放射冷却率(赤道上時間東西平均)

水惑星実験における赤道域降水活動の理解に向けて:
wave-CISK モデルとの比較を目的とした
AGCM 物理過程簡略化実験
北海道大学 大学院理学院
宇宙理学専攻 山田 由貴子
DM2semi 2006/10/05
もくじ
 はじめに
 研究背景とこれまでの取り組み
 放射冷却率依存性実験 (山田, 2004)
 今回の発表における目的
 物理過程簡略化作戦
 wave-CISK モデル、大気大循環モデル
 実験その1:鉛直拡散スキームの影響
 鉛直拡散スキーム。。。。
 実験結果
 実験その2:積雲パラメタリゼーションの簡略化
 wave-CISK パラメタリゼーション。。。。
 実験結果
 今後に向けて。
はじめに
赤道域降水活動に対する認識
 Nakazawa (1988)
 赤道域の降水階層構造
 クラウドクラスター,
スーパークラスター, MJO
APE; Aqua-planet experiment project
AGUforAPE
CSIRO
水惑星比較実験
T42程度の解像度の結果
2005/04/20-22,
Reading
GSFC
K1JAPAN
LASG
MGO
NCAR
UKMO
これまでの取り組み

大気大循環モデルで表現される赤道域降水活動
の多様性調査
 水惑星条件におけるモデルパラメタ依存性
 潤沢な?計算機資源 (スパコン) を使って, とにかくたくさん?の実
験をする
パラメタ空間マップを作る
まずはどんな降水分布パターンを取りうるのか?
そのパターンはどのくらいのパラメタ空間で存在するのか
その上で, 理論的考察をして整理する (できたらいいな)
キーワード: wave-CISK, 水蒸気移流
放射冷却率依存性実験 (山田, 2004)

モデル: 地球流体電脳倶楽部版 AGCM5
 球面 3 次元プリミティブ方程式系: 解像度T42L16
 放射:水蒸気 3 バンド, 乾燥空気 1 バンド
 積雲パラメタリゼーション: Kuo スキーム
 SST分布:南北対称・東西一様分布

上層冷却実験、下層冷却実験
 長波放射スキームの乾燥空気バンドの吸収係数を操作
放射冷却率(赤道上時間東西平均)
上層冷却実験
下層冷却実験
凝結加熱率(赤道上時間東西平
均)
上層冷却実験
下層冷却実験
放射冷却率依存性実験(KUOスキーム)
降水量(赤道上経度時間図)
下層冷却
23 m/s
上層冷却
7 m/s
時空間スペクトル図
下層冷却
上層冷却
23 m/s
7 m/s
背景風移流CIFK的
Kelvin wave-CISK的
放射冷却率依存性実験(KUOスキーム)
降水量(赤道上経度時間図)
上層冷却
下層冷却
温度場、風速場の合成図(赤道上経度高度図、東西平均偏差)
下層冷却
背景風移流CIFK的
上層冷却
Kelvin wave-CISK的
しかし、以前より。。。。

Numaguti and Hayashi (1991) との比較

山田 (2004) は、
 降水域がとぎれとぎれ
 東西波数1の東進以外は、むしろ西進
7月のとある日。。。。

Numaguti and Hayashi (1991) との比較

山田 (2004) は、
 循環が東西に広い、等
本発表の目的

動機
 山田(2004)
と Numaguti and Hayashi (1991) との違い
は?
 wave-CISK と断定するには?どのように関わってる?
 (環境研発表会で楽しようと思って。。。)

調査方法
 AGCM
ける
を解体して wave-CISK モデルに段階的に近づ
物理過程簡略化作戦
wave-CISK モデル
 Yoshizaki(1991a), 保坂 (199?)
 赤道ベータ面、ブジネスク系、線型
鉛直モード
加熱分布
変数の座標位置
加熱の
パラメタリゼーション
境界条件
wave-CISK (加熱なし)
wave-CISK (第1、2モード加熱)
大気大循環モデル
 地球 (惑星) を取り巻く全球的な大気の流れを表現するモデル
を取り巻く全球的な大気の流れを表現するモデル
 力学過程, 物理過程
 球面、プリミティブ方程式系
DCPAM で計算された
温度場, 流れ場
(森川, 2005)
地球流体電脳倶楽部版 AGCM5.3

