MEMS開発のための共用設備 ~東北大学 試作コインランドリの紹介~ 東北大学 マイクロシステム融合研究開発センター 最先端研究開発部門 戸津 健太郎 [email protected] MEMS集中講義 2010.8.6 MEMS開発の特徴 • プロセス装置やクリーンルームなど、高価な設備が必要 導入費用、維持費用が高い →自社内で設備を保有するにはリスクを伴う場合あり • 標準化が困難 プロセス開発から必要な場合が多く、開発コストが大きい 最適なプロセスフローを確立するためには、一通りのプロセス経験が必要 多種多様な技術の「組み合わせ」であり、ノウハウが必要 • 従来と異なる(実績のない)プロセスでも柔軟に対応できる開発、製造ラインは少ない 初期試作でデバイスの動作確認ができたとしても、その後の量産試作を引き受ける ところがない場合がある。 開発リスクが大きいため、技術シーズを保有し、かつ明確なマーケットがあったとしても、 開発に着手できなかったり、途中で頓挫してしまう例が見受けられる。 2 MEMS開発の特徴 開発リスクを抑えるために... 装置のキャパシティ 共用設備を用いた試作開発 % 100 D社 F社 E社 B社 D社 50 0 • • • • C社 A社 B社 装置 1 装置 2 C社 A社 ・・・ 装置 3 複数の企業(大学)で装置を共用し、コストを分け合う 開発を委託するのではなく、自ら行うことによるノウハウの獲得、人材育成 共用設備に蓄積される情報へのアクセス 要望に応じたプロセスライン構築 考慮すること 使い勝手、プロセスの信頼性・再現性、情報管理 3 東北大学 試作コインランドリ MEMSを中心とした半導体試作開発に関わる共用施設を開放し、実用化を支援。 最先端研究開発支援プログラム 「マイクロシステム融合研究開発」(2010-2013)のサブテーマの一つとして実施 設 備 4/6インチのMEMSを中心とした半導体試作ライン。共用の設備であり、利用者は必要 な装置を必要な時に利用できる。技術は保有しているが、適当な試作開発設備がなくて 困っている企業(全く持っていない、一部持っていない、持っているけど使えない、など)が 技術者を派遣して自分で試作を行うことで、開発のコスト、リスクを軽減でき、実際の経験 を持つ技術者が育つ。 技 術 大学にこれまで蓄積されたノウハウにアクセス可能。さらに、センターの職員(4名)や技術 補佐員(3名)が装置操作方法の指導をするなど、試作開発を支援。 費 用 設備、技術支援について、利用時間に応じて課金。 4 試作コインランドリの場所(西澤潤一記念研究センター内) ○ 地下鉄東西線「青葉山駅」 (H27開業予定) 青葉山新キャンパス 工学部 工学部から約3km 西澤潤一記念研究センター 5 ポイント • 設備のメンテナンスが十分行われていること。再現性、信頼性の確保。 • 複数の企業が利用した場合の情報管理を行う。各装置を利用して所望の加工をするため に必要となる条件については共有するが、デバイスに関する情報は秘密扱いにする。 • 発生した知的財産は開発した企業に持ち帰っていただく。 • 課金システムを工夫するなど、ユーザの立場にたった使い勝手のよいシステムの開発。 • 共用基盤技術の蓄積と活用、評価技術、高信頼性プロセスの確立。 • 大学等の研究機関と密接な関係があり、新しい技術の実用化開発(応用研究)を担えるこ と。例えば、先端融合プロジェクトの集積化MEMSの実用化(大口径化)研究。 • 開発試作、少量生産が可能であること。大量生産が必要となる開発については、産総研 の8インチ、12インチラインを紹介。 6 試作コインランドリの位置付け 障壁 研究 シーズの創出 障壁 開発 明確なターゲット マーケティング 障壁 事業化 産業化 製品投入 セールス 事業拡大 量産 試作コインランドリ 大学、研究所 企業 西澤潤一記念研究センター ユーティリティ 1F ・エントランス SEMなど ・事務室 ・ユーティリティ エントランス、 事務室 8 ユーティリティ クリーンルーム 西澤潤一記念研究センター 2F ・クリーンルーム 4インチパワートランジスタ製造、 組立、評価ライン →4/6インチ試作コインランドリへ ・会議室 ・ユーティリティ 会議室 9 試作コインランドリのメインとなる2階クリーンルーム 両面アライナ/露光装置 接合装置 (江刺研より移設) これまでパワート ランジスタの4イン チ製造、組立ライ ンとして利用され てきた部分。 検査室 メンテ室 スパッタ装置 (H21補正・新規) Si Deep-RIE (H21補正・新規) LPCVD(Epi-poly) (H21補正) PECVD(SiO2、SiN、H21補正・新規) 1,800 m2 10 2階クリーンルーム 廊下 組立室 成膜室 PR室 測定室 洗浄エリア 開発室 メンテ室 検査室 11 ユーティリティ クリーンルーム 西澤潤一記念研究センター 3F ・クリーンルーム 17mm角ウェハプロセス装置 (高周波デバイス、MEMSなど) ・居室 ・ユーティリティ 居室 12 3階クリーンルーム、実験室 測定設計室 測定室 気相実験室 化学処理室 開管成長室 マスク室(暗室) マスク室(イエロー) Siプロセス室 金属成膜室 ウェハ処理(マーキング、洗浄、乾燥) レーザマーカ RCA洗浄機 酸ドラフト 有機ドラフト GSIルモニクス WM-II ELEC WET-23 フッ酸/硝酸/硫酸/塩酸等 有機洗浄/レジスト剥離 スピン乾燥機 CO2超臨界乾燥機 イナートオーブン 真空オーブン SEMITOOL PSC101 等3台 SCFluids