影響度および保全重要度を明確にして管理することが必要 系統機能整理表(Sheet2)の作成 保全計画の策定に先立ち、保全対象範囲について系統毎の範囲と機能を明確にし、 重要な系統を選定。 保全重要度の決定 安全機能、リスク情報等を勘案して、保全重要度を設定し、グレードに応じた保 全活動を行う。 20 運用結果からの課題と対応方策(2/2) 発電所間の同種機器の保全指針で、説明困難なばらつきを是正することが必要。 保全指針と、電力共通のものとして作成された劣化メカニズム整理表とを照合し、保全指針の機 種分類、部位・故障モード及び保全タスクの過不足を抽出し、保全指針の改善を図った。 同種の保全指針における発電所間の相違について、各発電所の同種設備担当者によるレ ビュー会議(エキスパートパネル)を行い、保全指針の改善を図った。 <劣化メカニズム整理表(電力共通)> 区分1 区分2 区分3 区分4 参照先1 参照先2 参照先3 ポンプ 遠心ポンプ タ-ボポンプたて置きうず巻き - 余熱除去ポンプ、給水ブースターポンプ 22 P um p-V ertical - 機器機能 部位1 部位2 <保全指針(関電:C発電所)> 余熱除去ポンプ 劣化メカニズム ポンプの容量-揚程確保 主軸 ポンプの容量-揚程確保 羽根車 ポンプの容量-揚程確保 ケーシングリング バウンダリの維持 ケーシング バウンダリの維持 ケーシング 照合 保全項目 ( 検知方法) 部位 劣化モード選定 因子 要否 主軸 故障モード 潜在故障モードによる (劣化モード) 保全確認内容 き裂 過去に不適合事例として経 験しているため、定期的に 目視、PT検査にて確認する 必要がある。 設計要求事項による 点検モード 点検内容 保全確認内容 定期運転時、振動計測を行っ TBM VT/PT ており、主軸に大きな損傷があ れば振動増加による検知がで きるものの、微小な損傷等で は検知ができない。 判断基準 保全決定根拠 1.VT (保全選定根拠) 表面に機能・ 当該部位の割れについては、羽根車座金の材料 性能に影響を 変更実施により対策済みであるが、すべりによる 高サイクル疲労割れ 運転時間 目視点検、PT、振動 及ぼす恐れの フレッティング疲労き裂は、完全に否定できないた キャビテーション 流速、圧力 目視点検 あるき裂、打こ め健全性を確認する必要がある。 余熱除去ポンプ ん、変形及び (点検内容の根拠) 故障モード 潜在故障モードによる 設計要求事項による 部位 点検モード 点検内容 判断基準 保全決定根拠 摩耗 運転時間 目視点検、寸法計測 摩耗がないこ き裂等を確認できる検査としてVT検査・PT検査を (劣化モード) 保全確認内容 保全確認内容 と。 選定した。 主軸 き裂 過去に不適合事例として経 定期運転時、振動計測を行っ TBM VT/PT 1.VT (保全選定根拠) 疲労割れ 材料、水質 目視点検 (点検周期の根拠) 験しているため、定期的に ており、主軸に大きな損傷があ 表面に機能・ 当該部位の割れについては、羽根車座金の材料 分解点検周期に合わせて実施する。 目視、PT検査にて確認する れば振動増加による検知がで 性能に影響を 変更実施により対策済みであるが、すべりによる 応力腐食割れ 材料、温度、水質 目視点検 必要がある。 主軸/羽根 摩耗 きるものの、微小な損傷等で 及ぼす恐れの フレッ ティ 温度急変により、主軸肩部 - TB Mング疲労き裂は、 はめ合い部完全に否定できないた 摩耗変化がな (保全選定根拠) は検知ができない。 あるき裂、 打こ め健全性を確認する必要がある。 車はめあい が降伏し、局部当たりが発 寸法測定 いこと。 RHRPについては熱過度を受ける部位であり、過 余熱除去ポンプ ん、変形及び (点検内容の根拠) 部 生する。ポンプ分解時に当 去にフレッティング摩耗が発生した実績があり、定 故障モード 潜在故障モードによる 設計要求事項による たり部を修正すると減肉が 期的な点検が必要。 部位 点検モード 点検内容 判断基準 保全決定根拠 摩耗がないこ き裂等を確認できる検査としてVT検査・PT検査を (劣化モード) 保全確認内容 保全確認内容 と。 選定した。 進行し、相対位置が変化し (点検内容の根拠) 主軸 き裂 過去に不適合事例として経 定期運転時、振動計測を行っ TBM VT/PT 1.VT (保全選定根拠) (点検周期の根拠) て組立不能となる。 