中性子過剰Na同位体の構造と殻進化

中性子過剰Na同位体の構造と
殻進化
原研
宇都野穣
——共同研究者——
東大理・CNS/理研 大塚孝治
NSCL, MSU
T. Glasmacher
専修大自然
水崎高浩
会津大数理セ
本間道雄
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講演の概要
1.
2.
3.
4.
5.
不安定核における魔法数(閉殻構造)の消滅
核子間相互作用による “shell evolution”
Na同位体の構造——normalからintruderへ
shell evolution と核構造
まとめ
2
1. 不安定核における魔法数(閉殻構造)の消滅
魔法数の消滅とは?
= 魔法数近傍核の基底状態が
“normal”配位に支配された球形
でなく、“intruder”配位に支配され
変形していること
実験的証拠
• 質量の系統性からの大きなずれ(31,32Na)
• 奇核における基底状態スピン(31Na)
• 偶偶核での大きなB(E2) (32Mg)
• ……
• 不安定核特有の現象
• N=20(N=8)領域で盛んな研究
優位点
一粒子エネルギー 相関(変形を含む)
エネルギー
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1. 不安定核における魔法数(閉殻構造)の消滅
不安定核のみ魔法数消滅が起こる原因
1.
特定の陽子数で変形エネルギーが特に大きくなる
(大きなprolate 変形: Ne, Na, Mg (Z=10-12) )
“island of inversion” は基本的にはこのメカニズムによる
2.
球形shell gap 自体が陽子数に大きく依存する
起源 : 核子間(有効)相互作用 or 小さな束縛エネルギー
新たな魔法数が生じる可能性
1. は現実的なQ·Qを持つ相互作用ではworkする
2. が必要かどうか?
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2. 核子間相互作用による “shell evolution”
有効相互作用とeffective s.p.e. (EPSE)
• 核子間の相互作用の強さは軌道に
依存する
殻構造の核子数依存性
• 簡単化のため、coupling の角運動量
を平均化した相互作用(monopole int.)
を考える
• 核子数に依存した一粒子エネルギー
は monopole int. と核子数だけで簡単
に表される
= effective s.p.e. (ESPE)
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2. 核子間相互作用による “shell evolution”
sd 殻領域のESPE
Monte Carlo Shell Model (MCSM) 計算に基づくempiricalなもの
O 近傍では
N=16 magic
d3/2の陽子数
依存性大
Ca (Z=20)では
shell gap ~ 6 MeV
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2. 核子間相互作用による “shell evolution”
“shell evolution” (殻進化)と相互作用
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2. 核子間相互作用による “shell evolution”
狭まるshell gap の影響を見るには?
• F (Z=9) で最もgap が狭まる
しかし、同位体の存在以外の実験値が少ない
• Na (Z=11)
依然、shell evolution の影響が大きい
odd-Z のため、モーメントにより基底状態の性質が直接わかる
以前からISOL による基底状態に関する実験データが多い
近年、Coulex により、励起状態の性質も測定されつつある
同位体の系統的計算(MCSMによる殻模型計算)が有用
shell gap のN 依存性は小さい
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
sd殻模型(USD)によるS2nと閉殻構造の有無
(1988)
• USD相互作用による殻模型
=系統的にS2nを再現する
(相互作用の信頼性)
• 閉殻構造消滅核=sd殻模型
ではunderbinding であるべき
• Na同位体ではちょうどN=20で
閉殻構造が消滅すると推測
Na
(island of inversionも同じ結果)
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
Na同位体のモーメント
• N=16,17 はsd で良い
• N=18 のQ はintruder とのmixing を
示唆
• N=19,20 はsd では再現不可能
MCSM ではintruder が主になり、
実験値をよく再現する
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
Na同位体におけるS2n の比較
• MCSM と実験値の良い一致
• 31Na (N=20) におけるsd での
underbinding はMCSM では
見られない。
intruder dominant g.s.
• 30Na (N=19) はsd とMCSM
とで全く異なる基底状態にも
かかわらず、ほぼ同じS2n
Why?
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
30Na
のS2n とESPE
• present int. を用いsd shell 内で
計算すると、USD よりずっと
小さなS2n
d3/2がUSD よりも高い
=N=16 magic の名残
• full calc. ではintruder が基底
状態になるため、余分にエネ
ルギーを稼ぎ、実験のS2n へ
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
エネルギー準位と基底状態からのE2遷移
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
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3. Na同位体の構造——normalからintruderへ
Collective property of 30Na
• 基底状態 band : rotor with K=2
Q0 ~ 60 efm2
• Nilsson model からの理解
p[211]3/2+n[200]1/2 on a
deformed core
[200]1/2
[211]3/2
• K=2 と K=1 の競合 : K=2 が優位
Gallagher-Moszkowski rule と
consistent
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4. shell evolution と核構造
N≠20核で魔法数が消滅する重要性
• normal と intruder state の
相関(変形)エネルギー差
semi-magic 核で最大になる
N ≠20核で魔法数が消滅する
にはshell gap が十分狭くなって
いることが必要
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4. shell evolution と核構造
定量的議論
• shell gap を広げたHamiltonian ではどうなるか?
• monopole interaction の変更
V
T
d 5 / 2,d 3 / 2
 0.7 x MeV for T=0

 0.3x MeV for T=1
{
x を変化させ、核構造への影響を調べる
正の値のx は、“shell evolution” を弱めることに対応する。
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4. shell evolution と核構造
30Na
のshell gap 依存性
• shell gap ~ 4 MeV で normal と
intruder が入れ替わる
• 31Na はより広いgap でも可
• 30Na では 2p2h prob. がgap に
対して急激に変化
• 1p1h との競合からはさらに狭い
gap を要する
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まとめ
• 核子間相互作用のスピン・アイソスピン依存性によって
もたらされる shell evolution
N=20(8)の(球形)shell gap が中性子過剰核で狭まる
• Na同位体の系統性から議論
• 従来の見方に反し、N=19 で既に魔法数消滅が見られる
• これは shell gap ~ 3.5 MeV 程度の十分狭いgap でないと
実現されない
N=20 核の魔法数消滅はshell gap に対し、このような
強い制約を与えない
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