2003年 第2号 【3/20~5/15/2003】 ~本号のメイントピックス~ 《国内》 排出量取引試行事業の公募始まる 《国際》 EU排出量取引が理事会で正式合意 《特集》 英国 & EU ETS (Emission Trading Scheme) もくじ Monthly News 国内動向 経済産業省 排出権取引試行事業参加者を公募 環境省 「京都メカニズムに関する検討会」開催 排出量取引試行事業を公募 その他省庁の動き 農水省林野庁が「CDM植林ヘルプデスク」を設置 国土交通省が京都メカニズム申請・相談窓口を設置 国際動向 京都議定書批准状況 EU排出権取引制度 環境閣僚理事会で正式合意 CDM理事会情報 特集 英国とEUの排出権取引制度 Appendix 国内動向 (制度・政策) Points ・排出権取引試行事業の参加者公募を開始。 (経済産業省) ・CDM/JI承認実績は、昨年度METIで2件承認、今年は関係5省庁で承認ゼロ。(環境省) ◎経済産業省 排出権取引試行事業参加者を公募(4月25日) 経済産業省は「平成15年度クレジット取引・移転試行事業」の公募を開始した。インフラ整 備と人材育成を目的として、以下の4カテゴリーを公募中(~5/30)である。 ① 削減事業補助金交付+無料認証を希望する事業者(総額5億円(1/2補助)で約10件の 採択予定) ② ①の選に漏れたが無料認証を希望する事業者 ③ 国からの委託を受けて認証を実施するもの ④ ①~③以外でインフラ整備の検討に参加を希望するもの ◎環境省 「京都メカニズムに関する検討会」開催(4月24日) 第3回「京都メカニズムに関する検討会」が開催され、京都メカニズムに関する国内外の動 向、平成15年度の京都メカニズム関連の環境省及び農水省、国土省の施策案等が報告され、 平成15年度以降における京都メカニズムの活用施策の展開について討議が行なわれた。そ の中で、これまでのCDM/JIの承認申請実績が報告されたが、昨年末にMETIが承認した2件 (NEDOのカザフスタンJI、及び豊田通商のブラジルCDM)のみであった。(=今年になってから 関係5省庁で承認ゼロ) 国内動向 (制度・政策) Points ・排出権取引試行事業の参加者公募を開始。(環境省) ・総額11億円でCDM植林ベースライン調査事業等を実施。(農林水産省) ・H15年度は、予算額1.4億円でCDM推進等を実施。(国土交通省) ◎環境省 つづき 排出量取引試行事業を公募(4月25日) 環境省は「温室効果ガス排出量取引志向事業」の公募を発表した。GHG排出削減を実現 するシステムのあり方を探求することを目的として、以下の2タイプを公募中(~5/16)である。 ① H15年度の自主削減目標の設定と排出量の算定がてきる企業(削減目標、計画作成、 取引実施、排出量算定・第三者検証、の費用を交付:総額1.8億) ② 国内外において自社外でGHG削減プロジェクトを実施中または実施予定の企業(第三者 検証費用を交付:総額0.7億) ◎その他省庁の動き 農水省林野庁は4月1日から「CDM植林ヘルプデスク」を設置した。H15年度の京都メカニズ ム関連施策としてCDM植林ベースライン調査事業等(総額11億円)を実施。 国土交通省では総合政策局 環境・海洋課/国土環境・調整課に京都メカニズム申請・相談 窓口を設け、3月27日には「運輸部門のCDM/JIに関するワークショップ」を開催するなどして いる。H15年度の京都メカニズム関連施策としてCDM推進等(1.4億円)を実施。 国際動向 Points ・批准した附属書I国の排出量合計は43.9%、依然として発効条件には未到達。(UNFCCC) ・EU指令、今年中の成立に向け大きく前進。(EU) ◎京都議定書批准状況(5月15日現在(最新)の国連情報) 前回報告から3カ国増えて、京都議定書批准国の総数は108カ国となった。批准した附属書 Ⅰ国のCO2排出量合計の割合は43.9%で変わらず、京都議定書発効にはロシア(排出量割合 17.4%)の批准を待つばかりである。 ◎EU排出権取引制度 環境閣僚理事会で正式合意 3月18日、EU環境閣僚理事会は、昨年12月10日に基本合意していた2005年からの導入を義 務付けるEU排出権取引制度について正式合意(Common Position採択)した。これは大方の 予想を上回る早さであり、2005年からの実施に必要な今年中のEU指令(Directive:EU加盟国 内において法的効力を持つ)成立は難しいと言われていたが、一転有望視される結果となっ た。EU指令の成立には今後EU議会の承認が必要であるが、Common Position通りに承認さ れる可能性が高まっている。 CDM理事会情報 Point ・CDM理事会に申請されたベースライン・モニタリング新方法論は、15件中6件が日本企業。 以下は、日本企業によって2003年4月15日まで(ラウンド1)にCDM理事会に申請された、ベースライン 及びモニタリング計画に関する新方法論。ヨーロッパから8件、日本から6件、アジアの非附属書I国から 1件の計15件であった。2003年6月7日、8日の第9回CDM理事会で審査予定。