第三章 会社のグループを形成する 1.会社の成長とグループ形成 • 1.会社グループの分類 会社グループの全体像を示すと、ピラミッド組 織になり、会社グループを狭義の会社と広義の 会社の2つに分けることができます。会社グルー プを経営戦略という観点からみると、将来事業の 開発、既存事業の拡大、既存機能の分担、外部 経営資源の活用の4つに分類できます。 • 2.会社グループの必然性 組織拡大に伴い、会社グループが徐々に形 成されていきますが、それには次のような必然的 な理由があります。 1.自社の弱点を補強するため。 2.経営管理上、最適な会社規模があり、これを超 えると非効率になるため。 3.可能なかぎり屋上屋の階層組織を回避し、「小 さな政府」による管理をするため。 4.新事業、新地域へ進出するための最適な組織 構築のため。 3.関係会社の分類と管理 1.関係会社の分類 「関係会社」とは商法および証券取引法において 規定されている概念です。実務上、関係会社、子 会社、関連会社を混同して使用されています。 2.関係会社の管理組織 親会社の立場としては、会社グループをトー タルに判断、調整する必要があります。関係会 社をコントロールするには、基本的に3つの管理 方法があります。1.ライン部門管理方式 2.ス タッフ部門管理 3.ライン複合管理方式 • 3.関係会社の管理規定 関係会社と親会社の利害が対立することもあ るので親会社・関係会社間の利害調整に配慮し、 かつ、その独立性を損なわないようなルールづく りが必要になる。これを「関係会社管理規定」と よびます。 4.株式会社の導入と新たな展開 1.カンパニー制の導入 ソニーや日立製作所のような巨大会社が、社 内にカンパニー制を導入するようになりました。 カンパニー制の基本型は、「会社または会社グ ループ内を、同質の製品やサービス等の事業部 を一単位として、別々の会社のような形態に区分 し、管理する組織形態」と考えることができます。 • 2.株式会社制度の導入 1997年から日本でも独占禁止法が改正され、 純粋持株会社の設立が可能になりました。持株 会社の導入によって、不振事業部の切り離しが 活発になり、この不採算部門を買収して、再建し 株式を公開するビジネスがスタートしはじめました。 2.関係会社の業績を評価する • 1.業績評価の必要性 関係会社の業績評価は、その経営責任者や 管理者の能力を評価するために実施されます。 会社は、グループとして効率経営をしなければな りません。この判断資料に業績評価の結果が利 用されます。 • 2.業績評価の仕方 関係会社の業績評価をするには、その前提条件が 整備されていなければなりません。前提条件を整理す ると、次のようになります。 1.関係会社の存在目的が明確で、目的を達成するため の責任権限が社長に委譲されており、かつ営業評価基 準が明示されていること。 2.親会社が計画経営を実施しており、その経営計画、予 算統制を通じて、関係会社の位置づけが明確になって いること。 3.関係会社の経営業績報告制度が確立され、その作成 ルールが関係会社間で統一されていること。 • 3.関係会社経営会議の開催 経営会議は、関係会社の社長を含むトップ経 営陣で構成される必要があります。単に報告を 聞き、社内に伝達するだけの会議ではなく、経営 の重要事項の決定も含まれるので、各社の意思 決定責任者の参加が前提です。関係会社経営 会議は、会社グループ全体に構成員意識を植え 付け、決定事項をより迅速にグループ内に浸透 させると同時に、業績評価発表により各社の経 営努力競争を促進し、グループ全体の効率経営 に役立つという効果もあります。 • 4.分社経営の特質と注意点 1.分社経営と関係会社経営の違い 分社経営とは、関係会社経営に内包されますが、関 係会社のような支配従属関係が強調されることはな く、その独立性を前面に打ち出した組織活性化法で あると考えるべきです。 2. 連邦経営の経営形態 関係会社経営や分社経営が、ややもすると親 会社を中核として、支配被支配関係が強調され、ま た関係会社が相互に親会社としか事業上の関係が ない場合が多いことの反省から連邦経営という概念 を導入する場合があります。 • 3.分社経営等を成功させるには 親会社の責任権限を可能なかぎり委譲し、そ の独立性を重視する分社経営という権力の分散 化には、必然的に危険性が伴います。権力の分 散を行うには、強力な求心力を働かせる仕組み を、グループ経営にもちこむ必要があります。
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