0.05V 差動増幅回路 ×100 5V

電気回路の基礎
2010/1/8
能見大河(ISSL M1)
まずは
皆さん、中須賀研にようこそ
 メンバー一同、みなさんの新人研修参加
を歓迎します

さっそく人工衛星を作ろう

の前に
どういう風に衛星ができているの
 どんな知識が必要なの

人工衛星とは

作る人の視点から見ると、衛星とは「組
み込みシステム」である

組み込み?
組み込みシステム

特定の機能を実現するためのコンピュー
タシステム
家電、自動車、携帯、自販機…
 汎用システム(PC等)と対比


ある限られた入力に対して、決まったパ
ターンの出力を返すシステム
外部条件の
変化
変換
出力
人間による
操作
x
f (x )
電話の場合
人工衛星の場合

基本は他の組み込みシステムと一緒
もっとも狭義の衛星設計
入出力間を正しく受け渡す回路を作り
 処理系のソフトウェアを書き
 それを適切な筐体に納める

本当はもっといろいろ

だけど省略


基本的には
ハードウェア:
電気回路
ソフトウェア:
C言語
が共通の前提知
識となる
C言語は3年夏の
学科講義科目
ここまでのまとめ
衛星設計とはざっくり言えば組み込みシ
ステムの設計である
 電気回路とCをよく使う世界である


航空の講義で拾えない、実践的な電気
回路の組み方について今回は少し。
構成部品
電気回路

回路ってどういうモノたちで構成されてい
るの?そいつら何すんの?
抵抗、インダクタ、コンデンサ



R,L,C
高校物理で習った?
抵抗(R[Ω])…電圧掛けると電流流すよ


コンデンサ(C[F])…電圧掛けると電荷
を貯めるよ


I=V/R
Q = CV
インダクタ(L[H])…電流変化させると電
圧を生むよ

V= -L * dI/dt
ダイオード

電流を片方向にのみ流す素子

整流用ダイオード
• 電源の逆流防止用など

発光ダイオード(LED)
• 光らせたいときに
• 整流には使えない
• 保護用に抵抗を挟むべし
トランジスタ



あらゆるIC、CPUにはこいつがいくつも入っ
ている、電気回路の隠れた主役
スイッチ、増幅用途に
自力でトランジスタ回路を組まずとも、同じ
ことをできる専用ICが手に入ることも多い
MOSFET




トランジスタの一種で、スイッチに良く使われる
ゲート・ソース・ドレインの3端子
ゲート・ソース間の電位差によってソース・ドレイン
間を開いたり閉じたりする
動作の違うP-chとN-chの2種類が存在
I
ゲートが
ソースより大きいと
スイッチオン
5V
I
0V
0V
ゲートが
ソースより小さいと
スイッチオン
5V
N-MOSとP-MOSでは回路記号中、矢印の向きが異なる
マイコン

マイクロコンピュータの略。


複数のI/O(入出力インターフェース)ピンを持つ
適切なプログラミングを行うことで、たとえば
• ピンAに電圧V1が外から入ったら、
• ピンBに2V1を出力し、
• ピンCからRS-232形式で文字列”V=V1”を送信
といった複雑な動作ができる
オペアンプ



信号増幅によく使われるIC
「センサの出力が最大100mVしかない!マイコン
で精度よく計測できない!」なんて時には間にアン
プを挟む
詳しい使い方は後半で。
レギュレータ


電圧を整える役割を持つ素子
一番簡単なものは3端子レギュレータ


20
15
入力、出力、グラウンドの3つしかピンが無いので使いやすい
たとえば6~20Vの間を暴れている電源を、きれいな5Vにして
出力
10
8
6
10
4
2
5
0
まとめ
R,L,C…基本要素
 ダイオード…整流、発光
 MOSFET…スイッチ
 オペアンプ…信号増幅
 レギュレータ…電源安定化
 マイコン…I/Oコントロール


これくらい分かればとりあえず色々作れる
何か作ってみる
例1:ダイオード点滅

仕様
単三電池で動く
 電源スイッチを入れるとダイオードが1秒
周期で点滅

回路設計例


単三電池4直列(約6V)をレギュレータで安定な5V
に変換してマイコンに供給
バイパスコンデンサとLED保護抵抗を追加
例2:マルチメータ(テスター)

仕様




単三電池で動く
スイッチで電圧測定と電流測定を切り替え
50V、1Aまで計測できる
計測値を液晶ディスプレイに表示
マルチメータ(2)

電圧測定


A/D変換できるマイコンのピンに分圧した電圧を入れる
未測定時には抵抗R3のおかげで入力端子が0Vに固定
され、表示される値が安定する(プルダウン抵抗)
V
0.1V
マルチメータ(3)

電流測定



抵抗を挟み、両端の電位差をA/D変換ピンに入れる
抵抗値が大きすぎると測定対象の挙動に影響を与えるが、
小さすぎるとマイコンで電位差を検出できない
ごく小さい抵抗を挟み、電位差をオペアンプで増幅
5V
0.05V
差動増幅回路
×100
マルチメータ(4)

残りの要素




電源まわりは先の例と一緒
スイッチの切り替えをマイコンに検出させる
マイコンからFETにより切り替え回路を駆動
測定結果を液晶モジュールに出力
まとめ
マイコンと基本的な素子で複雑な動作を
実現できる
 どういうスペックのもの作るのか、どうい
う構成でそれを実現できるのかをきちん
と設計しよう


安全に対する配慮もあるとなお良い
• 極性を間違えると炎上するテスターは嫌
終わり