10章 大気レーダーの実際 佐藤研究室 M1 原田知幸 目次 10.1 大気レーダーの特徴 10.2 大型の大気レーダー 10.3 ウィンドプロファイラ 10.4 下部対流圏レーダー 10.1 大気レーダーの特徴 中間圏 成層圏 中層 大気 mesosphere 80km stratosphere 50km MSTレーダー STレーダー 対流圏 troposphere 15km 大気境界層 atmospheric boundary layer 2km 上部対流圏まで→UHF帯 下部成層圏まで→VHF帯 中間圏 →UHF帯 ITUの勧告 50MHz帯 400MHz帯 1.3GHz帯 BLレーダー 観測技術の確立 多点でのネットワーク観測へ 10.2 大型の大気レーダー 10.2.1 大型レーダー 大気レーダの観測性能→「アンテナ開口面積×平均送信電力」で決まる 大 ISレーダー MUレーダー MSTレーダー STレーダー LTRレーダー BLレーダー 高 電離圏 成層圏下部以下、中間圏以上 中間圏・成層圏・対流圏 成層圏・対流圏 下部対流圏 境界層 開口面積×平均電力 観測高度 10.2 大型の大気レーダー 10.2.1 大型レーダー Jicamarcaレーダー ペルー、290m×290m、49.9MHz、2.0×10^10Wm^2 アンテナ構成:アレー型 素子:ダイポールアンテナ サブアレーに分割 ビーム操作可能 10.2 大型の大気レーダー 10.2.1 大型レーダー Areciboレーダー プエルトリコ 直径300m 430MHz 8.7×10^9Wm^2 アンテナ構成:反射鏡型 給電部を機械的に移動 天頂角20°内で走査 10.2 大型の大気レーダー 10.2.2 CO-COアレーアンテナを用いたレーダー CO-CO(coaxial colinear)アレーアンテナ 同軸ケーブルで素子を構成 等価的に半波長ダイポール 設置、展開が簡便 アラスカ州・ポーカーフラットレーダー 200m×200m、49.9MHz、5.1×10^9Wm^2 プロジェクト終了後、4分割され 太平洋横断レーダーネットワークを構築 大気大循環の研究に貢献 10.2 大型の大気レーダー 10.2.3 MUレーダー MUレーダー(Middle and Upper atmosphere radar) ・MSTレーダの代表例 ・1984年、滋賀県・信楽 ・VHF帯(46.5MHz)を用いて中層大気全域を観測 ・ISレーダーとして超高層大気の一部も観測可 ・直径103m、3素子八木アンテナ475本 10.2 大型の大気レーダー 10.2.3 MUレーダー 特徴 ・各素子が独立の送受信モジュール を有するアクティブフェーズドアレー 方式 ・19モジュール/1ch×25ch ・2.4kW/1モジュール→出力1MW ・開口面積×平均電力=5×10^8 世界に先駆けて 独自の技術で開発された アクティブフェーズドアレーアンテナ 方式 モノスタティック パルスレーダー 周波数 46.5MHz 帯域幅 1.65MHz アンテナ開口面積 8,330m2 ビーム幅 3.6度 送信電力 1MW(尖頭値) 50kW(平均値) パルス反復周波数 2.5kHz以下 パルス幅 1-500μsec(可変) 受信 ダイナミックレンジ 70dB 受信帯域幅 1.65MHz 偏波面 直交2偏波 10.2 大型の大気レーダー 10.2.3 MUレーダー アンテナ系 アンテナフィールド外周部にAからFまでのブースを設置 送受信モジュールを格納 素子とモジュールは同軸ケーブルで接続 4.5m(0.7波長)間隔で正三角形グリッド状に素子を配置 基準信号発生 Δf = (2f / c) Δv Δv = 0.1m/sを目標 →Δf = 3.1×10^-2Hzが必要 →当初:ルビジウム発信機 現在:GPS受信信号 変調 パルス圧縮→距離分解能を向上 相補符号、スパノ符号など。 