04年度 非営利組織論 発表 いつの間にやら 七班 大塚綾子(環境2年):t03188ao 大屋俊祐(総合2年):s03234so 祖父江塁(環境2年):t03569rs 森 裕介(総合2年):s03941ym 本題:何故近年非営利組織は増加しているか 作業仮説 「NPOの増加は地域コミュニティの凋落を補うためである」 この仮説を使いながら、NPOのケースとして 我々7班は“市民オーケストラ”に着目した。 着目した理由 •他のNPOと毛並みが違いそう (医療や教育などと性質が違いそう) •人数いないと活動できない! •正直、趣味です。 問題検証への方向性 作業仮説 「NPOの増加は地域コミュニティの凋落を補うためである」 我々は初期段階において、本当にNPOが地域コミュニティ の凋落を補っているのかどうか、また、全てのNPOがそう とは限らないのではないだろうか、という疑問を抱いた。 増加理由 作業仮説 ↓ つながり説 新しいニーズ説 ここから出発して、これまでの 議論とは違った方向(他の理 由)を模索することにした。 オーケストラ 「多摩管弦楽団」について http://www.yk.rim.or.jp/~y-waka/tamakan-home.html 多摩管弦楽団、通称“多摩管” • • • • • 1976年設立の任意団体 団員:80名強 本部は団長宅 主に団費、寄付を活動費に 団員募集は地域紙、インターネット そもそも本当にNPOなのか? NPO要件・・・ • • • 利潤を分配していない(前年度繰越金と本年度残高が近似 *) 非政府で、フォーマル (規約を持ち、組織構成を行う *) 規約7,8,9条に“自己統治性”、 2,3条に“活動への自発性”明記 (音楽を愛好する市民による演奏を通じて、芸術の探求、技術の向上および団員相互の 親睦を図り、あわせて地域の音楽文化の発展に寄与することを目的とする。) ↓ “広義でのNPO”であることは明らか *資料より(組織と資金) 収入 前年繰越金 団費収入 団長 郵便局利子 顧問 運営委員長 (円) 03年上半期 一般会計 支出 923723 1171000 39 分担金遅延分 45000 寄付 10000 指揮・トレーナー謝礼金 600000 コピー代 11485 事務費(封筒代など) 事務長 練習管理 トップ会 945 打楽器スタンド 7560 練習場使用量 84100 著作権料 渉 広 会 楽 外 報 計 譜 会 場 コ ン サ | ト マ ス タ | ト ッ プ 会 代 表 8190 チケットぴあ不足分 47588 DAT,MD代 1402 送料 4290 振り込み手数料 945 演奏会補填 [組織図] パートリーダー 残高 合計 446283 2149762 1212788 936974 [多摩管03年度会計報告と規約より] 団長の小田さんに伺いました。 •当初より音楽が好き、とにかくやってみよう →オーケストラは一人ではできない! →人を集めようという流れはあった 計画 •創設時:文化的啓蒙の地域への還元もあっ たが、近年減少(規約の形骸化) •現在 :町の活性化を志向したり、「NPO」で ある自覚はあまり持っていない メンバー 昔:友達・近所・親戚などの近距離内 コミュニティで団員形成 今:ネットの登場以来、ウェブを見て 参加を申し出る人が多くなる →結果、遠方の人が増え、 相対的に地元の団員が減少(*2) *2 資料より 多摩管団員在住地 [03年度団員住所録より] 83人中、多摩市民が25人。 多摩市 八王子市 日野市 川崎市 横浜市 町田市 調布市 相模原市 稲城市 世田谷区 府中市 練馬区 長野県 綾瀬市 座間市 渋谷区 国立市 立川市 武蔵野市 →創立時ほぼ多摩市民だったが、現在は市外在住の団員が7割に上っている (楽器の運搬や、練習のため東京に集まる必要性がある以上、東京都民自体が 占める割合は多いが、“地域から”という色は確実に薄まっている) マーケティング ・定期的な演奏会開催で文化的啓蒙を行っている ・参加の場を創出することも社会貢献であり、それの実現 検証 インタビューから考えてみた。 • 「オーケストラをつくる」目的の元に組織として行動 (ただし、事務は自前。雇用創出などの役には立たない) • 「地域コミュニティの凋落を補う」様子は、規約(つまり創設黎明期の 状態)からは伺えたが、近年の行動では形骸化しているといえる • 創設当初は規模的に地域単位の市民オケという集まりであったが、 ネットの普及以来遠方からも人がアクセスできるようになり、それに 伴いパート(楽器)ごとの募集を主とするように。 (“多摩管”自体がオーケストラに参加したい人の“宿り木”に?) • 多摩という都市の成長と共に市民も成長し、公共サービスではまか ないきれないニーズの多様化が差し迫ったのでは? • NPOの定義では当てはまるが、自覚はない “形式上NPO”が存在し ているのでは?(少なくとも多摩管はこの中のひとつである) などなど・・・。ここからさらに考えていきま す。 