桑名地域医療再生学講座 http://shusanki.net/ 周産期医療の危機は終焉したのか? ~三重県(地方)と名古屋市(都市)の比較検討から~ 石川薫 杉原拓1) 伊東雅純1) 須藤眞人1) 二井栄2) 近藤東臣3) 池田智明4) 鈴鹿医療科学大学 三重県産婦人科医会2) 桑名東医療センター1) 愛知県産婦人科医会3) 三重大学4) 三重県と名古屋市の比較 平成23年(2011年)確定値;2012.6.5 厚労省 三重県 名古屋市 人口 182万 227万 一人当たり県市民所得(円)* 273万 309万 出生数 15,080 19,868 新生児死亡率(出生千対) 1.1 1.5 周産期死亡率(出産千対) 4.5 4.2 1 2 妊産婦死亡数 *2009年度(内閣府) 三重県と名古屋市の周産期医療資源(施設)の比較 三重県 名古屋市 総合周産期母子医療センター 1 3 地域周産期母子医療センター 4 2 救命救急センター 4 6 MFICU 病床数 6 21 (0.4/出生千対) (1.1/出生千対) NICU 病床数 39 63 (2.6/出生千対) (3.2/出生千対) 平成24年(2012年)7月1日現在 三重県と名古屋市の周産期医療資源(医師数)の比較 三重県 名古屋市 産婦人科医会 会員数 185 355 分娩取扱施設 会員数 111 256 総合,地域周産期母子医療センター 常勤産婦人科医師数 44 103 総合,地域周産期母子医療センター 新生児科専任医師数 11 32 総合,地域周産期母子医療センター 新生児・小児科兼任医師数 23 12 平成24年(2012年)7月1日現在 三重県と名古屋市の周産期医療資源(出生千対) 0.3 0.3 周産期センター数 1.1 0.4 MFICU 病床数 3.2 2.6 NICU 病床数 産婦人科医療改革グランドデザイン2010 目標 12~16名(出生千対) 12.9 7.4 分娩取扱施設産婦医師数 センター産婦医師数 2.9 センター新生児専任医師数 0.7 センター兼務小児科医師数 0.6 0 5.2 1.6 1.5 2 名古屋市 4 6 三重県 8 10 12 14 60 50 平成24年(2012年)7月1日現在 三重県の産婦人科医会会員 185名 40 30 女性 男性 20 10 0 20歳代 120 100 80 60 40 20 0 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80以上 名古屋市の産婦人科医会会員 355名 女性 男性 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80以上 日本産科婦人科学会 年齢別会員医師数 2011年12月現在 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 周産期医療の広場(海野信也) http://shusanki.org/theme_page.html?id=180 女性 男性 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 産婦人科医は事実上全員が日産婦学会員です。日産婦学会の医師会員の年齢性 別分布はこのグラフのようになっています。産婦人科では若年層における女性 医師の割合が著しく増加しているというのが特徴的です。 40 2012年7月1日現在 三重県の分娩取扱施設の産婦人科医師数 111名 30 20 女 男 10 性 性 0 20歳代 120 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80以上 名古屋市の分娩取扱施設の産婦人科医師数 256名 100 80 60 女性 男性 40 20 0 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80以上 14 12 10 8 6 4 2 0 平成24年(2012年)7月1日現在 三重県の周産期センター勤務医 44名 女性 男性 20歳代 70 60 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80以上 名古屋市の周産期センター勤務医 103名 50 40 女性 男性 30 20 10 0 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80以上 都道府県別の直近6年間の新規産婦人科専攻医数(後期研修医) 周産期医療の広場(海野信也) http://shusanki.org/theme_page.html?id=180 2006年から2011年の新規産婦人科専攻医数(人口10万対) 4.50 4.00 三重県 1.2(全国40位) 23名 名古屋市 1.9 43名 愛知県 2.1(全国14位) 155名 3.50 年間500人のレベル 3.00 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 合計 北海道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神奈川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和歌山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿児島 沖 縄 0.00 まとめ ①三重県(地方)と名古屋市(都市)の周産期医療資源(出生千対)の 比較では、施設数、医師数いずれでも名古屋市が上回っていた。 ②産婦人科医師数の年齢別の検討では、三重県では50,60歳代が最も 多く、名古屋市では30歳代が最も多かった。 ③直近6年間の新規産婦人科専攻医数は、三重県で23名,人口10万対 1.2人、名古屋市43名,人口10万対1.9人であった。 ④三重県(地方)では、産婦人科医数の少なさに加え、高齢化と若い 新規産婦人科専攻医の都市部への流出が課題と考えられた。 データ収集にあたっての三重県,愛知県産婦人科医会事務局、 及び北里大学 海野信也先生の御協力に深謝いたします。 地方では周産期医療の危機は 終焉していない!
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