インフルエンザ UP to Date

第5回 吉永医院 在宅医療連絡相談会
コンセンサス・ミーティング
インフルエンザ UP to Date
医療法人 社団永仁会 吉永医院
内 科
吉永 治彦
本日の趣旨
新型インフルエンザ
季節性インフルエンザ
参考:高病原性(トリ)インフルエンザ
毎日死亡者がTVで紹介されるなど、いたず
らに恐怖をあおり大切なことは言わないマス
コミの不適切な報道が目に余るため、急遽、
説明会を開くことにしました。
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インフルエンザ・ウィルス
新型インフルエンザ(H1N1)
現在蔓延中のA型インフルエンザ。
メキシコで豚インフルエンザがヒトに感染力を
もったもの。弱毒性だが感染力強い。
季節性インフルエンザ
The images of the newly identified
H1N1 influenza virus taken in the
CDC Influenza Laboratory.
毎冬に流行、本年も流行が予想される。
A型は上記の新型と区別が困難だが、現場では区別は不要。
高病原性(トリ)インフルエンザ
やがてヒトからヒトへの感染力をもつといわれる。致死率60%以上?
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インフルエンザウィルスの構造
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過去のインフルエンザ流行
今回の新型インフルエンザは弱毒性だが感染力が強いため
社会への影響が強い。基本再生産数Ro(1人が何人に感染
させるかを示す)は、本邦で 2.0 ~ 2.4 と報告されている。ち
なみに季節性インフルエンザでは 1.3 程度である。
致死率は 0.4%(0.3%~1.5%)、0.06%~0.0004%、0.58% な
どの報告がある。
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インフルエンザ患者の発生動向
(厚生労働省発表資料)
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新型インフルエン
ザの特徴
(厚生労働省発表資料)
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新型インフルエン
ザの患者の特徴
(厚生労働省発表資料)
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各国の新型インフルエ
ンザ症例の年齢分布
(厚生労働省発表資料)
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新型インフルエンザの死
亡者の年齢分布
かかるのは
若い人が多いが、
重くなるのは
高齢者が多い。
(厚生労働省発表資料)
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季節性インフルエンザと新
型インフルエンザの違い
(厚生労働省発表資料)
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インフルエンザ検査法
• インフルエンザウイルス迅速抗原検査
5分~15分
• RT-PCR法による遺伝子検出
保健所等で数時間
• ウイルス分離による証明
• 抗体検査
(ペア血清について4倍以上の有意上昇)
(CF法:型特異型でA型あるいはB型を区別できる)
(HI法:HA蛋白質に対する抗体を測定するため株特異的に上昇)
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数日
~
数週間
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インフルエンザウイルス迅速抗原検査
• 多くの診療所・病院で現在行っている検査
• 短時間(5分~15分)
• A型、B型インフルエンザ抗原を検出できる
が新型かどうかはわからない
• ただし、陰性の場合に注意!
季節性インフルエンザでもタイプにより感度は異なり、
最大でも90% つまり1割は見逃す
新型インフルエンザについては感度 10% ~ 70% と低い
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インフルエンザの診断
• 症状が重要!(38℃以上の発熱・頭痛・咽
頭痛・関節痛・咳嗽・鼻水など、たまに下痢
などの消化器症状もあり、重症化すると肺
炎や脳炎をきたし生命にかかわる。)
• インフルエンザ迅速抗原検査は参考程度
と考えておくこと。
– 陽性の結果はほとんど信用してよいが、陰性の場合でもイン
フルエンザに感染していないとはいえない。よって、「インフル
エンザでないこと」の証明にはならない!
