塗装工事の安全管理に効果的な 予防処置プロセスアプローチ

塗装工事の安全管理に効果的な
予防処置プロセスアプローチ
KNC Co,代表
IRCA QMS審査員
中山 金男
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予防処置プロセスプローチとは
• 予防処置プロセス
ISO 9001 8.5.3 予防処置
Quality-JASP 12 是正処置・予防処置
12 是正処置・予防処置
12-1 実際に発生した不適合及び不適合製品の再発を防止するために、その発生原因を明らかにして、原因に
手を打つ是正処置を実施すること。また潜在的な発生が予想される不適合及び不適合製品の発生を防止
するために、その発生の原因を明らかにして、原因に手を打つ予防処置を実施すること。
12-2 不適合の発生は次のような場合がある。それぞれに顕在化し、是正処置につなげること。
「不適合」
① 内部監査で発見されるもの
② 業務の遂行に伴い発生するもの(業務ミス)
③ 外部からのクレーム(提出書類不備、近隣苦情など)
「不適合製品」
① 検査・試験によって発見されるもの
② 物品の取扱いミスによって発生するもの
③ 作業の実施によって発生する事故など
⑤ 顧客クレーム
12-3 是正処置及び予防処置には、技術的な対応と、しくみ的な対応とがある。いずれの場合においても、
是正処置及び予防処置に伴う手順の改訂を実施すること。
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安全管理上の事故
• 塗装工事の安全
・足場からの転落(6件)
・転倒(3件)
・脚立からの転落(3件)
・落下物・飛来物(2件)
・構造物からの転落(8件)
・機械との接触(2件)
・階段からの転落(2件)
・交通事故(1件)
• 歩道橋塗装工事の安全対策
・衝突警報システムの開発(90万円)
・事故現場の工事内容
歩道橋修繕工事(2)・横断歩道橋塗装工事・塗替塗装工事
歩道橋塗装工事(2)・ 県単橋粱補修工事・管内塗装工事
• 最近の産業中毒
東京労災病院 産業中毒センター
・建設塗装業における有機溶剤急性中毒発生の特徴
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予防処置のプロセス
予防処置の情報源(ISO 9004:2000も参照)
・顧客の期待とニーズの差(7.2.2)
・市場情報の分析(7.2.3)
・マネジメントレビューからのアウトプット(5.6.3)
・データ分析からのアウトプット(8.4)
・顧客満足度の測定結果(8.2.1)
・プロセスの測定結果(8.2.3)
・供給者の監視(7.4.3.2)
・過去の経験からの情報
・FMEAの結果
目的:不適合の未然防止
日常的な活動
・新製品での未然防止
*新製品のプロジェクト
・品質マネジメントシステムやプロセスの変更
8.4 データの分析
*プロセスや製品の特性や傾向から予防処置の改善の機会の提案
*潜在している不適合や原因の抽出
ポイント:
積極的に実施する
水平展開・横展開
*類似製品、工程、プロセス
未然防止の必要性判断
予防処置の実施
*原因の特定、処置、記録
ポイント:
問題が顕在化して
いないところの処置
*改善の一つ
マネジメントレビューへの報告
*予防処置のレビュー
製品、プロセス、システムの監視、測定
品質マネジメントシステムの有効性の改善
組織のパフォーマンスの向上
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予防処置のプロセス
予防処置の情報源(ISO 9004:2000も参照)
目的:安全に関する事故の
目的:不適合の未然防止
未然防止
・お客さんの要求と暗黙に期待している安全対策
・顧客の期待とニーズの差(7.2.2)
・現場付近の住民・利用者・現場状況の情報
・市場情報の分析(7.2.3)
・社長・幹部からの指示・要望事項
・マネジメントレビューからのアウトプット(5.6.3)
・過去のひやり・はっとの内容
