ビジネスの情報 2011年4月号

毎月レポート
ビジネスの情報
(2011年4月号)
ビジネスの情報
2011年4月号
■女ごころをくすぐって躍進中。ワクワク、カワイイ「300円ショップ」。
店内には、エプロン、靴下、帽子、Tシャツ、カバンなどの服飾雑貨。スリッパ、写真立て、時計、ぬいぐるみ、財布、iPhone
ケース、お弁当箱、水筒、キッチン用品といった生活雑貨。アルバム、ノート、スケジュール帳などの文具。ネックレス、ピア
ス、コサージュ、指輪などのアクセサリーといった小物類が所狭しと並びます。まさに、カワイイ小物の宝の山。しかし、それ
ぞれの商品に値札は付いていません。それは、店内にある物すべてが300円だからです。300円以外の物は売っていません!
ここは、「ミカヅキモモコ」。300円均一ショップ、いわゆる“300均”を代表する人気店です。スタートは1999年、文具メー
カーを経営していた現社長が、寿命の短いファンシーグッズの在庫を処分するためにアウトレット的な位置づけで始めたのがき
っかけでした。300円という価格は、当時流行っていたプリクラの値段を参考に設定したといいます。同店の“売り”は、ミッキ
ーマウスやプーさん、ピンクパンサー、セサミストリートなどのキャラクターもの。 店舗数68、売上高約28億円。1店舗平均2
万点を超える商品が店頭に並び、売り切った時点で再入荷はしません(商品自体のストックがないので)。そのため1カ月で店頭
のほとんどの商品が入れ替わります。おのずと、訪れる客にとっては、いつも新鮮なサプライズが味わえるということになりま
す。 大手「300均」チェーンの中でパイオニア的存在であり売上高もトップなのが、1994年創業の「3COINS」です。品揃えは、
生活雑貨と服飾雑貨が中心ですが、運営がアバレル専門会社のため、ファッション関連商品が充実しているのが特徴。店舗数65
、売上高約81億円。また、店舗数32の「CouCou」は、店頭販売と共にオンラインショップも展開しています。 「えっ!これがホ
ントに300円!?」「先週、これとそっくりなモノを1,000円で買っちゃった!」……100円ショップが男女不問のターゲットで実用
的な品揃えが中心なら、300円ショップはターゲットを完璧に女性に絞り込み、ティーンズからOL、50代の主婦までと、年齢を超
え夢見る乙女ごころをくすぐる品揃えで集客を図ります。今後も、“500均”“1,000均”というように、ワンプライスショップ
が様々な発展形を見せながら増殖を続けていきそうです。※文中の「店舗数」はすべて2011年2月現在。「売上高」は2010年時。
参考:ミカヅキモモコ http://www.momoko300.com/ スリーコインズ http://www.3coins.jp/
クークー http://www.coucou.co.jp/ 日経MJ(2011年1月19日付)
■ペットも高齢化社会へ。急拡大する「超高齢向けペットフード」市場。
人間の高齢化に比例して、というわけでもないでしょうが、飼い犬・飼い猫たちにも高齢化の波が押し寄せています。
犬13.9歳、猫14.4歳が、国内で飼われているペットの平均寿命で、犬全体の約46%、猫全体の約38%が7歳以上の高齢ペットと
いわれています。 高齢ペットといえば、これまで7歳以上が目安とされていましたが、もはやこのレベルでカバーすることが難
しくなるほどペットの長寿化が進行し、最近では「13歳以上」「15歳以上」と各社、対象年齢を大きく引き上げた商品を投入し
ています。15歳以上の超高齢ペットの特徴は、加齢に伴って基礎代謝量が低下。消化する力が衰え、食事の量も減っていきます
。さらに、歯が抜けるなど口腔内のトラブルで硬い物が食べづらくなります。ペットフードメーカー各社は、これらの“症状”
に着目し、超高齢ペットたちの健康をサポートするための様々な商品を開発・販売しています。 [日本ヒルズ・コルゲート]は
、昨年9月、「サイエンス・ダイエット」ブランドから「シニア アドバンスド」を発売。13歳以上の高齢犬と14歳以上の高齢猫
を対象に、関節の健康維持に役立つ成分を配合した商品です。[ユニ・チャーム]からは、超高齢猫向け「ねこ元気 腎臓の健康
維持に配慮 15歳が近づく頃から」を発売。同時に超高齢犬用の「愛犬元気 ベストライフ」も発売。どちらもビタミンを多く配
合してあるのが特徴です。 「カルカン」でお馴染みの[マースジャパン]は、「カルカン ウィスカス」ブランドで15歳以上を
対象とした3種類のキャットフードを発売しました。「海と大地の6品目」は、肉と魚のベストバランスで免疫力の衰えをサポー
ト。しらす入りかつおのジューシーゼリー「味わいセレクト」と特製のだしで煮込んだ「極みだしスープ仕立て」はグルメ志向
のウェットタイプ。3種類とも、少量で栄養が摂れるように、カロリーは高めに設定してあります。 [アイシア]からは、「15