摩耗量が把握できる寸法測定を選定した。 験しているため、定期的に ており、主軸に大きな損傷があ 表面に機能・ 当該部位の割れについては、羽根車座金の材料 分解点検周期に合わせて実施する。 定期的に寸法計測にて確認 (点検周期の根拠) 目視、PT検査にて確認する れば振動増加による検知がで 性能に影響を 変更実施により対策済みであるが、すべりによる する必要がある。BM 分解点検周期に合わせて実施する。 主軸/羽根 摩耗 微小な損傷等で 温度急変により、主軸肩部 - はめ合い部 摩耗変化がな (保全選定根拠) 必要がある。 きるものの、 及ぼす恐れの フレッティT ング疲労き裂は、 完全に否定できないた 車はめあい 寸法測定 いこと。 RHRPについては熱過度を受ける部位であり、過 は検知ができない。が降伏し、局部当たりが発 あるき裂、打こ め健全性を確認する必要がある。 部 生する。ポンプ分解時に当 去にフレッティング摩耗が発生した実績があり、定 ん、変形及び (点検内容の根拠) たり部を修正すると減肉が 期的な点検が必要。 摩耗がないこ き裂等を確認できる検査としてVT検査・PT検査を 進行し、相対位置が変化し (点検内容の根拠) と。 選定した。 て組立不能となる。 摩耗量が把握できる寸法測定を選定した。 (点検周期の根拠) 定期的に寸法計測にて確認 (点検周期の根拠) 分解点検周期に合わせて実施する。 する必要がある。 分解点検周期に合わせて実施する。 主軸/羽根 摩耗 温度急変により、主軸肩部 - TBM はめ合い部 摩耗変化がな (保全選定根拠) 車はめあい が降伏し、局部当たりが発 寸法測定 いこと。 RHRPについては熱過度を受ける部位であり、過 部 生する。ポンプ分解時に当 去にフレッティング摩耗が発生した実績があり、定 たり部を修正すると減肉が 期的な点検が必要。 進行し、相対位置が変化し (点検内容の根拠) て組立不能となる。 摩耗量が把握できる寸法測定を選定した。 定期的に寸法計測にて確認 (点検周期の根拠) する必要がある。 分解点検周期に合わせて実施する。 事象 <保全指針(関電:B発電所)> <保全指針(関電:A発電所)> <保全指針(関西電力)> エキスパートパネルによる 劣化メカニズム整理表と 代表保全指針の照合 横通しの確認 個別の保全指針 (約12,000指針) へ順次展開予定 保全指針の発電所間の相違 をレビュー 21 保全プログラムに基づく保全活動の実施 以上の取り組みにより、保全重要度を設定して優先度を明確にするとともに、劣 化メカニズムに基づいた体系的な保全計画を策定した。 さらに、保全計画は点検結果や最新知見等に基づき継続的な改善を図っている。 系統機能整理表の作成、保全重要度の設定 保守管理 保守管理の実施方針及び目標策定 保全 保全対象範囲の策定 保全重要度の設定 保全計画の策定 (点検計画体系化) 是不 正適 処合 置管 理 保全活動管理指標 の設定 保全活動管理指標 の監視 保全の実施 体系的な保全計画の策定 劣化メカニズム 整理表 保全指針 点検・補修等の結果 の評価・確認 保全の有効性評価 保全計画の見直し 保全の実施 保守管理の 有効性評価 保全の有効性評価 22 保全の有効性評価、保全計画の見直し ○保全計画の見直し ○保全の有効性評価 点検の結果を評価し、保全内容の妥当性を検証 点検頻度の 見直し 手入れする前の状態がよく、現状の保全が よく機能していることが確認された例 保全内容 分解点検 No. 1 機器名 点検モード ほう酸ポンプ 定期点検 定期点検 定期点検 定期点検 状態監視 定期点検 定期点検 定期点検 故障モード 部位 ・・ 手入れする前の状態が悪く、保全内容の 見直しを検討する必要がある例 ・・・ ( 劣化モード) 主軸 き裂1 主軸 き裂2 主軸 き裂3 主軸キー溝部 き裂 主軸( 径変化部) き裂 主軸 経年変化 周期 目視点検 PT 事象 主軸 摩耗 5年 主軸 疲労割れ 5年 ○ ○ ウェアリング 摩耗 5年 軸受 摩耗 5年 軸受 摩耗 3ヶ月 パッキン類 劣化 5年 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 潜在故障モード による保全 - 設計要求事項による保全 全体 1年 確 認 内 容 確認内容 点検モ ー ド ( 項目,実施時期,寿命評価) ( 確認項目と判定基準) ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 部位 93A -1型については、主軸とサーマ - ルスリーブとの半径方向隙間部に 生じるサーモサイホン現象を防止す るため順次改良型サーマルスリー ブに取替中である。 