資料:大震災後の日本経済再生のビジョンと財源問題

大震災後の日本経済再生のビ
ジョンと財源問題
宍戸駿太郎
筑波大学・国際大学名誉教授
東日本大震災の本質
• 災害列島の再認識(原発問題を含む)
• 経済成長断念説の再登場:かってのローマ・クラブ
1.人口減少 2.環境保全 3.デフレ容認
4.バブル以降:社会資本の軽視と緊縮財政路線の再燃:増税論
• 慢性デフレの発生:日米協議と430兆円の公共投資10カ
年計画:事後シミュレーションの結果:
高い成長と雇用機会と豊かな税収と財源の実現
(市村・クライン:日本経済のマクロ計量分析:14章(日経)
参照)
・ 財政再建最優先論者の落とし穴
税収は短期;中長期では‘’さき細り‘ 不況の発生と総所得
の収縮。
•
財政再建は‘急がば回れ’
• 完全雇用型経済成長と自然増収の重視
• 税収総額の伸びと名目GDPの伸び
• 税収入の名目GDPに対する弾性値
• 財務省:1.1 常に。
• 計量経済モデル: 1.4~1.7
景気局面で柔軟に伸縮
• 理由:先進国経済の自動安定メカニズム
累進所得税、法人税、失業保険支払いなど・・・
自動安定装置、好況で負担率上昇、不況で下降
乗数とは
• 乗数とは財政支出や減税の1単位が実質と名目G
DPのあたえる効果の波及経過の数値。
• グラフ 参照
• 入門教科書 は民間投資を財政支出と同様
外生変数とするが、計量経済モデルはこ
れも内生変数として扱うから変動幅は
通常大きくなる。
・ 実質GDPに与える乗数効果は生産と雇用効果に。
・ 名目GDPに与える乗数効果は税の自然増収効果
に。
公共投資の乗数効果:実質と名目
公共投資実質5兆円(GDP1%)の乗数効果(%)
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
5兆円増加の乖離率(%)
実質GDP
名目GDP
2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
公共投資の乗数効果
• グラフ
5つの乗数比較
4
3
2
1
IG 5兆円 %
0
CG77 5兆円 %
-1
2010
2012
2014
2016
2018
2020
TPカット5兆円 %
-2
-3
-4
-5
-6
VATアップ 3% %
INTGB 1% ダウン
%
消費税の増税効果2%アップ
12
10
8
6
4
2
0
0
N 税収入 (兆円)
-1
-2
-3
-4
1
2
3
4
5
%
兆円
消費税2%アップ:内閣府とDEMIOS
D 税と社会保険料 (兆
円)
N 実質GDP %
D 実質GDP %
国家ビジョン研究会の成長シナリオ
• シミュレーションには計量経済モデル:DEMI
OSを使用した。
• 政策変数の前提条件:
• 震災被害の復旧と長期の復興計画
公共投資:11年追加20兆円 以後この追
加分を実質5%の伸びで延長:東日本復旧と
国土全域の社会資本の耐震化と災害対策、
第2国土軸と高速道路、など。
政府消費(医療福祉等)実質1.5兆円増
続
• 法人税:加速償却:耐用年数 10%カット
• 政策金融:
•
住宅投資 年5兆円 耐震化と省エネ
•
省エネ・自然エネルギー
•
地域開発:クラスター化の促進と開発
•
食料生産の改革と自給率の向上
•
航空機産業と航空輸送の強化
•
以上:設備投資には年6-9兆円を融資
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
兆円
シミュレーション結果
実質GDP
1000
800
600
400
成長シナリオ
標準シナリオ
200
0
GDPの実質成長率
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
20
17
20
18
20
19
20
20
7.0%
6.0%
5.0%
4.0%
3.0%
2.0%
1.0%
0.0%
成長シナリオ
標準シナリオ
名目GDP
名目GDP 2つのシナリオ
1000.0
600.0
成長シナリオ
標準シナリオ
400.0
200.0
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
0.0
2010
兆円
800.0
雇用者数と増分(千人)
雇用者数とシナリオの差分
20
10
20
12
20
14
20
16
20
18
20
20
64000
62000
60000
58000
56000
54000
52000
50000
4000
3000
2000
1000
0
成長シナリオ
標準シナリオ
差分
一人当たり給与(千円)
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
成長シナリオ
標準シナリオ
差分
家計消費支出(兆円)
450.0
400.0
350.0
300.0
250.0
200.0
150.0
100.0
50.0
0.0
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
20
17
20
18
20
19
20
20
兆円
家計消費支出:2つのシナリオ(実質)
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
成長シナリオ
標準シナリオ
差分
実質公共投資(10億円)
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
20
20
20
18
20
16
20
14
成長シナリオ
標準シナリオ
20
12
20
10
10億円
実質公共投資
民間設備投資と民間住宅投資
(兆円)
民間設備と民間住宅投資
120.0
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
20
17
20
18
20
19
20
20
民間設備投資 成長シナリオ
民間設備投資 標準シナリオ
民間住宅投資 成長シナリオ
民間住宅投資 標準シナリオ
兆円
消費者物価指数
1000.0
800.0
600.0
400.0
200.0
20
10
20
11
20
12
20
13
20
14
20
15
20
16
20
17
20
18
20
19
20
20
0.0
成長シナリオ
標準シナリオ
一般政府収入(10億円)
一般政府収入(社保を含む)
300000
250000
200000
150000
100000
50000
0
10億円
2020
2019
2017
2018
2016
2015
2014
2012
2013
2011
2010
成長シナリオ
標準シナリオ
一般政府:純政府債務
(兆円)
600.0
500.0
400.0
300.0
200.0
100.0
0.0
20
20
20
18
20
16
20
14
成長シナリオ
標準シナリオ
20
12
20
10
兆円
純政府債務
潜在GDPと稼働率(%)
100.0
80.0
600.0
400.0
60.0
40.0
200.0
0.0
20.0
0.0
稼働率
1000.0
800.0
20
10
20
12
20
14
20
16
20
18
20
20
兆円
潜在GDPと稼働率
成長シナリオ
標準シナリオ
成長シナリオ
標準シナリオ