映像による複数人の コミュニケーション向けのアプリケーションレベル

映像による
複数人のコミュニケーション向けの
アプリケーションレベルマルチキャ
ストEmmaの性能評価
中村嘉隆 山口弘純 廣森聡仁
安本慶一† 東野輝夫 谷口健一
大阪大学大学院情報科学研究科
†奈良先端技術大学院大学情報科学研究科
発表の概要
 研究内容
 複数メディア配送に適したアプリケーションレベル
マルチキャストプロトコルEmmaの提案
 Emmaの性能についてns-2を用いて評価
 発表内容
 研究の背景
 Emmaの概要
 シミュレーション実験と性能評価
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DICOMO2002
2
研究の背景
 複数人の電子会議アプリケーションの実現
 数台から数十台のエンドホストが同時並行かつ継
続的に他のエンドホストにメディア送出
Internet
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ユニキャストとマルチキャスト
 ユニキャスト
 グループが大きくなると非効率
 IPマルチキャスト
 特定のサーバを必要とせず、効率も良い
 インフラ整備の問題
 ALM(アプリケーションレベルマルチキャスト)
 既存のトランスポート層の機能が利用可能
 グローバルマルチキャストアドレスが不要
 自由なルーティングプロトコルの設計が可能
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ALM(アプリケーションレベルマルチキャスト)
 オーバレイネットワーク上でエンドホストが配
送木を管理
 エンドホスト間ユニキャストトンネリングで構築
 トンネリング間のパケット複製、転送で実現
 オーバレイ上での制約
A
IPマルチキャストと異なり
 エンドホスト付近での帯域制約
 実リンク上でのパケット重複 C
の問題がある
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B
D
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ALM(アプリケーションレベルマルチキャスト)
 オーバレイネットワーク上でエンドホストが配
送木を管理
 エンドホスト間ユニキャストトンネリングで構築
 トンネリング間のパケット複製、転送で実現
 オーバレイ上での制約
A
IPマルチキャストと異なり
 エンドホスト付近での帯域制約
 実リンク上でのパケット重複 C
の問題がある
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B
D
6
代表的なALM
 Narada
 遅延のみをメトリックとした継ぎ木方式で配送木構
築
 Naradaを元に、帯域を考慮し、会議アプリ
ケーション向けに設計したものもある
 各ノードからのビデオは同時に一つと仮定
 各ノードを根とする帯域優先の経路木を構築
→複数メディアを配送した場合、電子会議等で用い
ると、ユーザの受信したいメディアが配送されない
場合がある
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7
Emma
(End-user Multicast for Multi-party Application)
 特徴
 電子会議アプリケーション対象
 各参加者のビデオへの要求度

プリファレンスとして各参加者が設定


例えば、会議における話者の映像はプリファレンスを上げ、話
者以外の映像はプリファレンスを下げる
複数ビデオ配送により、転送制御が必要な場合は、全
参加者のプリファレンスの総和を最大化するように行う
 複数のユーザによるビデオの同時並行配信を、動
的かつ完全分散制御する点で他のALMと異なる
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Emma
(End-user Multicast for Multi-party Application)
 機能
 セッション参加情報提供

会議セッションに参加している他のエンドホストを知る
 オーバレイネットワーク構築

いくつかのエンドホストとメディア、制御メッセージを流
すためのオーバレイを構築
 遅延、帯域、プリファレンスをメトリックとしたメ
ディア配送木を構築、維持管理
 エンドホスト離脱時の相互接続性維持
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Emma
セッションへの参加
 ロビーサーバからセッション参加エンドホスト
のIPアドレス入手
 エンド間遅延を測定し、遅延の小さい数ノード
とオーバレイリンク構築
B
A
H
C
G
D
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10
Emma
オーディオ配送木
 既に存在する配送木に継ぎ木して構築
 親の親にあたるノードとも代替経路用オーバ
レイリンクを構築し、相互接続性を保証
親の親
子
親
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Emma
ビデオ配送木
 遅延をメトリックとした、各エンドホストを根と
するソースベースの配送木を構築
 遅延情報はフラッディングで取得する
A
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DICOMO2002
12
Emma
ビデオ配送木
 遅延をメトリックとした、各エンドホストを根と
するソースベースの配送木を構築
 遅延情報はフラッディングで取得する
A
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Emma
ビデオ配送木
 遅延をメトリックとした、各エンドホストを根と
するソースベースの配送木を構築
 遅延情報はフラッディングで取得する
B
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14
Emma
ビデオ配送木
 遅延をメトリックとした、各エンドホストを根と
するソースベースの配送木を構築
 遅延情報はフラッディングで取得する
B
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Emma
ビデオ配送
 構築した配送木に基づき、受信したいビデオ
に対する受信要求を上流へ流す
 リンクに空きがあれば配送開始
 プリファレンスを受信要求時に指定
A: 8
C
X
A
B: 6
C: 7
B
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Emma
ビデオ配送

空き帯域がない場合


既存の配送を停止する場合のプリファレンス損失の最小
D:15
D:30
値を要求の転送過程で計算
A: -8
計算結果を配送木の上流に転送
A: -8
最小のプリファレンス損失を計算し、利得と比較
C: -7
C:-14
D:60
C
A
X
A: 8
A:-16
D:15
B: 6
B:-18
A: -8
C: 7
C:-14
D
B:-12
D:15
Y
B

