confidential 危機管理広報構築と実施 2011年2月11日 京都産業大学 大学院マネジメント研究科 コーポレート・コミュニケーションコース 講師守屋和明 前文 「危険性予測できず。 納入先さえ未公表。被害の拡大は行政と○○○○会社のもたれあい」 200X.5.28中日新聞掲載 「200X.2.23日本経済新聞掲載 等々過去、貴社を取り巻く環境、諸問題に関する報道は日に日に拡大の兆候があり、さらに一方的展開にあるとも思われます。 確かに社会的弱者や被害をこうむった側に立つマスコミ論調はやむを得ず、との感もありますが、企業の発信情報の意図することと 実際の報道には疑問を感じるものも多々あります。 日本企業の場合、一般的に企業不祥事が発生すると、かつては社内の責任者を処罰し、そのうえでトップが記者会見を開き、「えりを正す」 というメッセージを発して辞任すれば、不祥事の幕は引けました。しかし今日では、不祥事を起こさず、再発させない、具体的なしくみをつくら ないと市場は納得しない状況になってきました。裁判上の論争のみならず、XXXX企業という報道がなされることによる印象、さらに不祥事が もたらすダメージは、ブランド価値の低下、株価の下落、取引先や金融機関との信頼関係の損失、従業員のモチベーションの低下、それに ともなう売り上げ減という企業存亡の危機を生じる危険性があります。 従来、わが国においては、高度に発達した電波、印刷両マスコミ・メディア、さらに昨今ではインターネットメディアに対する適切な対応、特に 緊急事態における的確な対処法においては、まったく「後回し、掻き回し」に終始していることが多いのに対して、欧米では失敗を重ねながら、 少しずつ模索しつつ前進する傾向がみられます。 本来は構築していなければならない危機管理の具体的な方法、メディア側の歪み、取り扱い不備、曲解、狭量などから発生する、企業イメージ をめぐる「二次災害」への取り組みについても状況に適合した対抗策を構築することが、今後の企業リスクマネージメントの必須項目と考えます。 本プロジェクト提案は対マスコミ、対NPO、などを想定した危機管理広報の構築を目指したご提案です。 危機管理広報の必須項目 1.危機を予想する 会社が直面する可能性のある危機に、どのような事態が考えられるかを拾い出す。 例: ・会社経営に関係すること(買収、合併、財務危機、株価急落、脅迫など) ・人事に関係すること (役員、社員不祥事、待遇不平等、セクハラ、誘拐) ・製品・サービスの安全性に関係すること(欠陥商品、副作用、誤用、事故) ・工場、研究所、食堂、など施設に関係すること(火事、爆発、環境汚染、食中毒) ●社内アンケート調査、社内対面調査、外部調査機関による聞き取り ●予想される緊急事態リスト化、緊急度、重要度により分類、社内対策システム構築(危機管理組織の構築)、研 修による情報の共有化 1 危機管理広報の必須項目 2.緊急事態が惹き起す物理的結果を想定し、結果発生を予防し、もしくは影響を最小にとどめるための 対策を考える ●対策委員会設置、委員および外部危機管理専門家をいれたブレーンストーミング、対策提言、結果により社員研修、 対策マニュアル作成・研修、設備・施設の点検と改善など。 ●代表的緊急時対策の初動検証、トレーニング実施 3.緊急事態がマスコミの注目を浴びる事態を想定し、マスコミ報道による2次的損害を最小にとどめるよ う、対応対策を考える ●考えられる緊急事態に対する現時点における会社の立場について、社内および社外にどのように説明するか、会 社の基本方針を確認する。 ●マスコミがどのような問題点をついてくるか予想し、それに対する会社の立場について確認し、社員、マスコミ、一般 消費者を納得させるための説明方法を準備し、トレーニングなどを行ってコミュニケーション能力を備えておく。 ●マスコミの報道動向を常時モニターし、彼らの関心の度合い、方向、などについて把握しておく 4.一般消費者、ユーザー個人または団体等の対策についても、マスコミ同様に準備する ●代表的消費者団体、患者団体、その他の社会的問題を追及するグループの動向をモニターし、対策を策定、話し合 いのシミュレーショントレーニングをおこなう。 2 危機管理広報の必須項目 5.緊急時における社内情報伝達システムを構築、シミュレーショントレーニングを行って、実用性を検 証する ●緊急情報の伝達について、社内管理体制(イントラネットを含む)を検証し、情報漏えいによる 損害を最小とするシステムを構築しておく。 以上は緊急時全般に対する会社の危機管理を講ずるための必須項目を のべたものですが、現在、緊急に直面している問題については、つぎの実 施項目を講ずることが必要と考えられます。 