CPD1100 ヤマト科学 DN63H ヤマト科学 DP-31 14 フォトリソグラフィ(マスク作製、露光、現像、除去) パターンジェネレータ スピンコータ コータデベロッパ コータデベロッパ 日本精工 TZ-310 エマルジョン/Crマスク作製 7インチ以下 ミカサ 1H-DXII ほか キヤノン CDS-630 ポジ用 大日本スクリーン ネガ用 ホットプレート クリーンオーブン ポリイミドキュア炉 ステッパ ヤマト科学 DE62 ヤマト科学 DN43H キヤノン FPA1550M4W g線、0.65µm、4インチ 15 フォトリソグラフィ(マスク作製、露光、現像、除去) 両面アライナ 片面アライナ EB描画装置 Suss MA6 キヤノン PLA-501-FA 2台 Reith 50 30nm、3インチ以下 UVキュア装置 アッシング装置 アッシング装置 ウシオ電機 ユニハード UMA-802 ULVAC UNA2000 2.45GHz、1kW ブランソン IPC4000 13.56MHz、600W 現像ドラフト 16 酸化・拡散、イオン注入、蒸着、ゾルゲル成膜 酸化・拡散炉 中電流イオン注入装置 高電流イオン注入装置 ランプアニール装置 TEL XL-7 P形用、N形用それぞれ1台 日新イオン機器 NH-20SR 200keV、0.6mA 住友イートンノバ NV-10 80keV、6mA AG Associates AG4100 1000℃ 電子ビーム蒸着装置 ゾルゲル自動成膜装置 アネルバ EVC-1501 テクノファイン PZ-604 17 CVD、スパッタ LP-CVD LP-CVD PE-CVD PE-CVD システムサービス SiN、Poly-Si、NSG 国際電気 Epi-Poly Si、1200℃ 日本生産技術 VDS-5600 SiN、SiO2 住友精密 MPX-CVD SiN、SiO2 W-CVD スパッタ装置 スパッタ装置 スパッタ装置 アプライドマテリアルズ Precision 5000 アネルバ SPF-730 5インチターゲット×3 芝浦メカトロニクス CFS-4ESII ECRIPSE MRC RF1kW、DC10kW 3インチターゲット×3 18 エッチング ドライエッチング装置 ドライエッチング装置 Si Deep-RIE Al RIE アネルバ L-507DL Si アネルバ DEA-506 Si、SiN、SiO2 住友精密 MUC-21 芝浦エレテック HIRRIE-100 酸エッチングドラフト アルカリエッチングドラフト 19 測定 ウェハゴミ検査装置 膜厚測定装置 段差測定装置 深さ測定装置 トプコン WM-3 Nanometric NanoSpec 3000 Dektak AlphaStep 500 ユニオン光学 Hisomet ~8インチ対応の SEMを導入予定 4探針測定装置 拡がり抵抗測定装置 ウェハプローバ Solid State Measurements SSM150 東京精密 EM-20A 20 接合、パッケージング ウェハ接合装置 ダイサ ワイヤボンダ キャップシール溶接機 Suss SB6e 東京精密、ディスコ West Bond ほか Al/Au超音波、Al/Au熱圧着 大阪変圧器 RPT-155 コンベア炉 神港精機 FB-260H/TE 21 MEMS人材育成事業の紹介 基礎講座 MEMSとは プロセス技術 ※合計30コマ アプリケーション MOT等 試作実習 設計実習 実 施 場 所 (MEMSパークコンソーシアム主催) 10~20日 30~60日 ~10日 3日 企画・ 設計実習 試作実習 (4インチ) 測定・評価 発表・報告 東北大学 宮城県産業技術 総合センター 宮城県産業技術 総合センター 東北大学 MEMS デザインセンター メムス・コア 東北大学 東北大学 1回3名以内で2010年10月~12月実施 22 基礎講座 ・東北大学ISTU(Internet School of Tohoku University)の仕組みの中に合計 30コマ分作成。無料で開放中→申込先:[email protected] 23 試作実習の場 東北大学 宮城県産業技術総合センター メムス・コア 容量型3軸加速度センサを2ヶ月で試作 東北大学、メムス・コア、宮城県産業技術総合センターで分担して 4インチウェハ上に完成させた初めてのデバイス 国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト(ICAN) 高校生から大学院生を対象として、MEMSデバイスを活用した電子システムのアイデアを競うコ ンテストを開催。学生の柔軟な発想を未来社会に活かすことを目的として2009年10月13日に仙 台で開催。出場16チーム中、上位3チームが2010年1月に中国アモイで開催された国際大会に 出場した。 第1位 京都大学 TBT : エアギター 「MEMG(Micro Electro Mechanical Guitar/Meccha Enjoy Music Guitar)」 ≪エアギターのデモの様子≫ 手に加速度センサや磁気センサを装着し、 指の動きに応じて音が出るようにしたもの。 次回のICAN’11は2011年6月に北京で開催。 (国際学会Transducersと同時開催) 日本予選については、2010年12月6日、7日に 仙台にて開催 詳細情報はこちら↓ http://www.rdceim.tohoku.ac.jp/iCAN11/
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