(詳細はAppendixを参照) 韓国 イネオスケミカルほか: HFCsの回収破壊 ブラジル 豊田通商ほか: 燃料転換・メタン回収 タイ 三菱証券ほか: もみ殻発電 マレーシア 松下電器ほか: メタンガス回収 特集 英国排出権取引制度 Key Points of UK ETS (ETS:Emission Trading Scheme) 多くの産業をカバーした世界初の排出権取引制度である。 規制ではなく、自主的な参加を基本とした制度。 原単位目標のセクターと絶対値目標のセクターとが共存している。 EU、および日本の排出権取引制度に影響を与える可能性が高い。 《UK ETSの枠組》 取引市場 (相対取引) ブローカー NGO その他誰でも ゲイトウェイ 排出削減 プロジェクト による 参加者 協定参加者(CCA) ●原単位セクター ●絶対値セクター ・絶対値ベースの目標 ・原単位ベースの目標 ・多くの産業が参加 ・参加業界は少数(鉄鋼等) ・ベースライン&クレジット ・ベースライン&クレジット ・売却量に制限(ゲイトウェイ注)) ・2008年廃止 気候変動税80%免除 直接参加者(DP) ・絶対値ベースの目標 (グランドファザリング) ・目標と報奨金は オークションで決定 ・34社が参加 ・キャップ&トレード 報奨金もらえる 注)ゲイトウェイ: 原単位目標の協定参加者に対し、市場での排出権売却量を制限するしくみ。 (富士総研レポートを元に作成) 原単位目標者以外から購入した排出権の累計が、売却した排出権の累計よりも多いうちでないと、 排出権を売却できない。 特集 英国排出権取引制度 UK ETSの現状 制度開始前後は、 “Early Action”の英国の化学系大企業が主な売り手となった。 制度開始時点(2002年4月)での取引価格は、£5/ton-CO2程度。 半年後の10月にピーク(£12.4/ton-CO2)をむかえるが、2003年2月には£2.75/ton-CO2 まで下落。 2002年9月までの半年間で100万ton-CO2、150~200件程度の取引であったが、その後は1 日あたり十数件程度まで増加。 取引の流動性は低い水準で推移。平均出来高は5,000ton-CO2だが、ごくわずかの大口取 引(10,000~15,000ton-CO2程度)以外は、ほとんどが100ton-CO2程度の小口であった。 二 13 酸 12 化 11 炭 10 素 9 1 8 ト 7 ン 6 あ 5 た 4 り 3 英 2 ポ ン 1 ド 0 取引価格の変化 4月 10月 2002年 12月 2月 2003年 (富士総研レポートより抜粋) 特集 EU排出権取引制度 世界最大規模の排出量取引が2005年からEUでスタート!! Key Point of EU ETS 京都議定書と両立可能かつ独立である 28の国々までをカバーする 世界で最大規模のキャップ&トレードスキームである 4,000以上のエネルギー及び産業施設が温室効果ガスの排出規制を受ける 排出規制を受けた施設に対してはCO2排出許可量が割り当てられる 排出量を遵守できない場合の罰則 40ユーロ/トンCO2(2005~2007) 100ユーロ/トンCO2(2008~2012) プロジェクトからのクレジットを認める EU外のGHGスキームとのリンクが可能 登録簿システムは、クレジット所有量、排出許可量の移転等を記録する 割当量は概ね2003年に決定される 特集 EU ETS わが国への影響は? ETSと同じステージに立つためには ETSの根幹はキャップ&トレード(排出枠を設け、過不足分の調整を取引で行う)にある。 ETS運用が成功に導かれれば、日本への同システムまたは類似システムの導入が検討 されることが予想される。一方で、割当方法如何によっては企業経営に直接的な影響を 与える可能性が高い。 EU各国でこれから行われる排出量割当方法、国内制度設計の動向を注視していくこと が今後ますます肝要となるだろう。 CO2排出量 CO2排出量 クレジットの移転 ユーロ 自主的な排出 削減努力結果 B社の排出 余裕分 排出許容量 A社 B社 A社 B社 Appendix (CDM理事会情報) 2003年4月15日まで(ラウンド1)にCDM理事会に申請された、ベースライン及びモニタリング計画に 関する新方法論の一覧。 受付番号 プロジェクト名/概要 ホスト国 運営機関(OE、AE) 参加企業等 NM 0001 Vale do Rosario Bagasse Cogeneration (VRBC) ブラジル TÜV Süddeutschland Bau und Betrieb GmbH (TÜV Süddeutschland) (ドイツ) ・Vale do Rosario Sugar Mill (ブラジル) ・Econergy Brasil Ltda. (ブラジル) ・Swedish Energy Agency (スウェーデン) ブラジル Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノルウェー) ・V&M do Brasil (ブラジル) ・EcoSecurities Ltd. (英国) ・IFC-Netherlands Carbon Facility, International