特定保健指導対象外である受診勧奨者への外来栄養指導の効果

特定保健指導対象外である
受診勧奨者への
外来栄養指導の効果
医療法人社団新虎の門会
新浦安虎の門クリニック
嶋 奈津子、大前 利道、大前 由美、沼本 美由紀
滑田 理沙、柏崎 千恵美、藤井 雄生、山岸 久美
はじめに
・2008年4月から始まった特定健診は、結果
により、情報提供、動機付け、積極的支援
レベルに階層化する。
ところが・・・
受診勧奨者(服薬中)
特定保健指導対象外
目 的
健診を受診し、特定保健指導対象
外である「受診勧奨者」に該当し
た方に対し、当院の外来において
栄養指導を行い、食生活の改善
を支援する。
対 象
・期間:2008年1月1日~
2008年12月31日
・条件: ①健診結果が、特定保健指導対象外
②当院の外来にて栄養指導を希望した方
・人数:栄養指導104人中、高血糖患者38名
指導人数
高血糖患者
男 性
女 性
年齢幅
40~75歳
45~81歳
平均年齢
52.5歳
57.1歳
計
20名
18名
合計
38名
・年齢対象外の方も対象
方 法
①日常の3日分の食事記録を提出
②リーフレット、フードモデルなどの
媒体資料を使用し、約30分間の指導
③1ヵ月後に外来で採血
④採血結果と共に経過を確認
結 果(HbA1c)
高血糖患者(人)
指導人数
フォロー状況
38
改 善
19
横ばい
18
悪 化
1
改善+横ばい=97%
結果(HbA1c)のグラフ
12
11
10
9
H
b
A
1
c
8
7
6
5
4
健診 ① 1 ② 2
1~5・・・外来採血回数
③ 3 ④ 4 ⑤ 5 (回)
①~⑤・・・栄養指導回数
ケース①
・女性、55歳
・受診日:2008年8月
・身 長:160.8cm
・体 重:65kg
・BMI:25.1【肥満度1】
・喫煙歴:なし
・飲 酒:機会があれば
・家族歴:糖尿病、高血圧、脳卒中
ケース① これまでの経過
10
9
H 8
b
A 7
1 6
c
5
4
アマリール1mg分1
ベイスン0.2mg分3
7.6
7.9
9.4
8.2
コントロール
不良状態
2004年
2005年
2007年
2006年は未受診
2008年
ケース① HbA1c 推移
10
9
アマリール1mg分1×30日
ベイスン0.2mg分3×30日
9.4
①
8
H
b
A7
1
c6
8.0
②
7.0
③
6.4
5
4
6月28日
7月26日
8月16日
10月25日
健診8月7月5日①10月1日
11月6日
12月5日
7月31日②
8月23日③ 11月2日④
9月3日指導①
10月8日指導②
11月14日指導③
ケース①結 果
コーラ、アイス、塩辛いものなどを好き
なだけとっていたが、食事を見直し、お
ろそかにしていたフラダンスを再開した
ところ・・・
■腹 囲■
・受診時:103cm
-8.5㎝
・栄養指導3回目:94.5cm
ケース②
・男性、50歳
・デスクワーク中心
・受診日: 2008年7月
・食生活の乱れ
・身 長: 165.3㎝
・ストレス
・体 重: 85.4kg
・BMI: 31【肥満度2】
糖尿病だけは、
・飲 酒: 機会があれば
食事と運動で
・家族歴: 糖尿病
治したい!!
・治療中: 高血圧、脂質異常症
・HbA1c:1年前5.3⇒今回10.5
ケース② HbA1c推移
H
b
A
1
c
11
10
9
8
7
6
5
4
10.5
9.4
7.2
5.9
5.3
H19年
7月28日
8月23日
人間ドック
8月9日①
(1年前の7月)
9月20日
10月25日
ケース②結 果
・食生活を見直し、運動をしたところ・・・
■体 重■
・受診時:85.5kg
・3ヵ月後:80.0kg
-5.5kg
まとめ
・理解はしているが、実際に行動変化が
ない熟考期と、すぐに行動を開始する準
備期の人が多数
・正しい知識が不足
・栄養指導を継続することで、食事や健
康に関する自己管理意識の向上
食生活習慣、検査値の改善の効果
考 察
独自で取り組む食事療法は困難
であるため、対象者自らが行動・
実践できるように支援するための、
身近であるクリニックでの継続し
た栄養指導は重要である。
おわりに・・・
当院の糖尿病サポートチームによ
る「糖尿病教育通院」を計画中
ご清聴ありがとうございました
学会での質問
・どのような指導方法で成果をあげたのか?
・様々な情報に振り回されている人にどのような指導をする
のか?
→信頼関係を築き、何でも相談できる環境をつくる。情報に
あまり振り回されないように注意する(嶋)
→特に特別なことをしているわけではなく、管理栄養士の素
朴な人柄が栄養指導の効果に繋がっている。クリニック
における栄養指導はとても有効だと考えているので、こ
れからも頑張って欲しいと思っている。(院長)