特別支援学校中学部の生徒が10分間 遊びのコーナーで過ごすことができるた めの支援 1 指導目標 【長期目標】 20分間遊びのコーナーで過ごすことができ る。 【短期目標】 (step1) 遊びのコーナーで5分間過ごすことができる。 (step2) 遊びのコーナーで10分間過ごすことができる。 2 標的行動 10分間遊びのコーナーで過ごす。 3 現状のABC分析 選んだ遊び ができる↑ 遊びを選ぶ 休憩時間 周りに友だ ちがいる 担任の先生 遊びの コーナーで 遊ぶ 違う遊びが したくなる ↓ 遊びのコー ナーから出る ↓↑ 先生の指示 あり↓↑ 4 4 解決策のABC分析 2~3種類の 遊びがある タイマー あり 遊びコーナー入り 口に仕切りあり 先生がいる したい遊び ができる (↑) 遊びの コーナーで 遊ぶ 先生の関 わりなし (↓) 見通しが 持てる (↑) いるべき場所が 分かりやすい (↑) 先生から褒め られる(↑) 5 5 方法 【対象児】 Hさん(特別支援学校中学部1年女子) 自閉症 S-M社会生活能力検査 2歳4ヶ月 (意志交換2歳10ヶ月 自己統制1歳8ヶ月) 【指導場面】 休み時間 【般化場面】 買い物,遊びに行った時,運動会の休憩時間 6 方法 【教材】 (step1) 遊びのカード,カードポケット,DVDデッキ, DVD,タイマー (step2) DVDデッキ,DVD,絵本,ビーズ通しグッ ズ,タイムログ 7 手続き(1) (step1) 1. Hさんがスケジュールの遊びのカードを取ったら遊びのコー ナーへ行くように促す。 2. Hさんが遊びのコーナーへ移動した後,カードをカードポケッ トに入れるように教員が促す。 3. Hさんが遊びのコーナーへ入ったらタイマーを5分にセットし, Hさんの見やすい位置に置き,教員は遊びのコーナー外から 見守る。 4. 遊びのコーナーから出ようとした時は,タイマーを見せて 「鳴ったらおわり」と言葉で伝える。 5. タイマーが鳴ったら「おわり」と教員が言ってトランジッション カードを手渡す。 6. Hさんが遊びのコーナーから出てきたら「よくできました」とハ イタッチで賞賛する。 8 手続き(2) (step2) 1. Hさんがスケジュールを確認して遊びのカードを取ったら教員 は遊びの選択ボードを指さし,「どれにする?」と言う。 2. Hさんがしたい遊びのカードを取ったら教員に手渡すように促 す。 3. Hさんが遊びのコーナーへ移動したらタイムログを10分に セットし,Hさんの見やすい位置に置き,教員は遊びのコー ナー外から見守る。 4. 遊びのコーナーから出ようとした時は,タイムログを見せて 「なくなったらおわり」と言葉で伝える。 5. タイムログが鳴ったら教員は「おわり」と言ってトランジッショ ンカードを手渡す。 6. Hさんが遊びのコーナーから出てきたら「よくできました」とハ イタッチで賞賛する。 9 記録方法 1日に5回ある遊び時間でできた時の ○の数を記録してパーセンテージを 出す。 ○:指定された時間遊びのコーナーでいた ×:遊びのコーナーから出てきた 10 達成基準・中止基準 達成基準 ○の数が4個以上(80%以上)の日が3 日連続した場合 中止基準 ×の数が3個以上(40%以下)の日が3 日連続した場合 11 結果(1) (BL) (step1) (step2) (step1) 12 12 月 13 日 12 月 14 日 12 月 15 日 12 月 16 日 12 月 17 日 12 月 18 日 12 月 19 日 12 月 20 日 結果(2) 10分間遊びのコーナーで過ごす % 100 80 60 40 20 0 日付 13 結果(3) 3週間で遊びの場所が分かり,5分間遊びのコー ナーで過ごすことができるようになった。 タイムログの使用でHさんに残り時間が見て分か るようになり,遊びのコーナーで落ち着いて過ご せることが増えてきた。 遊びの選択カードを(step2)から取り入れると,し たい遊びができるようになり,時間内遊びのコー ナーで過ごせることが60%以上になってきた。 7月に入る頃には目標達成でき,12月でも状況 を維持することができた。 14 結果(2) (般化) 運動会の時の競技の間の待ち時間に,10分間 椅子に座って遊ぶことができた。 買い物へ行った時の休憩時間に,ベンチに座って 10分間遊ぶことができた。 15 考察 ・視覚的構造化によって時間や場所,遊びの内容が Hさんにとって分かりやすいものとなったことが目 標達成につながったと考えられる。 ・できた時に教員に褒められることで行動が強化され ていったことが,Hさんの反応から顕著に感じられ た。 ・Hさんがシステムを理解できると,場所や関わる人 が変わっても同じように活動できることがわかった ので,生活のいろいろな場面で使うことができるよ うに般化場面を広げていきたい。 16
© Copyright 2024 ExpyDoc