・データ分析からのアウトプット(8.4)
・安全対策に対するお客さんの反応
・顧客満足度の測定結果(8.2.1)
・工事の安全管理実施状況
・プロセスの測定結果(8.2.3)
・下請業者の安全管理実施状況
・供給者の監視(7.4.3.2)
・過去の経験から得られた必要な安全対策
・過去の経験からの情報
・起こりえる事故の洗い出し結果(FMEA)
・FMEAの結果
日常的な活動
普段の仕事として実施
・新製品での未然防止
・新規の仕事への対策として盛り込み
*新製品のプロジェクト
*新規工事への取り組み
・品質マネジメントシステムやプロセスの変更
・手順書・帳票や工事方法の標準として変更
8.4 データの分析
未然防止策として考えられるものの検討
*プロセスや製品の特性や傾向から予防処置の改善の機会の提案
*工事方法や工事の性質や工事の事故傾向から必要と思われるもの
*潜在している不適合や原因の抽出
*起こりえると思われる事故と考えられる原因の洗い出し
ポイント:
ポイント:
積極的に実施する
決めたとおりきちんと実施
未然防止の必要性判断
価値のある対策を決定
水平展開・横展開
応用できるものにも実施
*類似製品、工程、プロセス
*似たような工事・内容・方法
ポイント:
実際に事故は起きて
問題が顕在化して
いないものに実施
いないところの処置
*安全管理の改善
*改善の一つ
事故防止対策の実施
予防処置の実施
*原因の絞り込み→対策→内容を記録
*原因の特定、処置、記録
社長・幹部へ報告内容
マネジメントレビューへの報告
*事故防止対策の実施・結果
*予防処置のレビュー
工事方法・工事結果・全体の動きを見ながら評価
製品、プロセス、システムの監視、測定
品質マネジメントシステムの有効性の改善
定常業務として効果が騰がるものに変更
組織のパフォーマンスの向上
会社の安全管理体制の強化
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予防処置を実施するためのポイント
予防処置のポイント
不適合が発生してからの処置は是正処置
*損失大
1.不適合が起こる前の処置
2.前向きな活動
3.成果は大きい(損失費用が少ない)
予防処置の実績が少ないと
効果的な実施とは言えない
積極的に実施
*情報の活用
*仕組み(プロセス)の改善
仕組みの改善
製品の改善
活動の成果を積極的に評価
*マネジメント
*内部コミュニケーション
・システムの改善
・パフォーマンスの改善
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未然防止(予防処置)の進め方
目的
不適合の発生原因を事前に感知し、未然防止を図る
*未然防止の仕組みを構築する
背景
不適合の発生の主要因はいくつかに分類される
*4M変更、新製品立ち上げ、変更管理から漏れた変更など
ポイントは変更点の管理
品質不具合未然防止のためのプロセス
各部門のプロセスに基づく実施(定常業務)
*設計、製造、購買、検査、営業など
不具合発生の要因となる変化点の可能性や予定が発生
*例:4M変更、新製品立ち上げなど
不具合要因となる出来事は全て報告
*品質会議で確認
例:主要因ほ変更点
・新製品の設計
・新製品の立ち上げ
・各種変更(設計、作業者、
設備、材料、作業方法、
製造パラメータ、工法、
工順、治工具、生産量、
ラインスピード、型変更、
検査方法、外注での変更、
購買先など)
・設備トラブル
・システムの変更(アウト
ソーシングへの切り換え、 ほか)
品質システムの手順に基づく実施
* 7.1.4 変更管理
* 7.3.1.1 部門横断的アプローチ
品質保証部門への報告又は申請
*品質会議への報告(担当部門:品質保証部門)
システムとしては
この実施の確実化
未然防止活動の指示や計画
*品質保証部門が管理
実施状況及び結果の監視
「8.2.3 プロセスの監視
及び測定」を適用
品質不具合の発生状況の分析
未然防止活動の有効性の評価
*仕組み上の問題点の改善
