第16課 マスコミ …における/において 体言+における+体言 体言+において(は/も) 「~において」は動作が行われる場所・場面・状況を表し 、格助詞の「で」で置き換えられるが、全てが「で」の用 法と対応しているのではない。なお、格助詞「で」は元々 「にて」が変化したものだが、今日では書面語だ。 李 :人生において一番大切なものは何なのだろう?あれ もこれもで、一つには絞り切れないなあ。 良子:私は健康だと思うけど。次は家族、その次はお金、 あれあれ、次々に出てきて頭がこんがらがってしまうわ。 李 :結論が出そうもないから、この件はこれにて一件落 着にしようか。ところで、今夜は何食べるの? 「で」と置き換えられる「において」 • 学校で(・において)勉強する。 <場所> • 外交で(・において)腕をふるう。 <場面> • その時点で(・において)決める。 <状況> 「で」と置き換えられない「において」 • 手紙で(×において)知らせる。 <方法> • 会社は5時で(×において)終わる。<刻限> • 癌で(×において)死んだ。 <理由> • 石で(×において)造られた家。 <材料> • 全部で(×において)いくらですか。<限定> • このまま人口増が続けば、遠くない将来において、食料 ・エネルギーの危機が現実のものとなるだろう。 • わが国としては、ポスト京都に向けた枠組みづくりにお いて、今後とも環境先進国としてのリーダーシップを発 揮してまいりたいと思います。 • 日本における外人、特に西洋人侵攻はいまだに根強く残 っている。 • 本公開講座では、地域毎の要求にも適う国際標準の策定 というW3Cの使命を反映し、中国におけるインターネッ ト利用に関する次のような様々な討論が行われます。 以上 1 • 数量・程度などを表す名詞の下に付けて、それより多い こと、また、優れていることを表す。数量を表す用法で は、その基準点を含む。 • 70歳以上の人は乗車無料となっています。 • 予想以上の良い成績をとりました。 以上 2 • 動詞の連体形・体言である+以上(は) • 「~以上(は)」は「~だから、当然・必ず ~」という意味を表す 原因・理由表現で、文末には「~なければならない/~べきだ」や 「~つもりだ」、「~たい」などの義務や意志・希望、「~はずだ 」、「~にちがいない」などの断定判断が多く使われる。この場合 は「~からにはや)「~上は」と同義表現となる。しかし、「~以 上」は因果関係がなくても、既定条件の場合に広く使える。例えば 、下の例文は条件(仮定)を表しているが、この場合、「~からに は/~上は」は使えない。 *あなたの同意がない以上(=なければ)、無断で掲載することはな い。 用例 • 学生である以上は、勉強を第一にしなければならない。 • 親である以上、子供を扶養する義務があります。 • 約束した以上は、どんな困難があっても、精一杯に成功 したまでしなければならない。 ―がましい • 名詞・副詞や動詞の連用形などにつく。 • いかにも…のようすだ。…らしい。 • 説教がましい • 批判がましい • うらみがましい • 非難がましい …ような…ような • 一緒に試合に参加した友達が落ちて、私が優勝したと聞 いて、うれしいようなうれしくないような気持ちだった 。 • 悲しいような懐かしいような複雑な気持ちである。 • その時の気持ちと云ったら、やめたいような、またやっ ていきたいような、複雑だった。 …ともなると • 体言+ともなると 形容動詞の語幹、動詞・形容詞の終止形+ともなると • 「・・・と言う程度の立場になると」の意味 • 「…ともなると」の「も」は、ある幅をもった範囲のうち、程度がそこ まで進んだことを表すから、「…」にはより程度が進んだことを示す名 詞が来る。 • 昼間も、日の当たることがないこのアパートは、冬ともなると冷蔵庫の ように冷え切ってしまうのだ。 • 普通の社員は毎日きちんとタイムカードを幼ければならないが、社長と もなるといつ出勤しても退社してもかまわないのだろう。 …かのように • 体言(×/である)、動詞・形容詞の終止形、形容動詞 の語幹+かのように • 「<実際はそうではないが>まるで~ようだ」(類似) を意味する • 実際はそうではないことが暗示されているため、「~ふ りをする」という意味や非難・軽蔑の感情を込めるとき はこの文型がぴったりだ。その際は「あたかも・さも」 という副詞と結びつことが多いだろう。例えば、「さも 知っているような態度」は「知っているふり」とほぼ同 義だ。 用例 • この度の金融破綻が、全て政府・与党の無能無策から生じたかの如 き主張は、我が党としては受け入れ難い。 • 彼の全身は、動くために必要な筋肉を全て凍らせてしまったかのよ うに、指一本も動かない。 • 祖父:自分の家での昔ながらの披露宴もいいもんじゃ。皆が集まる と、昔に戻ったかのようじゃ。 祖母:でも裏方はもう大変。台所は盆と正月がいっしょに来たよう でしたよ。 祖父:次男と末っ子にも、もう結婚相手が決まっとるかのようじゃ ったが、時が経つのは早いものじゃのう。 …たとたんに • 動詞の過去式+とたんに… • 「~した瞬間に~した」を表す同時・連続発生の表現で、後件で予 期しなかった突発・偶発事態の発生を表すのが特徴だ。そのため最 初から予定していた行動や意図的な動作には使えない。 • 李 :山田の奴、課長が出かけたとたんに居眠りかい。あれっ、や ばいぞ。課長が戻って来ちゃったよ。 課長:玄関を出ようとしたとたんに夕立が来てね。出かけるのは明 日にしたよ。 百恵:ねえ、山田さんったらあ、このプログラム、どうなってるの ?動き始めたとたんに画面が消えちゃったわよ。 • 私が出かけようとしてドアに鍵をかけたとたんに、電話がかかって きた。 …どころではない • 相手が予想していることと事実は大きく違う。 • 課長:ものはとりようだよ。「災い転じて福となす」と も言うしね。僕は君のチャレンジ精神を買うよ。 李 :課に御迷惑をおかけしたのに、叱られるどころか 励ましていただき感激です。 課長:君一人で背負い込むべきではない。それどころか 、これは会社全体として考えるべき大きな課題だよ。 • こまるなあ。こっちの仕事もないんい、他人のことどこ ろではない。 • 13歳の美智子の下に男ばかり3人揃っているのですか ら、やかましくて勉強どころではない。 …ほか(は)ない • 「~ほか(は)ない/~よりほか~ない」は、「~しかな い」のグループで、どれも「~以外にない/~以外の方 法はない」という意味を表し、それが唯一の選択である ことを強調する表現になる。 • こうなった以上、謝るほかはない。 • こんな大雨ではやめるほかはない。 • あの男は黙って艫(とも)の方の話声に耳を澄ませてい るので彼女も黙って座っているほかはなかった。
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