電波と光学共同観測の課題 下条圭美 国立天文台・野辺山太陽電波観測所 研究会「太陽地上光学観測の新展開に向けて」@京都大学理学部6号館 2004年2月27日 電波の放射メカニズムと利用法 Radio (マイクロ波, GHz) Thermal Bremss. :Density, Temp. Optically Thinならば、温度を仮定して密度を測定可能。 Gyroresonance :Mag. Gyro周波数は観測周波数と同じ領域から放射。 強度分布から磁場構造が類推できる。 Gyrosynchrotron :Mag., Energy of e 100MeV程度のエネルギーを持つ電子から放射 電波のスペクトルから電子のスペクトルを導出可能 HXRやγ線では観測出来ないエネルギーの電子を観測 Thermal Bremss.の利用 Ejectorの密度導出 Contour: HXR (23-33 keV) Gray Scale: Radio (17GHz) Hudson, Kosugi, Nitta, Shimojo 2001, ApJL, 561, L211 17/34GHzの強度比から Ejectorからの放射が熱的な optically thin放射と断定。 17GHzの強度から密度算出。 HXRの放射モデルと17GHz の密度を元に非熱的電子の量 を計算。 Trapされた電子ではないか? という議論に・・・。 Gyroresonanceの利用 黒点付近の磁場構造 黒点付近で、Gyroresonance放射が 起こる場所をモデル計算 White, et al. 2001 VLAでの観測 Gray Scale : SOHO/MDI 可視光 Contour : VLA/8.0GHz Gyrosynchrotronの利用 HXR観測のかわりに・・・。 Hαの観測で、カーネル間の 相関をとり、リコネクションを したループを同定。 HXR, Micro波のピークと あわせ、エネルギー開放を した場所を特定。 加速された電子のスペクトル を電波のスペクトルから導出 Asai, Ishii, Kurokawa, Yokoyama, Shimojo, 2003, ApJ, 586, 624 電波画像の問題:1 メカニズムが違う放射が混ざる。 非常に強いGyrosynchrotronならば良いが、M-class程 度ではGyroresonanceが重なると分離は不可。 あまり強いGyrosynchrotronだと、絵が収束しなくなる。 電波画像の問題:2 他の観測機器(光学・紫外・X線望遠鏡)に対して、空 間分解能が悪い。 2001/04/10 X2.3 class flare 赤い○が、野辺山へリオグラフ17GHz のビームサイズ 電波-光学共同観測の有効利用:1 電波-光学で補完しあう観測を! 例:プロミネンス放出現象の観測 Hαはプロミネンス内部の微細構造や速度場を見るのに適しているが、 速度が速くなると観測波長から逃げてしまう。 電波は、内部構造はほぼ見ることが出来ない。しかし、密度依存性 (熱的放射)しかないので、全体の動きを長くトレースできる。 195Å 17GHz 高さ 速度 加速度 電波-光学共同観測の有効利用:2 光球磁場とコロナ磁場 の繋ぎに電波を。 17/34GHzだと、周波数が高す ぎか・・・。 分解能が悪いといっても、大まかな構造的 は補完できるのでは? (ロシアに研究グループあり) Bastian, Gary, White, 1999 電波-光学共同観測の有効利用:3 粒子加速問題に・・。 粒子加速問題で、重要ながら観測からなかなかわか らない観測量 ⇒ pitch angle(磁場と電子の運動方向のなす角) 電波の観測だけでは難しい。 Hanaoka, 2003, ApJ, 596, 1347 Hα Impact polarization で 加速陽子が存在する可能性 を指摘。 Impact polarizationは、視線方向と粒子(電子・陽子)に方 向に依存⇒電子のpitch angleの情報が? Impact polarizationと電波burstのdurationの関係は? 電波観測での今後の計画 Frequency-Agile Solar Radiotelescope 略してFASR(フェーザー)。 アメリカの計画 観測周波数:0.1~30GHz 周波数分解能 : 1~3% 空間分解能: 20/ν9 arcsec アンテナ数: ~100機 Baseline: 数km?
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