最近、公衆責任保険についての問い合わせが増えてきております。今回は具体的事例から公衆責任保険とはどのような保険なのか、その 概要を紹介します。 服飾小売販売業を営む企業(以下“被保険者”とする)が公衆責任 保険を契約。第三者財産損失による免責金額は2000元。 被保険者店舗の試着室内にて顧客(以下“被害者”とする)が雑 品にぶつかってしまい、足への負傷とズボン(500元相当/1着)の損 傷を招いた。被保険者店員は被害者の病院受診に付き添い、同時 に被害者は被保険者に賠償を請求した。被保険者は即座に事故情 報を保険会社に報告した。 結果 事故原因は被保険者店員が試着室内の雑品の回収を怠った為 生じたものであり、被保険者の過失によるものと判断。保険会社は 本事故を公衆責任保険担保範囲と認定。被保険者に被害者と直接 示談交渉をするよう提案した。 その後、被保険者と被害者の示談が成立し、被保険者は被害者 に対し医療費200元(全額)、通院交通費100元(全額)、ズボン賠償 費500元を支払うことで決着した。保険会社は被保険者の損害査定 資料を査定後、300元の保険金支払いを決定した。 支払保険金額 支払保険金額明細は以下の通り: 医療費 200元 交通費 100元 ズボン賠償費(免責金額以下のため、お支払対 象となりません) 500元 免責金額の控除(第三者財産損失) -2000元 支払保険金合計(医療費+交通費) 300元 重要事項 ◆本保険証券で担保する事故が発生した場合、速やかに保険会社に通知してください。 ◆被保険者又はその代表者は、保険会社の同意なしに被害者(請求方)に対して如何なる承認、拒絶、算出、約定、 支払又は賠償を行っても保険会社は拘束されません。 ◆保険会社は保険証券の約定に従い、被保険者が保険責任範囲内の事故により招いた第三者への直接損失に対 し補償を行います。被保険者は保険査定の為に、提出する請求項目を明細化し、且つ相応する証書と診断(補修)報 告等を提出する必要があります。 ◆第三者に怪我をさせてしまった場合、被保険者は保険査定の為に医療記録、医療費領収書原本(休業補償費、看 護費、栄養費等の請求には医療機関証明、病欠届等の提出が必要)を収集・提供する必要があります。 ◆一般事故における“慰謝料”は填補対象になりません。事故により被害者に重大な後遺障害が発生し、且つ被害 者が被保険者に対し “精神損害賠償”を要求した場合は、法律専門家に意見を伺う必要があります。 「個人の不注意(過失)(例:調理中の火の消し忘れやタバコの不始末等=失火)によって火災が発生。自宅が全焼し、隣家も全焼」と いったニュースをよく耳にします。 このような事故が発生した場合の中国と日本における、「第三者に対する損害賠償責任の違い」について解説します。 【事故情況】 タバコの不始末により自宅の寝室より出火。隣家に燃え移り、隣家も類焼。住人は不在であった為、けが人は なかった。 【中国/日本の相違点】 中国 賠償責任の 有無 日本 隣家に対する賠償責任が発生。 隣家に対する賠償責任は、原則発生しません。 法律見解 右記の<失火に関する法律の規定>はない。 よって、隣家に対する損害賠償責任が発生。 <失火の責任に関する法律(失火法)>に基 づき、不法行為(民法709条)により第三者の 財物に損害を与えた場合でも、その原因が失 火の場合には、被害者に対する損害賠償責任 は発生しません。(※故意・重過失の場合に は賠償責任あり) 具体的賠償 方法 隣家の財産損害(建物や家財)に対し、現状 回復または時価で賠償が必要。 - 保険対応 個人賠償責任保険で隣家に対する賠償対応可 能(※故意・重過失等、約款上免責となる場 合は対応できません) 周辺からの失火による火災(類焼)に 対しては、自身で火災保険を契約する 必要あり。 日常生活中の“うっかり”が事故を引き起こし、思わぬ損害につながることもあります。こんなとき、家財損害や個人賠償責任による損 害をカバーする「生活総合保険」を手配されていれば安心です。 4
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