健康体企業になる経営計画

よい経営のための処方箋その4
健康体企業になる経営計画
(健康であれば利益は自然に出る)
株式会社価創研 代表取締役
鈴木 茂和
(中小企業診断士)
Cell:090-3422-0179
じゆうじんの経営放談 http://www.zujin50.jp/
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経営計画なんか不要だ!
とおっしゃる社長がいらっしゃいます。
変化の早い世の中で、時間をかけて計画を立てたところで、すぐに
状況が変わってしまい役に立たなくなる、というのが理由のようです。
そう言いながらも、数字の目標(予算)だけは細かく立てて、
利益の追求には余念がありません。
でも、少し待ってください。
毎年毎年、短期的利益を
追い続けるだけで本当に
よいのでしょうか?
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「利益はウンチ」と喝破した名経営者
伊那食品工業㈱の塚越会長は、『リストラなしの「年輪経営」』の
中で、次のように言われています。
ウンチを出すことを目的に生きている人はいません。でも、
健康な身体なら、自然と毎日出ます。出そうと思わなくても、
出てきます。ここがポイントです。
「健康な会社」であれば、「利益」というウンチは自然と出て
くるはずです。毎日、出そうと思わなくても、出てくるものです。
だから、「利益」を出そうと思えば、「健康な会社」をつくることを
考えればいいわけです。
「健康な会社」とは、「バランスのいい」会社だと塚越会長は続けます。企業規模に
相応しい販売網、研究開発体制の整備、社員教育、地域や環境への貢献を考え、
これらのバランスを取ることが大切だと指摘されています。
経営計画なしに、この「バランス」を取ることは極めて困難ではないでしょうか 。
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「同じ轍を何度も踏む」経営にしないために
短期的利益を毎年追い求めるだけで、経営の質そのものが一向に高まらない
経営になっていませんか? あたかも不具合のある製造ラインを動かし続け、
おしゃかの山を積み上げるような、そんな経営になっていないでしょうか?
何か問題が起きたとき、問題解決のプロは、
その対策として当面策と根本策を検討します。
製造ラインに不具合が生じたとき、検品をして
不良品を取り除くのが当面策、製造ラインの
不具合そのものを改善し、二度と不良品を
出さないようにするのが根本策です。
経営も同じです。毎年目先の利益を追いかけるだけでは、当面策の繰り返し
です。 「バランスのいい」会社に抜本的に作り変えることで、自然と「利益」が
生まれる、そのための根本策を検討するのが経営計画なのです。
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経営計画策定の効果?
と言っても、経営計画は社長ひとりで頭を抱えて策定する必要はありません。
実は、経営計画の策定は社員を鍛える絶好のチャンスでもあるのです。
売上高20億のY社は、毎年社長がひとりで経営計画を
策定してきました。右肩上がりの時代は、ほぼその計画
通りに業績が推移し、社長も大変満足でした。
ところがデフレ不況が長引くなか、少し様子が変わって
きました。必ずしも計画通りに進捗しない年が続いたのです。
社長はすっかり自信を無くしてしまいました。
自分だけで考えることに限界を感じたからです。
そこで経営幹部を計画策定に参画させることにしたの
です。その結果は・・・
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これが一番の収穫
経営幹部たちは戸惑いました。なぜなら、それまで社長に言われたとおりに
動けばよかったのが、自分たちで考えなければならなくなったからです。
社長も、部下達がいつの間にかイエスマンばかりで、しかも思考停止状態に
陥っていたことに気づきました。
右肩上がりの頃は、それでも良かったのです。過去の成功
体験が活きました。 しかし長引くデフレ不況下では、それが
通用しなくなっていたのです。
改めて、経営について学ぶ必要性を感じた瞬間でした。
そこで経営の基本を学びながら、自社のあるべき姿について
ディスカッションすることから始めたのです。
徐々に経営幹部の問題意識が目覚めてきました。みんなで
経営の基本を勉強したことで、共通の言葉ができました。
「共通言語」で話ができることで、議論が更に深まりました。
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経営計画をディスカッション・ツールにする
かくしてY社では、毎年経営幹部が全員で経営計画を策定することになったのです。
言わば、経営計画がみんなの「ディスカッション・ツール」になったわけです。
社長の役割は、毎年経営計画の策定前に、大事にしたい価値観を強調することと
大きな方向性を示すこと、だけになりました。
更に最近では、次世代の若手管理職まで、経営計画
の策定に巻き込んでいます。そこでは、自社の将来の
あるべき姿が自由に議論され、大いに盛り上がりを
みせています。
経営計画策定を通じて、若手管理職の経営参画意識
が高まり、非常にモチベーションが上がりました。
社長も予想していなかったうれしい副次効果です。
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変化が大きいからこそつくる価値がある
逆説的な言い方をすれば、世の中の変化が大きければ大きいほど、早ければ
早いほど、経営計画が必要なのです。なぜなら経営計画は「目標」であり、「基準」で
あるからです。「基準」を持たない限り、変化の大きさは測れません。
経営計画は、
①「バランスのいい」会社になるためのガイドブックである
②会社を根本的に良くするためのツールである
③経営を進めていく上での「目標」であり「基準」である
計画策定に幹部社員を巻き込むことで
①社員を思考停止状態から解き放つ
②「共通言語」で議論が深まる(ディスカッション・ツール)
③経営参画意識からモチベーションが高まる
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一石二鳥以上の効果をもたらす経営計画
経営者の役割は、大切にしたい価値観と大きな方向性を示すことです。
経営幹部に経営計画の策定を任せることで、社長はこの仕事に専念できます。
ニーチェの言葉に、
「偉大とは、方向を指し示すなり」というものがあります。
経営計画の策定にひと工夫加えるだけで、経営者の
偉大な業務に集中していただけるのです。
ぜひ上手に活用して、大きな成果を手に入れてください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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