歳からの健康缶」が発売。歯の弱った猫でも舐めて食べられるようにと、かつお・まぐろ・ささみ3種類の「とろとろペースト」
シリーズです。[ライオン商事]は3月に犬用の「カラダメイト」シリーズを立ち上げ、クッキーとささみの4商品を投入。また
、[日清ペットフード]も3月に、5kg以下の小型犬の高齢化に対応した「いぬのしあわせ プッチーヌ超小型犬専用11歳からの高齢
犬用」を発売。ペットフード市場全体では横ばい傾向にもかかわらず、高齢ペットフード市場に限ると急成長。2010年の7歳以上
を対象にみると、対2003年比は2倍強、10歳以上ではなんと100倍にも達する好調ぶりを示しています(ユニ・チャーム調べ)。
※参考:日本ヒルズ・コルゲート http://www.hills.co.jp/ ユニ・チャーム http://pet.unicharm.co.jp/
マースジャパン http://kalkan.jp/ アイシア http://www.aixia.jp/ ライオン商事 http://www.lion-pet.jp/
日清ペットフード http://www.nisshin-pet.co.jp/ ㈳ペットフード協会 http://www.petfood.or.jp/
日経産業新聞(2011年1月26日付)
■高まるデリバリーニーズ。外食チェーンが「宅配サービス」に続々参入。
昨年12月、「日本マクドナルドが宅配サービスを開始」という衝撃的な情報が関 係者の間をかけめぐりました。外食チェー
ンの中でも一人勝ち状態を続けるマックの満を持しての新戦略は、あのNHKニュースでも取り上げられるほどの、まさに“ビッグ
ニュース”でした。 モデル店となったのは、東京・世田谷の「用賀インター店」。3台の受付専用の電話と5台の配達用バイク
を使い、注文は1,500円以上、10分で届けられる範囲(約3万世帯)に限定し試験的にスタートしました。狙いは、外出するのが
難しい子育て中の主婦や多忙なビジネスマン、共働き夫婦など。今春までに都内10店舗に拡大する予定。 長びく経済不安、少
子化による人口の減少、消費者の外食機会の低下などが主な要因となって苦戦が続き、市場の縮小を余儀なくされている外食業
界ですが、ここにきて環境は変わりつつあるようです。 600万人ともいわれる“買い物難民”の現状にも表れているように、外
出したくても叶わない高齢者単身世帯の増加、さらに節約志向による中食(なかしょく=外食と内食の中間)需要の増加、そし
て不況のあだ花ともいえる“巣ごもり消費”ブームなどなど、いまこれらが一体となって「宅配ビジネス」への追い風となり、
外食業界に一条の光が差し込もうとしているのです。 「ほっともっと」(プレナス)は、17~21時限定で700円以上の弁当宅配
サービスを昨秋から開始。 ワタミの子会社「ワタミタクショク」では、2008年から高齢者向け弁当宅配事業に着手。平日5日分
で一人2,700円。宅配寿司「銀のさら」や宅配釜飯「釜寅」を展開する「レストラン・エクスプレス」も、昨年6月、高齢者向け
弁当宅配の「キッチンベル」を立ち上げました。日替り弁当は650円。さらに同社では今年の3月から、カレーととんかつの宅配
も始めています。 たこ焼きチェーンの「築地銀だこ」(ホットランド)は、立ち飲みスタイルの「ハイボール酒場 六本木店」
で宅配サービスを実施。1,500円以上の注文が条件で半径500m以内限定、アツアツを徒歩で配達します。 デリバリーできる店舗
を増やしたとんかつの「かつや」(アークランドサービス)や居酒屋チェーンの「庄や」(大庄)では、メニュー内容などを病
院と連携しながら高齢者向け宅配弁当を強化。さらに、フレンチの老舗「マキシム・ド・パリ」は、独自の冷凍技術によって、
おせち料理などの宅配事業に乗り出しました。宅配市場は年々拡大を続け、もうじき2,500億円に届こうかという勢いです。はた
して外食各社にとって、国内市場の頭打ち状態を打破する活路となりえるか---大きな可能性を秘めている一方で、人件費と商品
の低単価による採算面の折り合いなど、いわゆる宅配専門業者ではない外食各社にとっては、多くの難題が待ち受けています。
※参考:日本マクドナルド http://www.mcdonalds.co.jp/ ほっともっと http://www.plenus.co.jp/
ワタミタクショク http://www.watami-takushoku.co.jp/ キッチンベル http://www.kitchenbell.jp/
築地銀だこ http://gindaco.com/ マキシム・ド・パリ http://www.maxim-s.co.jp/
外食産業総合調査研究センター http://www.gaishokusoken.jp/ 日経MJ(2011年1月19日付)