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Emma
ビデオ配送
 プリファレンス損失<プリファレンス利得なら
配送受け入れ
D:15
A: -8
D:30
1リンクあたり2メディアまでしか
流せないと仮定
C:-14
C: -7
A: 8
B: 6
C: 7
D:15
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X
D:15
A: -8
B:-12
Y
C
A
D:60
A:-16
B:-18
D
B
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シミュレーションによる性能評価
 ネットワークシミュレータns-2による評価
 評価したネットワークモデル
Tiersモデルに基づく階層型トポロジ
 LANにあるノードのうち約50%がエンドホスト

 評価項目
オーバレイネットワークのオーバヘッド
 満足されるユーザプリファレンス
 制御メッセージのオーバヘッド

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シミュレーションによる性能評価
 評価目的
 オーバレイネットワークのオーバヘッド
ノード間遅延に影響を与えるノード間ホップ数増加が妥
当な範囲であるか
 パケット重複を引き起こす経路の重複はユニキャスト
に比べ抑えられているか

 満足されるユーザプリファレンス

単純な制御方式に比べ、どの程度満足されるプリファ
レンスが増加しているか
 制御メッセージのオーバヘッド

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制御メッセージが応答速度やトラヒックの面で、メディア
配送に影響を与えていないか
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オーバレイネットワークのオーバヘッド
オーバレイとユニキャストのホップ数比

オーバレイ上のノード間ホップ数


オーバレイネットワーク上2エンドホスト間の最短経路に含
まれる実リンク数
ユニキャストでのホップ数と比較

1オーバレイリンクは複数の実リンクからなるため、オーバ
レイホップ数は実リンク数より多くなる
1
A
2
1
2
B
2002/7/4
6
3
5
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4
21
オーバレイネットワークのオーバヘッド
100
18
90
16
80
14
70
12
60
10
50
8
40
ノード数 122
エンドホスト数 42
6
4
30
20
5.75
4.8
4.25
3.8
3.5
3.29
3.17
3.1
2.89
2.75
2.67
2.44
2.36
2.25
2.17
2.1
1.9
1.83
1.75
1.67
1.57
1.45
1.38
0
1.29
0
1.2
10
1.13
2
1
累積割合(%)
20
2.57
分布(%)
オーバレイとユニキャストのホップ数比
オーバレイ/ユニキャスト

オーバレイのノード間ホップ数はユニキャストでホップ数の2
倍以下が 80%

遅延はユニキャストでの経路の2倍程度で収まるので国内規模におい
ては十分
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オーバレイネットワークのオーバヘッド
実リンク上経路重複度
 エンドホスト数がNのとき、1実リンク上を通る
最短経路数
 ユニキャスト:N×(N-1)
 IPマルチキャスト:N
 オーバレイマルチキャスト:N+α

2つ以上の異なるオーバレイリンクが1つの実リンクを
共有する場合があるため
 オーバレイネットワークにおける経路重複度を
評価
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オーバレイネットワークのオーバヘッド
実リンク上経路重複度
16
14
オーバレイ
ユニキャスト
IPマルチキャスト
12
リンク数の分布
10
8
ノード数 122
エンドホスト数 42
6
4
2
0
0
20
40
60
80
100
120
140
リンク上の平均経路数

経路数はIPマルチキャストに近い

オーバレイの経路重複によるオーバヘッドは抑えられる
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満足されるプリファレンスの評価
 FCFS(First-Come-First-Serve)方式と比較し
た場合に、満足されるプリファレンス総和の増
加具合を評価する
FCFS方式
リンクに空きがある限り要求順に受け入れ、空き
がない場合は受け入れない
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満足されるプリファレンスの評価
14000
12000
ユーザプリファレンス総和
10000
8000
Emma
first-come-firrst-serve
線形 (Emma)
線形 (first-come-firrst-serve)
6000
4000
2000
0
0

10
20
30
40
エンドホスト数
50
60
70
80
EmmaではFCFS方式の1.2倍程度のプリファレンス
総和を達成している
2002/7/4
DICOMO2002
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制御メッセージのオーバヘッド評価

Emmaでは



周期時間(時間スロット長)を増大させると…


制御メッセージの送出を一定周期で集約し、制御トラヒックによるプロ
トコルオーバヘッドを削減
送出周期時間の制御でトラヒック量を制御
受信要求処理の遅れなどによるプロトコル応答速度の低下のおそれ
この実験では各場合においての


1リンクに流れる1メディアあたりの制御トラヒック(1メッセージを
200Byteとする)
制御メッセージ送出からメディア受信開始までのレスポンス時間
を測定した
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制御メッセージのオーバヘッド評価
ノード数固定の場合
12
2.5
ノード数 105
エンドホスト数 54
8
2
1.5
6
制御トラヒック
レスポンス時間
4
1
レスポンス時間(s)
制御トラヒック(kbps)
10
0.5
2
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
時間スロット長(s)

制御トラヒックとレスポンス時間は予想通りのトレー
ドオフが見られる
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DICOMO2002
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制御メッセージのオーバヘッド評価
周期時間固定の場合
3
1.8
1.6
ノード数 25~145
周期時間 0.5s
2
1.4
1.2
1
1.5
0.8
1
0.6
0.4
制御トラヒック
レスポンス時間
0.5
レスポンス時間(s)
制御トラヒック(kbps)
2.5
0.2
0
0
25
45
65
85
105
125
145
ノード数


制御トラヒックはビデオ配送にあまり影響はない
レスポンス時間を適当な値にするは、利用環境に応じた周期
時間を設定すればよい
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まとめと今後の課題
 まとめ
 ユーザプリファレンスを考慮したアプリケーション
レベルマルチキャストEmmaのネットワークシミュ
レータns-2による性能評価
 今後の課題
 メディア配送時のジッタやパケットロスの計測
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DICOMO2002
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