卒論発表資料

リモートセンシングデータによる
佐鳴湖汚濁状況の把握
静岡大学工学部システム工学科
前田研究室4年 田渕 祐介
研究の背景・目的
従来の湖水中のプランクトンの発生を把握する
方法は人の手による微視的な方法しかなかった
衛星リモートセンシング
湖水中のプランクトンの発生・分布を巨視的
に把握する方法を開発する
研究方法
リモートセンシングデータ用解析ソフトウェアENVI
LANDSAT-7/ETM+撮影データ
(冬季)2003年2月25日・(夏季)2003年8月4日
観測されたマルチスペクトルパターンを解析
①佐鳴湖流域の土地利用状況
②湖内の植物プランクトンの種類・分布
を分類し、判別関数として導出し、推定・把握する
研究①土地被覆分類
■LANDSAT-7/ETM+が
2003年2月25日に撮影した
衛星データを最大尤度法を
用いて分類
■佐鳴湖流域は
浜松市河川網図流域境界
にしたがって定義した
図:土地被覆分類図
■:水域
■:市街地
■:森林
■:田
■:茶畑
■:畑
佐鳴湖流域の土地被覆割合
冬季
■両時期とも大半は市街地
■冬季よりも夏季のほうが
植生帯が多い
夏季
図:土地被覆分類結果による佐鳴湖流域内の土地被覆割合(上:冬季、下:夏季)
分類の精度評価
表:土地被覆分類精度
項目
冬季分類精度(%)
夏季分類精度(%)
水域
97.2
86.4
市街地
92.9
88.7
森林
80.0
74.4
田
65.3
78.7
茶畑
55.4
54.2
畑
56.7
78.3
各バンドで観測されたデータの分布(植生帯)
森林
茶畑
田
畑
土地被覆の判別関数
尤度関数



t
1
1
1
f   log  k  X  X  k X  X
2
2

・X:分類対象画素におけるバンド1~8の値
・X:分類項目のトレーニングデータのバンド1~8の平均
・∑k:分類項目のトレーニングデータのバンド間分散共分散
トレーニングデータに基づく推定の土地被覆判別関数
考察①土地利用の推定
■LANDSATの衛星データを用いて、佐鳴湖
流域の土地利用の状況を推定することは可能
であると言える
しかし、・・・
考察①土地利用の推定
■分類精度に大きく左右されるので、正確な推
定のために基準とする地図データ、衛星データ
は最新かつ同時期のものが望ましい
■多時期データがあれば、季節変化を見ること
が出来、分類が困難な植生帯をより詳細に分類
することが出来るのではないか
研究②佐鳴湖内の観察
佐鳴湖内を
(ⅰ)単バンド画像 表示し、比較する
(ⅱ)NDVI画像
植物プランクトンがどの程度活発に活動している
植生指標NDVI:バンド3とバンド4の値から
算出される値で、クロロフィル濃度に相関がある
かということに影響を受けて値が変化する
県土木部の2003年3月・夏季水質調査データ
・佐鳴湖植物プランクトン同定結果
・クロロフィルa濃度測定結果
との突き合わせ
単バンド画像の比較結果
NDVI画像比較結果
冬
高
高
夏
図:佐鳴湖内をバンド4で観測した結果(左図:冬季、右図:夏季)
図:佐鳴湖内をNDVIで観測した結果(左図:冬季、右図:夏季)
Band4:植生の活性度を示す
NDVI:クロロフィル濃度を示す
低
低
冬のほうが高い
冬のほうが高い
植物プランクトン同定結果
10000
9000
8000
冬表層
細胞数/ml
7000
夏表層
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
藍藻綱
クリプト藻綱
渦鞭毛藻綱
黄金色藻綱
珪藻綱
ハプト藻綱
ユーグレナ
緑藻綱
図:佐鳴湖湖心植物プランクトン同定結果(2003年3月4日、7月28日)
優先種-冬:珪藻綱、渦鞭毛藻綱、黄金色藻綱
夏:珪藻綱、緑藻綱、クリプト藻綱
クロロフィルa濃度測定結果
表:クロロフィル濃度測定結果
夏
冬
測定値
表層平均
最大値
最小値
表層平均
最大値
最小値
佐鳴湖北
68
87
54
59
51
66
佐鳴湖心
83
93
68
69
72
65
佐鳴湖南
80
89
61
77
86
71
(2003年県土木部水質調査データ/クロロフィルa濃度3/4,5と7/28,29測定より)
夏の方が全体的に高い
考察②佐鳴湖内の観察
■単バンド画像(Band4)とNDVI画像
→冬より夏のほうが値が高いと推定
■同定結果
→時期ごとに優先種存在
■水質調査
→夏の方がChl.a濃度が高い
Band4とNDVIの画像が
■植物プランクトンの種(綱)の差異
■植物プランクトンの活動状況の差異
を反映しているのではないか
考察②湖内の観察
■現状では植物プランクトンの種(または綱)を
特定し、その分布を把握することは困難である
と言える
■特定するには、種(綱)ごとのスペクトルの反
射(吸収)率をグランドトゥルースを用いるによっ
て特定する必要がある
今後の課題
■土地被覆分類精度を向上させる
■多時期のデータについて解析を行い、季節
の変化を見る
■グランドトゥルース
ご清聴ありがとうございました