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インフルエンザの治療
抗ウィルス薬:タミフル (or リレンザ)内服1日2回5日間
全例に投与するわけではない。耐性化の点からはひかえるべきとの意見もあ
り、重篤になりそうなハイリスク患者のみを対象とすべきだが、発熱等の症状
が1日程度短縮することから基礎疾患のない人にも処方してしまうことが多い。
抗生物質・抗菌薬:クラリスロマイシン等
細菌感染を合併すると重篤になるので、症状により併用することもある。
解熱薬:アセトアミノフェン(カロナール・コカール・ピリナジン等
の内服、アルピニー座薬)頓服
インフルエンザでは高熱でも強力な解熱剤を使用しないことが多い。特に幼児
においてライ症候群という重篤な合併症をきたすことがあるためである(特に
アスピリン、ボルタレン等はさける)。高齢者では全身状態を考慮して使用する
場合もある(当院ではロキソプロフェン)。
去痰薬その他:ムコソルバン or ムコダインなど
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インフルエンザの予防
基本的予防手段の徹底:手洗い・うがい・マスク
予防注射(ワクチン)
新型インフルエンザ・ワクチン
季節性インフルエンザ・ワクチン
抗ウィルス薬の予防内服:家族等が感染した場合
タミフル (or リレンザ)内服1日1回7日~10日間
(保険はききません)
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ハイリスク者について
(厚生労働省発表資料)
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インフルエンザ対策の層別化
在宅患者
ハイリスク群
在宅患者の家族
介護者
施設スタッフ
医療従事者
基礎疾患のある人
65歳以上の高齢者
妊婦
5歳未満の幼児
上記以外の健常者
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インフルエンザ対策の層別化
健常者の場合
在宅患者
ハイリスク群
在宅患者の家族
介護者
施設スタッフ
医療従事者
基礎疾患のある人
65歳以上の高齢者
妊婦
5歳未満の幼児
上記以外の健常者
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健常者(基礎疾患のない人)の
医療機関受診の際の注意
• 症状が軽いうちは自宅で安静療養!
• 38℃以上の発熱が出現したら受診。
早めに受診するのはよくない!
症状が軽すぎて診断つかない。
ただでさえ迅速検査の感度は低いのであるが、
24時間程度たっていないと、咽頭や鼻汁の
ウィルス量が少なすぎてなおさら陽性にでない。
待合室で本物に感染する可能性あり!
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健常者の受診のめやす
(厚生労働省発表資料)
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健常者(基礎疾患のない人)の
インフルエンザの治療について
• 48時間以内にタミフルのまないと効かない
というけど?
38℃以上の発熱が出現してから24時間以上、
48時間以内で受診して迅速検査陽性でタミフル開始
というのが最も理想的なシナリオだが、
• 基礎疾患がなければ、多くの人はタミフル
などのまなくても治る!ということをよ~く
憶えておいて下さい。
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健常者のインフルエンザの治療
抗ウィルス薬:タミフル (or リレンザ)内服1日2回5日間
全身状態・呼吸器症状を勘案して使用します。
抗生物質・抗菌薬:クラリスロマイシン等
黄色痰など呼吸器症状を勘案して使用します。
解熱薬:アセトアミノフェン(カロナール・コカール・ピリナジン等
の内服、アルピニー座薬)頓服
基本的に頓服で使用します。
去痰薬その他:ムコソルバン or ムコダインなど
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健常者のインフルエンザの予防
基本的予防手段の徹底:手洗い・うがい・マスク
予防注射(ワクチン)
×新型インフルエンザ・ワクチン
季節性インフルエンザ・ワクチン
抗ウィルス薬の予防内服:家族等が感染した場合
×
タミフル (or リレンザ)内服1日1回7日~10日間
(保険はききません)
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CDCガイドライン
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インフルエンザ対策の層別化
在宅患者の場合
在宅患者
ハイリスク群
在宅患者の家族
介護者
施設スタッフ
医療従事者
基礎疾患のある人
65歳以上の高齢者
妊婦
5歳未満の幼児
上記以外の健常者
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在宅患者さんのインフルエンザの治療
在宅患者 = 基礎疾患のある人、高齢者
抗ウィルス薬:タミフル (or リレンザ)内服1日2回5日間
抗生物質・抗菌薬:クラリスロマイシン等
解熱薬:アセトアミノフェン(カロナール・コカール・ピリナジン等
の内服、アルピニー座薬)頓服、症状によりロキソプロフェン
去痰薬その他:ムコソルバン or ムコダインなど
基本的に全て使用します。
