修士論文 車載コンピュータにおける非同期 イベント通知機構に関する研究

修士論文発表
車載コンピュータにおける非同期
イベント通知機構に関する研究
政策・メディア研究科
杉本 信太
研究概要
車載コンピュータにおいて、自動車から
得られる様々なセンサ情報の変化をイ
ベントとして検知する仕組みを実現する
自動車アプリケーション開発環境の充実
背景
• インターネット自動車システム
– オープンな自動車情報化のアプローチ
– End-to-Endの通信モデル
• アプリケーション開発環境における問題点
– アプリケーションは、自動車や車載システムに依存し
ている
– 自動車の周辺環境に対するアクセスが不便である
目的
• 車載コンピュータにおける周辺環境の変化
を、イベントとして検知可能にする
• イベントドリブンな自動車アプリケーション
の開発を容易にする
車載コンピュータ
• 役割
– 通信環境
– 自動車アプリケーション
実行環境
– 車載センサデータの収集
SIC2000
• 特徴
–
–
–
–
耐震性
耐熱性
豊富なI/Oインタフェース
電源機構
GPS
ライト
車速
車載センサ群
ワイパー
ブレーキ
アクセル
温度
車載コンピュータ環境の特殊性(1)
自動車アプリケーション
仮想自動車
仮想自動車
仮想自動車
仮想自動車
車載
コンピュータ
車載
コンピュータ
車載
コンピュータ
車載
コンピュータ
センサ
センサ
センサ
センサ
車載コンピュータ環境の特殊性(2)
ケース①
ケース②
セマン
ティクス
セマン
ティクス
デバイス
デバイス
ケース③
セマン
ティクス
デバイス
セマン
ティクス
デバイス
対応の種類
対応
通常のコンピューティング環境
①, ②, ③
静的
車載コンピューティング環境
①, ②, ③
動的
セマンティクスとデバイスの対応を管理するミドルウェアの必要性
設計:システム概要
• サーバ・クライアントモデル
– サーバ:イベント通知機構のシステム本体
– クライアント:自動車アプリケーション
APP
APP
APP
イベント通知
APP
イベント通知
イベント通知
機構(サーバ)
インターネット
イベント通知
APP
設計:仮想自動車
• 車載アプリケーション環境の前提
– 自動車や車載システムの依存性の吸収
– センサ・データから意味情報への変換
• 仮想自動車
– 識別方法
– データ表現方法
– 拡張可能なデータセットの定義
設計:システムモデル
アプリケーション
イベント
速度
アプリケーション
イベント
位置
情報
イベント定義層
イベント
ワイパー
アプリケーション層
ライト
仮想自動車層
ハードウェア
抽象化層
デバイス
デバイス
デバイス
デバイス
デバイス
ハードウェア層
設計:イベント定義
• イベントの定義方法
– 二つのセンサとそれらを比較する式
– 一つのイベントは複数のセンサに対応
• イベント検知の仕組み
イベント
センサ
シャドウ
センサ
V1
比較式1
S1
V2
比較式2
S2
V3
比較式3
S3
設計:API
•API
create_event()
regist_event(event)
unregist_event(event)
add_sensor(event, sensor1, sensor2, type)
remove_sensor(event, sensor)
実装:実装の概要
• 実装環境
–
–
–
–
FreeBSD 3.4R/i386, NetBSD 1.4.1L/mips
車載ハードウェア(SIC2000)
システムはデーモンとしてユーザ空間で実装
ASN.1による仮想自動車情報の記述
• 取得する自動車情報
–
–
–
–
–
電源
車速パルス
ワイパー
ライト
温度
実装:データ構造
アプリケーションを単位
として管理されたイベント
センサ情報
デバイスに依存した情報
データ
データ
データ
データ
データ
それぞれのセンサのインターバルに基づいたポーリング
デバイス
デバイス
デバイス
デバイス
デバイス
デバイス
まとめ
• 自動車アプリケーション
– 車載アプリケーションのみでなく、ネットワークを経由
した全てのアプリケーションから利用可能
• 定義の自由度
– アプリケーションが主体
– 動的な変更が容易
• 仮想自動車情報⇔センサデバイスのマッピング
– 変更が容易である
– 動的な変化が可能
• ポーリングのコスト
– イベント数の増加の影響は少ない
– 不必要なポーリングは行われない
結論
• インターネット自動車システムアーキテク
チャに基づいたイベント通知機構のモデル
を提示し、これに従ったシステムを設計、
実装した
• 実際の車載コンピュータで動作させ、利用
可能性を確認した