毎月レポート ビジネスの情報 (2008年10月号) ビジネスの情報 2008年10月号 ■自宅に居ながらスーパーでお買い物。「ネットスーパー」拡大中。 「ネットスーパー」とは、利用者が自宅のパソコンからスーパーのネットを通じて商品を注文すると、お店で品物を 揃えて利用者の家まで届けてくれるという、エリア限定の宅配システムです。ここにきて、大手スーパーが続々と本 腰を入れ始めてきました。「イトーヨーカドー」では、ネットスーパー対象店舗を3年以内に現在の約80店から約170 店に拡大する計画です。また、中部・関東を中心にスーパーチェーンを展開する「ユニー」は、07年に「アピタ鳴海 店」(名古屋市緑区)で「アピタネットスーパー」を実験的にスタート。対象地域は店舗から半径5km以内で、午後2 時までに注文すれば、当日の午後5時~9時までに自宅に届きます(配達料315円)。利用者は30~40代の主婦を中心に 着実に増加しており、手応えをつかんだユニー側では、3年以内に10店舗まで増やして宅配エリアも名古屋全域に拡大 する予定です。ちなみに「鳴海店」でのネットスーパー利用者一人当たりの平均購入金額は6,000円弱で、来店客の平 均単価の2倍強にまで達しています。「ダイエー」では、ネットスーパー1号店を、この9月、東京の「東大島店」で開 始します。取り扱うのは生鮮食品や総菜、酒類など約5,000品目。午後4時までに注文すれば当日中に受け取ることが できます(配達料315円+買物代行手数料105円)。対象エリアは、江東区、墨田区と江戸川区の一部で、「東大島 店」での販売動向を見た上で他店への展開を検討する予定とか。なお、「ユニー」「ダイエー」共に、買い上げ金額 が5,000円以上だと、配達料が無料になります。自宅から注文できる手軽さに加え、ガソリン高でクルマでの外出を控 えるといった状況も後押しとなり、この事業、今後ますます需要の拡大が見込まれます。 ※参考:日経MJ(日経流通新聞) 株式会社イトーヨーカ堂 http://www.itoyokado.co.jp/ ユニー株式会社 http://www.uny.co.jp/ 株式会社ダイエー http://www.daiei.co.jp/ ■笑いが止まらない!? 海外で引っ張りだこの、日本のMANGA。 日本発のマンガは、すでに立派なビジネスとして世界を駆け巡っています。特にアジアでしっかり定着し、その地位 を確立しています。台湾や香港など、元々マンガが人気の国では、現地出版社の担当者は常に日本の出版社のホーム ページから日本の“マンガ動向”を検索し、気になる作品を見つければ東京に出向いて現物を購入することも珍しく ありません。その作品がビジネスになると判断すれば、その足で直接、出版社と交渉するという早ワザも発揮します。 また、世界42カ国に日本のマンガの翻訳権をセールスしている「小学館」は、その売り上げの半分をアジアの市場で 占めています。中でも次に狙うのは、中国、インド、そしてロシアまで視野に入れています。特にインドは、今後、 急速な発展が期待できる大きなマーケットととらえています。一方、アメリカの市場は、アジアのようにスムーズに はいかないようです。マンガのアニメ版の放送はあるものの、日本やアジアのように雑誌の連載から単行本へという 流れがないため、“売る”ための販促が一苦労。さらに、書店でマンガの専用コーナーが整ってきたとはいえ、現地 の大手出版社も自らマンガを扱い始めたこともあって、輸入モノである日本のマンガと棚の争奪戦が繰り広げられて いるという状況です。そもそも、アメリカで日本のマンガの火付け役となったのが「セーラームーン」でした。98年 に、男の子向けのアメリカンコミックしかなかった市場に、極東の小さな国から颯爽と少女マンガが登場したわけで す。「等身大の日常の少女を描いて、アメリカの少女たちの心をつかんだ」と、アメリカで日本のマンガの販促に尽 力した「TOKYOPOP社」のマネージャーは語ります。絵がスタイリッシュでストーリー性があって面白い日本のマンガ。 ボーダーレスな読み手の若者に照準を当てた、グローバルコンテンツに育ったことは間違いなさそうです。 ※参考:フジサンケイ ビジネスアイ ■“呑む”日本酒から、“美しくなる”日本酒へ。 日本酒の需要減と焼酎人気で、冷え込む一方の“お酒”市場の中、なんとか女性や若者に振り向いてもらおうと、 酒造会社の新たな試みが続いています。それが、「美」の分野への参入です。“コスメな日本酒”に積極的な灘の酒 蔵では、いま…。「白鶴酒造」では、日本酒の製造工程で生じる「酒粕(さけかす)」を使った化粧品『ドラマ ティックリペア』や、主に「米ぬか」を使ったスキンケア商品『ライスビューティー 米の恵み』の販売を開始。当初 は、酒販店の女将さんやお得意さんのママに試供品を配り、口コミ販売していましたが、06年に通販を始めたところ 数万人の会員を獲得。今年3月には、神戸に「御影サロン ミューズ」をオープンさせました。まるでデパートの化粧 品売場のような雰囲気で、簡易エステのコーナーも設けられ、そこがお酒メーカーのお店とは見えぬほど!「日本 盛」では、米ぬかを再利用した自然派化粧品『米ぬか美人』シリーズを発売。通販での売上高は50億円前後と、同社 売上高の1割を越す規模にまで成長しています。他に「大関」が、米ぬか洗顔・石鹸『ぶらんぱる』や自然派化粧品 『灘』シリーズ、玄米清酒化粧品『R20』シリーズなどの販売。 「沢の鶴」が、日本酒の成分を配合した化粧品の販売。 「灘酒造」は、日本酒を使った入浴用の『お風呂酒』を販売。 「白鹿」でおなじみの「辰馬本家酒造」では、スキンケアシリーズ『白鹿ネオキューブ』を販売しています。 また、「食」の分野への参入にも積極的です。例えば「辰馬本家酒造」では、酒粕を使ったレトルト食品も販売して います。「神戸酒心館」(旧福寿酒造)のように、蔵を改築してイベントホールや料亭の運営にカジを切ったところ もあります。コンサートをはじめ、酒造り講座や女子大学生の就業体験などユニークな試みを取り入れ、年間13万人 を集客。同社売上高の半分を非酒造事業が稼ぎ出すまでになりました。皮肉なことに、こうして酒造各社が「美」や 「食」の分野への挑戦を加速させることは、ある意味“酒離れ”に拍車をかけるようですが、これらはあくまでも入 り口です。酒蔵側は、これをきっかけとして女性や若い人に、息の長い日本酒ファンとして育ってほしいというのが 本音のようです。 ※参考:日経MJ(日経流通新聞) 白鶴株式会社 http://www.hakutsuru.co.jp/ 日本盛株式会社 http://www.nihonsakari.co.jp/ 大関株式会社 http://www.ozeki.co.jp 沢の鶴株式会社 http://www.sawanotsuru.co.jp 灘酒造株式会社 http://www.kinshika.co.jp 辰馬本家酒造株式会社 http://www.hakushika.co.jp/ 株式会社神戸酒心館 http://www.shushinkan.co.jp
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