Finance Corporation, World Bank Group (オランダ) ・豊田通商 トリニ ダード・ト バゴ TÜV Süddeutschland Bau und Betrieb GmbH (TÜV Süddeutschland) (ドイツ) ・Ferrostaal AG (ドイツ) ・Methanol Holdings Ltd. (トリニダード・トバゴ) ・Hamburg Institute of International Economics (ド イツ) ブラジル Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノルウェー) ・VEGA Bahia Tratamento de Residuos S.A.(ブラジ ル) ・SUEZ Environment(フランス) ・ICF Consulting(米国) さとうきびバガスを使った コジェネレーション NM 0002 V&M do Brasil Fuel Switch Project スチール製造過程におけ る木炭への燃料転換、お よびメタン回収 NM 0003 Construction of new methanol production plant (called: M 5000) in the Republic of Trinidad and Tobago アンモニア製造過程にお けるCO2排出量の削減 NM 0004 Salvador da Bahia Landfill Gas Project 埋め立て廃棄物処分場で のメタンガス回収と発電 Appendix (CDM理事会情報) 受付番号 プロジェクト名/概要 ホスト国 運営機関(OE、AE) 参加企業等 NM 0005 Brazil NovaGerar Landfill Gas to Energy Project ブラジル Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノル ウェー) ・EcoSecurities Ltd. (英国) ・SA Paulista (ブラジル) ・NovaGerar EcoEnergia Ltda. (ブラジル) ・World Bank Netherlands Clean Development Facility (アメリカ) グァテマラ Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノル ウェー) ・Generadora de Occidente, Ltda. (グァテマラ) ・Energia Global International, LLC(EGI) (米国) ・International Finance Corporation(IFC) (米 国) ・ World Bank Prototype Carbon Fund(世銀PCF) (本部米国) 韓国 Japan Quality Assurance Organization (JQA=日本 品質保証機構) ・INEOS Fluor Japan(イネオスケミカル日本) ・Foosung Tech Corporation Co., Ltd. (韓国) ・UPC Corporation Ltd. (韓国) ・Climate Experts (日本) コスタリカ Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノル ウェー) ・Instituto Costarricense de Electricidad (ICE) (コスタリカ) ・Oficina Costarricense de Implementación Conjunta (OCIC) (コスタリカ) ・Banco Nacional de Costa Rica (BNCR) (コスタ リカ) 埋め立て廃棄物処分場 でのメタンガス回収と発 電 NM 0006 Guatemala El Canada Hydoelectric Project 流れ込み式水力発電所 の建設 NM 0007 HFC Decomposition Project in Ulsan HFCsの回収破壊 NM 0008 Peñas Blancas Hydroelectric Project 流れ込み式水力発電所 の建設 Appendix (CDM理事会情報) 受付番号 プロジェクト名/概要 ホスト国 運営機関(OE、AE) 参加企業等 NM 0009 AT Biopower Rice Husk Power Project in Thailand - Displacement of grid electricity タイ Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノルウェー) ・A.T.Biopower Co. Ltd.(ATB) (タイ) ・三菱証券 クリーンエネルギーファイナンス委員会 ・Rolls-Royce Power Ventures Ltd.(RRPV) (英国) ・Al Tayyar Energy Ltd.