283_289_4

中学部の生徒に対して、
平仮名の拗音単語を読むことが
できるための支援
1
~コンピューター教材を使った
慶應義塾大学との共同研究事例~
徳島県立板野支援学校
田 真理子
慶應義塾大学文学部社会学研究科
幹真
慶應義塾大学文学部教授
淳一
教諭
竹
大森
山本
2
慶應義塾大学との共同研究とは
・・


慶應大学の山本研究室の大森幹真氏が開発し
たコンピューター教材KLAP(Keio Literacy
Acquisition Program)を使った共同研究。
KLAPとは,「文字の読みと絵の理解」から「
長い
文の読みと理解」までを段階的につなげて,
包括的に支援を行うためのコンピュータ教材
。
KLAPの学習支援カリキュラム
長い文の
読みと理解
短い文の
読みと理解
単語の
読みと理解
文字の読みと絵
の理解
漢字の
読みと理解
KLAPの学習支援カリキュラム
ぼくは、ないているかえる
を、つかまえる
かえるが
ゲコゲコなく。
かえる
か・え・る
蛙・鳴く
指導目標
5
【長期目標】
・「は,を」などの助詞や1年生程
度の漢字を使った2語文を書くこと
ができる。
【短期目標】(2.3学期)
・3文字の平仮名の拗音単語12種類
を正しく読むことができる。
•現状のABC分析(Befor)
6
「しゃつ」の文字
「しやつ」
教師の修正あり
「ちがう。しゃつ」(-)
•KLAPを使ったABC分析(After)
アニメーション
+メロディ
(↑)
「しゃつ」の絵
+「しゃつ」の文字
+「しゃつ」音声モデル
「しやつ」
「しゃつ」
教師のほめ言葉
(↑)
方法
【対象者】
Kさん(特別支援学校中学部2年 女子)
知的障害、
絵画語い発達検査(PVT): 5歳10 ヶ月(H24.
12月)
【指導場面】
国語の授業(週2回)
【指導期間】
H24.11月 ~ H25.1月
【般化場面】
日常生活
【教材】
コンピューター教材,ICレコーダー
手続き
8
《ベースライン》
1.4種類の『絵』『単語』『文字』を1
セットとして
全3セットのテストを実施する。
2.一番正答率の高いセットから始める。
2~3回ベースラインを取り,正答率が
上昇しないようであればトレーニングを開
始する。
手続き
・以下の手順で始める。
9
1.(トレーニング)コンピューターの画面上で単語
や文字の音声に合わせて,模倣を繰り返し練習する
ように促す。練習の際は,音節に合わせて肩をタッ
ピングする。
2.(テスト)トレーニング後①で行った絵の命名,
文字,単語の読みを行う。単語の読みが2回連続
100%正答であれば,次のセットに取り組む。
3.次のセットを始める前に必ずベースラインを取る。
正答率が上昇しないようであればトレーニングを開始
する。
達成基準
10

達成基準
正反応率100%が2回連続で達成として,
次のセットに取り組む。
●
記録方法
set 1
絵刺激
文字刺激
単語刺激
11
見本刺激
シャツ
きょく
おちゃ
ちょう
きょ
く
ちょ
う
しゃ
つ
お
ちゃ
しゃつ
きょく
おちゃ
ちょう
11月12日
11月13日
11月19日
音声反応
11月27日
11月27日
1月21日
7
記録方法
12

「絵」「単語」「文字」のそれ
ぞれの正答率を記録する。
正答数
刺激数
正答率(%)
×100
=
13
結果
14




3つのセットともトレーニング後は正答率があがり,
すぐ達成した。
トレーニング後は、知らなかった単語と絵が等価関
係になり,答えることができるようになった。
時間が空くと、拗音の文字が清音(例えば「りょ」
が「りよ」)読みになるが,単語は正しく読めてい
る。
セット2の単語読みは,フォローアップでも維持で
15


(『絵』『文字』『単語』の刺激等価性の)
アセスメントにより,何ができて,何ができ
ていないのか明確になる。
生徒の実態にあった教材で楽しんで取り組む
ことができたり,自学習ができるので,複数
指導も可能である。
考察
16



「絵」「文字」「音声」の刺激がセットで出てくる
ので,理解が進むと思われる。
セットの内容については,日常よく使われる単語を
精選する必要がある。
アドバイスを受けることで,ベースラインの取り方
や,訓練に入るタイミングが良く分かった。
大学とのコラボレーションは,最初の準備が大変
であったが,校内のシステムが整えば,メリットは
大きいと思われる。
今後の課題
17


拗音単語を正しく読むことができるように
なったかどうか,パソコン以外の学習場面で
も検証する必要がある。
今後,校内でKLAPをどのように使用していく
のか
検討する必要がある。