コミュニティの崩壊 -現象の現れ- 東京周辺では急行 の停止駅の都市の 多くに市民オケが存 在し、八王子市も例 外ではない。 それでもあえて市境 を越えて多摩に来る 団員が多数存在。 団員の在住地で多くを占める八王子市・日野市は古くから甲州街道の宿場町として栄え るなど地域コミュニティとそこに基づく都市である。(両市ともWeb参照) だが、シャッター街の増加等、古くから発展した都市では地域コミュニティの崩壊もまた いち早く起こり、結果地域コミュニティによる各種の機能を必要としている人が流出。 =地域コミュニティの凋落による機能補填は確かに多摩管にもありそうだ。 コミュニティの崩壊 -その一因と自己実現・充足- 昔は: ・移動が困難 - 近隣のコミュニティーにしか参加できなかった - 情報伝達手段の欠如 ・誰もが好き勝手なことを出来る時代ではなく、(村八分の恐怖) ・同じ目的を持った人同士が出会うきっかけは多くなかった。 =地域の多くが似たようなことをせざるを得なかった=多様性の欠落 →生活に直結した必要性から、地域コミュニティーを大事にしていた 今は: ・国民生活において金銭的な余裕 ・交通・通信の社会基盤が発達 ・「地域」に参加しなくとも生活は可能=嫌な人との付き合い不要 ・生活向上の欲求が高揚=選択肢も増加 ・How toで困ったらネットでググれば大抵済む。 =自分の好きなことが出来る時代が到来=多様性の勃興 →地域コミュニティーをあえて大事にする必要がない ⇒地域性が場の機能に勝てなくなってきている →それまでの価値観と共に地域コミュニティーの崩壊 しかし、もう次の段階だ! 多摩管のような市民オーケストラは文化芸能のNPOに当てはまる。 <<場>>としての機能 http://www.mext.go.jp/a_menu bunka/houshin/main4_a8.htm#1 政府が掲げる『文化・芸術振興に対する基本理念』の ③『文化芸術を鑑賞,参加,創造することができる環境の整備』の欠如 文化芸能のNPO(多摩管) 公的サービスで対応できない ニーズを満たすための、個々 人の自己実現の意欲を生かす ことができる<<場>> 他の文化芸能NPOも検証―芸団協より 理念:「芸能が豊かな社会をつくる」 [1] 芸能文化をになう『ひと』を育て、 [2] 芸能文化をはぐくむ『場』をつくり、 [3] それらが豊かに活かされる『しくみ』を整え、 豊かな心を育む社会を実現することを目指す。 ↓ 『ひと』が育ち、『場』が出来たことで、市民活動(NPO)としての当初のミッション は達成、近年<場>の機能だけ提供。 多摩管はオケに参加し、聴いて欲しいという人の“宿り木” ことばの広義化 NPO法人+任意団体= 全国に88000。 00年11月時点 内閣府統計より NPOは多層的に増加している? 第二層 NPO法人数約16000。 04年3月末時点 内閣府調査より 法人格のNPO (統計に載る外殻層) 草分け 的NPO 社会性が高く、注目を 浴びるNPOの典型層。 いつのまにかNPO (核) 第三層 自覚のない、 形式的NPO 時間軸と ことばの波及方向 団体だった、という ようなことばの広が りにより取り込まれ た組織がNPOとして 増えてきたのではな いだろうか。 NPOという“ことば自体の広義化”の波も! 自己実現と自己充足 好きなことしていった結果、新たな<<場>>が増加! →積極的に活動をする組織・団体が増加。 =ことばの上で“広義の”NPOが増加 (先に挙げた第三層の膨張とは、地域コミュニティの凋落の次段階) ○コミュニティーの特性 ・昔より広域 ・お互いの嗜好・興味で集まる ・自己実現と精神充足が目的 →これらは今回調べた多摩管に適合する。 社会への還元性が低いことから、法人として税の控除を求めても仕方 ないの→届け出ない→“統計に数が表れない”第三層と重なる。 益点。 多摩管=自己充足型NPO ⇒新しい形態のコミュニティー(第三層) ・選択の自由 ・多様性 ・公共サービス の補填 ひとつの提言 現在標榜されている「ちいさな政府」を発展させるのならば、 NPOの第三層が増加することに見られる国民自ら自己充 足を図ろうとする試み・動きは奨励すべきである。 「おおきな政府」だけが社会・福祉国家だけではない。 この支えとなる社会基盤の補助(インターネットや交通網の 更なるインフラ整備、NPOなど自律運動支援・法整備)を徹 底することで、分権による構造改革を進め、憲法によって示 された社会・福祉国家の実現を目指すべきである。 まとめ •ことばが多様化し、黎明期と異なる性質の“らしくない”NPOが統計裏で登場。 地域コミュニティの凋落を補完する機能の次段階として、自己充足・自己実現の <<場>>として(機能を有して)何やら増えている! •「“ちいさな政府”を推し進める福祉国家」を目指すなら社会基盤を振興してね。 増加理由 つながり説 作業仮説 7班 新しいニーズ説 Any Questions?
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