スリーブ取外し 後の主軸表面に熱 63型、 93A 型については、 サーマル - スリーブ下端の空気抜き穴から主 軸とサーマルスリーブの環状部に 熱水が侵入する可能性がある。 ( 確認項目) 93A型RCP主軸の軸受直下コー - ナーR部で疲労によると思われるP T指示が認められている。( 1.5R) 定期的に当該部の健全性を確認す る必要がある。 ( 確認項目) PT及びVT 主軸キー溝( 羽根車キー溝) のコー - ナーRが無いと応力集中により疲労 破壊を起こす可能性がある。 主軸キー溝のコーナーR寸法を規 定し ており 、 定期的にP T 及びV Tに - 主軸の径変化部は応力集中部であ り、疲労割れの可能性があることか ら、PT及びVTにより当該部の健全 性を確認する必要がある。 ( 確認項目) PT及びVT ( A) 主軸は回転中に熱遮蔽装置と 接触 運転中の摺動による摩耗等の可能 する可能性があるため、供用期間 性があり、インターナル分解毎に確 中での主軸の振れを計測し基準値 認が必要 内であることを確認することが必 ( 確認項目) 要。また主軸の当該部の直径計測 ・ ラビリンスシール部寸法計測 を行い経年的な摩耗の進行がない ・ 主軸 振れ計測 こと ( A ) カ ッの確認が必要。 プリングの変形、損傷が発生す カ ッ プリングキーはポンプ、シール る可能性がある。PTおよびVTによ の分解組立時に脱着を行う部分で り健全性を確認する必要がある。 あり、手入れにより嵌合いが甘く な ( 確認項目) るとポンプ起動・ 停止時にキーの変 PT及びVT 形、キー溝の変形、損傷を発生する ( A) +( B) 可能性がある。 ( 確認項目) PT及びVT 点検内容の 最適化 カップリング部キー 摩耗 変形 寸法計測 ○ ○ ・・・ - TBM TBM ○ ・・・ 点検内容 管理不要 TBM 試運転 ○ - TBM 振動 計測 ○ 管理不要 TBM 取替 ・・・ 判断基準 - ・・・ ・・・ ○ ・・・ - VT/PT 1.VT検査 ・ 表面に機能・ 性能に影響を及ぼ す恐れのあるき裂、打こん、変形 及び摩耗がないこと。 2.PT検査 ・ 浸透指示模様が設計・ 建設規格 に適合していること。 VT/PT 1.VT検査 ( 羽根車キー溝部)・ 表面に機能・ 性能に影響を及ぼ す恐れのあるき裂、打こん、変形 及び摩耗がないこと。 2 VT/PT 1. .P VT T検査 検査 ・ 表面に機能・ 性能に影響を及ぼ す恐れのあるき裂、打こん、変形 及び摩耗がないこと。 2.PT検査 ・ 浸透指示模様が設計・ 建設規格 ていること。 ・ 主軸の振れ計測 に適合し ・ 主軸の振れ計測 ・ ラビリンスシール TI R 0.03m m 以下 部主軸外径計測 ・ ラビリンス部主軸外径 ( トレンド管理) d1( 上、中) :251.86/251.99m m d2( 下) :235.25/235.36m m VT/PT 1.VT検査 ・ 表面に機能・ 性能に影響を及ぼ す恐れのあるき裂、打こん、変形 及び摩耗がないこと。 2.PT検査 23 状態監視の積極的な導入 実施目的 ① 異常の 早期発見 ② 状態監視の実施 健全性の 随時確認 ③ メンテナンス 最適化 期待効果 ○部材手配等余裕を持った工事計画 ○プラント停止リスクの低減 ○補修費用の低減 ○機器状態及び対応状況の常時把握 ○情報共有ツールによる見える化 ○機器カルテによる確実なPDCA ○機器の保全最適化 ○点検周期最適化(CBM化) ○いじり壊しのリスク低減 状態監視を行うことにより、運転中の健全性確認はもとより、時間基準保全 (TBM)の最適化を行うことで、運転中の故障リスクを低減し、設備の信頼性 向上を目指す。 