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在宅患者さんのインフルエンザの予防
家族や介護者・医療者の感染予防・治療
予防注射(ワクチン)
新型インフルエンザ・ワクチン
季節性インフルエンザ・ワクチン
抗ウィルス薬の予防内服:介護者等が感染した場合
タミフル (or リレンザ)内服1日1回7日~10日間
(保険はききません)
基本的に全てやります。
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インフルエンザ対策の層別化
在宅患者に関わる職種の場合
在宅患者
ハイリスク群
在宅患者の家族
介護者
施設スタッフ
医療従事者
基礎疾患のある人
65歳以上の高齢者
妊婦
5歳未満の幼児
上記以外の健常者
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在宅チームのインフルエンザの治療
在宅患者への感染を防ぐために健常者でも治療する。
抗ウィルス薬:タミフル (or リレンザ)内服1日2回5日間
抗生物質・抗菌薬:クラリスロマイシン等
黄色痰など呼吸器症状を勘案して使用します。
解熱薬:アセトアミノフェン(カロナール・コカール・ピリナジン等
の内服、アルピニー座薬)頓服、症状によりロキソプロフェン
去痰薬その他:ムコソルバン or ムコダインなど
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在宅チームのインフルエンザの予防
基本的予防手段の徹底:手洗い・うがい・マスク
予防注射(ワクチン)
新型インフルエンザ・ワクチン
季節性インフルエンザ・ワクチン
抗ウィルス薬の予防内服:接触せざるをえない場合
タミフル (or リレンザ)内服1日1回7日~10日間
(保険はききません)
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患者・接触者フローチャートの例
(東京医科歯科大学)
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新型インフルエンザワクチン
について
現時点で詳細は未定。
接種対象者の優先順位は国で決定。
医療従事者・基礎疾患のある患者・
国と委託契約を結んだ医療機関で接種することになって
いるが、患者さんには基本的にはかかりつけ医が接種す
ることが望ましいことになっており、委託契約は県医師会
が一括で行うので、内科・小児科などほとんどの医療機
関で扱うことになると思われる。
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今回の新型インフルエンザ対策
の目的
(厚生労働省発表資料)
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諸外国における新型イン
フルエンザワクチン接種
対象者
(厚生労働省発表資料)
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ワクチン接種の対象者と理由(
素案)
新型インフルエンザワ
クチンの生産・輸入
(厚生労働省発表資料)
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インフルエンザワクチンの有効
性と安全性
(厚生労働省発表資料)
季節性インフルエンザに対する
ワクチンの効果
(厚生労働省発表資料)
インフルエンザやその他のワク
チンの副反応
(厚生労働省発表資料)
今シーズンの季節性
インフルエンザワクチンについて
新型インフルエンザワクチンの製造のため、季節性インフ
ルエンザワクチンが例年の8割程度しか製造できない事
態となっており、それぞれの医療機関に割り当てられるの
は最大でも昨年の仕入れ本数の8割程度です。
当院では基礎疾患のある患者さんと医療従事者の分を
優先確保し、余りがでれば(おそらくでませんが)、毎年当
院で接種している健常者の方を受け付けることにします。
電話での問い合わせが大変多いのですが、当院受診した
ことのない方は残念ながらお断りしております。
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インフルエンザ様症状出現者および接触者の対応
インフルエンザ様症状出現者
38℃以上の発熱と、
咽頭痛・咳・痰のいずれかが出現
就業禁止
解熱剤なしで
37℃未満が
48時間以上経
過
接触者
インフルエンザ様症状出現者と接触あり
出勤可
4日間 毎朝体温測定
及び手洗い励行と
マスク着用必須
解熱剤なしで
37℃未満が
24時間以上経
過
出勤可
2日間は手洗い励行
とマスク着用必須
経過中に37.5℃以上
の発熱と、
咽頭痛・咳・痰のい
ずれかが出現
4日間経過して異常がなければ
以後通常どおり
以後、異常がなければ通常どおり
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モラルを大切に常識ある行動を
呼びかけましょう!
学校や会社などが今回の新型インフルエンザに過敏に
反応して、症状が軽いにも関わらずインフルエンザ大丈夫か
検査してもらってくるようにと医療機関を受診させることが
増えています。
タミフルやリレンザの備蓄にも不安はありますが、
それ以上に迅速検査キットが不足しそうです。
何より怖いのは、高病原性(トリ)インフルエンザが
ヒトからヒトに感染するようになって流行することであり、
その時に薬や検査キットが足りないではすまされません。
このようなことのないようにしてゆきましょう。
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