MUレーダー送受信ブース内 10.2 大型の大気レーダー 10.2.3 MUレーダー 送受信系 5MHz IF信号と局部発信出力41.5MHz →46.5Mhzの送信種信号(1mW) →2.4kWまで増幅 復調 受信IF信号はA/D変換 →位相検波 →チャネル毎にパルス復号 →コヒーレント積分 信号処理 FFT→パワースペクトル 1次処理 インコヒーレント積分 →雑音の揺らぎ抑圧 エコー強度 2次処理 ドップラー速度 速度幅などを算出 実時間データ処理システム 半導体小型送受信機 10.2 大型の大気レーダー 10.2.3 MUレーダー RASSの構成 RASS :1.5~20kmの高度域の大気温度プロファイル 音波を発射→大気に疎密 音波面に向かって電波を発射→電波が散乱 散乱波を受信→ドップラーシフトを計算 各高度での音速算出→音速から大気温度 10.2 大型の大気レーダー 10.2.4 赤道大気レーダー 赤道大気レーダー(Equatorial Atmosphere Radae; EAR) 2001年 インドネシア・スマトラ島(東経100.32度, 南緯0.20度, 海抜865m ) 京都大学生存圏研究所とインドネシア共和国航空宇宙庁(LAPAN) 対流圏から電離層までを観測対象 3素子八木アンテナ560本 直径約110m 中心周波数47MHz ピーク出力100kW (MUは1MW) アクティブフェーズドアレイ →ビーム方向 5000回/sec走査可 →天頂角30度内で任意 ビーム幅: 3.4度 10.2 大型の大気レーダー 10.2.4 赤道大気レーダー 送受信(EAR) 送受信(EAR) 受信(SITE A) 受信(SITE B) モノスタティック方式 マルチスタティック方式 EAR単体でエコーを観測 観測域大気の一様性を仮定 三箇所以上の受信点でエコーを観測 観測域大気の一様性を仮定しなくてよい 高分解能な風速推定 10.2 大型の大気レーダー 10.2.4 赤道大気レーダー Sub-A2 Site-A (2004) 1300m Sub-A3 1100m (2005)Sub-A1 EAR EAR 500m 1300m 12/26 Sub-B Site-B 10.3 ウィンドプロファイラ 10.3.1 米国のウィンドプロファイラネットワーク NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration) 米国海洋大気庁 短時間気象予報精度の向上を目指す 404MHzウィンドプロファイラ網(35基) CO-COアレー、パッシブアレーアンテナ 10.3 ウィンドプロファイラ 10.3.2 欧州のウィンドプロファイラネットワーク 欧州科学技術研究協力計画 Europian Cooperation in the field of Scientific and Technical research; COST 13カ国の各種ウィンドプロファイラで構成 観測データは英国気象局で集配信 ウィンドプロファイラネットワーク →今後さらに展開されるだろう 10.4 下部対流圏レーダー 10.4.1 境界層レーダー 10.4.2 下部対流圏レーダー BLレーダー LTレーダー 小型・可搬に重点 900MHz~マイクロ波帯 RASS装置を付置し温度プロファイルも 米国:州政府や消防署により運用 逆転層、森林火災の監視に利用 京大、NICTも開発 可搬性を残しつつ大型化 気象庁が全国展開する ウィンドプロファイラネットワークを構成 相補orスパノ符号によるパルス圧縮 アンテナ高を低くし、クラッタを抑圧 津田研HPより 10.4 下部対流圏レーダー 10.4.2 気象庁のウィンドプロファイラネットワーク 気象庁ウィンドプロファイラネットワーク(WINDAS) 全国31ヶ所にウィンドプロファイラを設置 風速を連続観測 観測データ →数値解析予報システム(NAPS)へ →天気予報精度向上を図る →各気象官署が注意報・警報 の発表に利用
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