ブラジャー:シャキッとブラを設計分析する

030806 ちょっと一休み (2)
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國井 良昌 All rights reserved.
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030806 ちょっと一休み (2)
ちょっと一休み(2)Rev.-1
030806
今回の「ちょっと一休み」は、ある種の 興味本位 で読まれる
方も多いかと思います。
しかし、あくまで「設計の観点」から読んでいただき、お近くの
方々とも議論していただきたく思います。
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030806 ちょっと一休み (2)
「シャキッとブラ」を設計分析する
産経新聞 投資Webから
著者の設計分析
肋骨に働きかけ、深呼吸と同じ効果を生み姿勢を美しくする新機能。
ブラジャーの部品点数は明らかに10
の2乗。
「姿勢が美しい」といわれて
悪い気がする女性は少ない
はず。ただ、気をつけていて
も、つい猫背になったり、プロ
ポーションが歪んでしまう。
大昔から「無借金経営」などでその経
営力や商品開発力では、常に優良ビ
ジネスの先端企業としてスポットが当
てられるワコール。
「もし、ブラジャーに姿勢を美
しく変える力が眠っているとし
たら・・・」。 そんな思いから
生まれたのが、ワコールの「
シャキッとブラ」 だ。
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その新商品である「シャキッとブラ」を
システム工学設計法の観点から分析
してみます。
スタイルも美しく見せたい。女性の願いから新発
想のブラジャーが生まれた。
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ところで、
ワコールは京都市にある超優良企業
だ。
株主資金:1689億円
売上高:1630億円
営業利益:72億円
創業:1949年(昭和24年)
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030806 ちょっと一休み (2)
産経新聞 投資Webから
今、どのブラジャーも掲げるキーワードは「寄せて上げる」。女性の
バストをより豊かに美しく見せるのがブラジャーの役目とされてきた。
だが、ワコールのボディメイク商品部の十河敏彦・部長は言う。
「寄せて上げる」のは大事なブラジャーのテーマだが、それだけでは
古い。ブラジャーの新しい可能性を切り開きたかった。」
ワコールの人間科学研究所で三十年以上に渡り女性の体形の研究
を行ってきた。その結果、「肋骨に働きかけて背筋を伸ばすブラジャー
を着用すると、姿勢を美しくすることができると分った。」
では、美しい姿勢とは何か。「極意は深呼吸にあり、です。深呼吸する
と胸全体がすっきりと上に持ち上がり背中の丸みが少なくなる。それ
で姿勢が美しくなるのです。」と、十河部長。 胸が持ち上がることによ
り結果的にバストも豊かに美しく見え、まさに「一石二鳥」だ。
深呼吸と同じ効果をブラジャーで生み出すために、十河部長らは、カ
ップの外側に薄くてハリのある特製シートをあてがってみた。肋骨に働
きかけ、胸を押し上げる役目をする。
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著者の設計分析
分社化!分社化! コスト!、コスト!
中国!中国! モノ作り!モノ作り!
そして、
「寄せて上げる」、「寄せて上げる」
日本企業って本当に右へ倣えが好き
ですね。
今は亡き、糸川英夫教授が良く説明す
る「マスクド・ニード」に相当する。マス
クド・ニードとは将来に向けて潜在的な
ニーズを洗い出し、売れ筋を想定する
ことを意味する。
(東京大学 宇宙航空研究所教授)
「何でも欲しがるマミちゃん症候群」の
始まりですね!
エッ!ワコールさんでも、いきなり技術
選択の、いきなり設計の、いきなり試
作ですか?
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産経新聞 投資Webから
次に肩ひもにあたるストラップの伸縮具合を前後で変え、背筋が自然
と伸びるよう工夫した。 着けるだけで深呼吸と同じ姿勢を作り出すブ
ラジャーの雛型(ひながた)ができた。
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著者の設計分析
もう一度、、、
エッ!ワコールさんでも、いきなり技術
選択の、いきなり設計の、いきなり試
作ですか?
だが、商品化に待ったがかかった。
従来にない機能を追及したため、商品企画チームの葛西順子マネー
ジャーが「一口で言うと ごつい! ブラジャーになってしまった。これでは
若い子にそっぽを向かれる」と気付いた。デザインが犠牲になったの
だ。
葛西マネージャーらは、ワイヤを材料に使うことでカップに立体感を持
たせ、胸のカットもV字型からスクエア(方形)にすることで、見た目にも
胸が高くなったことを本人が実感できるようにした。
社内のデザイン部隊が総出で取り組み、満足のいく仕上がりになるの
に八ヶ月もかかった。七月末に発売にこぎつけたが、二週間で例年の
秋冬向け商品に比べて200%増と出足は好調。その後も百貨店など取
引先からの引き合いも相次ぎ、ブラジャー商戦に新風を巻き起こして
いる。(2002年 秋)
ワコールさんともあろう企業が、デザイ
ンを犠牲にしちゃんたんですか?
システム工学設計法テキスト第1部の
「使用目的の明確化」、「設計思想とそ
の優先順位」をもう一度、復習しましょ
う!
設計品質の「両立」がはじめて成立し
ました。
優良企業ワコールと言えども、結局は
「モノを作って確かめる」文化だ!10
の2乗の世界では許されるが10の4乗
以上の商品では許されない
重要:設計品質の両立とは?
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030806 ちょっと一休み (2)
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030806 ちょっと一休み (2)
【著者の所感】
超優良企業のワコール様には申し訳ないけれど、10の2乗の世界って甘い!と思いました。
「システム工学設計法」の受講者の方々全員には配布しましたが、「新生マツダのデザイン
審査(デザイン・クリニック)レポート」と比較すると、とても優雅な開発と思ってしまいます。
何故ならば、「ワコールのデザイン部隊が総出で八ヶ月もかかった。」という記載がありました
が、信じられないほど優雅と言わざるを得ません。
このように10の4乗の代表格である車の開発とは世界が全く異なるものと思いました。
しかし、すばらしいのは、この「シャキッと」というコンセプトをパンツまで拡大したのはワコール
様らしい経営力と開発力であると関心しました。
仕事中に拝見するのはちょっと困ってしまう
http://www.wacoal.co.jp/products/wbnc/shkt
にもアクセスしてみて下さい。
【引用文献・参考文献】
・ 産経新聞 投資Web
・ http://www.sankei.co.jp/advertising/toshin/
終わり
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