ヒッグス粒子の生成過程 - 筑波大学素粒子実験室

低質量ヒッグス粒子の探索
DLMの性能評価
筑波大学 素粒子実験研究室 山田美帆
ヒッグス粒子とは
素粒子標準模型において唯一発見されていない粒子
素粒子に質量を与える元になる粒子として標準模型の中で
重要な位置を占めている。
ヒッグス粒子の生成過程
・グルーオン融合(gg→H)
終状態の似たものが多い
・ヒッグス放射(W→WH, Z→ZH)
終状態の似たものが少なく、区別しやすい
ヒッグス粒子の崩壊
ヒッグス粒子は自分より軽い最も重い粒子に崩壊しやすい
H  2mW
H  bb
H  2mW
H  WW
( Low Mass Higgs) 110 ~ 150 GeV
( High Mass Higgs) 160 ~ 200 GeV
今回は低質量ヒッグス粒子を探索する
終状態がレプトン+ニュートリノに崩壊するものを扱う
したがって、
WH  lbb
となるイベントを解析する
CDF
シリコン飛跡検出器
ジェットがbかどうか印を
つける(b-tag)
中央飛跡検出器
粒子の飛跡をとらえ
運動量を測定する
カロリメータ
・電子、光子のエネルギーの測定
中央:CEM 、前後方:Plug (Phoenix)
・ジェットのエネルギーの測定
ハドロンカロリメータ
イベントセレクション
1 lepton (e or m) + 2 tight jets + MET
1.2 < |h| < 2.5 (Plug electron)
Z veto , QCD veto (non W)
b-tag : at least 1 secvtx tag
Et依存性 : Central + Plug
h依存性 : Plugのみ
(全てのイベント)
Selection Criteria for making TF
Et jet>15GeV (tight jet |h|<2)
Et lepton >15GeV
MET>20GeV
Plug Electron events for Analysis
jet : tight jet (Et >20GeV)
b-tag : double secvtx
lepton (e) : Et > 20GeV (plug)
MET > 25GeV
ビーム軸となす角度


h   log  tan 

2
Dynamical Likelihood Method
理論的に計算できる崩壊行列を用いて、シグナルとバックグラウンドを識別
する解析手法である。
シグナルの場合理論的に計算できる断面積はバックグラウンドに比べて大
きくなるはずである。
WH  lbb
すべての過程が理論的に計算可能なので、イベントごとにこれらの過程
の断面積がどうなるか調べる。
d
LN
w
d
L : Likelihood (尤度)
d
: 断面積
d
w :トランスファーファン
クション
トランスファーファンクション
パートンレベルでyという物理量であった
とき、ある確率でx1もしくはx2という物理
量として測定される。
モンテカルロにより確率分布を調べる
パートンレベルの物理量
パートンレベルの物理量と測定された物理量の関係を表わす
DLMの性能を決めるために重要
・測定器の性能、特性、その他の効果を含んでいる
・確率として最尤関数に含まれる
W(x1|y)
y
W(x2|y)
x1
x2
測定された物理量
トランスファーファンクション
トランスファーファンクションはエネルギー依存性、角度依存性を持つ
したがって、ビーム軸垂直方向のエネルギーEt、ビーム軸となす角度hを
パラメータとして表わす。


h


log
tan


適当な変数変換でパラメータ化しやすくする
2



Et parton  Et
Et parton
,
Pt parton  Pt
Pt parton
,  parton   , h parton  h
Et parton  Et
Pt parton  Pt
Et parton
Pt parton
パラメータ化
 parton  
MC
MCとパラメータ化したTFはほぼ一致している
h parton h
トランスファーファンクション(電子)
110≦mH≦120
140≦mH≦160
120<mH<140
トランスファーファンクション(ニュートリノ)
Et parton  Et
Et parton
 parton  
110≦mH≦120
120<mH<140
140≦mH≦160
WH  lbb の解析
ヒッグス粒子の質量に対してどのような振舞いをするか?
ヒッグス質量
[GeV]
DLM期待値
[GeV]
110
117.644
120
128.497
130
128.377
140
138.599
150
151.060
Total  2  
2 log( L)
evtnum
ヒッグス粒子の質量に対して相関を
持っていることが分かる
バックグラウンド
シグナルとバックグラウンドの識別
tt
12event
single t
(s-ch)
33event
Wbb
25event
まとめ
やったこと
・Plug Electron イベントにおける、電子とニュートリノのTFの作成
・DLMのヒッグス質量の依存性の検証
・シグナルとバックグラウンドの識別
結果
・ シグナルモンテカルロのヒッグス質量の値とDLMの期待値がほぼ一致している(130~150GeVにおいて)
・ シグナルとバックグラウンドの識別ができている
したがって、ヒッグス粒子の質量探索においてPlug Electronを持つイベントに対してDLMは
機能している
→解析に用いることが可能
To Do
・110,120GeVでのDLM期待値の再計算
・シグナル(MC)と全バックグラウンドのセパレーションを行う
・ヒッグス粒子の断面積の上限を求める
Back Up
CDF
Breit-Wignerの共鳴公式
s=m2になったとき、2は最大になる。
つまり、 2が最大になるsをみつけて
やれば、それがヒッグス粒子の質量
ということになる。
1
2
 (E) 
(s  m 2 ) 2  m 2 2
s : 4-momentum
Formulation of likelihood function
Likelihood function of DLM:
Lhpart | M ( H  bb ) |2 
mH  / 
2
2
2
( s2 jets  mH ) 2  mH H
d
L path ( y | x,  )  N
w( y | x)
d
 N  Lhpart  Lwpart  L product
α: parameters (mH)
x: parton level variables
y: measured variables
w(y|x): transfer function
N: constant
 w jet1 ( Et jet , pt jet ,  jet ,h jet | Et parton, pt parton,  parton,h parton)  w jet 2 ( Et jet , pt jet ,  jet ,h jet | Et parton, pt parton,  parton,h parton)
Lwpart | M (W  l l ) |2 
1
 wl ( Etl , ptl , l ,hl | Et parton, pt parton,  parton,h parton)  w ( Et ,  | Et parton,  parton)
2
2
2
( sl  mW ) 2  mW W
L product  I (a, b) | M (ab  W ) |2  | M (W  WH ) |2 
2016/7/9
1
2
2
2
( sW H  mW ) 2  mW W
CDF-Japan meeting
Formulation of likelihood function
Squared absolute value of matrix element:
2
g 2 mb
2
| M ( H  bb ) | 

4
(
p

p

m
)
b
b
b
2
4mW
2
2
2
2 2 1 1
| M (W  l ) |  gW (     )( kl  k )
3
2 2
2
| M (W  WH ) |  ( gW mW )
2
2
2

( pH  pW )  pW 
(2 
)
mW
2
4
2
2 2 1 1
| M (ab  W ) |2  gW (     )( k a  kb )
3
2 2
s2 jets , sl , sW H : squared invariant mass of 2 jets( Higgs ), lepton  (W ) and WH (W * )
kl , k , pb , pb : 4  monemtum of lepton, neutrino, b and b ( parton level )
mH , mW , mb : mass of Higgs , W , and b
H , W : decay width of Higgs and W
g : coupling constant
g
gW 
W : Weinburg angle
cos W
2016/7/9
CDF-Japan meeting
WH→lbb
WH→lbbは理論的にMatrix
ElementとPropagatorの積によって
表わされる。
Vertex : Matrix Element
Inner Line : Propagator (Breit-Wigner)
Et-Et and Et-h
Pt-Et and Pt-h
 -Et and  -h
h-Et and h-h
Et-Et (e)
 -Et (e)