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話題提供:
人々はなぜグローバル経済の
本質を見誤るのか
2007年10月16日
後藤滋樹
2007年度上半期ビジネス書
第2位
• 水野和夫 著
三菱UFJ証券参与・チーフエコノミスト
• 「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤る
のか」
• 日本経済新聞社, 2007年3月.
グローバリゼーション化で生じてい
る大きな構造変化(3)
1. 帝国の台頭と国民国家の退場=帝国化
2. 金融経済の実物経済に対する圧倒的な優位性
=金融化
3. 均質性の消滅と拡大する格差=二極化
IT(情報技術)革命と、それを駆使するグローバリゼーション
1.帝国化
• 資本が容易に国境を越える
• 16世紀には資本が主権国家と結婚した
21世紀には資本は帝国をパートナーとする
• 経済的な国境が低くなり、国境内に権力を及
ぼす国民国家の力が衰退する
• 米国は金融帝国
旧帝国の台頭:中国、インド、ロシア
2.金融化
• 先進国において「資本の反革命」により賃金
が抑制される、ないし低下する
=中流階級の没落
• その結果、先進国ではディスインフレないしデ
フレが定着する
• 金融政策が緩和基調となるから、実物経済に
比べてマネーが膨張する
• 資産価格が上昇しやすい
• 先進国経済は資産価格依存症候群に陥る
3.二極化
• 近代において国民は均質であった
国家単位の均質性は消滅する
 一億総中流意識の崩壊
• 格差は構造的問題であり、景気回復によって
解決するものではない
• 成長を目指す政策は人々の将来への不安を
高める。刹那主義が蔓延して少子化が進む
• インフレ=成長を基本とする政策はBRICsで
は妥当。先進国では弊害がある
英語圏と非英語圏の差
• 水野氏
非英語圏が成熟してポストモダンに移行
英語圏では近代化が続いている
• 中世の帝国から国民国家へ
ラテン語の権威が失墜して母国語へ
• インターネット革命の下で
英語が世界の共通言語に
英語圏の国ではサービスを中心に特需
諸問題が日本で顕著に現れる
• 柄谷行人, 2002.
日本の事例を考察すれば、西洋で起こったこ
との本質がより鮮明に示される
• 近代化を欧米よりも短い期間で達成した日本
では、矛盾が大きな形で顕在化する
• 現在の日本の諸課題は
10年後の欧米の姿
BRICsの数十年後の状況