5章 現代アメリカ企業の内実

5章
現代アメリカ企業の内実
B班・安部・西田・石山・出山・大平
本章・アメリカ企業の人事担当役員の多様性
Us証券 人事部
分権的である→各事業部は人事部をもつ
事業部人事部の役割
従業員→キャリアカウンセリング・付加給付関する情報
ライン管理者→業務管理の指導といった専門サービスの提供
正規の苦情申し立て制度は用意されていない。
→無記名の意識調査で不満を表明
急成長によって生まれた経験不足の管理職を支援するものと期待さ
れ重要性が高い
本社人事部の役割
企業文化の明確化と浸透
管理者が依拠すべき指針を提供
企業文化 FERSTT
F公正さ(Fairness)・E共感(Empathy) ・R反応(Responsive)
S努力(Striving)・T信頼(Trust)・Tチームワーク(Teamwork)
⇒従業員志向の企業文化
経営文化を明確化し浸透させ、上級管理職の採用過程
と会社全体に適用される評価・報酬システムを設計
本社人事部の企業戦略への影響
取締役会は内部の人はCEOと社長だけ
→人事部の観点は伝わりにくい
→役員にたえず人事職能と従業員志向を伝えなくてはいけない。
↓
本社人事部は社内で中枢を欠き権限は弱い
本社人事部は人事業務上の問題に限定で関与。戦略へ
の参加に制限
業績評価と報酬制度
本社人事部はライン管理者や事業部の人事部スタッフの協力
のもとおこなわれる
教育研修とキャリア開発
経験不足の管理職が多い
企業内研修はJ証券と比べてはるかに低い
まとめ
US証券は事業部の人事部の自治権が大きいが事業戦略の策
定と事業部レベルにおける本社人事部の影響力は小さい
US運輸-特徴
文書・小包の翌日配達サービス
・航空関連の従業員雇用
・職能別事業部(航空機、仕分け、宅配
便、・・・)
・組合不在⇒鉄道労働法適用
・労働移動率が低い
US運輸-人事部門
①スペシャリスト…報酬、教育研修、法務
②ゼネラリスト…人事責任者、統括者
マトリックス構造
人事統括者
2人のボスを持つ
事業部管理者
理由 ①一貫した人事職能
②苦情申立制度
③学習促進
④管理職育成
US運輸-変化
・人事情報のシステム化…人事スタッフ数の抑制
しかし、相対的にはスタッフ比率が高い
・トラック運送会社4社買収…低価格ニーズに対応
しかし、人事慣行・政策は統合しない
⇒利潤低下を防ぐ・労使関係
J運輸との類似性
 単一的な文化をもった結集力のある会社
 広範的な内部昇進制度
 人事部の権力が強い
US部品工業(自動車部品メーカー)
・各事業部に人事責任者を配置。
⇒本社人事部との分権的手法
⇒組合への利害の主張をしにくい状態へ
・人事問題協議会の開催
⇒事業部の境界を超えた人事政策の調整
※トップの交替により最も歴史と組織について知識を
持っていた人事担当副社長が構造改革に取り組む
影響力を与えた4つの領域
①企業文化
組織文化の基礎を記した社是の作成
②役員選抜
トップ200人の記録保持
③人事制度
全社的な人材育成システム
④研究開発センター
新しい組織デザインの提案
影響力を与えられなかった領域
• 非管理者の仕事、賃金の決定
• 企業合併、買収へ関与
• 独創的な従業員施策
USエレクトロ
~特徴~
①組合が存在しない
→絆を強化
②福利厚生
→長く勤めてもらう
③従業員志向
~人事部~
①マトリックス構造
※異なる組織構造をミックスし、指揮命令系統を多次
元的にデザインした構造。
事業部門(30%)
②部門
共通サービス部門(40%)
国別および地域別チーム部門(30%)
~従業員育成~
●キャリア形成
●苦情処理
~業績不振期~
●レイオフ
●事業と人員のバランス調整
●ストック・オプションの再発行
温情主義の魅力が従業員を引き留めた
USコンエナジー
(エネルギー・建設会社)
・1990年代に急成長(天然ガスの卸売)
・多角化した多国籍事業を展開
○人事部の組織と職能
①1980~1990初
②1990中頃
③1999以降
三つの時期区分
規制下にある公益企業
エネルギー取引事業の隆盛