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安全管理(未然防止)の進め方
目的
安全事故の起こりえる原因を洗い出し、事故防止策を実施する
不適合の発生原因を事前に感知し、未然防止を図る
*安全管理に未然防止の仕組みを盛り込む
*未然防止の仕組みを構築する
背景
安全事故が起こる主な原因はいくつかに分けられる
不適合の発生の主要因はいくつかに分類される
*4M変更、新製品立ち上げ、変更管理から漏れた変更など
*4Mの変更、新工事の着工時、変更時の手順漏れなど
ポイントは変更点の管理
ポイントは変更時の対応
安全事故を未然に防止するための手順
品質不具合未然防止のためのプロセス
関係部門の安全対策手順に添った実務(定常業務)
各部門のプロセスに基づく実施(定常業務)
*工事の設計・工事・機材の購入・検査・顧客の窓口業務など
*設計、製造、購買、検査、営業など
安全事故の原因となる変化が起きる可能性や予定が発生
不具合発生の要因となる変化点の可能性や予定が発生
*例:4Mの変更・新工事の着工開始・外部環境の変化など
*例:4M変更、新製品立ち上げなど
ひやり・はっとの原因を含め全て報告
不具合要因となる出来事は全て報告
*安全衛生委員会で検討・決定
*品質会議で確認
例:主要因ほ変更点
例:主な原因は変更・変化
・新製品の設計
・新工事の設計(工事・工程)
・新製品の立ち上げ
・新工事の着工開始時
・各種変更(設計、作業者、
・各種変更・変化(設計、作業者、
設備、材料、作業方法、
設備、材料、作業方法、
製造パラメータ、工法、
工事条件、工事工法、
工順、治工具、生産量、
工事順序、治工具、工事量、
ラインスピード、型変更、
工事スピード、足場変更、
検査方法、外注での変更、
検査方法、外注での変更、
購買先など)
機材の購入先など)
・設備トラブル
・設備・機器のトラブル
・システムの変更(アウト
・工事基本事項の変更(外注への
ソーシングへの切り換え、
切り換え・外注先の変更など)
ほか)
安全管理の手順に従った変更を実施
品質システムの手順に基づく実施
* 7.1.4 変更管理
*安全に関する変更の指示内容と方法
* 7.3.1.1 部門横断的アプローチ
*関係部門が集まって変更への対応検討
安全衛生委員会・管理責任者への報告又は申請
品質保証部門への報告又は申請
*品質会議への報告(担当部門:品質保証部門)
*安全衛生委員会への報告(安全衛生管理者)
確実に変更方法が
システムとしては
守られる手順を作る
この実施の確実化
安全事故防止活動の指示や活動計画
未然防止活動の指示や計画
*安全衛生委員会・管理責任者が推進
*品質保証部門が管理
実施状況及び結果の継続的確認
実施状況及び結果の監視
工事状況の継続的確認
「8.2.3 プロセスの監視
及び結果の評価
及び測定」を適用
安全事故の発生の可能性確認
品質不具合の発生状況の分析
安全事故未然防止活動の効果の評価
未然防止活動の有効性の評価
*活動の仕組み上の問題点の改善
*仕組み上の問題点の改善
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安全管理の技術屋集団
1.技術屋は
固有技術と管理技術の2つを持たなければならない。
固有技術
技術屋
管理技術
2. ギ術屋の種類
1) 技術屋
1%の可能性でも信じ、やり遂げる。
2) 偽術屋
出来ない事は理路整然と言え、出来る方法は全然言えない。
3) 疑術屋 「徹底的に一生懸命やる、油断なくしっかりやる」だとか
曖昧模糊として、定量的表現が出来ない。
4) 擬術屋
話をさせると専門用語がポンポン出てくるが、やる事成す事理屈より外れている。
5) 欺術屋
やります、出来ますと言って、いつも期日・目標が達成出来ない。
6) 犠術屋
あちこち犠牲者を出しながらやっており、犠牲者の上で成り立っている。
7) 妓術屋
日頃仕事をやっているのかやってないのか解らないが、イベントの酒の席のみ、
生き生きしている。
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