ATLAS実験における J/Y->mm過程を用いたdi-muon trigger efficiency の測定方法の開発及び評価 喜家村裕宣、新保直樹、蔵重久弥(神戸大自然) 河野能知(CERN) 徳宿克夫、長野邦浩、小曽根健嗣(KEK) ATLAS-JAPAN-HLTグループ Contents Introduction • LHCとATLAS検出器 • ATLAS実験でのイベントセレクション • 研究の動機と目的 • LVL1シングルミューオントリガー効率の測定 Di-muon trigger efficiencyの測定 • 測定方法と結果 まとめと今後 Introduction LHCとATLAS検出器 • いよいよ始まる!! LHC=Large Hadron Collider – P-P Collider (衝突エネルギー:14TeV(CM)) – 到達luminosity:1034cm-2s-1(High luminosity run) • ATLAS検出器 – LHCに設置される汎用検出器 – Higgs粒子、SUSY粒子の探索、t、bクォークの物理などの研究を行う。 Endcap Barrel 2008/3/26 日本物理学会 2 Introduction ATLAS実験でのEvent trigger LVL1 Muon Trigger • Endcap:TGC (Thin Gap Chamber) Barrel:RPC (Resistive Plate Chamber) • 全てハードウェア処理。 • ミューオンの横方向運動量(Pt)を指標に トリガー判定を行う。 =L1_2MU06 2008/3/26 日本物理学会 3 Introduction 研究の動機と方法 • これまでの研究 – J/Y->mm過程を用いて、 実データからシングルミューオントリガー効率を測定する方法を開発した。 (前回の日本物理学会で発表) • 動機 – ATLAS実験初期に十分な統計量が期待できるJ/Y->mm過程は、 広く検出器のコミッショニングに用いられる予定であり、 Bの物理にも深く関係する。 → ダイミューオン過程に対するトリガー効率を測定する必要あり。 → ダイミューオン過程の生成断面積の測定につながる。 • 方法 – これまでの研究を応用し、実データからダイミューオン過程に対する トリガー効率を求める方法を開発。 – トリガーレベルの出力値と比較することで手法の妥当性を検証。 2008/3/26 日本物理学会 4 Introduction LVL1シングルミューオントリガー効率の測定 Trigger efficiency VS Pt tag & probe method Endcap Barrel – Fitting result ・MU06でトリガーされたイベントのみ使用。 (“tagged muon”) ・不変質量を基準にtagged muonの相方を探す。 (“probe muon”) ・probe muonに対するトリガー効率を測定する。 2008/3/26 日本物理学会 A 1 exp ( - a(pt - b)) この方法で、全領域に対する LVL1シングルミューオントリガー効率 が測定できる。 (評価・最適化については 前回の日本物理学会で発表済み) 5 Di-muon trigger efficiencyの測定 Di-muon trigger efficiencyの測定 測定方法 • Endcap/Barrel領域を、h/f方向に細かく分割する。 → トリガー効率の位置依存性の把握 • J/Y->mm過程を用いて、各領域でのシングルミューオントリガー効率を、 ミューオンのPtの関数として測定する。 • 各領域でのフィット結果をテーブル化する。→ “Trigger efficiency map (TEM)” → あるミューオンについて、その座標(h,f)とPtから、トリガー効率が求まる。 • ダイミューオン過程に含まれる2つのミューオンのトリガー効率の積として、 その過程に対するトリガー効率が求まる。 B B × h<0 × h>0 Endcap/Barrelの分割 Endcap • 全体の8分の1単位で同じ構造 → 統計量を稼ぐために統合 • h*qの正負ごとに分類して10(h)×6(f)に分割 → 2通りのTEM Barrel • hを絶対値で考え、全体を5(h)×10(f)に分割 → 1通りのTEM IP ビーム軸 分割数は自在に変更可能。 2008/3/26 日本物理学会 7 Di-muon trigger efficiencyの測定 A 1 exp ( - a(pt - b)) 分割後のシングルミューオントリガー効率(Endcap,h*q>0) IDf = 5 IDf = 0 h=1.05 h=2.45 2008/3/26 日本物理学会 8 Di-muon trigger efficiencyの測定 A 1 exp ( - a(pt - b)) 分割後のシングルミューオントリガー効率(Barrel) F=3.14 F=-3.14 h=0 h=1.05 2008/3/26 日本物理学会 9 Di-muon trigger efficiencyの測定 Trigger efficiency map パラメータごとに、各領域でのフィット結果を記録。 滑らかに繋いでTrigger efficiency mapを作成。 A 1 exp ( - a(pt - b)) Endcap (h*q>0) a A f b h Barrel a A f b h 2008/3/26 日本物理学会 10 Di-muon trigger efficiencyの測定 測定結果と評価 • シミュレーションサンプルを用いて、 J/Y->mmイベントに対するダイミューオントリガー効率をTEMを用いて測定。 μ μ J/ψμμ trig trig ( Pt1 ,h1 , f1 ) trig ( Pt2 ,h2 , f2 ) 1 • 2 トリガーレベルの出力であるL1_2MU06フラグと比較することで、 測定結果の妥当性を検証。 – L1_2MU06:LVL1トリガーレベルでMU6としてトリガーされたミューオンが2つ以上あっ た場合にたつ。 ●TEMを用いた測定結果 ○L1_2MU06フラグの結果 TEMを用いた結果は誤差の範囲でトリガーレベルでの出力値と合致 OK!! 2008/3/26 日本物理学会 11 まとめと今後 まとめ • • J/Y->mm過程を用いて、実データからDi-muon trigger efficiencyを測定する方法、 ツールを開発した。 この方法を用いて、J/Y->mmイベントに対するトリガー効率を測定。 – 測定結果はトリガーレベルの出力値と誤差の範囲で一致。 → 本手法を用いることでDi-muon trigger efficiencyを実データから測定すること が可能。 今後 • • • ATLASの解析フレームワークAthenaのバージョンアップに伴う 本手法の評価及び最適化を行う。 より低いPtのミューオンを含むサンプルを用いて、 実験により近いデータで本手法の評価を行う。 実験本番で、本ツールを用いてDi-muon trigger efficiencyを求める。 2008/3/26 日本物理学会 12 付録 使用サンプルとAthenaのバージョン 使用サンプル • trig1_misal1_mc12.017516.PythiaB_bb_Jpsimu6mu4X.v12000602 • trig1_misal1_mc12.017503.Pythia_directJpsimu6mu4.v12000602 • bphys.019008.Lambdab_Jpsi_mu4mu2.5_Lambda ※ ATLAS換算でおよそ20pb-1相当のデータを使用。 ミューオンのPt分布 ミューオンのh分布 2つのミューオンのDR分布 Athenaのバージョン • 12.0.6 2008/3/26 日本物理学会 14 J/Y->mmイベントに対するトリガー効率の系統誤差の見積もり • TEMのEndcap及びBarrelの分割数、フィットの精度が 本手法の系統誤差の要因と考えられる。 → 系統誤差を、以下のように見積もった。 1. Endcap及びBarrelの分割数、フィット領域を変更してトリガー効率を算出。 2. 変更前の計算結果と変更後の計算結果を比較。 3. その差を系統誤差として誤差に加えた。 • 変更後の値 – Endcapの分割数:15(h)×10(f) – Barrelの分割数:8(h)×15(f) – フィット領域:0~20GeV → 0~10GeV (立ち上がり部分のみフィット) ※0~20GeVをフィットした場合に比べ、立ち上がり部分に対する精度が上がる。 2008/3/26 日本物理学会 15
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