Probabilistic Method 6-3,4 B4照山順一 前回の内容[FGK不等式(Th.6.2.1)] L:有限分配束 ( x) ( y ) ( x y ) ( x y ) μ:L→R+ log-supermodular関数 f,g:増加関数 に対して、 (x) f (x) (x)g(x) (x) f (x)g(x) (x) xL xL xL xL f f (x) (x) と表せば、 f g fg (x) xL xL 前回の内容[FGK不等式(Th.6.2.1)] また、 f,gがともに減少関数でも、 f g fg が成り立つ、一方が増加関数、 もう一方が減少関数であれば、 f g fg が成り立つ。 6.3 Monotone Properties A : N {1,2,..., n}の部分集合の族 Aが monotone decreasing A ' ' A Aが monotone increasing A ' ' A 確率空間としてP(N){Nのすべての部分集合}を考え、 Aの確率を Pr( A) | A | 2n と定義する。 Proposition6.3.1 N {1,2,..., n} A,B :monotone increasing なNの部分集合の族 C,D : monotone decreasing なNの部分集合の族 確率で表現 Pr( A B ) Pr( A) Pr( B ) Pr(C D) Pr(C ) Pr( D) Pr( A C ) Pr( A) Pr(C ) 要素数で表現 2n A B A B 2n C D C D 2n A C A C Proposition6.3.1の証明 以下のようにA,Bの特性関数 f , g : P( N ) R を定める。 0 ( A) f ( ) 1 ( A) 0 ( B) g () 1 ( B) f,gは仮定からともに増加関数である。 FGK不等式を適用して、 1とすれば Pr( A B) fg f g Pr( A) Pr( B) 他の式も同様にして導く。 より一般の確率空間へ 実ベクトル p ( p1 , p2 ,..., pn ) , 0 pi 1 に対して、以下のような確率空間を考える。 N に対して、 Pr( ) pi (1 p j ) i j A P(N ) に対して、この確率空間での確率を、 Prp ( A)と表す。 ここで、 : P( N ) R として、 と定める。 Pr() , Nに対して () () ( ) ( ) であることからμはlog-supermodular関数で あり、FGK不等式を用いて、Prop.6.3.1の 一般形Th.6.3.2を得る。 Theorem 6.3.2 N {1,2,..., n} A,B :monotone increasing なNの部分集合の族 C,D : monotone decreasing なNの部分集合の族 このとき、 p ( p1 , p2 ,..., pn ) , 0 pi 1に対して、 Prp ( A B) Prp ( A) Prp ( B) Prp (C D) Prp (C ) Prp ( D) Prp ( A C ) Prp ( A) Prp (C ) グラフに適用すると m m頂点の完全グラフにある 2 本の枝を集合Nの要素として 見ると、関係式をランダムグラフに適用できる。 G=(V,E):V上のランダムグラフ、頂点間に確率pで枝をはる。 グラフの特性(property)Q Qが monotone decreasing GがQを持ち、HがGに枝を足すことでえられるならば、 例 ハミルトン閉路を持つ HもQを持つ。 Qが monotone increasing GがQを持ち、HがGから枝をとるころでえられるならば、 例 平面グラフである HもQを持つ。 Theorem 6.3.3 Q1 , Q2:monotone increasing な graph property Q3 , Q4:monotone decreasing な graph property G=(V,E):V上のランダムグラフ (確率pで独立にそれぞれの枝を取ることで得る) Pr(Q1 Q2 ) Pr(Q1 ) Pr(Q2 ) Pr(Q3 Q4 ) Pr(Q3 ) Pr(Q4 ) Pr(Q1 Q3 ) Pr(Q1 ) Pr(Q3 ) 6.4 Linear Extensions of Partially Ordered Sets ( P, ) n要素順序集合 順番を保存する全単射写像 : P {1,2,..., n} を線形拡張(Linear Extension)という。 つまり、x, y P かつ x y ならば、 ( x) ( y ) である全単射写像。 Pのすべての線形拡張を確率空間と考えること で、Pでの事象の確率空間を考えられる。 Theorem 6.3.4 P: a1 , a2 ,..., an を要素とする順序集合 この時、 Pr( a1a2 a1a3 ) Pr( a1a2 ) Pr( a1a3 ) Theorem 6.3.4 の証明 m:大きな整数(あとで無限大にもっていく) L:順序n組 x ( x1 ,..., xn ) [ xi M 1,2,..., m] すべての集合。 L上の順序関係を以下のように定める。 x ( x1 ,..., xn ), y ( y1 ,..., yn ) L に対して、 x y iff x1 y1 かつ xi x1 yi y1 ( 2 i n) 証明の流れ Lが分配束であることを示す。 Pの測度関数μを定義し、これがlog-supermodularで あることを示す。 特性関数f,gを定義し、これらが増加関数であることを 示す。 以上が示されるとFGK不等式が適用できる。 Lは分配束か? x y のi番要素を (x y)i min( xi x1 , yi y1 ) max( x1 , y1 ) とし、 xy のi番要素を (x y)i max( xi x1 , yi y1 ) min( x1 , y1 ) とすると、Lは束である。 Lは分配束か? 示したいこと x (y z ) (x y ) (x z ) 左辺右辺それぞれのi要素を見ると、 (x (y z )) i min( xi x1 , (yz )i (yz )1 ) max( x1 , (yz )1 ) min( xi x1 , max( yi y1 , zi z1 )) max( x1 , min( y1 , z1 )) (( x y ) (x z )) i max(( x y )i (x y )1 , (x z ) i (x z )1 ) min(( x y )1 , (x z )1 ) max(min( xi x1 , yi y1 ), min( xi x1 , zi z1 )) min(max( x1 , y1 ), max( x1 , z1 )) Lは分配束か? 3つの整数abcに対して、 min( a, max( b, c)) max(min( a, b), min( a, c)) max( a, min( b, c)) min(max( a, b), max( a, c)) が成り立つことを使うと、 x (y z ) (x y ) (x z ) が示され、Lは分配束である。 log-supermodular関数μ 以下のようにPの特性関数μを定める。 x ( x1 ,..., xn ) Lに対して、 (x) 1 (Pでai a j ならばいつでも xi x jの時) (x) 0 (otherwise ) μがlog-supermodularであることを示すには、 (x) (y ) 1の時、 (x y ) (x y ) 1 であることを 見ればよい。 log-supermodular関数μ (x) (y ) 1かつai a j ならばxi x j , yi y j であるから (x y )i max( xi x1 , yi y1 ) max( x1 , y1 ) max( x j x1 , y j y1 ) max( x1 , y1 ) (x y ) j つまり、 (x y ) 1 であり、 (x y ) 1 についても同様に見れる。 以上からμはlog-supermodularである。 増加関数f,g 事象 x1 x2 , x1 x3 に関する特性関数f,gを 以下のように定める。 ( x1 x2 ) ( x1 x3 ) 1 1 f ( x) g ( x) 0 (otherwise) 0 (otherwise) この2つの関数は増加関数である。 実際以下の関係が成り立つ。 x yかつf (x) 1ならば g についても同様。 0 x2 x1 y2 y1つまりf (y ) 1 FGK不等式を適用 このままではLでのn組はdistinctな整数の組で はないためにPの線形拡張に対応しないが、 mを無限大へ近づけると x ( x1 ,..., xn ) L i j に対して xi x j となる確率が0へ近づく。 以上からFGK不等式を適用でき、定理を得る。
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