本社人事部の再編成
①期:特徴
・トップダウン型 = 伝統的な管理
・事業の多角化に消極的
・大規模な本社人事部スタッフ
ピーク時(約350人)
・従業員:長期勤続、安定・公平雇用
・賃金:全社規模の職務評価制度
②期:特徴
・取引事業部が社の重心に移行
・同事業部にて独自の人的資源アプローチを開発
≒非本社管理
・新事業部による独自政策をCEOが認可
○新しい人的資源政策
内部労働市場の規制緩和
・自由な異動
・ストックオプションを含む成果給の多用
○PACシステム
・取引事業における実力主義的慣行を政策に反映
・業績評価委員会(PAC)が管理する360度評価
→従業員同士の比較、ランク付け
・メリット:評価基準の一貫性により、プロジェクト
を超えた配置転換が容易になる
・デメリット:社内競争の激化
→本社スタッフとの軋轢が増大
・PACシステムを全社規模に拡大適用
・クロス較正の導入
→事業管理者の責任増大
→好調事業へ異動するインセンティブ増大
・取引事業部のスタッフ増加(約250人)
※同時期の本社スタッフと同程度
=本社人事部の管理外に
⇒変革の必要性
③期:特徴
○新システム
・取引事業部の経理責任者を本社人事部長に任命
→本社人事部解体の為
・本社人事部スタッフ削減(約75人)
→専門スタッフは各事業部へ異動、一部重複ス
タッフは解雇
・役員養成等が社長室の担当に
→人事部ではネガティブな印象を与える恐れ
・2001年 全従業員の35%がPACシステムの適
用下に
目標:数年内に100%→全従業員へのストックオプ
ション提供→自社株価への関心増大
○PACにおける実際のランク付け
・収益創出への比重が増大(取引事業部モデル)
→本社人事部、その他部門スタッフ
:会社に収益をもたらす能力を示す必要性
○問題点
①新人事部長の任務
・CEO:良好な従業員関係構築を希望
・社長:人事に価値を認めず
→本社人事部の権力は限定的
②本社人事部の無力と影響
・PACシステムの弱点:比較評価が困難
・社長による政策策定の偏重
→人事部:政策運営に関係=不要
③PAC委員会
・業績偏重傾向→人的資源の原則に反する
④自由市場の機能不全
・成長鈍化→配置転換が困難に
⑤事業単位同士の関係性
・優秀人材の奪い合い
・協力し合おうとしない
→会社にとっての利益という観点が欠如
⇒全社統制の為には、人事政策を企業文化関
係に集中する必要がある
○結論
アメリカ企業の事例研究からの発見
①本社人事部職能の多様性(強~弱)
◆多様性の要因
a.アメリカ企業で特徴的
・進歩的な非組合型モデル(人事部による従業員権利
の擁護)
b.日米間で共通
・類似点を持つペア企業(宅配会社、多角化電機会社)
・同じ様な技術上の要請と類似した顧客に直面
・企業文化の普及
⇒各国で共通して見られる産業特殊的な現象が台頭
※強力な国別モデルの持続
・アメリカ:市場志向、株主志向、低教育研修費、
従業員=弱小ステークホルダー
:権力中枢と人事担当役員との関係性が
多様
:人事部の社内ステータスが多様(戦略
決定、管理者との関係性)
→いずれも日本の場合とは大きく異なる
②アメリカ企業の二つのパターン
a.資源ベースの事業戦略と人的資源戦略を追求する企
業群:US運輸、USエレクトロ
(競争優位を生み出す企業特殊的スキルを持った従
業員が基盤)
・人的資源政策:組織志向、緩やかなステークホルダー
主義
b.市場が求める方向に人的資源を委ね、短期の株主利
益を追求する企業群:US部品工業、USコン・エナジー
(汎用スキルを持った従業員が主体)
・人的資源政策:市場に依拠、株主利益追求志向
※相違を生む要因
・CEOの価値観:a企業群は創立者による経営
・多角化、複数事業部制組織における財務重視戦略
:b企業群に顕著
→資源のフレキシビリティーと人的資本への投資は
調和しない
○人事担当役員の影響力と企業の戦略選択の関係性
→明確にすることは困難
◆理由
・アメリカでは人事担当役員の影響力がCEOとの個人的
な関係に大きく依存
・事例研究の数が少ない