第3クール(分類論) - HIMAJIN工房倉庫

概念化(分かること)を考える
・分かることの本質は、モノ・コトを概念化すること
→「概念化すること」とは、ことばにする(説明できるという)こと
→混沌とした世界に切れ目を入れること(分類)、関係付けること(統合)
→世界の広がりを実感すること
・概念化は「名づけ」からはじまる
→「分類←→統合」は(近代の)科学的な態度
→「ことばにする」とは名づけることでもある
→加えて、子どもにとっての「名づけ」の意味
・「字書き虫」から「茶碗洗い虫」へ
・「私に名前をつけて!」
・概念化する(分かる)ことと「発達段階」という考え方
→教育では、子どもと大人の概念化されたもの違いを意識することは重要
・指示語ではなく理解できる「名前」を意識的に用いる
こどもはどのように概念形成するか 1
2才ころ
ピアジェの発達段階論
感覚運動的段階
表象(イメージ)的思考段階
7~8才
情動喚起
かわいい/こわい
前操作的(自己中心的)段階
操作的段階
4才ころ
行動対象
たたく・なめる
象徴的思考段階
11~12才
直感的思考段階
具体的
操作段階
形式的
操作段階
物質量
静観対象
ながめる
ごっこ遊び
重さ
体積
問題点
直接比較
間接比較
論理的比較
非常に分かりやすいが、発達の社会的関係を過小評価しているという批判。
つまり、成長するに従って自然に能力が獲得されるかのように理解してしまう。
または、理解できないことを教育に、ではなく個人に求めてしまう傾向を生む。
こどもはどのように概念形成するか 2
わんわんよ
感覚運動的段階
くまちゃん、ね
ブーブ
たたいてみる
反応
かわいい/こわい
反応
刺激
刺激
(静かに)
見る
ことばとの対応
三項関係
こどもはどのように概念形成するか 3
表象的段階 前操作的(自己中心的)段階
注)自己中心≠自分勝手
イメージ的思考
(頭の中にうかぶ)
数の保存
○○○○○○
手を
ぶらぶらさせる
ごっこ遊び=見立て
概念化の準備段階
こどもはどのように概念形成するか 4
メンバー2
クラス(犬)
わんわん
にゃんや
ん
メンバー1
ぬいぐるみ
クラス名称
言語的定義が可能
こどもはどのように概念形成するか 5
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科学的基礎概念の形成
分類名を与えることこそ「分かる」こと
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分類の実際 1
実際の活動
「樹木(はっぱ)図鑑」を作る
「樹木」・・・地上部の茎が木質化している多年生の植物。tree。
「草」・・・植物のうち、地上部が柔軟で、木質の部分が発達しないもの。grass。
なぜ「はっぱ」なのか・・・ほぼ1年中変化がないので観察しやすい。採集が容易。
1)10~12種類の「はっぱ」を採集。
2)写真撮影。背景がない方が分かりやすい。
グループで同じものを各自で撮影⇒命名は共同作業
3)写真データ-を、ワードで使用できる状態で保存。.jpgなどの画像ファイルとして保存。
次週は、撮影機材(スマホなど)が必要
分類の実際 2
二重分類と名づけ(具体的操作段階での課題)
1)大きなクラスの名前をつける。(はっぱの形)
2)次のクラスの名前をつける。(はっぱのふちの形?)
3)メンバーとしての名前をつける。(それぞれのはっぱの名前)
4)図鑑の形に整理する⇒himajin工房/自作ソフト館/樹木図鑑フォーマット
参照⇒http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/kitadaigo-s/zyumoku/
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参考 発達段階モデル A
浜田寿美男『ピアジェとワロン』より
参考 発達段階モデル B
村井潤一『ことばと認知の発達』より
『分類という思想』(新潮選書) 池田清彦
なんであれ、何かを分けるためには、何かになまえを
つける必要がある。
モノになまえをつけなくともモノは分けられると言うかも
知れないが、でたらめに分けるのでない限り、少なくとも
分ける基準がいる。基準は名とは限らないが、他人に
伝えようとすると、それはただちに名になる。
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『「名づけ」の精神史』(平凡社) 市村弘正
たとえば子供が水すまし(アメンボウ)を字書き虫ではなく、
今度は「椀洗い」と名づけるとき、その虫は
もはや水面に文字を書く虫ではなくなって、
別の存在に変貌しているのである。
・・・もし子供が、観察や遊びの対象とする動植物から
ガラクタにいたる物との相互交渉を断ち切られ、変形能力を
封じ込められてしまうとするとすれば、その命名経験の不発は、
彼らにとって世界の死滅に等しい筈である。
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