(ATE) (アラブ首長国連邦、米 国) ・The Engineering Business Division of the Electricity Generating Authority of Thailand(EGATEB) (タイ) 南アフリカ TÜV Süddeutschland Bau und Betrieb GmbH (TÜV Süddeutschland) (ド イツ) ・Durban Solid Waste (DSW) (南アフリカ) ・World Bank Prototype Carbon Fund(世銀PCF) (本部 米国) ・Ethekwini Municipality (南アフリカ) ・Durban Metropolitan Unicity Municipality (南アフリカ) ・Ethikwini Electricity (南アフリカ) ・South African Department of Environmental Affairs and Tourism (南アフリカ) インド TÜV Süddeutschland Bau und Betrieb GmbH (TÜV Süddeutschland) (ド イツ) ・SCM Sugars Limited (インド) ジャマイカ SGS UK Ltd. (SGS = Société Générale de Surveillance) (英国) ・Renewable Energy Systems Ltd. (RES) (英国) ・Petroleum Corporation of Jamaica (PCJ) (ジャマイカ) ・NEG Micon Holland B.V. (オランダ) ・EcoSecurities Ltd. (オランダ) ・Ministry of Land Environment (ジャマイカ) もみ殻発電によるコジェ ネレーション NM 0010 Durban Landfill-gas-toelectricity project 埋め立て廃棄物処分場 でのメタンガス回収と発 電 NM 0011 26 MW Bagasse / Biomass based Cogeneration Power Project さとうきびバガスを使っ たコジェネレーション NM 0012 Wigton Wind Farm project (WWF) 系統連係風力発電所の 建設 Appendix (CDM理事会情報) 受付番号 プロジェクト名/概要 ホスト国 運営機関(OE、AE) 参加企業等 NM 0013 FELDA Lepar Hilir Palm Oil Mill Biogas Project in Malaysia マレーシア 中央青山PwCサステ ナビリティ研究所 ・松下電器産業 ・エックス都市研究所 ・九州工業大学 ・FELDA PALM INDUSTRIES SDN BHD (マレーシ ア) ・Universiti Putra Malaysia (UPM) (マレーシア) タイ ※0009、0015と同じ Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノルウェー) ※0009、0015と同じ ・A.T.Biopower Co. Ltd.(ATB) (タイ) ・三菱証券 クリーンエネルギーファイナンス委員会 ・Rolls-Royce Power Ventures Ltd.(RRPV) (英国) ・Al Tayyar Energy Ltd.(ATE) (アラブ首長国連邦、 米国) ・The Engineering Business Division of the Electricity Generating Authority of Thailand(EGATEB) (タイ) タイ ※0009、0015と同じ Det Norske Veritas Certification Ltd. (DNV Certification Ltd.) (ノルウェー) ※0009、0014と同じ ・A.T.Biopower Co. Ltd.(ATB) (タイ) ・三菱証券 クリーンエネルギーファイナンス委員会 ・Rolls-Royce Power Ventures Ltd.(RRPV) (英国) ・Al Tayyar Energy Ltd.(ATE) (アラブ首長国連邦、 米国) ・The Engineering Business Division of the Electricity Generating Authority of Thailand(EGATEB) (タイ) パームオイルプラントに おける廃水処理からの メタンガスの回収 NM 0014 AT Biopower Rice Husk Power Project in Thailand - Displacement of steam もみ殻発電によるコジェ ネレーション NM 0015 AT Biopower Rice Husk Power Project in Thailand - Methae avoidance もみ殻発電によるコジェ ネレーション
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