24 データ分析の強化(状態監視データ) 振動診断の評価実施状況 処置実施 評価実施 ○振動診断 測定 計画 振動測定 ① 評価 不明 N 異常兆候 Y N 処置・対策 Y 緑 良好 黄 赤 監視強化 ① 処置 青 機器カルテ SAMPLE 紫 処置後監視 メーカ解析 振動診断 結果連絡 兼評価票 を発行 帳票+データ 保全サイクル毎に処置状況を集約 振動診断の周期・管理基準、分解点検の周期等の妥当性について評価 25 データ分析の強化(状態監視データ) 潤滑油診断の評価実施状況 ○潤滑油診断 保全サイクル毎に処置状況を集約 潤滑油診断の周期・管理基準、潤滑油の交換頻度、分解点検(軸受の点検)の周期等の妥当性について評価 赤外線サーモグラフィー診断の実施状況 ○サーモ診断 保全サイクル毎に処置状況を集約 1号機 サーモ点検作業有効性評価 温度が高い部位(ホットスポット) を検知した都度、端子部の増し 締め等の対応を実施している。 赤外線サーモグラフィー診断の周期の妥当性について評価 26 福島第一原子力発電所事故を受けた、今後の保全の取組み 福島第一原子力発電所事故の反省と教訓等を踏まえた、自主的、継続的な安全性向 上を実現していくために、その基盤となる枠組みであるリスクマネジメントの充実に取り 組んでいる。 そのリスクマネジメントのプロセスに則り、リスクインフォームドにより保守管理活動の科 学的合理性や説明性を高め、安全性向上につなげることを行う。 保守管理でリスク情報を活用してやりたいことは、 プラントの安全確保上重要な設備や相対的に脆弱な箇所を把握する。 ⇒これにより、保守管理にかかるリソースを重点的に配分でき、メリハリの利いた安全 向上を行うことができる。 保全活動に伴うプラントの安全性への影響をリスク情報により定量的あるいは時間変化 も併せて把握する。 ⇒これにより、必要な措置のプラント安全性向上にかかる効果を把握でき、継続的な 次の改善に資することができる。 ※リスク情報:PRAから得られる原子力発電施設のリスクの程度についての定量的な情報、構築物、系統及び機器のリスクへの寄与に 関する情報、それらの不確実さに関する情報、PRAの途中経過から得られる情報を含めた様々な情報の総称 ※PRA(Probabilistic Risk Assessment):原子力施設等で発生するあらゆる事故を対象として、その発生頻度と発生時の影響を 定量評価し、その積である「リスク」がどれほど小さいかで安全性の度合いを表現する方法。 27 保全におけるリスク情報活用の全体像 P 保全計画 ・保全方式 ・保全周期 ・保全時期 保全プログラムの最適化 保全活動に対するリスク評価 ▲検査への活用 保全重要度 D ・工程管理 ・安全管理措置 PRAモデル ・確率論的指標 (FV重要度、RAW、 ΔCDF、ΔCFF) ・シナリオ情報 ・保全活動管理指標 の活用 ・評価方法 ・評価基準 ・イベントツリー構成 保全管理 ・点検記録 ・保守状況 ・不適合情報 運転状況 運転時間 外部要員 等 停止時安全管理(リスクモニタ) ▲オンラインメンテナンス リスク情報 ・RCM評価 ・リスク基準 C 工事管理 機器故障率 ・算定方法 ・算定基準 ・機種分類 ・共用データ ・個別データ 保全DB ・ニューシア情報 ・電力個別のDB PRA関係 保全の有効性評価 赤字:短期的取組み事項 青字:中~長期的取組み事項 ・リスク情報活用方法、基準 ・従来の評価基準 A 保全活動に対するリスク評価 (PRAへの反映を含む) 科学的知見、運転経験、状態監視、保守履歴、劣化メカニズム ▲前兆事象評価 各保全プロセスでリスク情報を活用する際には、以下のようなPDCAサイクルを回すことが重要である。 リスクの特定 (リスク情報のインプット) リスクの分析・評価 (関係者での議論) 監 視 意思決定 (リスク情報の適用) 28 参考 スキルレコードシステム 各個人の能力開発目標の明確化と専門スキル修得状況の的確な把握・記録 を行い、自律的な能力開発を支援するとともに計画的な人材育成と活用にフ ィードバックする仕組みをいう。 専門スキルとは、業務を遂行する上で 必要な知識・技能 会社が期待する人材像 1.仕事を変革する(業務改善、経営変革) 2.仕事をきちんとこなす(業務遂行) 育成計画 部門 部門要員育成方針 研修計画 集合研修実施 eラーニング テキスト整備 【所属長】 OJT 個に応じた 要員育成計画 集合研修 eラーニング 専門スキル把握 結果集約・分析 【全社】 ↓派遣・業務指示 ↓面談↑ 自己啓発 プラン 【担当者】 職場意見交換会 各諸会議 人材育成上の 課題・ニーズ調査 専門スキル修得 各職場 スキルデータ 登録 サイクル を回す 自己啓発 集合研修 受講 スキル確認 業務スキル ↓面談↑ スキル判定 詳細スキル 専門スキル修得 状況把握 29
© Copyright 2024 ExpyDoc