3 緊急事態に関する対策構築 ▼考えられる緊急事態の定義出しと抽出 調査・分析 ホットイッシュウ ●緊急事態の内容、背景、社会的問題点(未解決問題点)、問題点に関する会社の立場、これまでの対応とその問 題点、などの総点検 (社内ヒアリング) ●これまでに社内、社外向けに作成し、配布した関係書類の総点検(社内ヒアリング) ●これまでのマスコミ対応記録 総点検 (広報ヒアリング) ●患者の会、消費者団体、薬害関係活動団体、その他の団体のこの問題にかんする行動、主張などを総点検 (社内ヒアリング、社外資料調査) ●同問題に関係する政府機関、学会、社会団体、オピニオンリーダーなどの基本姿勢、これまでの行動、今後考え られる行動、などを総点検(社内ヒアリング、社外資料調査、オピニオンリーダーヒアリング) 以上をとりまとめて、緊急性の高い事態(ホット イッシュウ)について、緊急性の高いものから リストをつくり、社内向け背景解説資料を作成する。 この資料は、会社メッセージの統一性、一貫性を万全のものとするために必要なものです。 4 緊急事態に関する対策構築 ▼会社ポジションペーパーづくり 危機管理 基本計画策定 研修・訓練 ポジションペーパー (1)前項によりリスト化された予想緊急事態のそれぞれについて、会社のポジションを明確かつ説得 力をもって説明するポジションペーパーを作成。 (2)会社ポジションの社会的有効性(アクセプタンス)検証: 弁護士、オピニオンリーダーなどの意見聴取 (3)確定したポジションペーパーにもとづいて社員、マスコミおよび消費者など一般の 予想質疑応答集(Q&A)の作成。これについても、社会的有効性検証をおこなう。 (4)シュミレーション トレーニング 広報部スポークスマンに対し、上記2)にもとづいて、対マスコミ、対消費者対応予備訓練を実施 する(模擬訓練) (5)検証、シュミレーション トレーニングなどの経験を活かして必要な改善をおこなう。 ・社内組織体制 ・設備・施設 ・説明資料 ・スタンドバイステートメント(会社の立場を説明する社外発表資料) ・スポークスマン、記者発表の方法 ・追加説明資料の作成 ・社外協力者ネットワーク構築、 その他 5 緊急事態に関する対策構築 調査・分析 危機管理 基本計画策定 広報体制 ▼現在の広報体制について、危機管理の面から再検討を行い、最適の対応策を構築する。 (1)現体制について問題点も含めて把握 緊急時における広報手続き例 1.責任の表明 2.通告プロセス (2)近々可能性のある緊急事態に照らして検証 (3)実現可能性のある対策プランを構築 ▼新しい人材登用 3.スタッフの配置 4.スタッフへのブリーフィング 5.声明文 6.広報分室の手続き 7.広報方針と手続き 8.社内コンタクト 9.主要報道機関へのコンタクト 10.評価 ▼組織再編 ▼対策ガイドライン策定 ▼ガイドラインの検証 (シュミレーショントレーニング)など 6 緊急事態に関する対策構築 危機管理 基本計画策定 ▼現在コンタクトのあるマスコミのネットワークを危機管理の面から再検討し、最適の対応策 を構築する。 メディア対応策 メディアに対する対応は? NPOに対する対応は? 取材攻勢は決して生易しいものではない。しか し対応がないわけではない。すべては、ジャー ナリストとどこまで付き合うべきかを知っている か、彼らが何を必要としているかを予期できる かにかかっている。マスコミの人は非現実的な 要求をする場合がある。 よってコミュニケーションの困難さ、過酷さを感 じる。だが、注意深く歩をすすめ、常に先を読 んでいれば必ず切り抜けられると考えます。 最適のマスコミ対応を構築する方法につい て検討し行動プランを立てる。 行動プラン実施にむけて、インフラを整備し、 必要に応じてトレーニングを実施する。 ●緊急事態発生時のマスコミ対応項目例 1)取材に来た記者が知りたい最小限の情報とは? 2)マスコミが事件・事故を知る方法とは? 3)最適な記者への説明・会見場は? 4)記者控え室を設置する場合 5)守衛・ガードマンとの連携 6)記者が現場へ行きたがる場合の対応法 7)記者クラブとはどんなところか? 8)新聞各社間の取材合戦状況は 9)取材記事はどのようにして配信するか 10)新聞記者とは 11)取材への対応とタブー 他 7 緊急事態に関する対策構築 ▼情報公開ガイドライン 危機管理 基本計画策定 情報公開ガイドライン ●現在の会社の情報公開方針について、危機管理の面から検証する (専門家による検証、国際常識に照らした検証など)。 ●検証結果を活かした会社方針を確定し、ガイドラインにまとめる。 ●確定した情報公開ガイドラインにもとずいて、役員、幹部、社員の理解を深め、社内統一を万全にし、 会社メーセージ発信の統一性を確実にする。 ●ガイドラインにもとづく、マスコミインタビュートレーニングを、担当テーマについて、担当役員、事業 部長、広報担当者などを対象に実施する。 