よい経営のための処方箋その4 健康体企業になる経営計画 (健康であれば利益は自然に出る) 株式会社価創研 代表取締役 鈴木 茂和 (中小企業診断士) Cell:090-3422-0179 じゆうじんの経営放談 http://www.zujin50.jp/ Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 経営計画なんか不要だ! とおっしゃる社長がいらっしゃいます。 変化の早い世の中で、時間をかけて計画を立てたところで、すぐに 状況が変わってしまい役に立たなくなる、というのが理由のようです。 そう言いながらも、数字の目標(予算)だけは細かく立てて、 利益の追求には余念がありません。 でも、少し待ってください。 毎年毎年、短期的利益を 追い続けるだけで本当に よいのでしょうか? P.1 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 「利益はウンチ」と喝破した名経営者 伊那食品工業㈱の塚越会長は、『リストラなしの「年輪経営」』の 中で、次のように言われています。 ウンチを出すことを目的に生きている人はいません。でも、 健康な身体なら、自然と毎日出ます。出そうと思わなくても、 出てきます。ここがポイントです。 「健康な会社」であれば、「利益」というウンチは自然と出て くるはずです。毎日、出そうと思わなくても、出てくるものです。 だから、「利益」を出そうと思えば、「健康な会社」をつくることを 考えればいいわけです。 「健康な会社」とは、「バランスのいい」会社だと塚越会長は続けます。企業規模に 相応しい販売網、研究開発体制の整備、社員教育、地域や環境への貢献を考え、 これらのバランスを取ることが大切だと指摘されています。 経営計画なしに、この「バランス」を取ることは極めて困難ではないでしょうか 。 P.2 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 「同じ轍を何度も踏む」経営にしないために 短期的利益を毎年追い求めるだけで、経営の質そのものが一向に高まらない 経営になっていませんか? あたかも不具合のある製造ラインを動かし続け、 おしゃかの山を積み上げるような、そんな経営になっていないでしょうか? 何か問題が起きたとき、問題解決のプロは、 その対策として当面策と根本策を検討します。 製造ラインに不具合が生じたとき、検品をして 不良品を取り除くのが当面策、製造ラインの 不具合そのものを改善し、二度と不良品を 出さないようにするのが根本策です。 経営も同じです。毎年目先の利益を追いかけるだけでは、当面策の繰り返し です。 「バランスのいい」会社に抜本的に作り変えることで、自然と「利益」が 生まれる、そのための根本策を検討するのが経営計画なのです。 P.3 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 経営計画策定の効果? と言っても、経営計画は社長ひとりで頭を抱えて策定する必要はありません。 実は、経営計画の策定は社員を鍛える絶好のチャンスでもあるのです。 売上高20億のY社は、毎年社長がひとりで経営計画を 策定してきました。右肩上がりの時代は、ほぼその計画 通りに業績が推移し、社長も大変満足でした。 ところがデフレ不況が長引くなか、少し様子が変わって きました。必ずしも計画通りに進捗しない年が続いたのです。 社長はすっかり自信を無くしてしまいました。 自分だけで考えることに限界を感じたからです。 そこで経営幹部を計画策定に参画させることにしたの です。その結果は・・・ P.4 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. これが一番の収穫 経営幹部たちは戸惑いました。なぜなら、それまで社長に言われたとおりに 動けばよかったのが、自分たちで考えなければならなくなったからです。 社長も、部下達がいつの間にかイエスマンばかりで、しかも思考停止状態に 陥っていたことに気づきました。 右肩上がりの頃は、それでも良かったのです。過去の成功 体験が活きました。 しかし長引くデフレ不況下では、それが 通用しなくなっていたのです。 改めて、経営について学ぶ必要性を感じた瞬間でした。 そこで経営の基本を学びながら、自社のあるべき姿について ディスカッションすることから始めたのです。 徐々に経営幹部の問題意識が目覚めてきました。みんなで 経営の基本を勉強したことで、共通の言葉ができました。 「共通言語」で話ができることで、議論が更に深まりました。 P.5 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 経営計画をディスカッション・ツールにする かくしてY社では、毎年経営幹部が全員で経営計画を策定することになったのです。 言わば、経営計画がみんなの「ディスカッション・ツール」になったわけです。 社長の役割は、毎年経営計画の策定前に、大事にしたい価値観を強調することと 大きな方向性を示すこと、だけになりました。 更に最近では、次世代の若手管理職まで、経営計画 の策定に巻き込んでいます。そこでは、自社の将来の あるべき姿が自由に議論され、大いに盛り上がりを みせています。 経営計画策定を通じて、若手管理職の経営参画意識 が高まり、非常にモチベーションが上がりました。 社長も予想していなかったうれしい副次効果です。 P.6 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 変化が大きいからこそつくる価値がある 逆説的な言い方をすれば、世の中の変化が大きければ大きいほど、早ければ 早いほど、経営計画が必要なのです。なぜなら経営計画は「目標」であり、「基準」で あるからです。「基準」を持たない限り、変化の大きさは測れません。 経営計画は、 ①「バランスのいい」会社になるためのガイドブックである ②会社を根本的に良くするためのツールである ③経営を進めていく上での「目標」であり「基準」である 計画策定に幹部社員を巻き込むことで ①社員を思考停止状態から解き放つ ②「共通言語」で議論が深まる(ディスカッション・ツール) ③経営参画意識からモチベーションが高まる P.7 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved. 一石二鳥以上の効果をもたらす経営計画 経営者の役割は、大切にしたい価値観と大きな方向性を示すことです。 経営幹部に経営計画の策定を任せることで、社長はこの仕事に専念できます。 ニーチェの言葉に、 「偉大とは、方向を指し示すなり」というものがあります。 経営計画の策定にひと工夫加えるだけで、経営者の 偉大な業務に集中していただけるのです。 ぜひ上手に活用して、大きな成果を手に入れてください。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。 P.8 Copyright ©2013 kasoken Co.,Ltd All rights reserved.
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