計算順序
 物理過程1
 放射
(簡易4色バンド)
 鉛直拡散 (Yamada&Mellor Level2)
 地表面過程 (Louis)
 力学過程
 物理過程2
 積雲
(調節)
(Kuo)
 大規模凝結
 乾燥対流調節
物理過程簡略化作戦

簡略化方針
 放射
(簡易4色バンド)
 冷却率固定
 鉛直拡散
(東西時間平均値)
(Yamada&Mellor)、地表面過程 (Louis)
 拡散係数を固定
(東西時間平均値)
 拡散加熱率を固定 (東西時間平均値)
 鉛直拡散、地表面過程を計算しない
 積雲
(Kuo)、大規模凝結、乾燥対流調節
 計算しない
 wave-CISK
パラメタリゼーションの導入
実験その1:
鉛直拡散スキームの影響
実験設定

簡略化方針
 鉛直拡散、地表面過程
 拡散係数を固定
(東西時間平均値)
 拡散加[熱、速度、湿度]率を固定 (東西時間平均値)
 鉛直拡散、地表面過程を計算しない
 フラックスの評価


FM ( z )    K M v ( z  1)  v ( z )
FT ( z )   C p K H T ( z  1)  T ( z )
Fq ( z )   Lc K E q( z  1)  q( z )
標準実験

標準実験
標準実験


標準実験
リチャードソン数
 ln 
z
Ri 
2
 u 
 
 z 
g
安定度
鉛直シアー
拡散係数固定実験

拡散係数固定実験
WISHE

(wind-induced surface heat exchange)
Numaguti and Hayashi (1991b)
 WISHE:
蒸発-風速フィードバック
 *
E   CD v (q  qa )
E: 蒸発量, CD:バルク係数, ρ: 密度
q*:地表面飽和比湿, qa: 大気の比湿

CD v を
固定する
拡散加[熱速度湿度]率固定実験

拡散加熱固定実験
鉛直拡散スキームなし実験

鉛直拡散スキームなし実験
実験その1:まとめ

鉛直拡散スキームの影響
 結構ばかにならないということが再認識された
 積雲パラメタリゼーションと結合しちゃってて切り離
すのは難しそう。どうしよう。。。
実験その2:
積雲パラメタリゼーションの簡略化
実験設定

wave-CISK パラメタリゼーション ?

f(z) には、標準実験東西時間平均凝結加熱率
 D( x) f ( z ) ( D( x)  0)
f(z): 加熱の形
( D( x)  0)
D(x):下層収束
Qconv ( x, z )  
0

規格化定数αの決め方
 1:α=0
 2:東西平均の凝結加熱率と
放射冷却率がつりあうよう
に決める
Q


Q
rad
dp
conv
dp
実験結果

CISK パラメタリゼーション実験 (失敗中。。。)
今後に向けて。
今後に向けて。

困ってること。
 鉛直拡散スキームが対流活動に密接に関係してい
る。
 境界層の構造はやはり対流活動に強く影響してるようだ。
 鉛直拡散スキームの取り扱い取り外しがやっかい。
 wave-CISK
パラメタリゼーションの導入方法。
ふろく
標準実験

標準実験
標準実験

標準実験
Numaguti and Hayashi (1991)

線形 wave-CISK 解
放射冷却率依存性実験(KUOスキーム)
• 降水量 (全球平均、東西平均)
放射冷却率依存性実験: まとめ

下層冷却(KUO)では


西向きの降水構造は背景風に移流されるCIFK的な構造であることがより明
瞭になった
WK1999解析の結果さらに



東向き構造も存在,自由Kelvin波とmoist-Kelvin波の構造
湿潤内部重力波も存在,CISK的であることとつじつまが合っている(?)
上層冷却(KUO)では

東向きの降水構造はwave-CISK的な構造であることがより明瞭になった


Moist-Kelvin 波と Kelvin wave-CISK との違いは運動場と水蒸気場および降水
のカップリングの強さ
WK1999解析の結果さらに


水蒸気の西向き移流
湿潤内部重力波も存在,CISK的であることとつじつまが合っている(?)
• 降水パターンの顔付の分類やそれをもたらす「メカニズム」(要因)の記述
はまだこれから
– 海面水温分布依存性
– 物理過程の変更着脱を行うパラメタ研究
– 自在に顔つきを選べるようにならないとね!