8 緊急事態に関する対策構築 危機管理トレーニング ①メディアトレーニング(1対1インタビュートレーニング) 研修・訓練 メディア対応 ●目的 ●概要 ●事務局 広報・IR部 ●インタビューテーマ取材協力 ●その他 9 緊急事態に関する対策構築 ②緊急時メディア対応(模擬緊急記者会見)トレーニング 研修・訓練 メディア対応 ●目的 ●概要 *事務局 広報・IR部 ●想定危機シナリオ取材協力 (司会、進行) *シナリオ作成: *全体コーディネート : *時間: 4時間 *準備活動 10 危機管理構築プロジェクト全体フロー ●本構築の実施期間は6ヶ月を想定しています。 Phase Ⅰ(調査・分析) Phase Ⅲ(危機管理マニュアル コンテンジェンシー計画、研修・訓練) Phase Ⅱ(危機管理基本計画策定) 調査・分析(課題抽出) プロジェクトチーム編成 危機管理マニュアル作成 体制システム検討 訓練(トレーニング) リスク調査計画 基本フレーム策定 研修(セミナー) 各リスク調査 社内、マスコミ、オピニオンリーダー 弁護士等取材 優先対応リスクの確定(複数) ホットイッシュウ 危機管理マニュアル修正 優先順位決定 未然防止 実施 ●リスクの洗い出し コンテンジェンシー計画策定 取材記録、収集資料の検討 コンテンジェンシー計画 (危機管理計画)検討 ●リスク分類 (リスク体系表) ポジションペーパー 内容案決定・検証 シュミレーショントレーニング ●リスク評価 危機管理基本計画書策定 【○○○○○㈱ 危機管理基本計画書】 Q&A案作成 マスコミ対策案策定 コンテンジェンシー計画修正 ● Phase Ⅳの展開は本企画には含まれておりません。 Phase Ⅳ(クライシスコミュニケーション、リカバリー計画) 危機管理マニュアル修正 コンテンジェンシー計画修正 危機管理マニュアルに準じた行動 リスク発生 記録化 分析 クライシス コミュニケーション コンテンジェンシー計画に準じた行動 リカバリー(ダメージ回復) 計画立案・実施 11 構築体制 ○○○○株式会社 大阪 東京 全体管理 ○○○○○○ 危機管理プロジェクトチー ム 危機管理広報総合コンサルタント メディア対応 危機管理コンサル ○ ○ ○ ○ 危機管理トレーニング ○ ○ ○ ○ ○ ○ 情報収集& リサーチ&分析 広報戦略立案 ITリサーチ&分析 広報戦略立案 12 プロフィール ○○ ○○(○○○ ○○○) PR総合アドバイザー 、特別顧問 など多数の経歴を有す。 各企業・団体の緊急時広報(トレーニング含む)から国内外広報、貿易広報、国際会議運営、 各種シンポジューム、セミナー運営、広報戦略アドバイザーなど多数経験 ○○ ○○(○○○ ○○○) メディア対応スペシャリスト 特別顧問 各企業・団体の広報活動経験 多数の企業の事件事故時の広報対応からクライシスマニュアルの作成指導まで幅広く経験 ○○ ○○(○○○ ○○○) 危機管理トレーニングコンサルタント メディア対応トレーニング、広報マニュアルの作成、模擬緊急記者会見トレーニングの企画・実施、 危機管理マニュアルの作成など各企業危機管理コンサルタント多数経験 ○○ ○○(○○○ ○○○) PR構築事務局スタッフ IT関係PR対策コンサルタント、各企業経営コンサルタント、PRコンサルタント経験 ○○ ○○(○○○ ○○○) PR構築事務局スタッフ 戦略広報構築スタッフ リサーチアナリスト 戦略立案多数経験 13 概算予算 項目 内容 ●調査・分析・作成 (リスク課題抽出) ・従業員、経営陣社内調査 (各5ケース計10×20万) ・マスコミ、弁護士ヒアリング調査(各5ケース計10×20万) ・オピニオンリーダーグループインタビュー及び取材、 ・社外資料調査 ・取材記録作成 ●取材記録、収集資料の検討 (リスク課題検証) ・報道状況分析 ・ホットイッシュウ優先順位決定 ・背景資料内容検討、決定 ・ポジションペーパー内容案決定 ・Q&A作成費 ●ポジションペーパー作成 ・ポジションペーパー文章化 ・検証、添削、 ●危機管理トレーニング マニュアル作成 ・メデァイトレーニング ・緊急記者会見トレーニング ・危機管理マニュアル作成、社内セミナー等 ・記録(映像他) ●コンサルタント費 及び作成スタッフ費 ・危機管理コンサル費 (月100万×6ヶ月+作成費400万) ・トレーニング及びマニュアル作成コンサル費(40万x6ヶ月) ・ITリサーチ&危機管理広報作成スタッフ費(120万×6ヶ月) ・事務局運営費(月120万×6ヶ月) ●謝礼関係費 ・弁護士、オピニオンリーダー、マスコミ等外部取材謝礼費 ●経費 ・会議費等、(月20万×6ヶ月) ・交通費、宿泊費など行動費(月600,000× 6ヶ月) 金額 備考 ※検証、添 削費用はコ ンサル費に 小計 ●管理費 ※上記金額は6ヶ月作業の概算予算です。 ○○% 総計 14
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